741: 加賀 :2019/09/24(火) 14:54:50 HOST:om126208246179.22.openmobile.ne.jp


「海軍は何としている?」
「フレッチャー大将の機動部隊がチシマ列島に向かっています。その後方には武装解除を目的とした上陸船団が展開しています」
「チシマは良し。カラフトとマンシューは?」
「カラフトのジャップ……失礼、ジャパン軍はハシモト艦隊の援護の元、ソ連の戦線を撃破してアレクサンドロフスク・サハリンスキーを占領、更に油田があるオハまで迫る勢いです」
「確かジェネラル・スギヤマが戦死したそうだな」
「はっ、市民を逃がすために戦車部隊を率いて敵戦車部隊壊滅と引き替えに戦死したとの事……」
「ジャップジャップと思っていたが中々どうして……我々は戦う相手の選択を間違っていたかもしれないな」
「プレジデント……」

 ウォーレスはマーシャル陸軍元帥とリーヒ海軍元帥からの報告に苦笑する。

「それで落とし所はどう見るかね?」
「やはりマンシューは当然と見るでしょう。ですがチシマ、カラフトは……」

 ウォーレスの言葉にマーシャルは口ごもる。特に千島列島の占守島には米陸軍一個連隊が第91師団と戦車第11連隊と共に奮戦して血を流していたのだ。更に樺太にも先頃二個連隊が空母『信濃』を旗艦とする艦隊に護衛されて上陸している。

「スターリンは納得するでしょうか?」
「納得せざるを得んよ。我々は既に戦後の構築を始めている。特に日本は此方側には必要なのは君達も承知の上だろう?」

 紙爆弾の一件から軍や政界でも「日本は西側に入れるべき」という声が大多数だった。更には陛下とパットンが会談をして陛下の「私は、国民が戦争遂行にあたって、政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対する全責任を負うものとして、私自身を、あなたの代表する諸国の採決に委ねるため、おたずねした」という言葉に心を打たれ仕舞いには「この人を此処で生涯を終えてはいけない」と強く誓う程でありパットンが親日になる一つの要因でもあった。
 パットンからの報告で天皇を処罰すべきではないとウォーレスも判断をし戦争責任を求める連合国(特に中国)等には強く自制を求め、何とか矛先を東條等に変える事に成功している。
 そして千島列島では8月22日に動きがあった。

「あの星マークは我が米軍機だ!?」
「そうか、アメリカが漸く来たか……」

 再びソ連が竹田浜に上陸した事で激戦を繰り広げていた占守島守備隊は上空に溢れんばかりの星付きマークを見て歓声を上げていた。
 フレッチャー大将の機動部隊が漸く千島列島近海に到着、攻撃隊を発艦させていたのだ。米軍の本格的な参戦によりソ連軍は占守島から撤退を開始するのである。更に樺太でも橋本中将の第二艦隊の支援の元、第88師団がオハを占領した事でオハ油田の確保は元より樺太からソ連を叩き出す事に成功した。
 しかし、満州では関東軍もその戦力を尽きようとしていた。

「邦人の避難は?」
「全て終わりました。残るはこの旅順にいる我々だけです」

 史実より戦力はそれなりにあった関東軍だがやはり数の暴力には多勢に無勢であり旅順に籠る8万が最後の手持ちだった。

「何としても死守だ。海軍が必ず来てくれる」

 この時、海軍も空母『鳳翔』を筆頭に第七艦隊として旅順の陸軍を救出すべく黄海沖を航行していた。しかも監視として米海軍から護衛空母二隻と駆逐艦五隻も艦隊に加わり急行していたのだ。

742: 加賀 :2019/09/24(火) 14:55:44 HOST:om126208246179.22.openmobile.ne.jp

「これはガダルカナルの再来だな」

 第七艦隊司令長官の牧田中将はそう呟く。旅順の上空は日本軍ーー再編成された343空を筆頭に陸海の戦闘機がソ連空軍を蹴散らしていた。

「肝心のウラジオストク艦隊は吉良中将の三艦隊が撃滅している……後は救出するだけだ」

 斯くして8月25日、第七艦隊は旅順に到着し残存の関東軍を収容して無事に舞鶴に帰還し彼女達は任務を完遂したのである。
 このソ連軍の失態にスターリンは怒りはしながらも米国の本格的な参戦に恐れそれ以上の追求はしなかった。スターリンとしてはシベリアを開発するための人的資源が思ったより手に入らなく(それでも多数の日本軍捕虜は存在した)開発スケジュールに遅れるとは思っていた。

