116 - 衆 - 予算委員会 - 8号 平成01年10月31日


小里委員 
 私は、この際率直に北朝鮮に係る一連のテロ活動あるいはスパイ事件に関しましてお尋ね申し上げてみたいと思います。これは、もとよりその政府の外交のかなめに当たる外務省、あるいはまた治安維持のその責任にある関係当局に判断なりあるいは方針をお伺いするわけでございますが、この種の問題は余り抽象的に議論いたしましてもわかりにくいですから、私はこの機会に具体的な過去の実例を取り上げましてお伺いしてみたいと思うのであります。
 すなわち、各位御承知のとおりでございますが、
私の郷里鹿児島県におきまして、昭和五十三年の夏でございます、若い、将来のある二人の方の失踪事件がありました。
ただいま私は失踪事件と申し上げましたけれども、これは後ほど関係機関当局から説明があるかと思うのでございますが、ただ単純なる失踪事件ではありません。健全なる青少年の皆さんでありました、あるいは若い女性も含まれております。そして何にも家出をする必要もないし、いわんや自殺などなさるような客観情勢も全くない。この事件、皆様方御承知のとおりであります。のみならず、その昭和五十三年の前後には、わずか四十日間の間に、この狭い日本列島におきまして、特に日本海側の海岸沿線からこのような同種の事件がほかに三件もありました。例えば福井の事件であります。あるいは富山の事件であります。あるいは新潟の事件であります。もう本当に考え出すだけでゆゆしさ思いでいっぱいであります。
 殊にこれらの問題は、その後いわゆる日本海側で純粋のアベックの皆さんが行方不明になりました。大変大きな話題になったけれども、考えていただきたい。当時の報道では、行方不明者、この方々は外国に連れ去られたのではないかという報道が確定的になされておりますが、一体この事件の経過を、ほかにもたくさんありますよ、ありますが、ただいま私がちょっと抽出して申し上げました四件だけで結構でありますが、その後の捜査の経過を御説明いただきたいと思います。
城内政府委員 お答えいたします。
昭和五十三年の七月から八月にかけまして、福井県、新潟県それから鹿児島県におきまして連続三件のアベック行方不明事件が発生いたしました。
これらはいずれも、ただいま委員から御指摘がありましたように家出、自殺等の動機が全くなく、また海岸で突如消息不明になっております。その後国内では全く手がかりがつかめておりません。また、同じ時期に富山県の海岸でアベックが四人の男たちに拉致されそうになった事件が発生しております。この事件では、被害者は海岸で突如襲われ、松林に引きずり込まれ、猿ぐつわ、手錠等を用いて縛り上げられた上、寝袋様の布袋に押し込まれており、強盗等の目的とは考えられません。現場の遺留品についても捜査しましたが、いずれも大変な粗悪品でございまして、タオル一本が大阪府下で製造されたものと判明したほかは、製造場所あるいは流通経路などが不明でございます。
 これら一連の事件は、その状況、手口等から拉致または拉致未遂というふうに考えられまして、発生場所が海岸部であることを考えますと、海外に拉致された疑いもございます。警察としては、事態の重大性にかんがみまして公開手配、もちろんこれは国内でございますが、やりましたけれども、いずれも手がかりが少なく、いまだに解明に至っておりません。
小里委員 
 ただいま外務大臣も言明なさったとおりであります。国益が侵害されたり、あるいはこのような平和な、しかも極めて高度な我が国の国民生活があるいは国民が恐怖に冒される、さらされる、そういうような状況は決してよくありません。どうかひとつこの辺も十分御留意の上対処していただくように強く要望申し上げておきます。
その次に、盗籍、戸籍盗用、いわゆる私どもの戸籍、日常の戸籍を盗用する、盗み用いる、戸籍を盗用したりあるいは住民票を悪用していろいろと日本人に成り済ましたり
あるいは北朝鮮に連行してそして日本人教育をするための、一つの教育をするための手段に使っておるというようなうわさもあるわけであります。
 具体的に申し上げますと、例えば
大韓航空機爆破事件におきましても、犯人の北朝鮮工作員は日本人名義の偽造旅券を使っておりました。これは明らかになっております。
一歩間違えばこの大韓航空機を爆破したのは日本人ではないか、そういう誤解を与えていたかもしれないのであります。北朝鮮スパイのこのようなやり方は、日本の国内問題のみならず国際問題をも引き起こしかねない悪質きわまるものでありまして、北朝鮮スパイが日本人を拉致したり、あるいは今申し上げましたように戸籍を盗用したりする目的につきまして、捜査当局はどのように把握をいたしておりますか。これは簡単に御答弁を願います。
城内政府委員 お答えいたします。
 これまでに北朝鮮によるスパイ事件を多数検挙しておりますが、そういう事件の中で、ただいま委員から御指摘がありましたように、
日本人の戸籍を盗用して日本人に成り済まして旅券などを取得して海外旅行をしてスパイ活動をする、そういった事件が幾つもございます。
小里委員 では、時間の関係もございますから、次に質問を展開いたします。
 一つ、国際テロ事件でございますが、大韓航空機爆破事件、先ほども若干触れましたけれども、これはそれぞれの関係捜査機関の調査によりまして、犯人の所属は北朝鮮の機関であり、朝鮮労働党の調査部であるという報道がありますが、この結果、いかがでございますか。
 もう一つ、ビルマ・ラングーン事件でございます。犯人の所属をいたしました北朝鮮の機関は偵,察局という報道がございますが、関係国の調査結果をお尋ね申し上げます。
谷野政府委員 お答え申し上げます。
 まず、大韓航空機爆破事件の件でございますけれども、これは委員まさに御指摘のとおり、北朝鮮の工作員が日本人に偽装して事を起こしたわけでございまして、お話しのように日本と韓国の関係に深刻な影響があり得た事件でございました。私どもは、ソウルにおります大使館員が、この事を起こしました女性、金賢姫に直接面会いたしまして、いろいろな総合的な角度から検討いたしました結果、これが
北朝鮮の組織的なテロ行為によるものというふうに日本政府としても判断した次第でございます。
 それから、第二点のラングーンにおける事件でございますけれども、一九八三年に発生したわけでございました。
当時韓国の大統領がラングーンを公式訪問中でございまして、閣僚四名を含む多数の方が爆死したという事件
でございましたけれども、その後ビルマ政府が御案内のように独自の調査を進めまして、逮捕した者の自白あるいは物的証拠、それらを総合的に判断いたしまして、
ビルマ政府の判断といたしまして、これが北朝鮮の破壊工作員による犯行であるというふうに判断したわけでございます。
小里委員 
