ゆっくり饅頭

 今は昔、あるところに食べ物を作るのは得意だけど怠け者の男がいました。
男は持ち前の技術で和菓子屋を経営していましたが持ち前の怠け癖があったせいか
なかなか繁盛しませんでした。
 男はどうやったら稼ぎが出るかとかどうやったら早く売れるなど
まぁ怠けからきたものですが、一応商売人にとってまともな考えをしていました。
けど考えても何も思いつかず、結局いつものようなだらだらと売ることになりました。

 ある朝、起きて店を開こうとすると店の前にゆっくりれいむがいました。
「ゆっくりおかしちょうだい!!!」
 お菓子でも買いに来たのでしょうか、白銅の硬貨を口にくわえて綺麗な眼差しでこちらを見ています。
しかし男はれいむを見てドス黒い思考を働かせました。
(こいつ確か饅頭だよな……)
 男は近くに誰もいないことを確認するとれいむを店の中へと連れ込んでしまいました。
そして男は調理所へ行きれいむを調理台の上に置きます。
「おじさんもしかしてれいむをたべたいの?じゃあおたべなさい!」
 そんなれいむの言葉を無視して男は戸棚から巨大なスポイトらしきものを取り出しました。
何で菓子屋がそんなもの持ってるのかは気にしないで下さい。
そして男はそのスポイトをれいむの下腹部へと一気に突き刺しました。
「ゆっ!?じゃどうぐいはやめてね!!!」
 別に男は邪道食いするために刺したのではありません。男はスポイトからどんどんと
れいむのあんこを吸い取っていったのです。
吸い取られていくたびにぷにぷにしているれいむの頬はこけ落ちていきました。
「ゆ、ゆっくりはほろびぬ。なんどでもよみがえるさ!!!」
 そしてその言葉を最後にれいむの身体はぺったんこになってしまいました。
男は吸い取ったあんこを生地で包みさっと蒸していくと、あっという間に手のひらサイズの
お饅頭が二百個くらい完成しました。
 原価はタダ、そしてゆっくり一つでこの多さです。
男はどうして今までこんな事を考えなかったのかと自分を嘆きながら
その饅頭を普通の饅頭として店で売り始めました。
「あら、お饅頭が安いわね。三つほどもらえる?」
 昼になり人気が出てきた頃、れいむのあんこで作ったお饅頭は瞬く間に売れていきます。
いつもの半額の安さ、どこの店よりも安い!をキャッチコピーにした結果
多くの客を手に入れることが出来たのです。
ゆっくりのあんこを使った事は評判が悪くなるので言いませんでした。
「あら、もう閉めちゃうの?」
 しかし男は元々怠け者であったためか売り上げのノルマが達成するとさっさと店を閉めてしまいました。
ゆっくりの抜け殻を他人に見つからないように山に埋め、男は床へ付きました。

 次の日、起きて店を開けると店の前に大勢の人がいました。
一体どうしたのかと男が訪ねるとそのうちの一人が男に何かを突き出しました。
眠気で閉じかかった目を凝らして見るとそれはちっちゃいゆっくりれいむでした。
「お宅で買った饅頭がゆっくりに変わったのよ!どうしてくれるの!」
 男は驚きました。よく見てみると近くにいた人々は全員昨日店で饅頭を買った人でした。
皆は口々に「戸棚に入れておいたのに逃げられた」や「お墓にお供えしていたらいきなり跳ね始めて
驚きのあまりこっちも墓に入りそうだった」などと言っていきます。
 男は困り果ててしまいました。ここでゆっくりのあんこ使ったからなどと言ったら
この先評判悪くなるどころか村八分にされてしまうかもしれなかったからです。
 そう言えばまだ三十個ほど残ってたなと思い男は怒り狂う客達を尻目に
菓子を保存する冷蔵庫がある調理所へと向かっていきました。

 調理所へいくと何処か騒がしい声が冷蔵庫の中から響いています。
男は恐る恐る冷蔵庫を開けてみました。
なんと中には手のひらサイズのゆっくりれいむ達が縦横無尽に跳ね回っていたのです。
「「「「「「「「「「「「「「「さあ!おたべなさい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 れいむ達は男の姿を見ると冷蔵庫から飛び出し男の身体を這い上がっていきます。
そして次々と男の口の中へと飛び込んでいきました。
男は何とか飲み込もうとしましたが結局24匹目の時点で喉を詰まらせて気絶してしまいました。




本日の教訓 食品偽装は犯罪です




今まで書いた物
  • ふえちゃうぞ!
  • のうかりんとむかしのゆっくり


  • ムスカがいたぞW


    まさにゆっくりハザードだ -- 名無しさん (2009-01-21 10:11:52)
  • イソップみたいな戒めのある話、王道だけどいいね!! -- 名無しさん (2009-01-21 13:34:42)
  • 悪いことをしちゃいかんな、という教訓だね、わかるよぉ。 -- 名無しさん (2009-01-21 15:58:03)
  • 死ななくて良かったな。やっぱり妖怪は怖い。
    邪道食いには少し笑った。 -- 名無しさん (2010-04-21 14:19:12)
  • 最後の一行で吹いた。 -- 名無しさん (2017-01-03 15:05:07)
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最終更新:2017年01月03日 15:05