946: 加賀 :2020/06/21(日) 13:29:25 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp



「珊瑚海は漸く勝てたかな」
「肝心のポートモレスビーは攻略してないので戦術的ですけどね」
「だが『翔鶴』の損傷が軽いのは大きいな。その代わりに『祥鳳』は大破して暫くは無理だが……」
「磔にされるよりはマシでしょう」
『アニメの話はやめろ』(戒め)







 1942年5月3日、志摩少将の第19戦隊はフロリダ諸島に上陸したが小競り合い程度の戦闘で終了し日本軍の上陸作戦は成功した。直ちに水上機基地の設営を開始、同日夕方までに設営を完了した。しかし翌日早朝、第19戦隊の旗艦である敷設艦『沖島』の対空電探が飛来する敵編隊を探知したのである。

「全艦対空戦闘用意!!」

 志摩少将はそう命令をする『沖島』の左舷に停泊していた水上機母艦『瑞穂』からはカタパルト発艦にも対応可能な二式水戦改が次々と発艦していた。その数12機でありツラギの水上基地からも8機の二式水戦改が離水中だった。
 結果的に言えば、第19戦隊主力のツラギ攻略部隊は迎撃に成功した。駆逐艦『菊月』は爆弾二発が命中して炎上するも大破で沈没する事はなかった。
 逆にツラギを空襲した空母『ヨークタウン』航空隊の被害が大きかった。F4F 4機、SBD11機、TBD8機を喪失しており『ヨークタウン』は補充機が無いまま珊瑚海海戦を迎える事になるのである。

「ツラギが空襲を受けたか……」
「気象班の報告では珊瑚海は一週間程度は雲・スコールを含む天気が断続的に続く模様です」
「やむを得ん。」

 MO機動部隊の空母『翔鶴』では第五航空戦隊司令官の原少将らの司令部は頭を悩ませていた。MO機動部隊は史実+『加賀』『祥鳳』等の艦艇が増強されており戦力は充実していたが自然には勝てなかった。


MO作戦
MO機動部隊
司令官 高木武雄少将
第一航空戦隊
『加賀』
第四航空戦隊
『祥鳳』
第五航空戦隊(司令官 原忠一少将)
『翔鶴』『瑞鶴』
第五戦隊(司令官 高木少将)
『妙高』『羽黒』
第七戦隊第二小隊
『鈴谷』『熊野』
第三水雷戦隊
乙巡『川内』
第11駆逐隊
『吹雪』『白雪』『初雪』『叢雲』
第19駆逐隊
『磯波』『浦波』『敷波』『綾波』
第20駆逐隊
『天霧』『朝霧』『夕霧』『白雲』

第7駆逐隊
『曙』『潮』
第27駆逐隊
『有明』『夕暮』『白露』『時雨』



(最悪は一旦引き下がるか……)

 航空戦に疎い原だったがセイロン作戦で帰還中に二航戦司令官の山口少将から航空戦に関して講義を受けており少なくとも現時点では薄暮攻撃を行う等は考えていなかった。

「まずは敵の所在をハッキリとする事だ。攻撃はそれからでも良い」

 まずは敵を確認する事、原はセオリー通りの攻撃をする事にしたのである。そのため索敵中に油槽艦『ネオショー』と護衛の駆逐艦『シムス』を加賀の飛行隊が発見したりするが原は攻撃隊を送らずに見送ったのだ。
 そして5月8日0622、『翔鶴』から発艦した菅野飛曹長機は米機動部隊を発見する。

「敵空母です!!」
「全機発艦!! 始めェ!!」

 三空母で待機していた攻撃隊は原少将の命令を受けて発艦を開始した。零戦42機、九九式艦爆54機、九七式艦攻60機は総隊長高橋少佐の指揮の元で米機動部隊に向かうのである。なお、この時三空母には離陸滑走距離を短くするために開発された補助ロケット推進のRATOが搭載されており発艦した全零戦と九九式艦爆の半分に装着されていた。
 そのため、三空母でありながらほぼ全力攻撃が出来たのである。そしてMO機動部隊護衛に残ったのは『祥鳳』の零戦隊21機と各空母から選抜して選らばれた16機(補用機も含む)の37機の零戦だった。その一方でフレッチャー少将の米機動部隊もMO機動部隊を発見しており攻撃隊を発艦させていた。

(空母四隻とは……情報部め、何が空母二隻だ。話が違うぞ)

