第三話『きもんげJrVSうざってゐ!死闘の勝負の行方は!?』




「ふん、ばかだねと言っているんだよ。わかる?」

「なんや、薮から棒に!言いたい事があるんならはっきりせえや!」

煮え切らない態度のうざってゐに怒りを表すきもんげJr。きめぇ丸も体をヒュンヒュン動かして二人を威嚇する。

「そんな事もわからないの?そいつを早く切っちまいなよ、使えない社員なんて置いておくだけ無駄だろ?無駄!」

「うー?・・・うー!!!」

最初は言葉の意味を理解できず疑問の表情を浮かべたれみりゃだが、すぐに理解したのか体を硬直させて驚愕する。
次第に涙を浮かべるれみりゃ。そのれみりゃの様子をみて、きもんげJrは怒りを剥き出しにする。

「な・・・なんて事を言うんや!!!れみりゃにだって生活があるやで、それを考えひんかいな!!!」


「企業が利益を追求するのは当然でしょ?利益を最大限求めるから企業。社員の一人も切れない様でどうするの?」

「ゲラゲラゲラ!!!」

「・・・ぐっ!」

「何?それでもまだれみりゃをかばうつもり?ばかなの?死ぬの?」

うざってゐの容赦無い問掛けに言葉が詰まるきもんげJr

「ぐ、確かにおとんは非情ゆえにトップに登りつめたさかい、やけど・・・!それ以上に、大切ものがあるねんねや!!!お前らなんかにわからない、大切な物がな!!!」

「おお、あついあつい」

「・・・ふーん。で? だから何なの?」

「勝負を申し込むで! 時間は明後日の早朝、場所は町全体でショーバイ勝負や!!!」

うざってゐに指をさして宣戦布告をするきもんげJr。きめぇ丸もきもんげJrに便乗して素早く跳ね回る
一方うざってゐは不敵に微笑みを浮かべ、挑発する様に言葉を返す。

「面白い、受けてたとうじゃないの。明後日の早朝にここで集合しましょ。まあ、社員の一人も切れないアマちゃん社長さんではまずてゐ達に勝てないだろうけどね!あっはははははは!」

「ゲラゲラゲラゲラ!!!」

うざってゐ達が捨て台詞を吐いて竹やぶの茂みへと消えていった。残されたきもんげJr・きめぇ丸・れみりゃはただ茂みを見据えるのみ。
れみりゃは、加えてぐったりとうなだれていた

「・・・きめぇの!れみりゃをはよ会社の休憩室に持ってってくれひんか!ワイはワイで考える事がある!」

「おお、しょうちしょうち」

きめぇ丸がれみりゃを器用に頭の上に乗せ、会社に運んでいく。
思い付きで勝負を提案し、策の無いきもんげJrは悩んでいた。

「・・・大変な事になったさかい。ついカッとなってしまったから、勝負を提案したんだが・・・。何かいいアイディアは出えひんもんかな、あ。そや!あれや!
あれなら、うざってゐ達を引き伸ばせるで・・・!」





「・・・来たで」

「ふうん。逃げずに来るなんて、いい度胸してるじゃない。ま、相手を見て逃げる方が大切だと思うけどね」

「ゲラ、ゲラゲラ!!ゲラゲラゲラゲラ、ゲ、うっ、へぇっ!!!」

「お前らが減らず口を叩けるのも今のうちやで!ワイらは秘策を思い付いたんや、容赦しーへんで!!!」

「ふうん、まあ終われば全てわかる事。歯向かった事を後悔させてあげるよ!」

「えふん、えへ、いぃ・・・。がへっ、ぴぎっ」







「全く、あいつらは何なのかしら?まあ、商売勝負とか面倒だし早口言葉みたいだからちゃっちゃと終わらせますか!はいはい安いよーうさぎ印の栄養剤ですよー薬もあるよー」

愚痴を吐きつついつもの行動範囲の竹やぶを離れ人里近くの森林を中心に商売をするうざってゐ。森林を中心に商売をする理由はきもんげJrの会社が森林にあり、真っ向から妨害するためだ。
売れ行きはあまり良くないものの、順調に売れていき確かな手応えを感じる位には収入が入った。
このままで行けば勝ちは当然だろうと思い、森林をぶらつきつつ休憩するうざってゐ。

「ふう、好調好調。なんであいつらは勝負を挑んだんだろ、ばかなの?」

「ゲラゲラゲラ!!!」

「あんた、しゃっくり治ったんだ。良かったね。ともかく、このままじゃあ楽に勝ちすぎてつまんないなぁー!・・・?」

ふと、森林の中に見たことの無い建物を発見するうざってゐとうどんげ。屋根は何やら赤色で、森林には似つかない色合いをかもしだしている。

「・・・んー?誰だ、こんな所にこんなへんぴな店を構える奴は」

興味を持ったうざってゐとうどんげはその店に近付く。すると・・・!