 ただいまお聞きのとおり、私が二つだけ国際テロ事件として実例を取り上げましてお伺いいたしました。私が指摘いたしましたとおり、また良識ある国民の大多数の皆さんが憂えておりましたとおりの言明であります。言いかえますれば、国際社会の一員としてやはりしてはならないことを北朝鮮という国家機関の立場におきましてこれが行われておるということであります。国際社会における、あるいは国際間におきまして、国家間の信頼関係におきまして、あるいは友好関係におきまして、これらの重大にして深刻なトラブルは私は大きな障害になっておる。先ほど総理大臣は、我々はたとえ相手が未承認国であっても鋭意その関係改善を目標にして誠意を込めて努めなければならないという基本をお述べになりましたけれども、いろいろ思い知らされるわけであります。
 私は、このような大韓航空機の事件あるいはビルマのラングーン事件あるいは日本海や日本国の海岸沿線で先ほどお伺いいたしました拉致、強制連行事件など考えてみますと、これらはいずれも北朝鮮の朝鮮統一政策に基づくいわゆる朝鮮革命のために敢行されたものと思いますがいかがですかという国民の疑惑、これが何となく本当に重みを持ってくる感じがしてならないのであります。このような認識に対しまして政府はどのようにお考えでございますか、最後にもう一言お伺いしたいと思います。
谷野政府委員 お答え申し上げます。
 政府といたしましても、委員御案内のように、そのような過般のテロ行為に対しましては毅然とした措置を政府としても北朝鮮にとった次第でございます。
 他方、朝鮮半島全体との関係におきまして、北朝鮮との関係を、これはこれで日本として改善を図るということはやはりこの地域全体の緊張緩和につながる、こういう期待もありまして、そちらの方はそちらの方で、政府の姿勢として北朝鮮との関係の改善にこれは努力しておるということでございます。
小里委員 
 次に、話題を変えまして、私は朝鮮総連についてこの機会にお伺いしてみたいと思います。朝鮮総連と一口で言いましても、なかなかわかりにくい方々がおいでになるかとも思います。御承知のとおり、在日本朝鮮人総連合会のいわゆる総称でございます朝鮮総連、その背景には、先ほど、いろいろ煩わしいことではございましたがお伺いいたしました北朝鮮がございます。朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北鮮でございます。言いかえますと、その北鮮と私が今からお伺いする朝鮮総連、これはいわば車の両輪のようなものでございましょう。言葉をかえて言えば一衣帯水です。ですから、その辺からまず国民の皆様方にもおわかりいただかなければならぬと思いますから、この後いろいろ質疑、お答え展開いたしますために、この辺が基本になるかと思いますからお伺いいたします。
 朝鮮総連、私は次のように理解をいたしておりますが、誤りがありましたら御指摘いただきたいし、また補足を願いたいと思います。
 まず、今私がお伺いした朝鮮総連は、第一に北朝鮮を支持する在日朝鮮人で構成された外国人団体であるということが一つ。これはもうもとよりそのとおりであります。次に、その朝鮮総連は北朝鮮と極めて密接な関係を有し、特に一つの例を申し上げますが、その朝鮮総連の議長さんが、すなわち責任者でありますが、著しました本の中にも、在日朝鮮人運動は共和国政府の指導のもとに置かれなければならないということがきちんと記述されております。あるいはまた、朝鮮総連の構成員は先ほどの本委員会におきましても六万人ぐらいだろうか、そういうお話でございましたが、これはなるほど初歩的な話でございますが、そういうことでございましょう。
 もう一つ私は大事なことを気づくわけでございます、四番目に。すなわち、その朝鮮総連は日本の国内におきまして、まず朝鮮統一のための活動をやりますよ、これは結構でしょう。それはやはりそれぞれの考えがあり、あるいは国家観があり国際観がありますから結構でしょう。それからもう一つは、在日朝鮮人の権益を擁護する活動をいたしますよ、これも当然のことだろうと思います。健全なる形において行われる限りにおいてこれは結構であります。驚くことに、もう一つの目標に反米活動というのが出ております。米国に反する、反米活動。これは極めて私は注目をするべき朝鮮総連活動、運動目標の大きな一つだ、こういうふうに注目をする次第でありますが、以上の四つについて私の基本認識が間違っているのかどうか、あるいは足らざるところがあれば率直に補っていただきたいと思います。
城内政府委員 お答えいたします。
 ただいまの認識のとおりでございます。なお、一点だけ補足させていただきますと、
構成員は基本的な構成員が六万人弱ということでございまして、いろいろな傘下団体などの支持者を入れますと二十万を超えることになるのではないかというふうに思います。
 それから、在日朝鮮人活動の中で反米活動というのがございますが、基本的にはやはり基本目標としては南北統一ということでございまして、その
南北統一のために反米活動を展開する
こういう格好になっていると理解しております。
小里委員 次にお伺いいたします。
 その北朝鮮は、従来から我が国に、日本に対しまして秘密工作員等を密入国をさせておる。朝鮮総連関係者がこれに関与しているという幾つかの事例があると聞くのでございますが、最も顕著な例を例示していただきまして御説明をいただきたいと思います。
城内政府委員 お答えいたします。
四十三年に男鹿事件というのがございます。男鹿半島の男鹿でございますが
このときの韓国人の密出国の、日本を出ようとした事件でございますが、これにつきまして在日本朝鮮青年同盟の静岡県本部組織部長が関与しております。
それからまた四十四年に梁甫承事件というのがございましたけれども、これにつきましてもやはり朝鮮総連福岡県県本の政治部長が関与しております。
それからまた、四十四年に岩崎・能代事件というのがございましたけれども、これはやはり密出入国の事件でございますが、やはり
朝鮮総連中央指導員が関与しております。
それからまた五十二年、豊島事件、これは警視庁で検挙した事件でございますが、やはりこの事件につきましても
朝鮮総連中央政治局副局長が、当時の肩書でございますが、関与しております。
その他ございます。
小里委員 
 次に、私が先ほど申し上げましたように在日本朝鮮人総連合会員、いわゆる朝鮮総連の会員であるわけでございますが、あわせまして、春夏秋冬三百六十五日間、その暮らしの中で、生活の中で大半を、言葉を言いかえますと生活の基盤を日本に置いておいでになるといういわゆる朝鮮総連の会員であります。そういう生活基盤を日本に置いておいでになると思われる朝鮮総連の方々の中に、私が先ほど触れました北朝鮮の国会議員を務めておいでになる方があるやに聞くのでございますが、この真否を明確にしていただきたいと思うのです。断っておきますが、私は北朝鮮の国会議員であられるからどうこうというその基本を問うておるのではないのでございます。その真否をまずここに明らかに願いたいと思います。
古賀政府委員 お答えいたします。

