Silver Surfer (Vol.1)

(タイトル名、マーベル)

出版:1968年 8月〜
邦訳あり(絶版)

概要

これまで"Fantastic Four"などに登場していたシルバーサーファーを主人公としたシリーズ。
シルバーサーファーはギャラクタスに歯向かったためヘラルドの役目を剥奪され、シリーズ開始の時点で地球の外側に張られてしまったバリアにより監禁されている状況となっている。また彼の特異な外見と強大な力は地球人に受け入れられず、人類の間に居場所がないため苦悩する。
先進的な文明を持つ異星からきたシルバーサーファーにとって地球人は倫理観や道徳感も未発展な種族であり、そんな高潔な精神を持つ異星人の視点から地球人を描くことで、戦争や差別や犯罪など社会問題的なテーマを描き出すのが本作のテーマの1つ。登場するほとんどの一般大衆はシルバーサーファーを特に理由なく理解を拒み、恐れ、蔑み、嫌悪し、愚かしく描かれている。

#7までは隔月発刊の毎号50ページ前後で後半は"Tales of The Watcher"と題しウォッチャー視点のストーリーが描かれる。これは「ウォッチャーが過去に見てきた物語」ということで"Amazing Adult Fantasy"のリメイク作などが収録されるというもの。
#8からは「読者から毎月読みたいという要望が殺到したため」ということで月刊となり、その代わりページ数が二十数ページという現代的なアメコミの厚みとなり、"Tales of The Watcher"も掲載されなくなった。

各号の内容

  • #1:シルバーサーファーのオリジン。後半ではウォッチャーのオリジンも。

  • #2:バドゥーンが初登場。バドゥーンが不可視化の巨大モンスターロボットで攻撃をしかけ、シルバーサーファーが迎撃。すると地球の一般人からは怪物が見えずシルバーサーファーが単独で暴れ町を破壊しているように見えてしまい、彼に対する不信感が拡大されていく。囚われていた少女を保護するのだが、これも彼が傷つけたと誤解されてしまい……"Tales of The Wacher"は侵略しにきた宇宙人クリルスと地球のレーダー管理者との皮肉な物語。

  • #3:メフィストが初登場。強大な力と善の心を持つシルバーサーファーを支配しようと画策。恋人のシャラ・バルを故郷のゼン・ラ星から地球に連れて来るなどあの手この手を講じる。"Tales of The Wacher"は宇宙人の存在に気づいた男がそれを世間に知らせようとするが、誰も信じてくれないというストーリー。

  • #4:ロキがシルバーサーファーを欺き「ソーこそアスガルドを脅かす侵略者である。地球から脱出させてやるからソーを倒せ」と信じさせることに成功。シルバーサーファーはアスガルドに赴き、初対面のソーと対決する。しかしソーの正々堂々とした態度、周囲の戦士たちのソーへの愛や忠誠を見るにつれ、彼が悪ではないことに気づく。かくして再びシルバーサーファーはロキの魔術で地球に戻される。"Tales of The Wacher"はAmazing Adult Fantasy#9のリメイク。ある世界の強力で残忍な支配者ティム・ブー・バ(Tim Boo Ba) のストーリー。

  • #5:地球を危険視する宇宙的存在ストレンジャーの襲来。地球に張られたバリアを破り宇宙に帰ろうと試みるシルバーサーファーはバクスター・ビルディングに押し入りファンタスティック・フォーの試作武器を強奪。しかしうまく起動することができず地球に落下したところを科学者のアル・ハーパーに助けられる。その頃ストレンジャーは地球人を抹殺しようと強力な爆弾をしかけ、シルバーサーファーとハーパーで解除するため探しまわることになった。ストレンジャーとシルバーサーファーが戦っている間にハーパーが爆弾をみつけるが、これには解除しようとするものを殺す仕掛けが施されていた。

  • #6:地球を囲うバリアが未来永劫続くわけではないと考えたシルバーサーファーは光速を超える飛行能力でタイムトラベルを敢行。すると未来の宇宙は無敵のミュータント、オーバーロードによって支配されていた。愛するシャラ・バルもすでに存在せず、ゼン・ラも滅亡した世界でシルバーサーファーはオーバーロードに挑む。

  • #7:フランケンシュタインの怪物との戦い

  • #8〜9:メフィストが再来。フライング・ダッチマン(実際の伝承にも登場する空中を彷徨う幽霊船の船長)との戦い。

  • #10〜11:シャラ・バルがゼン・ラの科学者ヤロ・ゴートが作った宇宙船に乗りついに地球へ。ヤロ・ゴートはシャラ・バルとの結婚を望んでいて、シルバーサーファーが既に死んでいることを証明しようと地球を目指していたのだ。その頃、シルバーサーファーは地球人の排他性や交戦的な性質を理解するため、あえて戦地の南アメリカに降りたつ。軍隊に攫われた少女ドナ・マリアを救出し、感謝のキスを受けたところでなんとシャラバルが地球に到着。2人のキスを目撃してしまう!そんなとき宇宙船が軍隊に撃墜され、乗っていた2人は捕虜に。シルバーサーファーは宇宙船がゼン・ラのものだと気づくと、乗組員を探して軍の本拠地に乗り込んでいく。

