２話
カシス 「面倒かけちゃったわね あたしをここに置いてくれるために、かなり無理したんでしょ？」
ハヤト 「ううん、別に大したことはしてないさ ここの人たちは、みんな優しいからね」
カシス 「そうね・・・人が良すぎるくらい あたしが言ったことを頭から信じてくれた 証拠なんかどこにもないのに・・・ ねぇ・・・キミはあたしのことを本当に信じてくれる？ 憎んだりしてない？」
ハヤト 「・・・憎んだってさ、どうにもなるもんじゃないだろ？ それにキミは、俺の前に名乗り出てくれたじゃないか 黙って逃げたっていいのに、自分から俺の目の前に出てきてくれた だから、俺は君を信じようと思ってる みんなもきっと同じさ」
カシス 「うん・・・」
まずは俺が、あの子を信じないとな・・・ 全てはそれからだ
３話
カシス 「あたしもかなりお気楽なほうだなって思ってたけど・・・ キミはそれに輪をかけてお気楽ねぇ」
ハヤト 「・・・悪かったな」
カシス 「なによぉ、その生意気な態度は？ ふーん・・・ かわいそうだからってせっかく夕ご飯のパンとっといたげたのに」
ハヤト 「えっ！？」
カシス 「やっぱ食べちゃおっと」
ハヤト 「ちょ、ちょっと待て！」
カシス 「もぐもぐ・・・ あー、おいしかった」
ハヤト 「ああ・・・っ！？」
カシス 「ふふーん、だ これに懲りたらすこしは立場を考えて行動しなさいよ？」
あいつ、最初から俺をからかうつもりだったんじゃないか？
４話
ハヤト 「ジンガの使う【ストラ】は、召喚術とは違う力なのか？」
カシス 「うん、違うわね 呪文のかわりに呼吸を使うし、サモナイト石も必要ないでしょ 精神集中が必要なのが同じくらいかなぁ」
ハヤト 「へぇ・・・」
カシス 「【ストラ】は男性より女性が使うほうが強い効果を発揮するみたい。訓練しだいでは、ひどいケガですら一瞬で治しちゃうらしいよ」
ハヤト 「・・・すごいんだなぁ」
【ストラ】って便利なんだなぁ・・・
５話
ハヤト 「うーん、今日は大変な一日だったな」
カシス 「「今日も」でしょ？ キミたちと暮らすようになってから、平穏に終わった日なんかないじゃない」
ハヤト 「ええっ！？」
カシス 「あーあ、騒ぎの元凶に自覚がないのは困りものねぇ」
ハヤト 「・・・俺のせい？」
カシス 「そう聞こえなかった？」
ハヤト 「・・・・・・」
カシス 「ウソウソ、冗談よ。あたしにしてみれば、こんな刺激的な毎日がすごせて、すっごく楽しいんだから」
初めてだよな・・・ あんなふうに笑ったの
６話
カシス 「カノンの中に流れているのは、シルターンという世界の、鬼神の血だね・・・」
ハヤト 「シルターン？」
カシス 「召喚術で開かれる４つの世界のひとつよ」
ハヤト 「そこに住む鬼神たちはきょうじんな肉体と破壊の力をもってるの」
カシス 「ああ、だからカノンは怪力を発揮したのか」
ハヤト 「はぐれになった鬼神がカノンの父親らしいんだけど、召喚師として、改めて考えさせられちゃったなぁ」
カシス 「・・・そうだな」
召喚術を使う者としての責任、か・・・
７話
カシス 「まだ、さっきのことを考えてるんでしょ？」
ハヤト 「カシス？」
カシス 「キミは頑張ってたよ 何もしないで、彼らを見捨てたんじゃない」
ハヤト 「でも・・・」
カシス 「過ぎてしまったことを悔いたって、やり直すことはできないんだよ 大切なのは、これから先じゃない」
ハヤト 「・・・うん」
わかってはいるんだよ でも・・・
８話
カシス 「どうやらモナティは、メイトルパに生息するレビットみたいね」
ハヤト 「？？？」
カシス 「メイトルパって世界で暮らしている、亜人間って人たちのことよ あたしたちと違うのは不思議な力を持ってることと、見た目ぐらいかしらねぇ・・・」
ハヤト 「じゃあ、モナティにも不思議な力が！？」
カシス 「うーん、どうだろ よくわかんないなぁ あたしはメイトルパの召喚術は、あまり得意じゃないのよねー」
ハヤト 「そっか・・・」
モナティも不思議な力を持ってるのかな？
９話
ハヤト 「俺のいた世界にも、昔は忍者がいたからね よくは、知らないけど」
カシス 「サプレス、シルターン、ロレイラルに、そしてメイトルパ・・・ キミのいた世界はこの４つのうちのどれでもないみたいだね」
ハヤト 「うん・・・」
カシス 「キミがいた世界がどこなのか、まだわかんないけど、きっと帰れる方法は見つけるから」
ハヤト 「うん、信じてるさ」
俺のいた世界はどこにあるんだろう？
１０話
カシス 「自分の行おうとしていることの結果を、ラムダはわかってるんだよね 犠牲を生むことの罪の重さを、背負ってく覚悟をしてるんだろうな ちょっと・・・うらやましいかも」
ハヤト 「え？」
カシス 「アタシにも決断する勇気があったら・・・」
ハヤト 「カシス？」
