*CAUTION*
あるキャラの2次設定を使用しています。あと、オチがくだらないです。
その上けっこう使い古されたネタだと思います。
それでも一向に構わんッッッッッ!というお方はどうぞ。
*CAUTION*
パチュリー・ノーレッジは知っている。
この頭だけの生き物の存在を。
「「ゆっくりしていってね!!」」
パチュリー・ノーレッジは知っている。
こいつらが 饅頭生物だということを。
(でも…どうしてかしら?)
パチュリー・ノーレッジは知らない。
なぜこいつらがここにいるのか。
「「ゆふふのふ…」」
パチュリー・ノーレッジは知らない。
なぜこいつらがこんなに得意げに…いやまあそれもあるけど。
パチュリー・ノーレッジは知らない。
ゆっくりというものの生態を。
(ちょうどいいわ。前の研究が終わったばかりで暇してたし)
パチュリー・ノーレッジは思いついた。
戯れに、ゆっくりの研究でもしてみようかと。
「「ゆっくりしていってね!!」」
「ええ、ゆっくりさせてもらうわ」
『そのゆっくりの正体は』
[ゆっくり]
いつの間にか幻想郷のそこかしこに現れ始めた生き物。
幻想郷の力ある人妖の姿を模しており、頭部だけのもの・五体のあるものがいる。
人語を解することができ、多くの種が『ゆっくりしていってね』と口癖のように発することから
この名が付けられた。
表面は饅頭生地・中身が餡子であることから饅頭の妖精、または妖怪なのではないかという
見方がされているが、詳細は不明である。
研究の第一段階として、パチュリーは現在自分が知っている事をまとめあげた。
今までゆっくりと接触していなかったので全て書物から得た知識である。
とはいえ、その『書物』が問題で…
(流石に文々。新聞ソースの情報を鵜呑みにするのは間抜けよね)
別に新聞に限った事ではないのだが、『書物に書かれている=正しい』
『権威あるものが言っていた=正しい』『あるあるで言ってた=正しい』などと考えるのは愚か者の思考である。
本の虫であるパチュリーだがそこは当然、弁えていた。えらいぞ。
(基本は観察かしらね)
そういうわけで、当分の間(=飽きるまで)パチュリーはゆっくりの観察日記をつけることにした。
研究といってもまぁ、息抜き暇つぶし程度のつもりでいたのでこんなもので十分だろうと思いながら。
3月1日 日曜日 天気は外に出てないから知らない。どうでもいい。
昨日から図書館に湧いてきた2体のゆっくり。見た目からしてれいむ種とまりさ種であることは確定的に明らかである。
知人と同じような容姿をしているのは少し気味が悪い反面、見ただけでなんという種か分かるのでその点は便利だ。
今日一日観察していて分かったのだが、この2体一日の大部分を寝て過ごしている。これが連中の言う「ゆっくりする」という
事なのかとも思ったが、書を漁るに他のゆっくりは森の中など野生のうちに生きているものもいるらしく、そういった連中が
無防備にぐーたらぐーすか寝て過ごすなど考えづらいのでおそらくこいつらが特殊なのだろう。
大きさは野球のボールよりやや小さい程度。書に載っていた写真のゆっくりがおよそバスケットボール大であった事を考えると、
この2体は幼生体、または特別小さい個体であると推測される。
:今日わかったこと:
- 一日の大部分を寝て過ごす
- 大きさはおよそ野球のボールよりやや小さい程度
(ただし上記2点は研究対象が特殊な個体である可能性が高いため、ゆっくり全体の特徴とは言えないと考えられる)
3月2日 月曜日 どんな天気でも家の中に居れば関係ない
ゆっくり達が本棚に向かって跳ねていったので尾けてみた。ぽよんぽよんとしばらく跳ねていった後
「どれにする?」
「これにしようよ!」
というやり取りを行い本を一冊抜き出した。本を使って何をするつもりなのだろうか、もし破いたり食ったり
しようものなら即サイレントセレナだと思いながら観察していると、意外にも本を開き読み始めた。
どうやらゆっくりは人語を解するだけでなく、字も読めるらしい。5ページくらいめくった後
「ゆははははははははは!」
「ゆひひひひっひひひひ!」
突然笑い出した。びっくりした。頭に「ゆ」を付けるのも種族的な特徴なのだろうか。その後も2,3枚めくるたびに
ゆふふだのゆへへだの笑い転げていた。このあたりにそんなに面白い本があっただろうか。
「ゆほほほほ…れいむ、れいむ、そろそろやめにしない?」
「そうだね、これ以上読んだら腹筋やばいね!」
腹筋、とはどこの事を指しているのだろう。およそ50ページ程度読み進めた時点で2体は読書を中断した。
本を閉じ、棚に戻す。うん、それだ。それこそが図書館の本の正しい使い方である。
死ぬまで借りるなどとほざきながら勝手に持ち出していくなど言語道断だというのにどうしてくれようかあの白黒…おっと観察観察。
「ゆっくりできたね!」
「いっぱい笑ってすっきりー!」
2体は満足そうにぽよんぽよんと跳ねていき、その後昨日と同じように眠りについた。
後で本が気になったので棚に戻って調べてみると、どうやら『罪と罰』を読んでいたらしい。どこがウケたのだろう。
今日は比較的動いていた。
:今日わかったこと:
- 笑い声や鳴き声の頭に「ゆ」をつける
- 字が読める?