仰せのとおり、朝鮮総連の最高幹部の二人を含む朝鮮総連傘下の構成員五名が北朝鮮の代議員という地位にありますし、日本に居住しておられます。

小里委員 
 お聞きのとおりでございます。朝鮮総連傘下の幹部または会員の方々が、北朝鮮のいわゆる人民最高会議というのでございますか、国会に議員として参加しておいでになる、いわゆる代議員という言葉で呼称されておりますが、この事実でございます。
 そこでお伺いいたしますが、この方々は、仮に北朝鮮の国会が開かれるとき、または国政に関する高度な前要な会議があるときには、日本からお立ちになりまして参加される、参席される、そして所要の国政会議を済ましてまた日本に帰ってきておいでになるのであろうと思うのでございますが、その辺の事情、あるいはそのときに、我が日本からいいますと国外に出ていく、また再入国をされる、そのときには所定の法規に従った手続が必要であります。その辺の事情につきましてもお聞かせを願います。
股野政府委員 お答え申し上げます。
北朝鮮は未承認国でございますので、その国の国会議員からその国会の出席を理由とする再入国申請というものがありましたものに対しては、これは許可しないということで臨んでおります。
それでは、その再入国許可を別の目的で得た人たちが先方において国会に出席しているのではないかと言われることについては、そのことの真偽を確認するに足るだけの十分な証拠を当局としては把握いたしておりません。
小里委員 
 お聞きのとおり、ただいまの説明は極めて不明瞭でございます。先ほどお聞きのとおり、北朝畔に所属する、北朝鮮の国政に参加する重要な人物の方が、いわゆる国会議員が日本に在住しておいでになることは最小限五名認めた。認めたけれども、その人々が北朝鮮の重要な国政に参加なさるかどうかについては確認できないという。私は、これはまあはばかりがあるかもしれませんけれども、特定の国の重要な国政に参加する、その属する議員が本当にその国政に参加して職務を遂行しておいでになるのか、全くそうでないのか、ただいまの答弁によりますとその職務を遂行しておいでにならないのかなと、そういうように解釈をせざるを得ないのでございますけれども、まあしかし、この問題は極めて特殊な、デリケートな問題もはらんでおるようでございますから、これ以上言及することは避けますが、今後ひとつ、ただいま指摘をいたしましたこの問題についても十分御検討を願いたいと思うのであります。
 それからもう一つ、時間もありませんから簡単にお伺いいたしますが、
昭和四十八年の二月二十八日、衆議院の法務委員会におきまして、公安調査庁の責任ある政府委員が、いわゆる北朝鮮の労働党、これはもう御案内のとおり重要な存在にある労働党であります
その労働党と朝鮮総連の間には非常に密接な関係があります
このことを述べておりますが、この認識は現在でも変わりはございませんか。
古賀政府委員 
 現在でも全く当庁の認識は変わっておりません。
小里委員 
 では、過ぐる十七日のこの委員会におきまして浜田委員が御質疑になり、そしてお答えがあった問題でございますが、いわゆるこの朝鮮総連という団体は、我が国の公安維持の上におきまして無視できない団体であります、非常に、よかれあしかれ影響のある団体ですよと、むしろ危険視しなければならない、危険であるという意識を持ってチェックをしなければならない団体であるごとく言われたと私は記憶するのでございますが、いかがでございますか。
古賀政府委員 
朝鮮総連は、先ほどから委員仰せのとおり、北朝鮮と極めて密接な関係があるということ