「な、なんじゃこりゃあ!!!」

なんと、その店には人という人の列、列、列!行列がずらりと出来ている!!!
並んでいるのは主に人間だが、ゆっくりやらはたまた薬を提供させて貰っている月の薬師まで並んでいる。
仰天したうざってゐとうどんげは状況を整理する

「い、一体、どういう事だ!?この辺りで、私達以外にこんな商売が出来るやつなんて・・・、まさか!!?」

取り付く島もなく慌ててうざってゐとうどんげは並ぶ行列の人だかりをかきわけて店の中へ入る。

「うー、ぷっでぃんはいかがかぞぉ?甘々なんだぞぉ♪」

「お待たせしましたぞぉ!ご注文頂いたデラックスパフェプリンアラモードなんだぞぉ♪」

「うー、れみぃ、疲れたぞぉ。早くおうちに帰りたいぞぅ・・・」

すると、待ち構えていたのは大量の体付きのれみりゃだった。中には体付きではないれみりゃもいるが、とにかく店内にはれみりゃがいっぱいなのだ!

「な、なんだ、これは・・・」

「?うー?お客様、2名ご案内なんだぞぅ!」

「「うっうー♪」」

一人の体付きれみりゃがうざってゐとうどんげの存在に気付き、席を案内しる。誘導されるがままに席に座ったうざってゐとうどんげはメニューを渡され、たじたじとしてしまう。

「うーん、ここが本当にあいつらの店なのか。凄く賑わってるけど、あいつにそんな技能は・・・」

「そやで。ここは、ワイの店や!」

「う、うわっ!?」

後ろからきもんげJrkぬっと声を声をかけられ慌てふためくうざってゐ。すぐに落ち着くときもんげJrに振り返り、多大な疑問をきもんげJrにぶつける。

「な、どうして!?なんでこの店は、こんなに」

「繁盛してるのかやろ。これがワイのビジネスやで、いやあえろうホンマに賑わってな。お客様様々ですわ」

「だから、どうしてっ!?」

「まあまあ。そんながっつかんでも、今から説明しますわ」

きもんげJrが目を瞑り、回想する様に語り始めた。








「・・・うー」

「れみりゃ、大丈夫だよ。しゃちょーならきっとなんとかしてくれるよ・・・」

「そうだよー!しゃちょーさんなら、きっとちぇん達が思い付かない様な、凄いアイディアを出してくれるよわかるよー」

「ちぇええええええん!ちぇんちぇん、ちぇええええええええええん!!!」

「そーなのかー」

「・・・おお、らっかんてきらっかんてき」

「きめぇさんは、何か案あるの?」

「おお、うかばないうかばない」

「うーん、それは困ったわね・・・。それはともかくやくもゆかり17歳です!」

「ゆゆこはお腹いっぱい食べられれば何でもいいわー」

「・・・はあっ、待たせた!悪かったな、皆!」

「しゃちょー!」「しゃちょーなのかー!」
「しゃちょーなんだね、わかるよー!」「ちぇええええええええん!!!」「やくもゆかり17歳です!」
「うー!?・・・うー」

