973: ナイ神父Mk-2 :2017/09/12(火) 01:15:55
大陸SEED 外伝ネタ

戦争の断片

CE71年 6月2日 第126MS中隊、通称アダムズ隊の姿は南アメリカ合衆国内の旧来の国家で言うペルーとブラジルの国境付近に有った。
MSで無ければとてもでは無いが進めない様な悪路を南米仕様へと改造したジン・アマゾネスと熱帯用の処理を施した隊長機、シグーアサルトアームズが進軍している。来る物を迷わせる代わり映えのしない天然の迷宮を進んでいたふと彼らの機体が小さな丘状に成った地域を越えようとした時、頂上部まで到達した隊長機のシグーの音響装置が有る音を拾った。今月に入ってもう何度聞いたか解らないその音に対してアダムズの搭乗するシグーはマニュピレーターで合図を出すと超えてきたばかりの丘に機体を伏せさせ木立に機体を隠す。するとその上を丸い円盤の様な機体に先導された100を優に超える巨大航空機が上空を過ぎ去っていく。音響センサーで音源の機体が離れて行った事を確認すると隊長であるアダムズは各機へと通信を繋げる。

「各員機体に問題は無いな?」

『此方、キム分隊問題有りません。』

『サントス隊、同じく。』

『クソ、何でこんな所でコソコソとネズミ見たいに!!』

「トーマス・・・落ち着け、辛いのは解るが其れは全員一緒だ。」

アダムズの通信に対して隊を構成する2部隊は通信を返す物の、最後の一部隊最近の補充によって入ったトーマス隊を率いる隊長のトーマスは苛立ちを隠せない様子で声を荒げる。其れに対してアダムズは落ち着かせようと声を掛けるが、其れが逆効果になったのか益々ヒートアップしていく。

『大体!、何でコーディネイターの俺たちがナチュラルの軍の南アメリカの救援に行かなきゃ成らないんだ!
奴等なんて勝手にナチュラル同士で・・・』

『好い加減にしろ!』

『ですが!』

トーマスの止まらない泣き言に通信を通してサントスが怒鳴るがトーマスは止まる様子は無く、部隊内の雰囲気は一気に険悪に成っていく。そして、暫く言い争いを続けていた二人だが遂にサントスはトーマスの言葉に限界が来たのか遂に機体が持っていた
バズーカをトーマスのジンへと向ける。それに対抗する様にトーマスのジンもサントスの機体へと向けて散弾銃を構え、一触即発の事態へと移行する。

『これ以上騒ぐならこの密林の滋養に成るか?、ええ!?』

『そっちこそ、高々数年着任が早かっただけで緑服の分際で煩いんだよ!』

「二人とも静かにしろ、此処で言い争うな!!」

『し、失礼しました、隊長殿・・・』

『で、ですが隊長なんで俺たちがこんな所を歩いて基地へと向かわないといけないんですか!?ヴァルファウなり何なり無いんですか!?』

通信で罵り合う二人の様子に対してより強い声と口調でアダムズは無理矢理二人の言い争い中断させた、アダムズへサントスは謝罪の言葉を述べるがトーマスは納得できないのか、更に言葉を続けようとする。

「最近始まった大洋連合の爆撃機のせいだ、あれでヴァルファウの多くが飛行不能か撃墜されている。残った機体も北米への侵攻作戦に回された以上、俺たちの様な後方での警戒部隊は成るべく輸送機では無くMSによる移動を行う様に通達が来ている。
それでも文句が有るなら司令部に私から伝えて置くが?」

『・・・いえ、有りません。』

974: ナイ神父Mk-2 :2017/09/12(火) 01:16:26
渋々と言った様子でトーマスも引き下がるとアダムズはコックピットの中で額を押さえて溜息を吐く、しかし、何時までも立ち止まっている訳もにも行かず、アダムズは機体を再び増援に向かう基地の方へと向けると再び進軍を開始し、部下達もそれに続いて其々MSを操作する。

その後、数時間を掛けて悪路を進み続け、目的の基地まで残り十数kmと言った所で、基地の通信可能圏内に入った事を確認したアダムズは基地に到着の通信を行おうと回線を開くが、其れと同時に聞えてきたのは事務的なオペレーターの声では無く救援を求める悲鳴で有った。

