ベール=ゼファーの休日 おまけ
「そんなわけで、お土産」
「……大魔王ベル。私に大判焼きを頬張れというのですか貴女は」
「いらないんならあたしが食べちゃうけど。せっかく今日買ってきたのに」
「いえ。私もこの大判焼きは好きです。柊蓮司に教わった例の店で買ってきたのでしょう?」
「……大魔王ベル。私に大判焼きを頬張れというのですか貴女は」
「いらないんならあたしが食べちゃうけど。せっかく今日買ってきたのに」
「いえ。私もこの大判焼きは好きです。柊蓮司に教わった例の店で買ってきたのでしょう?」
ベル様はチョコクリームを喉につめた!
むぐむぐ言ってるところにリオンが無言でダージリンのファーストフラッシュ!(一番摘みのこと。香り、味ともに年内通して最高級。品薄。)
むぐむぐ言ってるところにリオンが無言でダージリンのファーストフラッシュ!(一番摘みのこと。香り、味ともに年内通して最高級。品薄。)
閑話休題。
とんとん、と胸を叩きつつストレートの紅茶を飲み干すと、よほど苦しかったのか涙目になりながらベルが弁解しだす。
とんとん、と胸を叩きつつストレートの紅茶を飲み干すと、よほど苦しかったのか涙目になりながらベルが弁解しだす。
「べ、別にアイツが言ったから通ってるわけじゃないわよっ!? あることないこと言ってるとその本燃やすわよっ!」
「私はそこまで言っていませんが。それとも、柊蓮司が紹介したから通っているのですか?」
「そんなわけないでしょーがっ! あたしは純粋においしいものだから買いに行ってるだけ、そもそもリオンだってそこのクリームチーズとこしあん好きじゃない!」
「ならばなんの問題もありません。ありがとうございますベール=ゼファー、今日もおいしくいただきます」
「私はそこまで言っていませんが。それとも、柊蓮司が紹介したから通っているのですか?」
「そんなわけないでしょーがっ! あたしは純粋においしいものだから買いに行ってるだけ、そもそもリオンだってそこのクリームチーズとこしあん好きじゃない!」
「ならばなんの問題もありません。ありがとうございますベール=ゼファー、今日もおいしくいただきます」
笑顔で返してクリームチーズとこしあんのうち、今日はクリームチーズから手を出すことにしてみた。
少し口にすれば、まだ暖かいしっとりとした生地。
もう少し欲張れば、今度は中からレモンの風味の熱々クリームチーズが、酸味とコクを振りまきながらとろりと舌にとろけていく。
少し口にすれば、まだ暖かいしっとりとした生地。
もう少し欲張れば、今度は中からレモンの風味の熱々クリームチーズが、酸味とコクを振りまきながらとろりと舌にとろけていく。
おいしい、と正直に思う。
人の子の知恵も捨てたものではないかもしれない。最後には滅ぼしてしまうわけだが。
人の子の知恵も捨てたものではないかもしれない。最後には滅ぼしてしまうわけだが。
ベルは最近、リオンにお土産と称して結構な秋葉原名物を持ってくる。
彼女いわく、外部の刺激を取り込むことでよりよい滅亡計画をたてよう、とのこと。発言の真偽のほどは不明。
数ある土産の中でも、ベル自身飽きっぽいにも関わらず割合と買ってくるのがこれだ。リオンとしてはおいしいものをいただけるのはうれしいので別に気にも留めないが。
彼女いわく、外部の刺激を取り込むことでよりよい滅亡計画をたてよう、とのこと。発言の真偽のほどは不明。
数ある土産の中でも、ベル自身飽きっぽいにも関わらず割合と買ってくるのがこれだ。リオンとしてはおいしいものをいただけるのはうれしいので別に気にも留めないが。
一通り大判焼きを片付けると、彼女は問う。
「それで。私が必要な事態はなにか起きましたか、大魔王ベル」
「そうねぇ……あぁ、そういえば最近パールはどうしてるの? あの迷宮都市の神社でゆっくりしていってるとか?」
「そのようです……かの魔王にとって、あの町は居心地がいいようですね」
「そうねぇ……あぁ、そういえば最近パールはどうしてるの? あの迷宮都市の神社でゆっくりしていってるとか?」
「そのようです……かの魔王にとって、あの町は居心地がいいようですね」
魔王・パール=クール。裏界の実力者の一人で、実質的に今のベルの大きなライバルの一角だ。
確かにアレは色々と『残念』だが、何をやらかすかわからないのが一番困る。動向をはっきりさせておくのは大切だ。
確かにアレは色々と『残念』だが、何をやらかすかわからないのが一番困る。動向をはっきりさせておくのは大切だ。
「ま。ルーの箱庭に色んな連中が夢中になってる間に。
あたしが奪ってしまおうかしらね、ファー・ジ・アース」
あたしが奪ってしまおうかしらね、ファー・ジ・アース」
金の瞳を光らせて、ベルはコンパクトの中の世界を見る。
今度はどんな遊戯盤を作り、どんなルールを作り、どんな人形と彼を踊らせようか。
そんな楽しみに、初恋の乙女のように胸をときめかせ、頬をばら色に染め、潤んだ瞳で恋焦がれながら、ベール=ゼファーは次のゲームの開始を待つ。
彼と彼岸と此岸に分かれる、剣林弾雨の丁々発止、命の応酬の始まりを告げる―――その時を。
今度はどんな遊戯盤を作り、どんなルールを作り、どんな人形と彼を踊らせようか。
そんな楽しみに、初恋の乙女のように胸をときめかせ、頬をばら色に染め、潤んだ瞳で恋焦がれながら、ベール=ゼファーは次のゲームの開始を待つ。
彼と彼岸と此岸に分かれる、剣林弾雨の丁々発止、命の応酬の始まりを告げる―――その時を。
おまけのおまけ
「―――では、用事も終わったようですし私は少し退席します」
「え? ど、どこ行くのよリオンっ!?」
「ちょっとA.S.E.にドライバーを借りに行ってきます。彼なら、彼ならばアレを使いこなせるはずですから……」
「え? ど、どこ行くのよリオンっ!?」
「ちょっとA.S.E.にドライバーを借りに行ってきます。彼なら、彼ならばアレを使いこなせるはずですから……」
最近彼女はとある錬金兵装を手に入れたものの、自分が十全に使用するには技能がなく、彼女自身を納得させられる使い手が現れずにちょっと沈んだ日々を送っていた。
ある日、黄色い電話帳でとある人材派遣会社を発見。そこにいい使い手がいることを本が告げたため、彼女としては今はベルの些事に付き合っているヒマはないのだ。
ベルいわく、そんな彼女の横顔は見たことがないほど輝いていたという。
ある日、黄色い電話帳でとある人材派遣会社を発見。そこにいい使い手がいることを本が告げたため、彼女としては今はベルの些事に付き合っているヒマはないのだ。
ベルいわく、そんな彼女の横顔は見たことがないほど輝いていたという。
今度こそ終われ。