901: 加賀 :2020/03/22(日) 14:54:55 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「前年はタラント空襲や日華基本条約の調印……」
「そして今年は春から日米交渉の開始に日ソ中立条約の成立……」
「海軍さんは?」
「一航艦の創設に零戦の増強……」
「陸軍も隼の増強にチハの増強……」
『後は待つのみ』
1941年、6月まではほぼ史実通りと言って良いだろう。だが6月30日、独ソ戦を始めたドイツが日本に対して対ソ参戦を申し上げた事で少しだけ事態は動いた。
「今の陸軍ならシベリア一帯は占領出来る」
大陸戦線を整理したので満州方面に兵力が移動し、それを関東軍を増長させる動きを高めてしまうのである。更に総理の近衛文麿も関東軍の現有兵力では満州工業地帯を防衛するのが困難と判断して関東軍の主張を支持してしまう。
「あのクソ野郎ぉ……」
報告を受けた杉山がワナワナと身体を震わせ怒りを堪えながらも関東軍の動きを制す事になるが全ては時既に遅しであり兵力はほぼ史実の動員となる。(関東軍特種演習)が、それでも北進論を抑える事に成功しシベリアへなだれ込むのは四散した。
7月28日、日本はフランス領インドシナの南部へ進駐を開始した。後の南部仏印進駐である。この南部仏印進駐で日本は自身の首を更に絞める事となり8月1日にはアメリカが石油の対日輸出全面禁止を発表するまでに至るのである。
10月16日、遂に近衛が内閣を投げ捨てて総辞職を敢行した。近衛の逃げに陛下は落胆しながらも18日には東條英機が内閣総理大臣となり東條内閣を組閣するのである。
そんな中、近藤は第二艦隊司令長官に就任、橋本らもそれぞれの艦や水雷戦隊司令官に就任していた。
「やはり真珠湾はやりますか?」
「駄目だね、山本さんはやる気だよ」
いつもの料亭に集まった橋本達は近藤の報告に何処かしこからも溜め息が聞こえた。
「では……?」
「数日中には出師の準備が始まるよ。いよいよ始まる」
11月13日、岩国航空基地で連合艦隊(南遣艦隊を除く)の最後の打ち合わせが行われた。
「百年兵を養うはただ平和を護るためである。もしこの命令を受けて帰れないと思う指揮官があるなら只今から出勤を禁ずる。即刻辞表を出せ」
山本がそう激しく主張する中、出席していた山口は思わず手をあげようとしたがやめた。
(嶋田さんならどう思うかな……)
そう思う山口だった。第一航空艦隊は史実通りの編成を終えた。そして11月22日、南雲中将の第一航空艦隊は択捉島の単冠湾に集結したのである。山口は湾内に集結する各空母を見ていた。これが見納めになるかもしれないからだ。
「俺達は何をしようとするのだろうな……なぁ『飛龍』よ?」
山口は『飛龍』に語りかけるがモノ言わぬ『飛龍』は何も答えない。
「遂にですかな」
空母『瑞鶴』の戦闘機隊に配属された岩本も横川艦長からの出撃開示後に飛行甲板から各空母を見ていた。
「やっぱ見納めですよねぇ……『瑞鶴』、今度は生き残ってくれよ? 坂井の話では生き残ったらしいけど俺が過ごした戦後にお前はいなかったからな……」
語る岩本に『瑞鶴』は何も言わない。
「ま、今度は250機くらい撃墜したら『瑞鶴』も生き残るかな」
ニヤリと笑う岩本だった。そして26日、第一航空艦隊はハワイへ向けて単冠湾を出港したのである。そして海軍も作戦準備を急がせていた。
「さて……今回違うのは二ヶ所か」
第二艦隊旗艦『愛宕』の艦橋で近藤はポツリと呟くが誰も聞いていなかった。今回、近藤らの南方方面部隊(第二艦隊)には就役したばかりの軽空母『祥鳳』『瑞鳳』が組み込まれていた。
そして他にも違うのはあった。ミッドウェー島砲撃部隊とウェーク島攻略部隊である。彼等は10月に改装からの再就役を果たした『伊勢』型航空戦艦(所属は第四航空戦隊)が組み込まれており搭載する瑞雲は最新鋭の水上機である。
「鬼が出るか蛇が出るか……見物だな」
そう言ってニヤリと笑う近藤であった。
902: 加賀 :2020/03/22(日) 14:57:09 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「前年はタラント空襲や日華基本条約の調印……」
