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そちらにいくよ!

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そちらにいくよ!




「…暇、だな」

小さな小屋の個室に、一つ、声が生まれる。
ただ、周りは殺風景。
この未来と呼ばれる時間帯では珍しい風景である。
そんな中、ぽつん、とそこにある小さな小屋。
ケヤキの木で出来た、その家には人が居た。
生まれた時からそこに居て。
気がついたら、彼女は居たのだ。
性別はおそらく女、年齢は推測で20くらい。名前は知らない。
誰も近寄らない。そんな小屋に、彼女は一人、静かにすごしていた。
そんなある日の朝の事。それは唐突に訪れた。


「ふわぁ」

敷いた布団から起き上がり、大きく口を開け、欠伸をする。
「朝なんか、無かったらよかったのになぁ」

そう呟くと、いつもの様に、外に出る。
清々しい朝なんかじゃない。朝が嫌いな自分にとっては強敵だ。

「…中に戻ろう」

そうまた言って中に戻ろうとしか瞬間。

「ん?」

足元に何かが落ちていた。
拾って見ると、自分宛て…といってもおそらくここらしい住所が書かれている手紙。

「手紙なんて久々だなぁ…」

そう言って持った手紙の封を破りながら、部屋の中に手紙を持っていく。

「さぁ、中身、中身~」

そう期待しながら開けると出てきたのは一枚の紙。

「…どれどれ…」

‐この度、閉鎖都市の人員が一人減りましたので、貴方をこちらに招待致します‐

「閉鎖都市っていうと、あれか」

閉鎖都市。
閉鎖しきった空間故様々なものが飛びかってると聞く。
だが、招待と言われたら別だ。
おそらく長旅になるだろう。
ならば、準備しなくては。と、彼女は立ち上がり、辺りを物色する。

「え、えっと、フライパン、フォーク、布団、それにトーテムポールも…」

………………と、詰め込んだ結果。

「…うわぁ」

自らの持つリヤカーには入りきれず、少し動かすだけで崩れかけていたほど。
…少しは妥協しよう、と彼女の作業はまた始まったのだった。

◇◆◇◆◇◆

「よーし、完成」

そしてしばらくしたあと。
そこには奇跡的にリヤカーに入った荷物の姿が!
と、いっても…先程の半分であるのだが、これが傾いている。
おっそろしいもんである。本当に。

「んじゃ、レッツゴー!あ、そうだ、大きい都市に行くんだから名前が無いと…」

そう顎に手を当て、少し考えた後、閃いた様に、

「…今空都(いまからいく)。うん、言いネーミングセンス」

と言った後、彼女はリヤカーを動かし、走りだしたのであった。
…目指すは閉鎖都市!

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