それから結成の経緯、つまり過去において暴力主義的破壊活動を惹起いたしました民戦を前身としておる

というようなもろもろの事情にかんがみまして
治安情勢のいかんによっては今後再び暴力主義的破壊活動に出る危険性なしとしない
という意味で、治安上重要な注目を要する団体であるというふうに考えております。
小里委員 
 ただいま明瞭にお答えのとおりでございますが、私は老婆心ながらちょっとお伺いし上げておきたいのでありますが、もう時間もありませんから、ちょっとここで申し上げておきます。
 先ほど申し上げましたように、去る十七日の当予算委員会におきまして、ただいま答弁があったような説明をいただいたわけでございますけれども、その後政府部内におきましてこの問題に対する統一見解が多少起伏があった一つの報道がありました。法務大臣を初めいろいろお話を、報道を通じてお聞かせいただいたのでございますが、しかしながら、ただいまこの公式の席におきまして最終的に言明ありましたので、そのように承っておきたいということでございます。
 次にお伺いいたします。
 その朝鮮総連と、私ども国政に参加する者、まあ国政に参加する者だけでもございませんが、この際象徴的に申し上げまして、言うなれば国政に参加する特定の公党、いわゆる公の党あるいは国会議員等の一つのあり方について、この際伺ってみたいと思うのです。
 例えば朝鮮総連等は、先ほど具体的な事例を挙げまして国内外にわたる不祥事件を指摘をし、また公式に機関が認めました。言いかえますと、
朝鮮総連は危険団体でございますよと国の機関が公式に認めておる
わけでございますが、この機会に再確認いたしたいことは、その北朝鮮と、海部総理も言われるごとく、関係改善に努めることは当然であり、また私どもの務めでもあると思いますけれども、国権の最高機関に関する国会議員あるいは国会等は、そのような国との対外交渉におきましては、一定の国益を中心にいたしました節度あるいは襟度が保たれなければならないと私は思うのです。私はそう思う。もちろん、朝鮮総連は北朝鮮の利益代表的な一つの窓口として一つの仕事もなさっていらっしゃることは否定はいたしませんけれども、私が先ほど指摘いたしましたようなゆゆしき国内外にわたる不祥事件を起こしておる北朝鮮との関係におきまして、その点は十分注意し、節度を持つべきであると思う次第です。
 そこで、時間の関係もありますから次に話を進めてまいりますが、
日本社会党はこの朝鮮総連との関係におきまして一体どのような位置にあられるのか
これはもう私が改めて申し上げるまでもなく、極めて公明正大であります。しかし、きょうは国民の皆さんも聞いておいでになりますから、ちょっと私が実例を申し上げてみたいと思うのです。
 例えば、ただいま申し上げておりまする朝鮮総連、いわゆる在日本朝鮮人総連合会の大会が三年に一回開かれると承ります。そこで、日本社会党飛鳥田委員長時代の話でございますが、この後土井委員長のお話しになったこともちょっと触れますけれども、
例えば昭和五十八年の大会におきまして飛鳥田委員長は次のように言っておられます。これは要点のみを申し上げます。これは朝鮮時報という朝鮮総連が出しておいでになる公式の機関紙に載っておる記事の一部でございます。
「日本社会党を代表して、本大会を心から慶祝し、連帯のごあいさつを申し上げます。」という切り出しでございます。そして、「わが党は、在日朝鮮人の生活と諸権利確立のために奮闘しておられる朝鮮総連の友人の皆さんと固く手をたずさえ、いっそう強い決意でたたかい抜きたいと思っています。」「偉大な指導者である金日成主席の導きのもとで、自主的平和統一と社会主義建設のために奮闘される朝鮮人民の皆さんとともに、わが党は永遠の友誼と信頼にもとづき、固く固く連帯してたたかい抜くことを重ねてお誓いし、ごあいさつ」申し上げます、とうたっておいでになります。これはお互いの考え方であり、あるいはまた一つの見方でありましょうから、私はとやかくこのことについてはこの機会には触れません。
 次に、朝鮮総連の十四回大会におきまして、今の日本社会党の責任者であられる土井たか子さんが演説をなさっておいでになります。その一部でございます。
「在日本朝鮮人総連合会第十四回全体大会の開催にあたり、日本社会党を代表してごあいさつを申し上げます。」「皆様の御努力にもかかわらず日本政府による在日朝鮮人に対する法的・行政的・社会的制約と差別は現在もつづいています。」ちょっと途中がありますが省略をいたします。最後に、「日本社会党は、朝鮮労働党との連帯を強めながら、朝鮮総連の皆様とも協力、連帯し朝鮮半島の緊張緩和と軍縮の促進、南北朝鮮の自主的平和統一の実現と在日朝鮮公民の民主主義的民族権利の擁護のために全力をあげてたたかう」ことを誓います、こう演説をしておいでになります。連帯、連帯、連帯であります。かたく連帯をする、これも一つのお考えであると私は酌み取らせていただきます。
 なお、最近におきましては、御案内のとおりいわゆる

パチンコ疑惑が発生

いたしまして、これに関連をして、このことについては後ほど触れますが、山口鶴男書記長が見解を出しておいでになります。その見解の一節の中にもちゃんと私が今指摘申し上げておりまする朝鮮総連と日本社会党との関係を極めて端的に、明確に書いておいでになるのであります。すなわち、最後の第六項目のところでございます。
「「朝鮮総連からの献金」問題について」という項目で、「わが党は朝鮮総連とは友好関係にあるが、」という切り出しでございます。
この中身につきましては後ほど触れさせていただきますが、ここでは省略いたしますけれども、要するに、社会党と私が申し上げておりまする朝鮮総連との関係、位置づけというものが、ただいま御紹介申し上げましたこれで明確におわかりいただいたと思うのです。
 私が先ほど前段でお伺いいたしました諸問題等等を総合的に考えながら、このように日本の公党が総連とかかわりがあられることについての是非は私は決して言いません。このような一つの状況を日本の政府、関係庁はどのように認識しておるのか、まずここでお伺いいたしたいと思います。
城内政府委員 お答えいたします。
 警察は、治安の責務を果たす上で朝鮮総連には、たびたび繰り返していますように重大な関心を払っておりますけれども、政党活動につきましては、暴力主義的側面がない限り、あるいは違法行為がない限り関心を持たない、こういうことになっておりますので御理解いただきたいと思います。

パチンコ問題

小里委員 
 では、次に話題を変えまして、パチンコ業界のいわゆる脱税問題についてお伺いしてみたいと思います。この問題につきましては、過ぐる十七日の本委員会におきましても一部論議されたところでございます。極めて印象に残りましたことは、
パチンコ産業界の脱税というのが実に顕著である
なということであります。私はこの前、委員会を終えまして選挙区に帰った、あるいは各界各層の皆さんとお会いした。あんなにパチンコ業界というのは脱税が多いんですかという質問が非常に多かった。もとより、お断り申し上げておきますが、全国で一方五千軒余りの経営者の皆様方の中には善良なる経営者の皆様方もたくさんおいでになるわけです。ところが、この前の十七日におきまして、この委員会におきまして政府の、
国税庁の説明によりますと、例えば最近の脱税状況はどうかと聞いたら、例えば昭和六十三年、昨年だけでもパチンコ業界で六百八十四件ありますよ。その全体の金額は百五十九億もあります。
計算してみると、一件当たりの脱税額三千九百万円弱。その金額の大きいことに本当に国民が驚いたはずであります。
あるいは国税庁がよくやっていらっしゃる、言うなれば悪質な一つの脱税問題でしょうか、いわゆる強制調査あるいは査察という言葉で使われておるようでありますが、この査察のごときにおきましては、昭和六十一年から六十三年の統計において、実に、全体では二百三十件前後だけれども、その中でパチンコの脱税が驚くなかれ六十二件を占めておりますという話だった。この前のこの委員会で説明があったのでしょう。しかも、それを計算してみなさい、一件当たり幾らですかと、こう聞いてみると、計算してみると、一
件当たりの申告漏れがいわゆる二億八千方という驚く、巨大なる金額が出てくる、この実態であります。私は余りにもこの脱税額の大きいことに本当に驚いた。
 ここで改めまして国税庁の皆さんにお伺いしますが、次の三点だけを明確にお答え願いたい。これはひとつわかりやすく説明いただきたいと思うのでございますが、まず不正脱漏所得であります。正しからざる脱漏、いわゆる脱税、漏れた所得の金額、不正申告、一件当たりの不正脱漏所得金額、これを三業種の三年間の一つの推移を簡単に御説明願いたいと思います。
 それからついでにお伺いしますが、申告漏れ、これも先ほど私が申し上げましたように非常に多い。ですから、他の業種と比較して、たくさん並べるとわかりにくくなりますから三つぐらい業種を挙げまして、この三年間の趨勢を述べていただきたい。
 もう一つは不正発見割合であります。これは実に確率が高い。高いことがいいんじゃないのですよ。しかしながら、不正発見割合の高いいわゆる三業種の三年間の推移を簡単に御説明いただきたいと思います。
岡本政府委員 お答え申し上げます。
 ちょっと数字が並びますけれども、恐縮でございますが、まず最初の
不正一件当たりの三業種の三年間でございます。
これは我々の法人税の調査事績に基づきましてお答え申し上げますと、まず