「そして今年は春から日米交渉の開始に日ソ中立条約の成立……」
「海軍さんは?」
「一航艦の創設に零戦の増強……」
「陸軍も隼の増強にチハの増強……」
『後は待つのみ』
1941年、6月まではほぼ史実通りと言って良いだろう。だが6月30日、独ソ戦を始めたドイツが日本に対して対ソ参戦を申し上げた事で少しだけ事態は動いた。
「今の陸軍ならシベリア一帯は占領出来る」
大陸戦線を整理したので満州方面に兵力が移動し、それを関東軍を増長させる動きを高めてしまうのである。更に総理の近衛文麿も関東軍の現有兵力では満州工業地帯を防衛するのが困難と判断して関東軍の主張を支持してしまう。
「あのクソ野郎ぉ……」
報告を受けた杉山がワナワナと身体を震わせ怒りを堪えながらも関東軍の動きを制す事になるが全ては時既に遅しであり兵力はほぼ史実の動員となる。(関東軍特種演習)が、それでも北進論を抑える事に成功しシベリアへなだれ込むのは四散した。
7月28日、日本はフランス領インドシナの南部へ進駐を開始した。後の南部仏印進駐である。この南部仏印進駐で日本は自身の首を更に絞める事となり8月1日にはアメリカが石油の対日輸出全面禁止を発表するまでに至るのである。
10月16日、遂に近衛が内閣を投げ捨てて総辞職を敢行した。近衛の逃げに陛下は落胆しながらも18日には東條英機が内閣総理大臣となり東條内閣を組閣するのである。
そんな中、近藤は第二艦隊司令長官に就任、橋本らもそれぞれの艦や水雷戦隊司令官に就任していた。
「やはり真珠湾はやりますか?」
「駄目だね、山本さんはやる気だよ」
いつもの料亭に集まった橋本達は近藤の報告に何処かしこからも溜め息が聞こえた。
「では……?」
「数日中には出師の準備が始まるよ。いよいよ始まる」
11月13日、岩国航空基地で連合艦隊(南遣艦隊を除く)の最後の打ち合わせが行われた。
「百年兵を養うはただ平和を護るためである。もしこの命令を受けて帰れないと思う指揮官があるなら只今から出勤を禁ずる。即刻辞表を出せ」
山本がそう激しく主張する中、出席していた山口は思わず手をあげようとしたがやめた。
(嶋田さんならどう思うかな……)
そう思う山口だった。第一航空艦隊は史実通りの編成を終えた。そして11月22日、南雲中将の第一航空艦隊は択捉島の単冠湾に集結したのである。山口は湾内に集結する各空母を見ていた。これが見納めになるかもしれないからだ。
「俺達は何をしようとするのだろうな……なぁ『飛龍』よ?」
山口は『飛龍』に語りかけるがモノ言わぬ『飛龍』は何も答えない。
「遂にですかな」
空母『瑞鶴』の戦闘機隊に配属された岩本も横川艦長からの出撃開示後に飛行甲板から各空母を見ていた。
「やっぱ見納めですよねぇ……『瑞鶴』、今度は生き残ってくれよ? 坂井の話では生き残ったらしいけど俺が過ごした戦後にお前はいなかったからな……」
語る岩本に『瑞鶴』は何も言わない。
「ま、今度は250機くらい撃墜したら『瑞鶴』も生き残るかな」
ニヤリと笑う岩本だった。そして26日、第一航空艦隊はハワイへ向けて単冠湾を出港したのである。そして海軍も作戦準備を急がせていた。
「さて……今回違うのは二ヶ所か」
第二艦隊旗艦『愛宕』の艦橋で近藤はポツリと呟くが誰も聞いていなかった。今回、近藤らの南方方面部隊(第二艦隊)には就役したばかりの軽空母『祥鳳』『瑞鳳』が組み込まれていた。
そして他にも違うのはあった。ミッドウェー島砲撃部隊とウェーク島攻略部隊である。彼等は10月に改装からの再就役を果たした『伊勢』型航空戦艦(所属は第四航空戦隊)が組み込まれており搭載する瑞雲は最新鋭の水上機である。
「鬼が出るか蛇が出るか……見物だな」
そう言ってニヤリと笑う近藤であった。
903: 加賀 :2020/03/22(日) 15:14:34 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
今回は短めです
最終更新:2020年03月25日 18:53