  • #12:アボミネーションとの戦い。シルバーサーファーは再び地球を囲うバリアを突破しようと試みるが失敗。激しい衝突により気絶し、地球に落下する。そして魔術に傾倒している男で自称"ウォーロック・プライム”ことニゲル・カルタースという男に発見され家に運び込まれる。ニゲルはシルバーサーファーを倒せば自分の魔術師としての力を世間に示すことができると考えたのだ。そしてシルバーサーファーを倒せる存在を魔術により召喚しようとし、現れたのがアボミネーションだった。アボミネーションはハルクとの戦いの最中ストレンジャーによって連れ去られ(Tales to Astonish#91,1967年)、何かに利用されるでもなく宇宙のどこかに監禁されていたのだ。ニゲルは魔術により召喚した相手を支配できると考えていたがアボミネーションが彼に従う理由はなく怒りに任せて大暴れ。一度はアボミネーションとの戦いを拒否したシルバーサーファーだったが、一般市民にも被害が及ぶのを見ると結局は戦うはめになり、パワーコスミックによりアボミネーションを眠らせる。シルバーサーファーはニゲルに魔術でアボミネーションを宇宙に送り返せと命じて飛び去るのだった。

  • #13:初登場のドゥームズデイマンとの戦い。ロボット兵器ドゥームズデイマンはアメリカ軍の科学者により開発されたのだが、あまりに強力すぎたため危険視され離島に監禁されていた。しかしドゥームズデイマンが再び動きだしたことが振動により感知され、開発者のクロントン博士を交えて国連で対策が協議されていた。そこへシルバーサーファーが現れ、クロントン博士を連れてドゥームズデイマンが監禁された島へと飛来する。地中から格納庫へと侵入したシルバーサーファーだったが、全てはクロントン博士の計画で、ドゥームズデイマンを使って人類を脅迫し身代金を得るのが目的だったことを知る。格納庫から逃げたドゥームズデイマンを倒し人類を救ったシルバーサーファーだったが市民から「ドゥームズデイマンを解放し人類を危険に晒した」と誤解による非難を受け、人知れず涙し立ち去るのだった。

  • #14:スパイダーマンと遭遇。些細な行き違いから(というよりスパイダーマンの一方的な勘違いから)戦闘になる。2人の戦いにりより軍隊まで出動するほどの騒ぎとなるが、シルバーサーファーが少年を救うのを見た軍隊は撤退。スパイダーマンも手を引く。それを知ったシルバーサーファーも人類に希望を見出すのだった。


  • #16-17:またもメフィストがシルバーサーファーを襲う。今度はギャラクタスのバリアを抜けて彼をゼン・ラに戻れるようにすると誘惑。バリアを抜けることは本当に成功しゼン・ラに到着するがそこに恋人シャラ・バルの姿はなく、シルバーサーファーは絶望感に苛まれる。実はシャラ・バルは既にメフィストに連れ去られた後で、地球の吹雪が吹き荒れるどこかに1人で送りこまれていたのだ。メフィストにシャラ・バルを取り戻したければS.H.I.E.L.D.を攻撃しろと脅迫され、やむなく従うシルバーサーファー。

  • #18:インヒューマンズとの戦い。折しもマキシマス・ザ・マッドブラックボルトは戦争中で、シルバーサーファーはマキシマスの計略により戦いに巻き込まれてしまう。地球人だけでなくもっと先進的な倫理観や道徳感を備えているはずのインヒューマンズまでもが戦いに明け暮れていることを知り、もはや我慢の限界と怒り狂い復讐を誓うシルバーサーファーのアップでこのシリーズは幕を閉じる。
(1970年6月)

結末と影響

上記のようにこのシリーズはシルバーサーファーが地球人に絶望・激怒し復讐を誓い、新章"The Svagely Sensational New Siver Surfer"という予告がされるのだが、この救いようのない状況のままシリーズは打ち切りとなってしまう。
次のシルバーサーファーの登場は翌年の"Sub-Mariner" #34となり、ここでは特に理由なく「復讐の誓いをやめた」ことが語られるのみである。
インヒューマンズとの戦いの直後、シルバーサーファーの怒りが吹き荒れるストーリーが描かれるのはこれから現実時間で30年後、1999年の"Webspinners: Tales of Spider-Man"#4まで待つこととなった。







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最終更新:2024年02月18日 03:17