(本を読んでいるような動きはしていたが、反応を見るに本当に『読んで』いたかは不明)
- (字が読めると仮定した場合)笑いのツボが一般的な人妖とかなり離れたところにある
3月3日 火曜日 咲夜に天気聞いとけば良かった
今日はゆっくりが現れなかった。どこかとも知れない場所から来た連中なだけに、どこへとも知れない場所に行ってしまったのだろうか?
このまま現れないようであれば研究はここで終了である。文字通り3日坊主となってしまったことが悔やまれるが、もともと暇つぶしで
始めた研究なので特に問題は無い。始まりはいつも突然だが、終わりも突然来るものなのだ。
関係ない話だが今日久しぶりに咲夜を見た。と言っても図書館から出て行く一瞬だけだったが。
研究中は邪魔にならないようこっそりと仕事をしていたのだろう。完璧で瀟洒と言われるだけはある。
:今日わかったこと:
3月4日 水曜日 小悪魔が雨だったと言っていた
昨日現れなかったゆっくりだが、今日は再び現れた。昨日の事を問いただしてみる。
「昨日はどこに行っていたの?」
「ゆ?れいむたちはずっといたよ?」
「おねえさんの、心の中にね…」
そう言ってニヤニヤ笑い出した。ちょっとムカつく。後で改めて聞いたところ『昨日は一日中寝てたからよくわからない』そうだ。使えない。
日曜日にもほぼ一日寝ていたことから考えるに、48時間中46時間寝るとかそういったリズムで生きているのだろうか?
そうだとしたら流石にゆっくりしすぎではないかと思うのだが、こと睡眠に関してはそれ以上にゆっくりしていそうな妖怪を知っているので
なんとも言えないところである。
(そういえば、中身が饅頭だって本当なのかしら…。解剖してみるのが手っ取り早いんだけど研究対象が消失してしまうのは好ましくないわね)
そんな事を考えていたら
「おねえさんおなかすいてるの?だったら…」
「さあ!お食べなさい!」
自分からぱっくり割れてくれた。案外気が利くヤツらだ。
2つに割れ、合計4つになったうちのひとつを手にとってしげしげと観察する。残った3つが周りをぴょんぴょん跳ねながら
「「「おいしく食べてね!」」」 「「「ゆっくり食べてね!」」」 などと3chサラウンドで喚き散らしているがとりあえず無視。
にぎにぎと揉んでみると、ぐにょぐにょと簡単に変形した。なかなかに柔らかい。皮の部分は饅頭生地ではなく餅のようなもののようだ。
その上餡子の量が極端に少ない(無い、と言ってもいい)。やはり特殊な個体なのだろうか?
一通り調べて、とりあえず断面をスケッチしたところで元の位置に戻した。4chサラウンドにバージョンアップした音声が
「「「「食べないの?ねえ食べないの?」」」」と言っているがそれも無視。しばらくすると
「「「「ふーんだ!おねえさんのケチ!ツンデレ!」」」」と文句を投げてきた後
「「シンメトリカル!」」「「ドッキング!」」と叫んで元の2体に合体した。なんとも便利な体である。
:今日わかったこと:
- 場合によっては一日中寝ていることもある?