昭和六十一事務年度におきましては第一位がパチンコ業でございまして、一件当たり三千百二十六万でございます。

第二位が貿易業で一件当たり二千百五十七万でございますので、一千方弱少なくなっているということでございます。第三位がその他の化学工業ということで分類してございますが、二千三十七万円でございます。

それから六十二事務年度に参りますと、やはり第一位がパチンコ業でございます。一件当たり三千四百十二万円。

二位が建売・土地売買業で一件当たり二千七百二十四万円。第三位が貿易業で一件当たり二千百五十五万円でございます。

六十三事務年度に参りますと、やはり第一位がパチンコ業でございまして、一件当たり三千八百七十四万円。

第二位が建売・土地売買業でございまして、これもパチンコ業より約一千万円少なくなりまして、一件当たり二千八百七十万円。それから第三位が貿易業で、一件当たり二千七百六十三万円でございます。これが不正申告一件当たりの不正脱漏所得の多い三業種、三年間でございます。
続きまして、申告所得税の方の関係で、申告漏れ所得金額の多い三業種、三年間
でございますが、

まず六十一年度、第一位がパチンコ業でございます。一件当たり二千百七万円。

第二位が病院でございまして、一件当たり一千四百十七万円。第三位が貸金業でございまして、一件当たり九百六十三万円でございます。

六十二年度に参りまして、第一位がやはりパチンコ業でございまして、一件当たり三千三百七十三万円。

第二位は病院でございますが、これは一件当たりその半分以下になりまして一千四百十一万円。第三位が土地売買業で、一件当たり一千百九十五万円でございます。

六十三年度に参りますと、第一位がパチンコ業でございまして、一件当たり三千七百八十一万円。

第二位が病院で、これも半分以下になります、一件当たり一千六百十二万円。第三位が土地売買業で、一件当たり一千三百二万円ということになります。
 それから、三つ目のお尋ねの不正発見割合でございます。これも法人税の調査結果に基づいたお尋ねだと思っております。
 不正発見割合と申しますのは、我々が調査をいたしました件数の中で、不正のあった件数でございます。それの割合でございます。これも、六十一年度に参りますと、トップは、第一位が同伴旅館業でございまして、不正発見割合が五二%になっております。第二位にパチンコ業がございまして四九・六%。第三位がすし屋で四六・七%でございます。
 六十二年度に参りますと、第一位がバー・クラブでございまして、不正発見割合が六〇・六%。第二位が同伴旅館業で五二・二%。第三位がパチンコ業で、不正発見割合五〇・七%でございます。
 六十三事務年度に参りますと、「第一位バー・クラブで六一・七%。第二位が不動産代理仲介業で、不正発見割合四三・六%。第三位がパチンコ業でございまして、不正発見割合四三・〇%でございます。不正発見割合で見ましても、パチンコ業が三年いずれもワーストスリーに入っている、こういう状況でございます。
 なお、蛇足ではございますが、先ほど先生御指摘ございましたように、全国のパチンコ業者すべてが悪いと我々思っておりません。中にはきちんと申告されている方もおいでになりますし、それから不正の規模につきましては、やはり企業の規模が大きくなりますとやや大きくなる傾向も出てくるということも蛇足ながらつけ加えさせていただきたいと思っております。以上でございます。
小里委員 
 パチンコファンの皆さんが全国で大体三千万人前後おいでになる、こういう話です。これも健全な産業として育成していかなければならぬ、そういうことを念頭に入れながらお尋ねしておるのです。あるいはまた、ただいまもお話がありましたように、一万五千店余りの経営者の皆さんの中にも相当数善良な、そして課税に対しましても節度を持ってきちんと努めておいでになる方々もおいでになります。
 しかしながら、ただいまお聞きのとおり、この脱税額の大きいこと、そしていずれの角度から見ましてもその悪い方の上位にランクされておるということであります。不正脱漏にしてもあるいは不正発見にしてもあるいは申告漏れにしても、著しくトップないしトップでなければ二位ぐらいのところに位置しておるということでございまして、極めて遺憾に存じます。これらのことを、一体どういうような事情でこういう形になっておるのか、その動機、原因、背景、そしてまた、これをどうして是正をしていかなければならないのか、後ほど大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、大蔵大臣ただいまこの席にお入りになったようでございますから、もう一つ質問を申し上げまして、その後お伺いいたしたいと思います。
 一つは、パチンコ業者及びパチンコ関連の機械メーカーの中で、とりわけ北朝鮮系の皆様方の課税状況あるいは納税状況、その中におきまする状態であります。一説によりますと、北朝鮮系の方方の中にも、もちろんのことまじめな納税者もおいでになるのです。しかしながら結果として見るときに、北朝鮮系の皆様方の経営者の中に脱税が比較的多いようだ、こういうような指摘が国民の中にあるのでありますが、これが一つ。
 もう一つは、その理由の一つとしてでしょうか、北朝鮮系の業者の方々の場合、国税庁がちょっとあなたの所得状況を調べますよ、あるいは査察でも入れますよ、こういたしますと、すぐ抗議行動が始まる。しかも、その抗議行動が組織的に計画的に、しかも特定集団と申し上げましょうか、集団の一つの威容の形をもって行われると承るのでありますが、新聞にもいろいろ出ておりますが、この辺の状況等について、国税庁で結構でありますが答弁を願いたいと思います。
岡本政府委員 
 パチンコ業界の脱税業者の中で北朝鮮の方が多いのではないか、こういう御質問でございますげれども、我々国税当局におきましては、そういった計数を把握しておりませんので、お答えは御勘弁いただきたいと思っております。
 それから、我々の調査の際に、あるいは調査に関連して抗議行動みたいなのがあるのではないか、こういうお話でございますけれども、これも細かい計数は把握しておりませんけれども、決してないわけではございません。若干はございます。
小里委員 
