619: 加賀 :2019/09/21(土) 19:16:40 HOST:softbank126224190006.bbtec.net


「駄目です。これ以上の維持は……」
「……やむを得んか、総員退艦せよ!」

 『沖縄沖海戦 第二夜戦』の最中、空母『加賀』は遂に力尽きて伊江島沖にその巨体を波間に没する事になる。『加賀』は日中に米二個機動部隊からの攻撃を『大和』以下主力戦艦から守るために『瑞鶴』と共に自ら囮となり一身に受け大破していた。曳航しようにも傾斜が酷くなる一方であり艦長は雷撃処分とする事にしたのだ。

「そうだ、『瑞鶴』に発光信号だ」

 転生者の艦長は『瑞鶴』に発光信号を送る。

『後ハ任セタゾ、一航戦』

 その発光信号に答えるが如く、『瑞鶴』は汽笛を鳴らし、2030に『加賀』は『瑞鶴』に看取られながら波間に没するのである。なお、『瑞鶴』も飛行甲板と舵をやられており囮となるのは不能なため『谷風』『浦風』に護衛されて帰還する事になる。

「クソ、機動部隊のパイロットはどれもヒヨコばかりだ。そこを狙ってきたか」

 空母『加賀』の撃沈をもたらした攻撃隊だが、『加賀』沈没『瑞鶴』大破後退を引きずり出すのに五波の攻撃を送る事となりしかも最目標たる『大和』『武蔵』『陸奥』の撃沈すら至ってない。だが戦艦部隊を率いるディヨー中将は日本の戦艦に命中弾を与えてない事にパイロットの錬度低下を嘆きつつも戦艦同士の艦隊決戦を行う事に燃えていた。

「『ヤマト』がいようが我々は最強なのだ」

 ニヤリと笑うディヨー中将だが海戦後にディヨー中将を目撃した人物は誰一人いないのであった。
 2245、『大和』の22号水上電探は接近してくる米戦艦部隊を探知した。

「団体さんの御付きだ。盛大に出迎えてやるぞ」

 第二艦隊は直ちに戦闘配置についた。そして2326、第二艦隊と第58任務部隊第5任務群は激突する。
 最初に激突したのは両軍の前衛隊である。米軍は乙巡二隻に駆逐艦六隻、対して第二艦隊は第四戦隊の『鈴谷』、第2駆逐隊の『五月雨』『霞』に第17駆逐隊の『雪風』『磯風』だった。
 先手を取ったのは米前衛隊だった。前衛隊の乙巡が放った15.2サンチ砲弾が『五月雨』の魚雷発射管を貫き爆発、『五月雨』は船体が真っ二つになるも沈没するまでに一番砲が砲撃を続ける程だった。『五月雨』の轟沈に『鈴谷』は20.3サンチ砲を大鉈を振るかの如く二隻の乙巡に乱打して一隻は炎上、もう一隻を中破させた。更に『愛宕』『不知火』『黒潮』『秋雲』の増援が到着して戦力が反対となり米前衛隊は乙巡二隻、駆逐艦二隻を撃沈されて後退した。
 勢いに乗りだそうとしたがそこで米主力が到着したのである。ディヨー中将の方針はシンプルであった。
敵の巡洋艦及び水雷戦隊をこちらの巡洋艦及び水雷戦隊で抑える間に、アイオワ級4隻を以て『大和』『武蔵』『陸奥』を叩きのめすというものであった。
 ディヨー中将は彼我の経験差から、複雑な艦隊運動を行った場合、日本海軍に付けいれられると考えており、
それならばそれぞれの役割を固定することで、夜戦で必ず生じる混乱を防ごうとしたのである。

「クソ、厄介だな」

 米艦隊の動きを見た宇垣中将は心底嫌そうな表情をするがその動きに乗る事にした。彼は彼らの思惑に乗ることによって、彼らの油断を誘い、一瞬の隙をついてこれを倒す。レイテ沖海戦のサンベルナルジノ海峡で見せた日本海軍の夜戦の練度に彼は賭けたのである。
 宇垣中将の考えに呼応する形で突撃したのは『比叡』『霧島』だった。二隻は初めから殴り合いを諦めており水雷戦隊の突破口となる敵巡洋艦部隊の撃滅に乗り出したのである。この動きに米艦隊は動いた。高速の金剛型に戦場を引っ掻き回されては敵わないとみたのか『ウィスコンシン』『マサチューセッツ』『アラバマ』が『比叡』『霧島』に砲撃を集中したのである。

「探照灯照射!! ルンガ沖の借りを返そうか」

 二隻を率いる阿部中将は約二年半前の再来に苦笑しつつ探照灯照射を命令。探照灯に浮かび上がった『ウィスコンシン』に『比叡』『霧島』が砲撃を集中し二隻から滅多撃ちされた『ウィスコンシン』は炎上するもバイタルタートを破壊する事が叶わなかった。それを支援する形で『武蔵』が二発を叩き込んで漸く『ウィスコンシン』は行動を停止した。しかし、探照灯を照射していた『比叡』も『アイオワ』以下の戦艦から滅多撃ちにされ40サンチ砲弾が11発命中して行動を停止したのである。

620: 加賀 :2019/09/21(土) 19:17:33 HOST:softbank126224190006.bbtec.net
「後は頼んだぞ……」

 下半身を吹き飛ばされた阿部中将はニヤリと笑いつつ息を引き取るのである。『霧島』は乙巡3隻を撃沈しつつも『マサチューセッツ』『アラバマ』を相手に35.6サンチ砲という大鉈を振り回して二隻を炎上させるのが限界だった。『霧島』も16発の40サンチ砲弾が命中するも炎上しながら行動を停止した。しかし、『霧島』に砲撃が集中した事で『大和』『武蔵』が二隻に砲弾を叩き込んで二隻も『霧島』の後を追うが如く行動を停止して波間に没するのである。あっという間に二隻を沈められた米艦隊だが焦る事なく『陸奥』に砲撃を集中、『陸奥』は26発の40サンチ砲弾を受けながらも『ニュージャージー』に意地とも言える三発の命中弾を叩き込み、第三砲塔から誘爆しつつ波間に没する。二対三になった第二艦隊だが更なる悪夢が襲う、『高雄』以下の巡洋艦部隊との交戦を切り抜けた『フレッチャー』以下の駆逐艦八隻が『武蔵』に突撃したのだ。
 それでも『武蔵』は落ち着いて『フレッチャー』以下二隻を撃沈するも至近距離で魚雷を発射され八発が命中し大量浸水をする事となり『武蔵』はガクッと速度を急激に落としてしまう。

「『ムサシ』を仕留める機会だ!!」

 アイオワ級三隻は『武蔵』に砲撃を集中、実に33発の命中をさせられた『武蔵』はそれでもなお『ニュージャージー』に三発を叩き込んで『ニュージャージー』を撃沈するも第二派の突撃した駆逐艦八隻の魚雷発射で止めとも言える14発が命中。『武蔵』はそれでも浮いていたが海戦が終わる前に伊江島沖に没したのである。

621: 加賀 :2019/09/21(土) 19:20:15 HOST:softbank126224190006.bbtec.net
  • 受け継がれた一航戦
  • 『比叡』『霧島』、怒りの逆襲
  • 五藤中将の役割を阿部中将が補ってしまう
  • 武蔵「戦艦が簡単に沈むか!」

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最終更新:2019年09月22日 12:06