「まぁ良い……太陽は此方も手に入れているのだからな」

 アメリカ政界等のスパイが一斉摘発されたのは痛い損害だがそれでも収入はあったのだ。

「……ここいらが潮時だろうな」

 26日、ソ連も連合国としてワシントン宣言を受諾する事を発表。そして9月2日、日本政府は戦艦『コロラド』にて正式に連合国との降伏文書に調印、此処に日本は満州事変から始まった激動の歴史に一先ずの幕は降りたのである。
 しかし、それは後に冷戦と言われる世界構図の幕開けに過ぎなかったのであった。







「やぁ橋本さん」
「お、松田に五藤さんじゃないですか」

 終戦から一月、橋本達は久しぶりに三人で集まっていた。

「何とか終わりはしましたけど、史実より大分違いますねぇ……」
「俺の戦死も免れたしな!」
「五藤さんにはソロモンで戦死してほしくはなかったですからね。苦労しましたよ」
「ところで橋本さんは暫くはどうするつもりで?」
「まだ海軍の残務処理があるからな。それが終われば温泉にでもゆっくりとしようかなと思っているよ」
「それは良いな」
「後は嶋田さん……阿部大佐らに任せるとしますかな」
「ハッハッハ、嶋田さんは相変わらず仕事と辻からは逃げられませんな」
「違いない!!」
『ハッハッハ!!』

 三人はそう言って笑いあうのであった。








「ところで二人もあんこう踊りをしましょうよ」
「貴様!! ガルパン民だな!! 俺はストパン民なんだよ!!」
「そんなのより瑞雲踊りですをね!!」
『喧しいわ!!』

 何とも締まらない三人だった。

743: 加賀 :2019/09/24(火) 15:06:07 HOST:om126208246179.22.openmobile.ne.jp


てなわけで戦後夢幻会ifの物語は一先ずここいらで終わり、一旦の筆を置きます。
いやぁ、2005年の時にEarthさんのサイトを見つけてからはずっと読み専でしたがなろうの方で自分も執筆をしていたのでいつか此処でも書こう、書こうと思っていたので今回此処で執筆出来たのは支えてくださった皆様のお陰でございます。
橋本らに焦点を当てたのはそれなりに実戦を経験していたのと戦死していた、後は瑞雲ですかね(何
今後の予定は未定ですがもしかしたら朝鮮戦争時に橋本らの復活話をするかもしれません。(予定は未定なもので)
まぁ基本はなろうとかにいてるので文書的に「あ、こいつだ」と思ったら自分です(笑)
え?誰か教えてほしいからヒント?
ヒント……過去にリラックスさんがなろうの作品を貶していたのが自分が書いた作品です(核爆)
それではありがとうございました

746: 加賀 :2019/09/24(火) 16:56:30 HOST:om126208246179.22.openmobile.ne.jp
これを張り忘れてました

終戦時残存艦艇
戦艦
『長門』『伊勢』『日向』
『金剛』『榛名』(宜野湾にて着底)

空母
『瑞鶴』『信濃』『笠置』『阿蘇』『生駒』『龍鳳』『鳳翔』
『神鷹』『大鷹』(海上護衛隊)

甲巡
『高雄』『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』
『利根』『筑摩』『最上』『愛宕』『摩耶』『鈴谷』(宜野湾にて着底)

乙巡
『五十鈴』『矢矧』『酒匂』『那珂』
『大淀』(宜野湾にて着底)

駆逐艦
『雪風』『磯風』『浦風』『谷風』『浜風』『吹雪』『長波』『朝霜』『清霜』『楓』『梨』『萩』『涼月』『冬月』『照月』



五藤中将の南洋方面艦隊も残存

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2019年09月27日 12:46