 今はっきりお答えがございませんでしたけれども、この問題は一般論としては論議がなかなかしにくい問題でございます。いわんや責任ある政府機関としては説明しにくいだろうと思いますから、私が後ほど具体的に実例を挙げましてお尋ねいたしますから、そのときに解明をいたしたいと思います。
 ここで、せっかく大蔵大臣おいでをいただいております。先ほどお伺い申し上げましたように、このようにパチンコ産業界におきまする脱税が極めて破格の一つの統計、説明がなされております。これらの動機あるいは原因、背景、そしてまたこれを排除するには、合理化するには、正しく課税の体系に持っていくには私は非常に大きな問題もあろうと思うけれども、これは今や課税国民挙げまして、納税者国民挙げまして大きな注目の的になっております。責任あるその辺の御見解をお伺いしたいと思います。
橋本国務大臣 
 今委員から御指摘がございましたけれども
パチンコ業者の方々について申し上げますならば、現金商売であるということから税務当局の努力にも限界がありまして、売り上げの実態や資金の支出先など正確になかなか把握をすることが困難な場合が多い
ようでありますけれども、税務当局としてはそういうことは言っておられないわけでありまして、実態を解明するべく一生懸命現在も努力をいたしております。
 これから先、これはもうパチンコ業界だけではありません。課税上問題があると認められるものに対しましては、今後ともなお一層資料収集あるいは調査手法の開発などに努めまして、深度のある調査を実施することによって課税の適正化を図ってまいりたいと思います。
小里委員 
 では次に話題を変えまして、ただいま大蔵大臣から御答弁いただきましたパチンコ産業界の納税形態の合理化のために、その辺にも一つの考え方を置きながら、私は次に具体的にお伺いをしてみたいと思います。
 それは、御案内のとおりプリペイドカード問題であります。いわゆるパチンコ店の玉の購入カードの問題であります。このプリペイドカード導入に当たり、まず警察庁にお伺いいたしますが、あなた方がどういう指導をしておいでになるのか。そのあなた方自身が行政官庁として、監督官庁として考えておいでになるこのプリペイドカードの役割あるいは目的、実際また先ほど、あなたに直接関係ないかもわからぬが、納税関係等の実績からしてもどういう一つの期待をお持ちなのか、私はその辺をまずお伺いしてみたいと思います。
森廣政府委員 お答えいたします。
 パチンコのプリペイドカードシステムと申しますのは、現金のかわりにパチンコをやる際に使うカードでございまして、既に国民に十分なじみになりましたNTTの電話カードやJRの切符カードと同様の役割をするものでございます。
 これにつきましては、大変パチンコ業の近代化、適正化に効果があるというふうに考えておりまして、まず第一点として、パチンコのファンにとっては大変便利である。パチンコ営業者の方にとりましては経理が機械化、自動化されますので、パチンコ業の経理の合理化並びに適正化が図られることからパチンコ業の健全化につながりまして、ひいては暴力団につけ込まれるようなパチンコ業の弱点が非常に少なくなるだろうと期待しております。
 また、パチンコ店におきまして取り扱われる現金がなくなりますので、店内の金銭事故も減りまして防犯上の効果もあろうと思いますし、カードが客層の拡大を招きまして、業界の繁栄にもつながるであろうというふうに考えられます。したがいまして、その運営の適切さを確保し、業界の健全な発展と客の利便に資するよう、プリペイドカード会社の設立に際しましては次のような点を指導いたしております。
 第一に、プリペイド会社の運営に当たりましては、余りにも多額な額面のカードを発行しないとか、あるいは不必要な宣伝をしないとか、要するに国民の射幸心を著しくそそるような運営をしないこと。次に、ユーザー保護と社会的信用の確保という観点で金融機関の参加を求めること。第三点として、偽造防止のために高度な技術力を有する企業の参加を求めること。もう一点、できればパチンコ業界自体の参加を求めること。この四点につきまして指導いたしたところであります。
小里委員 
 ただいま相当な項目にわたりまして、このプリペイドカード導入についての効果なりあるいは役割について極めて明快な御説明でございます。しかしながらその中身につきましては、またいずれ論議をする機会もあろうかと思いますからこの際細やかに触れませんけれども、ここでお伺いいたしたいことがございます。
 それは、ただいま警察庁の幹部が御説明にたりましたその施策につきまして、いろいろ既に国会を初め、あるいは公党間におきましても論議が激しく行われておるということであります。社会新報によりますと、これはもう申し上げるまでもなく日本社会党の公式機関紙であろうかと私は承っております。この社会新報によりますと、ただいま御説明がございましたこの玉購入カードは警察庁が主導で、いわゆる警察庁が主力になりまして導入推進を図っている、こういうふうにきちんと書いてあります。業者の意見も聞かず、あるいは関係各界の意見も聞かずに、何となく主導的に推進を図っておりますがと、こういうことがまず指摘されております。それからもう一つは、しかも業界にも相談してない、全く相談してない。こういうことは監督官庁としてあっていいんですか、だめじゃないか、だからまあ、その前後の文言がありますが、厳重に注意しますよということも書いてありますが、今のお尋ねいたしました社会党機関紙に関する二点について、はっきりひとつ御説明をいただきたいと思います。
森廣政府委員 お答えいたします。
 プリペイドカードの導入に当たりましては、昨年の七月に民間からの陳情に基づきまして警察庁で指導したものでございます。警察主導で進められたものではなく、あくまでも民間が主体になって進められたものでございます。警察庁といたしましては、プリペイドのカードの導入については、業界の健全な発展や利用客の利便に資するものと考えまして、この業界を所管する行政官庁としての立場で所要の行政指導を行ったものであります。
 また、今回のカード導入問題につきまして業界から陳情を受けた後、七月上旬に当庁の保安課長から業界団体に対しましてその概要を説明いたしておるところでございます。
 また、このパチンコへの導入につきましては警察庁が主導で進めるというものではありませんで、個々のパチンコ業者の方がカードの発行会社と契約をしてこれを導入するものでございますので、これを強制するというようなことは全くございません。