「若干関係無い叫びが多かった気もするが、まあええか。皆、きめぇのから話があった通り、ワイの独断で会社が窮地に立たされてしもうた、すまない・・・」

「しゃ、しゃちょー・・・」

「だけど、もう大丈夫や!ワイがアイディアを思い付いたからな!とりあえず、どこまで話が進んだか聞かせて貰おうか、きめぇの?」

「おお」

「そうやった、お前喋れひんやった。れいむ、通訳頼む!」

「ゆっくりわかったよ!ええと、『わが社にはセールス品候補が"スィー"くらいしか無く、厳しい戦いを強いられるのではないか』だって!」

「社長にため口なんて、大物やなお前。ともかく、そんだけしか話が進んで無いんなら話が早い!ずばり秘策を言うで、『うー喫茶』や!!!」

「「うー喫茶?」」「まじかー!」

「若干違う声が入ったが、まあ、ええ。ワイらで店を構えて、れみりゃに受付なり運びなり全部やって貰うんや!」

「・・・えーと、だったら飲食店でも」

「だからこそのうー喫茶やないか!ええか、れみりゃを見てみろ!」

「「じーっ」」「わはー」
「・・・みたけど、何が?」

「どや!可愛いやろ!」

「「・・・確かに」」「食べちゃいたい!」

「食べちゃ駄目やで、るーみあ。ともかく、食べちゃいたい位に可愛いれみりゃ、他にもれみりゃを雇って喫茶店開いたら、行きたくならないか!?」

「「・・・おおー!パチパチパチ・・・」」「わっは!行きてえ!」

「行きてえやろ!乱暴な言葉をありがとうるーみあ、そういう事や!このビジネスに全てをかけるで、売掛金資本金全て建物につぎ込むで!今日から1日、忙しくなる!皆、頑張っていこうな!」

「「おおー!」」「なるほど、食べるとは2つの意味があるのか・・・。ジュルリ」








「と、いうわけや!」

「犯罪者一人会社にいるけどいいの?」

「気のせいやろ。今回のビジネスが背水の陣であることは否めなかったんだが、成功して何より。ワイらの勝ちやな、うざってゐ!」

「・・・ぐっ!」

テーブルに拳を付きくやしがるうざってゐ。うどんげは、その様子のうざってゐを笑ったりせず心配した様子でうざってゐの側に寄る。

「何よ、寄らないでよっ!」

「ぎゃっ!」

うざってゐに突き飛ばされて目を瞑り尻餅をつくうどんげ。しかし、愛想を尽かせた様子はなく再びうざってゐの側へ寄り添う。

「何よ、何であんたは私の側に居てくれるのよ・・・、ううう」

うざってゐはうどんげに持たれかかりながら店を出ていった。一部始終を見ていたれいむときめぇ丸が駆け寄り、きもんげJrに話し掛ける

「おお、しょうりしょうり」

「勝ったね、しゃちょー!」

「・・・ああ。しかし、あんま嬉しくは無いな」

「なんで?脅威になってたうさぎ印会社に勝ったんだよ、好き勝手できるんだよ?」

「・・・恐らく、うざってゐが営業を、この世界に足を踏み入れている理由は営利目的やない。関わりが、欲しいからなんちゃうんか」

「・・・どういう事?」

顔を渋らせて体をかしげるれいむ。そのれいむに、きもんげJrは言葉を選びながら語る。

「ええと、そうやなあ。うざってゐ、あいつは多分、友達欲しさに薬を売ってんでひんかな。利益だとか、そういうのを追求しないで。話し相手や、関わって欲しくてわざとワイらに対してつっかかって来たんでねーやろか」

「なんで?素直に、友達になろうって言えばいいのに」

「どうしても素直になれない奴もいるんや。あいつは、可哀想な事にそういうタイプのやつだったかもしれんな。ホンマはれみりゃを慰めようと出てきたのに、本音と建前が逆になっちゃったのかも知れんな・・・」

悲しそうにうざってゐの出ていった入り口を見つめるきもんげJr。ひとしきり深呼吸をして、きもんげJrは二人にこう告げた。

「まあ、今は商売や!こんだけぎょーさん賑わってるんやからな、気合いいれなきゃあかんで!ほな、裏方手伝いにいくで!」

「おお、しょうちしょうち」

「ゆっくりわかったよ!」

元気に頷いた二人はきもんげJrの後に続いてバックヤードへ入る。
ふと、きもんげJrはれみりゃの姿が視界に入る。れみりゃは新しく入った体付きれみりゃとどじを踏みながらもしっかりやっているようだ。
何より、笑顔を浮かべていた。



後日談
「・・・何?やめたい!?・・・そうか、お疲れさん。昨日はありがとな!」

「しゃちょー、また断りの電話?」

「おお、れいむ。そうや、これで7人目・・・。うー喫茶は運営不可能やなあ。まあ、一度きっかりでも大分儲かったし、次のビジネスに挑戦するで!
皆!」

「「おー!!」」

また一つ目標を達成し、社員に檄を入れて盛り上げるきもんげJr。
きもんげJrの?ビジネスはまだまだこれからである!!!

「・・・ふうん、四天王のてゐが負けたか。まあ、あいつは四天王の中でも一番弱いからね」

「今は勝手に調子に乗っているがいいさ、きもんげJr」

 ・・・一方、再び忍び寄る影にきもんげJrは気付く由もなかった・・・。


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最終更新:2009年03月28日 17:47