ゆっくりが害獣認定される根拠に二つの迷惑行為がある。
畑荒らしと住居侵入だ。
最近の畑荒らしに対しては、対動物用防御を拡張する形で対ゆっくり防御もされるようになったし、
賢明な母ゆっくりの努力によりそもそも畑に侵入するゆっくり自体減った。
しかし、いわゆる空き巣の類が極端に少ない幻想郷の人里においては住居侵入対策のノウハウが殆ど無く(家に鍵すらかけない世帯も存在した!)、
ゆっくりの住居侵入には食料品を戸棚にしまって鍵をかける程度の対策しか存在しなかった。
さらにはゆっくりの住居が食料に比して足りなくなってきたという事もあり、「ここはれいむのおうちだよ!」という台詞を人間が聞く機会が増えつつあった。
対策の一つとして「ゆっくりに住居を提供する」という事が提案されたのはそう不自然なことではなかった。
俺が大工の真似事に精を出しているのは以上のような理由があった。
里の集まりで貰った権利により入手した廃材などを利用してゆっくりが巣にできそうな形にしているわけだが、
何せどのような巣を好むかの情報が少ないため手探り状態だ。
かくして出来上がった物体はとにかく完成させることを第一の目的としたことが見て取れる、太い角柱の底面を空けたような形だった。
こいつの断面は親ゆっくりまでなら通過できる程度の大きさにしておいた。
住居を要するゆっくりは大抵親子であるから当然だろう。
直ちに量産してこの角柱を組み合わせ、ゆっくりの集合住宅を作りたいところだったがそうも行かない。
それなりに快適でなければそもそも住人を集められない。
そこで、適当なゆっくりに実際に入ってもらってゆっくりできるかどうか見てもらおう。
試用結果は上々だった。
適当にブラついて5分で発見したゆっくり親子に試してもらったら、「これはれいむのおうちにするよ!」とか言われた。
これなら大丈夫ということで、集まりのある寺子屋の教室(というより、集会所が寺子屋として使われているらしいが)へと向かった。
主人のいない教室でこの話の責任者と対面した俺は口を開いた。
試作した住居はゆっくりが満足する物でしたと言うと、目の前の人物はおおそうか直ちに次に移れと言いながら一枚の紙を渡してきた。
大まかに目を通したあと、しかし上手くいくかどうか分かりませんなにより時間も掛かりますと答えたら、
笑顔でそれはそうだ何事にも失敗は付き物だ成功を祈ると彼は発した。
機嫌がいいのは何だろうか、美味い酒でも手に入れたのだろうかと考えた後、ではこれで失礼します、ああ何か不足したらまた来いと言葉を交わして別れた。
入るときに持っていた仕様書の代わりに、「これを所持した人物に木材を譲渡せよ」という紙を持って寺子屋から出た。
あの角柱を気に入りだしたゆっくりには庭で生活してもらうことにして、俺は角柱の量産に入った。
奥行き170縦30横45の空間を作れるだけの木材を調達するのは大変だろうと思ったが、
材木屋さんはこちらに仕様を聞くと丁度必要な大きさの板材を持ってきてくれた。
俺の製作したブツの経過が良好なら、材木屋さんに大量生産の発注が来るから試しに切ってあった分らしい。
ホントは別料金なんだけどな、と笑っているオッチャンに感謝しながら家に帰った。
4列並べた物を互い違いに2段重ねる為に必要な角柱が完成したのは2週間後だった。
庭のゆっくりは幸いにも畑を荒らすかどうなるか知っていたので、何事も無く製作に当たることができた。
角柱を組み合わせるのにさらに1日掛かり、リヤカーに積載して建設予定地に向かう準備ができたのは角柱試作後16日目の朝で、
朝日を浴びたゆっくりがあくびをする前で俺は朝食を取っていた。
いつまでも庭に置いておく訳にもいかないゆっくりも乗せて出発、目的地の茶畑へと向かう。
人里に近いゆっくりを集めるため、連中が食わない茶の畑というのは良い立地だ。
連中風に言うならゆっくりポイントだろうか。
適当に整地しあと置くだけという手軽さで建設は完了し、早速ゆっくりの呼び込みを行った。
本来ならば設置後居つくのを待つというのが集まりの初期案だったが、
それでは本当に住むか分からないので先に何匹か住まわせるという提案がここ2週間で主流になった為だ。
道路みたいな開けた所を生態ピラミッドの位置からして如何な物かと思うほど無防備に行進していた仲良し3匹と、
林でウロウロしていたもうすぐ家族が増えるだろうつがいにとりあえず住んでもらった。
前者は巣があればいつでもゆっくりできるなぁと思ってたらしく、後者は家族で住める新しい巣を探していたので大変気に入った様子だった。
「ここならゆっくりできるよ!」
「おにいさんありがとう!ゆっくりさせてもらうよ!」
などと上機嫌で言ってくれた。
残った仕事は2週間経過を観察して報告書を書く事なので、最初の親子の角柱をゆっくりアパートメントに合体させ、
お隣同士の家族でゆっくり仲良く話す声を背に受けながら家に帰った。
という訳で、ゆっくりの被害に悩まされながらも共存を試みる場合はどうするだろうかと考えた結果でした。
by sdkfz251
- とてもいい話ですね♪
-- 名無しさん (2009-02-09 04:37:04)
- ねぇわw
偽善もいいところw -- 名無しさん (2010-02-16 01:02:39)
- ゆっくりが好きな人には絶対に読ませたくない話だな
ゆっくりのファンサイトでゆっくりを貶めて、それを勝手に上から目線で助けて悦に入るとかないわ -- 名無しさん (2010-02-16 03:19:48)
- 確かに偽善としか言えないよな、所詮昔の作品、ゆっくりを可愛がってやってる
的な上から目線で視野が狭い住人が多かった頃の話さ、だけど今は違う
今の住人はゆっくりを色んな視点から、色んな存在として見ていけるじゃないか
この作品はあくまでも過去の遺物として受け止め、忘れるにしろなんにしろ
自分が書きたい作品を作っちゃえば良い話さ、最後に長文ごめんね -- 名無しさん (2010-02-16 14:29:29)
- 確かに偽善っぽいが、まぁ「共存を試みる」だから偽善ではないのかもね -- 名無しさん (2010-06-09 23:18:07)
- 自己満足の偽善だろ
一方的に与えるだけの偽の共存なんて簡単に崩壊すると思うぞ
共存ってのはギブアンドテイクありきの関係だしな
綺麗事じゃ済まない -- 名無しさん (2010-06-09 23:35:11)
- いったいみんな誰と戦っているんだ…… -- 名無しさん (2010-06-12 21:44:34)
- 気にしてはいけない、過去を引きずってるだけなんだよ…
-- 名無しさん (2010-06-13 01:01:22)
- 中学生は 「 偽善 」 って言葉が大好き
なにかにつけて「偽善、偽善」と鳴く -- 名無しさん (2010-11-26 18:59:43)
- 一方的に与えるがお家宣言対策だろう、共存の一つだと考えれば、これも「あり」だろう?
偽善偽善というなら共存前提で代案書いたらどうだ?作者さんのネタになって書いてくれるかもよ? -- 名無しさん (2011-01-02 01:03:51)
- 作品に好き嫌いがあるのは仕方ない事だとは思うけど、自分が嫌いだから
この作品はダメっていう考え方が理解できないし、理解したいと思わない。
個人的には、ゆっくり達のほのぼのした雰囲気が目に浮かんで和む作品でした。
-- 名無しさん (2011-01-09 00:23:02)
最終更新:2012年03月21日 21:03