FPS症候群 ゆっくり編

FPS症候群 ゆっくり編

 FPS症候群とは、あまりにのめりこんだ結果、現実でもこれらのゲーム独特のルールに則った行動をしてしまう事をさす。
 著名なものでは、走らずに飛び跳ねて加速したり、最強の武器は何だ、と問われて間髪おかずに物理学者の持つバールだと答えたりする症例が上げられる。
中には、現実世界を見て、これはリアルじゃない! とわめきだすものまで出る始末だ。

 人間ですらこのFPS症候群の魔力からは逃れられず、ゆっくりもまたその毒牙にかかったのである。

 どうWASDのキーを押すんだ、とか、どこをどうやればマウスを操作できるんだ、というのはまた別のお話である。だいいち、筆者も知らない。


症例1:ストレイフジャンプ

「おお、はやいはやい」

 きめぇ丸は今日もストレイフの練習を欠かさない。この間は壁にぶつかって速度を落としてしまった。一生の不覚である。
その横を、何かがすり抜けていく、ぎりぎりと歯をきしませながら、きめぇ丸は目の前をにらむ。

「おのれ、おのれ」

バニーホップをしている得意げな顔のれーせん。ウサギ跳びだからバニーホップとは、なんという安直さか。

「ゲラゲラゲラ」

 そう笑いつつ、れーせんは左に道を曲がろうとするが、壁にかすってしまい、急減速。
かなり速度が乗っていたので、よほど悔しいのだろう。ぶええええと言う擬音がふさわしい勢いで泣き出し、とぼとぼときめぇ丸の横を移動する。
きめぇ丸は見せつけるようににやり、とわらう。

きめぇ丸の行っているストレイフは曲がることが出来ない。だが、きめぇ丸にはロケットが握られている。

「おお」

 ロケットジャンプ。タイミングが良ければ、ロケットの爆風で一気にジャンプの高さを伸ばせる。
だが、失敗すればたいして飛べなかった上に大ダメージだ。
 きめぇ丸は、飛び上がった。ススはついているわ、若干切り傷はあるわの惨状であったが、得意げにひゅんひゅんと風を切りながら、ストレイフを再開した。
 まだまだ速度は稼げるのだから。

(解説:いわゆるスポーツ系(QuakeやUnrealのことl)のFPSで、ピョンピョン飛び跳ねているのは、一定の動作をすれば速度が上昇するためである。
バニーホップとストレイフジャンプはその代表例)


症例2:Source物理学


「ゆっくり飛んで行ってね!!!」

 そう叫んで、ゆっくりぱちゅりーは一枚の板を握りしめる。手がないのはゲームエンジン的な仕様である。
 まわりのゆっくり達は何をやっているのかという目でみているが、これがソース物理学の魔力である。
 そう、ただの板切れに過ぎないのだ。だが、これは物理学を修めた、一流の物理学者にとってはもっとも効率的な飛行機である。
ゴードン・フリーマンはこれでコンバインたちを撃破してきたのだ。同じく物理学的に優秀なぱちゅりーに出来ないはずも無い。

 板を持ったまま、ぱちゅりーは飛び上がり、一瞬板を離して、それを足場にジャンプし、その板を再びつかむ。

「むきゅ! 物理学的にはただしいのよ!」

 叫びながらそれを繰り返すうち、いつの間にか他のゆっくり達が豆粒よりも小さくなったのを確認すると、ジャンプするのをやめて高度を落とす。
 当然、物理学的には重力加速度に従って勢いを増しながら落下する。だが、地面に着く直前に再び高度を上げ、加速度をキャンセルし、着地した。
 ダメージは当然のように無い。周りには、すごーい、などと口々に言うゆっくり達が集まった。だが、ぱちゅりーは自慢するでもなく、淡々と言う。

「物理学をべんきょうすればこんなことができるのよ!」

 今日はそれほど高度は上げられなかった。ぱちゅりーの目指す世界最強の物理学者への道は遠い。

(解説:元ネタはソースエンジンの仕様である、物も足場に出来る、という特性を利用したショートカット方法。手は疲れますが、実際に飛べます、これ)


その3:ゾーンではよくあること


「放射線をたっぷり浴びてしまったようだな、同志すいか」

「そのようだ、同志ゆうぎ」

 鬼を摸した二人のゆっくりは、ロシア伝統の毛皮で出来た帽子、シャプカを被っていた。
どこからか、ごそごそと何かを取り出す。それは放射線を浴びてしまった際の特効薬だ。