小里委員 
 ただいま御説明のとおり、私はかなりきつい質問を申し上げましたけれども、特定の政党の機関紙でそういうことがただされておるものですからあえてお伺いしたのでございますが、次に、この全国共通カードは、いわゆるカードの発行会社と各パチンコ店、すなわち店舗とオンラインで結ばれるために、今もちょっとお触れになったようでございますが、店舗の経営そのものが、経理が明朗化される、明朗になる、経理状況が把握されますよ、したがっていわゆる売り上げの少ない店舗は大手資本に乗っ取られる危険性がありますよ、こういうことも実はまあ率直に申し上げましてこの社会党の機関紙に書いてありまして、あなた方に注意をなさったということでございますが、その事実経過を明瞭に御説明願いたい。
森廣政府委員 お答えいたします。
カード発行会社と個々のパチンコ業の店舗との間がオンラインで結ばれるのは事実でございます。
それはしかしながら、カードを発売いたしましたカード発行会社が、顧客から収受いたしました代金を、そのパチンコ玉の消費量に応じましてパチンコ営業者の方々に配分するために行われるシステムでございますので、大手会社がそれを把握して云々というようなことは目的ではないというふうに考えております。
小里委員 大手云々の話はそのとおりだろうと思います。
 それからまた、一面この際に所見を申し上げておきますが、このような形でガラス張りで公明正大になりますよと言うことは自然な姿でありまして、あえてそのことに対しまして云々というのは私も奇異に感ずる一人です。
 次に質問を申し上げますが、同じく社会党の機関紙で非常に恐縮でございますが、事実書いてあるんですからお尋ねしなければならないわけです、書いてありますから。すなわち、このために業界では一斉に導入反対の態度を固めつつあるよと、パチンコ業界は一斉にこのカードの導入に反対の態度を固めつつあるよという警告を書いてあるわけでございますが、私がここでお伺いしたいのは、本当に全国の一万五千軒余りのパチンコ業界の店舗の皆さんは反対の方向にそんなに渦を巻いて走っているのでございますか、その辺の状況をひとつお伺いいたします。
 少なくとも、私の仄聞するところによりますと、このように国会等でも取り上げられまして相当国民の注目を浴びてきたせいもあろうかと思うのでございますが、最近、いや、このカードの導入には私どもは賛成ですよ、期待いたしておりますよ、国会ほどこに視点を置いて論議をしておいでになるんですかというお尋ねが、電話が、話が非常に多い。例えば、具体的に申し上げておきますが、この東京周辺でもパチンコ業界の方々が、相当、このカードは導入するべきだ、何を国会は議論しておるのかということを言ってこられる。ちょっと責任ある組織体に聞いてみたら、私ども東京都周辺だけでも一千軒余りのパチンコ店舗の皆さんが賛成だ、だからその方向で全国協議会もつくりましたよという話もあった。あるいは裏日本の関係でも、富山でも石川でもあるいは福井県でもその方向で決議をなさって、そして今その方向に鋭意基礎的な調査促進を図っておられるという話も聞くのでありますが、この辺の進展状況はどうですか。
 それからもう一つお伺いしておきますが、新しい、促進するためのパチンコ業界の自主的な団体と申し上げましたが、日本遊技関連事業協会と私は聞いております。これには、今申し上げました関係都府県も入っているし、東京都周辺の一千店にも及ぶ業者の皆さんも入っているし、さらにパチンコ機械を製造しておいでになるメーカーの皆さんも入っておいでになると私は聞くのでありますが、この辺のことにつきましてもあわせて御説明を願います。
森廣政府委員 お答えいたします。
 パチンコ業界の団体でございます全遊協あるいは全遊連におきまして、現在に至るまでこれに反対の決議をしたことはございません。
 もう少し中身を申し上げますと、第一点は、新しく発足をいたしましたパチンコのカード会社にパチンコ業界が挙げて出資をして参加するかという点につきましては、これは合意がまとまらなくて、決定されなくて、参加はいまだにされておらないということでございます。
 それから、個々のパチンコ業者の方々がこのシステムを店に受け入れるかどうかという点につきましては、これは個々のパチンコ業者の判断で行われるべきことでございますので、業界団体で決議をしてこれを入れるという性質のものではないというふうに考えております。
小里委員 
 ただいま説明の中で極めて大事な基本的なことに一つ触れられたと思います。この機会に、こういう新しい企画のもとに、いわゆる玉の購入カード制度を採用するけれども、方式を採用するけれども、これは決して全国の一万五千店余りの皆さんに強制するのではありません、業者の自由選択でありますよという話でございます。この機械を入れたい人、このカードに参加したい人は参加する、参加したくない人は何も参加しないでいいんだ、私はそういうふうに理解しますが、もう一回この点をきちんと言明を願います。
森廣政府委員 お答えいたします。
 御指摘のとおりでございまして、カード発行会社と個々のパチンコ店の経営者の方が契約をされまして、自分のパチンコ業の経営に有利であるというふうにお考えになる方はこれを導入する、そうでない方は導入をしない。中には、これはうわさで聞いておりますけれども、魅力はあるけれどもちょっと気持ちが悪いということで、百台のうち五十台は自動式にしよう、五十台は従来のまま現金でやろうというようなことを考えておられる経営者の方もあるということでございまして、極めて自由に選択できるということであります。(発言する者あり)
小里委員 
 パチンコ産業、業界の監督官庁は警察庁でありますから、警察庁の諸君がお答えいただいておりますのは私は自然な形で受けとめておりますから、しばらく御清聴を願いたいと思います。
 次に話を展開いたしますが、昭和六十一年四月に、全遊協の理事長名で警察庁保安部長あてにプリペイドカード導入について陳情がなされたということを聞いておるのです。ちなみに申し上げておきますが、全遊協というのは全国遊技業協同組合連合会、これは全国のすべての方々がほとんど加盟しておいでになると思うのです。例えば北朝鮮系とか韓国系とか日本の皆さんとかそれぞれの皆さんが自由意思によって加盟しておいでになる、いわゆる全国のパチンコ業界を網羅する団体であります。全遊協と言われておるわけでございますが、この全遊協の理事長名でそのようなカード導入の陳情書が提出されたと承るのでありますが、いかがですか。