- 自己の意思で2つ(あるいはそれ以上?)に割れることが出来る。割れた後もそれぞれで行動可能
- また、割れた後再び結合することも可能
- 捕食されることに抵抗は全く無い、というよりむしろ進んで捕食されたがっているように見える
3月5日 木曜日 とりあえず雨ではない
今日もゆっくりは現れなかった。…代わりにあの白黒が来た。
「邪魔するぜ」
「そう。気をつけないで帰ってね」
そんな私の、願いを込めた言葉を無視して本棚に向かう白黒。もう半分諦めているのでとやかく言う気ももはや無い。
「ああ、そういえば。咲夜なんかあったのか?」
「?どうしたのよ急に」
「いや、たまたま外で出くわしたから弾幕りあったんだが…」
ご愁傷様。
「なんかいつもと違うような…こう、違和感を感じてな」
「具体的には?」
「んー…上手く言葉に出来ないんだが、前見たときとどこかしら違ってたんだよなぁ…」
「…何にせよ、ここ最近咲夜とは会ってないからよくわからないわ」
「なんだ、ケンカでもしたのか?」
「無遠慮な貴女には分からないことよ」
「あーん?……まあいいぜ」
そう言うと白黒は再び本棚に向かっていった。
…咲夜に違和感?何なのかしら…いや、いいわ。重要な変化ならレミィが気づかないわけないし、
そうでないのなら放っておいて構わないということ。この件に関しては忘れましょう。
:今日わかったこと:
3月6日 金曜日 もういいじゃないか、天気なんて
今日は現れた。隔日で現れるとかいうルールでもあるのだろうか。
そういえば、割と大切な謎が残っていたのを思い出す。
「ねえあなた達、ここへはどうやって来たの?」
そう。
この紅魔館は壁に囲まれている。決してゆっくりが跳ねて越えられる高さではない。
それに正門には門番が…あ、こっちはアテにならないわ。
何にせよ、この近辺にゆっくりはいないはずである。なぜ、どうやってここに来たのか少し興味があった。
「れいむたちはね…」
「うん」
「気が付いたら、ここにいたんだよ!」
「そう、わかったわ」
『気が付いたらここにいた』という事は、意識的に侵入したわけではないということ。かといってこいつらが無意識にこんな所まで
到達できるとは考えにくいので、何者かが館内に持ち込んだ可能性が高い。
と言っても、こんなものを潜り込ませたところで何が出来るとも思えないので害意ある第三者の仕業ではないだろう。
おそらく妖精メイドあたりが物珍しさで持ち込んだとか、そのあたりだろう。
…そこまで思考を巡らせたところで視線をゆっくりに戻すと、2体揃って寝息を立てていた。経験上、こうなると当分目覚めない。
ぶっちゃけ、そろそろ飽きてきたので観察も終わりにしようか。いや、でも明日でちょうど一週間だから明日で終わりにしよう。
一週間少女なだけに。(上手い)
:今日わかったこと:
- この2体は自発的に紅魔館に侵入したわけではない
→無意識下の行動?それでここまで到達できるとは考えにくいだろう
→何者かによって運び込まれた?おそらく妖精メイドあたり。何にせよ害は無いだろう
3月7日 土曜日
パターンからすると今日は出ないんじゃあないかと思っていたら、案の定現れなかった。
最終日の観察結果が『現れなかった』で終わってしまうのは少し残念な気が…しないわね。全く。
明日まで延ばすのもなんだかかっこ悪いので、すっぱりこれで終わってしまいましょう。ごきげんよう、何の役にも立たない研究。
:今日わかったこと:
そこまで書いて観察日記を閉じる。それなりの暇つぶしにはなったわ。たまにはこういう息抜きも必要ね。
「咲夜、いるかしら?」
「お呼びでしょうか」
どこからともなく現れるのは、友の従者十六夜咲夜。
「紅茶となにかお菓子を適当に持ってきて頂戴」
「かしこまりました」
一息つこうと、咲夜のほうに向き直ってお茶を頼む…その時感じた違和感。
「ちょっと待って」
「はい?」
今度は咲夜をじーっと観察する。
前から。後ろから。横から上から。
「あの…パチュリー様…」
観察結果から仮説を立て、咲夜に近づき耳をすませる。
「「ゅー………ゅー………」」
聞こえてくるのはあの寝息。
「…なるほど、ね」
じっと咲夜の顔を見上げる。咲夜のほうは、何かを恥じる様子も無く、何事もないかのようににこりと微笑をよこしてきた。
「…いいわ。お願い」
「失礼致します」
完璧で瀟洒なメイドは、その微笑を崩さぬまま図書館を後にした。
その胸から微かな寝息を響かせながら…
-PADエンド-
チル裏で『BADエンド』という言葉を見てこのオチを思いつき(思い出し?)ました。ので書きました。
ところで明日は例大祭ですが、みなさんサークルチェックは済ませましたか?小銭の両替は?
入場と同時にゆっくり本を買いにスペースまで直行する心の準備はOK?
by 映姫さまの本を買って善行を積もうと思っている『えーきさまはヤマカワイイ』
最終更新:2009年03月09日 16:39