 それは瓶に入っており、無色透明で、封を切ると、それだけでアルコールの匂いがただよう。つまり。

「ウォッカだ!」

 そう、すいかとゆうぎが居るここゾーンではウォッカを飲むと放射線の値が下がるのである。

「うめぇ!酒めっちゃうめぇ!」

 放射線を浴びたという口実で、たっぷりと酒がのめる。のんべえたちにとっては、酒を飲む良い口実が出来たようである。

「はらしょー!」

 ゾーンでは、まさによくあることであった。

(解説:直接の元ネタはS.T.A.L.K.E.Rの放射線の汚染量を減らす際のアイテムが本当にウォッカだったから。
大元のネタはチェルノブイリ後にウォッカを飲めば放射線の害を免れる、といううわさがあった、と言うこと。
実際には微々たるものだが、いちおう効果があったらしい。一応ある辺りが恐ろしいが)


その4:Duke Nukem Forever!


 安心しきった表情で寝転がるテルヨフは、かっと目を開く。ゆっくりえーりんは、びくりと一瞬体を震わせる。
銀髪なのはともかく、外見がナスのような有様であるため、本当にお前はゆっくりか、などと失敬なことを言う奴もしばしば居る彼女は、テルヨフと目があった。
テルヨフは一瞬の後、長い黒髪に、不遜な笑顔のゆっくりてるよに変化した。どうやったかは、不明である。

「えーりん、えーりん!」

「はい?」

「Duke Nukem Foreverは発売した?」
 その言葉に、えーりんはどきりとする。Duke Nukem Forever略してDNFは、いまだに発売されていない。
そう、このてるよが眠りについて、PVが出るたびに起きる、ということが続いても、だ。かれこれ10年にもなる。
別のてるよはマヴラ○ オル○ネイティヴを待っていたが、今ではばっちり起きている。発売したからだ。

 ふるふる、と残念そうにえーりんは首と言うか、体をふる。残念ながら、いまだにスクリーンショットが出ただけである。
 同時に、てるよはぶるぶると怒りの形相で震え始めた。

「Quake は、何作出てるの?」

 血を吐くような叫び、当時はQuake派とDuke派の争いがあったとか無かったとかだが、えーりんは、それに対して4まで出ている、と答えた。

「ゆ……ゆっくりした結果がこれだよ!!」

 ぱたり、と倒れこんで、再びてるよはテルヨフに変化して眠りを始めた。要は不貞寝である。

「……いつまで経ってもやるきが出ないから、Foreverがこんなに好きなのね」

 このあまりの態度に、さしものえーりんも、働いてくださいといいたくもなるものである。もう、あきらめていたが。

(解説:いつまで経っても出ないゲームの代表例。冗談抜きで、ほんっとうに10年間以上出ていない。
DNFは『なるほど、Foreverをつけてるからいつまで経っても出ないんだな』などのジョークの種だったが、最近製作が発表されたとの事。
10年間、本当に何やってやがったんだ3D Realms)



いかがだっただろうか?これらはほんの一例に過ぎない。まだまだ、さまざまなFPS症候群がこの世には存在し続ける。FPSある限り……。



あとがき


誰得のFPSネタです。いや、初代DOOMからFPSをやってたので、アンサイクロペディアの項目をみて、つい。
元ネタ1:http://www22.atwiki.jp/fps-syndrome/
元ネタ2:http://ja.uncyclopedia.info/wiki/FPS%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

追記

DNFはついに開発元がドロンしました。ほんとにForeverになってしまったあたり、さすがです。
あと、Source物理学ですが、物理エンジンの仕様上、作用はするが反作用はない、という仕様なので、空中歩行が可能となっています。よって、一々持ち直す必要は無いので、この作中での描写は誤り。

ゆっくりと動物の人

  • Duke Nukem Foreverは開発再開されてるよー -- 名無しさん (2011-01-02 23:27:53)
  • 北米で6/14、欧州で6/10に発売するそうな -- ↑の続報 (2011-03-26 15:33:18)
  • もうすぐ、このテルヨフも目を覚ますだろうなあ -- 名無しさん (2011-06-02 00:35:43)
  • おいテルヨフDNF発売されたぞ起きろ -- 名無しさん (2011-06-13 22:26:29)
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最終更新:2011年06月13日 22:26