森廣政府委員 お答えします。
 六十一年に御指摘のような陳情書が提出されておることは事実でございます。
小里委員 
 ここですぱっとお伺いしますが、先ほど、前々段で私がお伺いいたしましたように、そういう全国の業界の皆さんも今日におきましては賛成の動向が相当見えてきた、確認できますよという状況、あるいはまた全遊協も、お話のように昭和六十一年でございますが、このカードは導入してほしい、そういう陳情書まで出されておる経緯があるわけです。ところが今日におきまして、昨年の夏ごろからでございますが、後ほど時間があったら触れますけれども、俄然、その業界の中にありましてある特定の組織に属されると思われる方々が反対運動を始めておいでになります。反対なさることは結構なんです。お互いの自由でありますから、あえて私はそれをとがめようとは思わない。しかしながら、その
反対運動の主力が北朝鮮系の方々である。もっとはっきり言いますと朝鮮総連の皆様方である
ということでありますが、その辺の状況を言明を願いたいと思います。
城内政府委員 お答えいたします。
 極めて早い反応かどうか判断しかねるところでありますが、七月に業界から警察庁にカード導入の陳情がありましたところ、次の年の、これは昨年の話でございますが、八月ごろから朝鮮総連に動きがございまして、九月の朝鮮商工新聞にもプリペイドカード反対の記事が掲載されていることを承知しております。
小里委員 
 プリペイドカード反対の記事が掲載されておるという程度の根拠によって私はお尋ねを申し上げたつもりじゃないのです。言明願いたいというお尋ねをいたしましたのは、すなわち、次のような事項を御紹介申し上げなければならぬと思うのです。
 報道されました文書の中の一部でございますが、私が先ほど申し上げました、日本においでになる北朝鮮系の皆さんが構成する朝鮮総連の皆さんの文書であります。内部文書でございまして、まことに申しわけないのでありますが、在日本朝鮮人総連合会の議長さんの韓徳銖という方が文書を出しておいでになる。これはその朝鮮総連の本部の委員長さん、あるいは中央団体、事業体責任者の皆様方、いわゆる国内の系統機関の皆さんに対して文書を出しておいでになるのです。その中の一部であります。
 まず、頭のタイトルがこう書いてある。「日本警察当局が遊技業界に導入しようとしている「パチンコ全国共通カード」制度を徹底的に阻止させることについて」という頭書きであります。これは昨年の八日の八日の日付です。もう中身は読む必要もございません。これで十分御判読いただけると思います。
 ただ、その中におきまして、この機会に一部御紹介申し上げておかなければならぬことがあります。それは、すなわちこの制度の本質と不当性を徹底的に全国民の皆さんに知らしめて、社会世論を大きく喚起しなければなりませんよと一つ書いてあります。もう一つは、特にコメ印を打ちまして、「国会議員との活動をよく行い、日本の国会で問題化させなければならない。」こういうことが書いてあります。
 いろいろ書いてございますが、さらにこの文書の締めくくりとして、「この通達が外部に漏洩しないように取扱を厳重にしなければならない。」ということも書いてありまして、大変恐縮でありますが、こういう文書が出されておるということを、恐らく関係政府省庁は当然御承知でありましょうけれども、御承知でありますか。
 また、もう一つ御紹介いたしますと、同じく昨年の十一月の二十八日です。これも言うなれば内部文書であります。やはり先ほど申し上げました朝鮮総連、北朝鮮系の皆さんの組織体でございますが、こう書いてあります。
 頭を読みますと、遊技業全国共通カード、いわゆる玉購入カード制度に反対する闘争を全機関的に強力に展開すること、これが頭書きであります。そして、この中にいろいろと書かれております。そして、各県の、全部ではありませんが、特定県のことなども書かれておりますが、余りこの機会にその各論等を目くじらを立てて取り上げるのはどうかと思いますから省略をいたしますが、要するに一貫してこの中で流れておりますのは、カードの導入は絶対阻止しなければいかぬよ、そして阻止するために関係機関団体等、先ほども申し上げましたように国会等、特に国会議員と書いてありますが、などにも働きかけなさいよ、こういう指示までなされておる事実であります。私は、事実だろうと思います。先ほどお伺いいたしました問題と含めまして二点、どういうふうに事実経過を認識しておいでになるか、また、この機会に御意見があったらお伺いしたいと思います。
城内政府委員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘がありましたように、いずれの――八月の文書というのもこれは秘密文書でございまして、外へは出ないような仕組みになっておるわけでございまして、そのこと自体について私どもは申し上げるのはちょっと御遠慮させていただきたいと思いますが、私どもの知る限りにおいてはそういうことであるというふうに考えております。
小里委員 
 秘密文書であるので外に出ないことになっておる、そこはわかりますが、実際に出ておるわけでございますがね。しかも、私がこの公式の場で抽出をしまして明快にお尋ねしておるのですが、その後の方の歯切れの悪いところをもう少しちょっとお聞かせいただきたいと思うのでありますが、いかがですか。
城内政府委員 お答えいたします。
 私どもが入手するということは、どこから、いつ、だれからというようなことがいろいろ問題になります。そうしたことで、私どもの今後のいろいろな情報収集活動にも支障がありますので、そこは御勘弁願いたいと思います。
 ただ、いろいろ公然資料の面でも、このプリペイドカードによって売り上げや経営内容などが掌握されるおそれがあるとか、あるいはこのカード導入が業者らにとって死活問題である、そういった大変厳しい情勢認識がされておるということを申し添えさせていただきたいと思います。

最終更新:2013年08月01日 18:39