カシス 「あっ・・・ な、なんでもないよ あは、ははははっ あは、ははははっ」
カシスはどうしてあんなことを言ったんだろう？
１１話
ハヤト 「バノッサの使ったのはやっぱり・・・」
カシス 「召喚術みたいだね 前も言ったけど、知識とサモナイト石があれば、誰でも召喚術は使えるんだからね」
ハヤト 「だとしたら、バノッサはどうやってそれを手に入れたんだ？ この街で召喚術が使えるのは俺と君、あとはマーン三兄弟ぐらいだっていうのに・・・」
カシス 「それはわかんないけどバノッサが力を手にしたことはたしかね 気をつけなさいよ バノッサは多分、キミを狙ってくるから」
ハヤト 「そんな・・・」
あれは、本当に召喚術だ
１２話
カシス 「あの宝玉はサプレスの悪魔たちと誓約する力を持っているのね それも並の力じゃない サモナイト石も使わずに固定化させちゃうんだもの」
ハヤト 「そんな物を、バノッサは手に入れてしまったのか」
カシス 「関わり合いにならないほうがいいよ」
ハヤト 「え？」
カシス 「あの黒装束たちとだけは、関わらないほうがキミのためだと思うの」
ハヤト 「それは無理だよ 俺が望まなくたって、バノッサが・・・」
カシス 「わかってるよ！ けど・・・」
ハヤト 「カシス？」
カシス 「ダメなのよ・・・ 絶対・・・・・・」
カシスは何を恐れてるんだ？
１４話
ハヤト 「信じられないよ 俺の力がそんな大層なものだったなんて」
カシス 「あたしも驚いたよ キミの力が誓約者に匹敵するなんて」
ハヤト 「でも、変だよな 向こうにいた時には、別に普通だったのにさ 俺の力だって言われても、なんかピンとこないよ」
カシス 「やっぱり、事故のせいなのかもね・・・」
ハヤト 「あ、でもさ！ 今となってはこの力が必要になってるんだし結果的には良かったと思ってるよ、俺はさ」
カシス 「・・・・・・」
俺がここに呼ばれたのはこのためだったのかもな・・・
１７話
カシス 「こんなふうにまた話ができるなんて思いもしなかったよ」
ハヤト 「そうだな・・・」
カシス 「あたし・・・キミが全てを知った時どうなるのかがずっとこわかった・・・ きっと、あたしのこと恨むって思ってた でもキミはやさしい言葉をかけてくれた なぜ？ あたし、ずっと、嘘をついていたのに・・・」
ハヤト 「嘘だけじゃなかったからだよ 確かに君は、俺たちに嘘をついてきたかもしれない だけど君は、それとは別に、俺たちを仲間として助けてくれたじゃないか？ きっかけは嘘だったとしても、君が俺たちにくれた優しさは本当のものだと俺は思う だから、俺は君のことを信じられるんだ」
カシス 「ありがとハヤト あたし・・・ キミに会えて・・・ 良かった」
ハヤト 「感謝するのは俺のほうだって！ 君と出会わなかったら俺はきっと、この力の重みに耐えられなかったはずだよ」
カシス 「・・・覚えてる？ 二人で儀式の跡を調べに行った時、キミがたずねたこと キミが・・・この世界に呼ばれた時助けを求める声が聞こえたって言ったの」
ハヤト 「ああ、覚えてるよ」
カシス 「あたし、儀式の間ずっと悩み続けていた 自分のやっていることが正しいことなのか本当に世界を滅ぼしてしまってもいいのか 答えを出せずに心の中で悲鳴をあげていたの・・・助けてって・・・」
ハヤト 「それじゃ・・・」
カシス 「あたしの・・・心の叫びだったのかもしれない・・・ 思い込みかもしれない でも、キミは答えてくれた 本当にありがとう キミがいなかったらあたし、本当の自分に会えてなかったかも」
ハヤト 「カシス・・・」
カシス 「だから、約束する 絶対にキミを元の世界に帰すって！ こんどはあたしがキミを守ってみせる！！」
ハヤト 「俺も、約束するよ 何があっても絶対に、俺は君のことを守ってみせるって！！」
ＥＤ
そして、俺は帰ってきたんだ。
何もかもがそのままだった。
俺は制服のまま、夕暮れの公園でぼんやりと立ちつくしていたんだ。
夢でも見たっていうのか？
でも、リィンバウムでの日々は俺の心にはっきり刻まれている。
夕闇に風が吹いて、頬にひんやりとした冷たさを感じた。
あれ・・・？
俺、どうして泣いているんだ？
いつもと変わりない毎日が始まる。
ただ、俺はちょっとだけ変わったのかも知れない。
こうやって一人で、いろいろなことを考える時間が増えた。
そして、俺は問いかける。
なあ、俺、がんばってるかな？
お前に胸を張って言えるぐらいがんばって生きてるかな？
心を澄ませば、またあの声が聞こえてくるような気がする。
会いたい・・・。
もう一度、お前に会いたい！
「ああ、やっと戻ってこれたんだ・・・ 君の側に・・・ 私の居場所に・・・。」
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最終更新：2009年03月23日 15:00
