142: 第三帝国 :2019/08/18(日) 22:31:03 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――史記「鎮守府の白い魔王」

―――――――神崎島鎮守府、統合軍令本部の玄関ホールにて。


「ったく、喧嘩を吹っかけてきたのは向こうだってのに、
 こちらからやり返すのは禁止だと?野上ぃ、俺たちなら渡洋爆撃再びなんて楽勝だろ?
 別に都市部を攻撃するわけでなく海南島あたりの軍事基地を民間人に被害を出さずに爆撃する程度なら・・・」

爆撃機「富嶽」という名の実質Tu-95な代物を指揮下に置く野中五郎中佐が憤慨する。
大陸勢力の尖閣諸島への上陸を皮切りに、「ギガヘキサ来訪に際して国連で一度議題に上がった日本隔離案に対する自主的な履行」と称して南シナ海でのシーレイン封鎖、
さらに「広義的に敵国条項に接触する」神崎島への懲罰として始まった無差別攻撃に血圧が完全に上がっていた。

「駄目です。
 それをすれば『また』悪者になりますよ。
 何せ欧州から見れば日本なんて悠長な歴史を持つ平和な国を虐めた上に未だ反省していない、で結論してますから」

野中五郎中佐の憤慨に対して野上大尉が皮肉を込めた淡々と窘める。
口元を曲げたので頬にある大きな傷跡が歪んでいる。

「はん!
 アルジュリアとか中東を散々引っ掻き回した連中がよく言うぜ。
 ようは植民地経営というおまんまを日本に食い上げられて逆恨みしているだけだろ」

野中が侠客言葉で罵倒する。

「だがこの世の理屈は確かにそうなっている。
 しかしな、インテリ気取った高等遊民な連中がしたり顔で当然の報いだの戯言言っているのが腹が立つ――――――」

日本国内に限らずリベラルを自認する知識人。
彼らが垂れ流している的外れな言論について野上は何も言わず頷く。
2人の視線の先には無人操作された旅客機による自爆攻撃で半壊した統合軍令本部がある。

143: 第三帝国 :2019/08/18(日) 22:31:45 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
周囲では未だ瓦礫の撤去と捜索活動が続いており、
かつてのテロ事件に匹敵する悲惨な光景であるが進歩的知識人からすれば、
無駄死、犬死を強要したカミカゼよりも人道的で知恵があると称賛してやまない。
しかも弾道ミサイルを使わず敢えて無人の航空機を使用した点は慈悲深さと冷静さの表れと主張する。

「兎も角、これから忙しくなるぞ。
 渡洋爆撃をしないって話ならやるとすればマレー沖再びだ。
 野上ぃ、基地に戻ったらすぐ前に本土から届いた対艦ミサイルの在庫を調べろ。
 俺は予備保管状態にある陸攻と娑婆に出た連中の全てを集めて回るつもりだ」

「陸攻、まさか九六式も?それは・・・」

「流石に一式までだ。
 使うのが桜花なんぞよりよっぽど使い勝手のいい槍でも、な」

そう野中が言い統合軍令本部を後にしようとするが、
目の前を少女2人、それと1人のイゼイラ人が通り過ぎる。

3人ともよく知る人物で、
内1人は上官であったので咄嗟に敬礼する。

「やべぇ、白い魔王だ」

「魔王でしたね」

3人が通り過ぎた後、
野中と野上が冷や汗をかく。
上官に当たるリリカルな某魔法少女のアバターをした妖精さんから、
たっぷり「お話」と「可愛がられた」ことがあるだけに2人して震える。

「勇猛果敢で指揮官先頭。
 そんな人がなぜあのイゼイラ人―――――ヴェルデオ大使を連れていたのでしょう?」

都市型探査艦「ヤルバーン」のトップと共に行動していた点に野上が疑問を零す。
現場第一主義者な人間と政治サイドにいる人物との接点がまるで浮かばない。

「政治のことなんざ分かんねーが、
 決まっている、この戦いを手早く済ませるためだよ。
 あの魔王様は得意で大好きなんだぜ、何もかも吹き飛ばすのが」

そう野中が締めくくった。


背後に魔王と言われた本人がいることを知らずに・・・。




おわり

144: 名無しさん :2019/08/18(日) 22:37:12 HOST:vc008.net027098049.thn.ne.jp
乙です。

こりゃ2人まとめて「全力全壊!」かな?

145: 第三帝国 :2019/08/18(日) 22:37:33 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
この話は「銀河連合日本」の第35話あたりに相当し、
「戦略機動演習」より先の話になります。


追記
まったく投稿と感想米できなくてすまない・・・。

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最終更新:2019年08月23日 19:49