『こ、此方第72哨戒基地、きゅ、救援を現在我が基地は連合軍と思われるMS隊に攻撃を受けている至急救援を求む!
繰り返す!此方第・・・』

『嘘だろ、連合の連中こんな奥地にまで攻撃しに来たってのか!?』

『隊長!!』

「各機、スラスターの使用を許可する。基地の救援へ向かうぞ!」

アダムズはそう言うや否や自機のスラスターを吹かせると一気に森を抜けて上空へと高くジャンプし、其れに従って他のジン・アマゾネスもスラスターの保護カバーを開くとスラスターを使用したジャンプを使用する。此れまでの遅々として進まない歩行と違い、一気に数百mを飛び越えて進んで行く。物の数分も建たない内にアダムズ中隊は基地へと辿り着くも、その努力は身を結ばず彼らを迎えたのは残骸と化した基地だった物であった。

『クソ、間に合わなかったか!!』

「まだ、敵が居る可能性も有る、各機は警戒しろ!」

『隊長、あそこに!』

周囲の警戒に移ろうとしていたキムのジンが調度基地の倉庫だったと思われる残骸の影を指差すと、調度森林の奥へと向かおうとしている小隊規模のMS隊の姿が有った。敵機と思われる機体は全機が深い蒼色で塗装され、その内の一機が他の機体とは違うザフトの機体にも近い形状をしており何らかの特殊機体で有る事が伺える。そして、相手側も此方に気が付いた様子で此方を振り返ると警戒した様子で其々武装を構え、お互いに睨み合う。そんな、硬直状態に陥りながらアダムズは連携を取ろうと各機へ通信を繋げる。

「気を付けろ連中、立った数分でこの基地に居た2個中隊規模の部隊を壊滅させた奴等だ」

『何を躊躇って居るんですか、ナチュラルのMS何ぞ!』

アダムズの警告も空しく、此処までのストレスと今までのナチュラル蔑視の姿勢が強かったトーマスは隊長の言葉を無視すると其の侭自分の部下達共にスラスターを吹かせて、散弾銃と僚機のマシンガンで弾幕を張りながら正体不明のMS部隊へと攻撃を仕掛ける。
しかし、その後見せた光景は咄嗟に止めようとしたアダムズ達も驚くべき結果を齎す事と成る。

トーマスの小隊はアダムズ側から見て一番近に居たモノアイの機体へと攻撃を仕掛けるが、当の敵機はザフトのMSでは有り得ない様な運動性を発揮して、必要最小限の動きでトーマス小隊の弾幕を回避すると腕部に装備していたと思われるビーム兵器によってトーマスの僚機を打ち抜いて撃破し、其の侭スラスターで低空飛行に近い状態で接近すると両腕に所持していた赤熱していると思われるサーベルによって散弾銃を切断し、更に横一文字に機体を切断した。

一瞬の内に行われたこの攻撃に対してアダムズは完全に硬直しており、トーマスの機体が爆発した事によって現実に戻され各機共に武装を構えるも蒼い機体の小隊は其の侭スラスターを吹かせて基地跡地より離脱している。完全に敵機が撤退したと思われた所でアダムズの下にサントスより通信が入る。

『追いますか?』

「いや、今の我々ではさっきのトーマスの二の舞だ、トーマス隊の事は残念だが此処は近くの基地から救援を求める。
お前たちは周囲から生存者を救出してくれ・・・」

『『了解しました。』』

その後、襲撃してきた敵機が歩兵では無くMSや基地施設を優先して攻撃を加えていた事から生存者も有る程度救助することも出来たが第24哨戒基地は修復困難と成り、放棄されアダムズを始めたとしたザフト地上軍も北米への侵攻作戦に失敗した事でオーブへと撤退した事によって結局襲撃してきたMSの正体をアダムズ隊の面々は知る事無く終戦を迎えている。

975: ナイ神父Mk-2 :2017/09/12(火) 01:18:41
以上ですWIKIへの転載は自由です。取り合えず作中で有った南米での陽動作戦の一部の光景を少し描写してみましたが、中々キャラの描写が上手く書けませんね・・・感想の返信に関しては明日の仕事の終了後に可能なら遣りたいと思います。

タグ:

大陸SEED
+ タグ編集
  • タグ:
  • 大陸SEED

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月07日 00:28