 情報部からの報告では空母二隻と伝えられていたフレッチャー少将だが現実は全く違っていたのだ。

「敵空母の飛行甲板を叩いたら逃げるぞ。無闇に戦力を喪失するワケにはいかん」

 フレッチャー少将は野球で例えると一塁への牽制してランナーをアウトにしてチェンジにする戦法にしたのだ。だがフレッチャー少将は選択を間違っていた。四隻の時点で逃げるべきだったのである。
 0915、攻撃隊はフレッチャー少将の第17任務部隊を発見したのである。

「野津、『ト・ツ・レ』だ!!」

 指揮官の高橋少佐は『突撃隊形作れ』を意味する『ト・ツ・レ』を発信させる。兼子少佐率いる零戦隊は既に米機動部隊から発艦したF4F 17機、SBD16機と空戦を展開しており敗走させており攻撃隊は戦闘機の邪魔をされる事なく攻撃位置に辿り着けたのだ。

947: 加賀 :2020/06/21(日) 13:30:10 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「『ト連送』だ!!」

 隊形を作ったと判断した高橋少佐はト連送を発信、攻撃隊は攻撃を開始する。高橋少佐の『翔鶴』艦爆隊18機は『レキシントン』に狙いを定めた。

「『レキシントン』に突入する!! 全機続け!!」

 18機は一斉に急降下を開始した。無論、『レキシントン』も対空砲火を撃ち上げて急降下爆撃を阻止しようとする。しかし、高橋隊は250キロ爆弾の投弾に成功。四発が『レキシントン』に命中した。しかも高橋少佐が投下した250キロ爆弾は『レキシントン』の中部エレベーターに直撃していた。運が悪い事に『レキシントン』では戦闘機隊を追加発艦させようとしておりこの最中に高橋隊が襲い掛かったのだ。そのためエレベーターは下がる途中で止まっておりそこに250キロ爆弾が突っ込んだのである。
 中部エレベーターは瞬く間に破壊、しかも250キロ爆弾が解放した爆風は格納庫で待機していたF4Fを吹き飛ばし積載燃料に引火し炎上させていたのだ。このため『レキシントン』は瞬く間に猛火に包まれたのである。
 更に止めを刺すが如くに30機の九七式艦攻が左右から襲い掛かり『レキシントン』は六発の水柱を噴き上げる事になる。
 一番の不幸は『ヨークタウン』だったかもしれない。『ヨークタウン』には『加賀』隊全機と『瑞鶴』隊半数が襲い掛かったのだ。『加賀』の艦爆隊は雲を利用して急降下爆撃を敢行、不意を突かれた『ヨークタウン』は八発が命中。更に嶋崎少佐率いる『瑞鶴』艦攻隊と橋口少佐率いる『加賀』艦攻隊が左右から突撃、七発が命中して止めを刺されたのであった。

「勝ったな」

 そう呟く橋口少佐だがMO機動部隊も米機動部隊から放たれた攻撃隊に襲われていた。

「対空戦闘!!」

 37機の零戦隊の包囲網を潜り抜けた米攻撃隊は一心不乱にMO機動部隊に突撃する。空母『加賀』『瑞鶴』は前方に発生したスコールの中に逃げ込めれる事は出来た。
 だが『翔鶴』『祥鳳』は駆逐艦が発生させた煙幕の中に逃げ込んで攻撃をやり過ごそうとした。
 だが煙幕は『祥鳳』手前で強風によって流されてしまい『祥鳳』はその身を晒してしまう。それでも『祥鳳』艦長の伊沢大佐は『祥鳳』が囮になる事を選択した。

「三空母を守る。敵の攻撃は全てこの『祥鳳』が受け持つ!!」

 『祥鳳』は襲い来る米攻撃隊を回避するも爆弾五発が命中し飛行甲板大破、発着艦不能となる。良かった事と言えば『祥鳳』に接近したTBD隊を岩本飛曹長率いる『瑞鶴』零戦隊が全機撃墜して阻止した事であろう。
 しかし、煙幕に退避した『翔鶴』も煙幕が晴れた事で攻撃に晒され450キロ爆弾一発が命中して中破したのである。

「何とか退けたか……」

 『川内』に乗艦していた橋本は安堵の息を吐いた。 MO機動部隊は敵機動部隊の撃滅に成功したが此方も二隻が損傷したので後退を決意した。航空機はまだあったのでポートモレスビーに攻撃する事も可能だったが空母二隻ではMO作戦を継続する事が困難と四艦隊司令長官井上中将はそう判断をし9日に戦場離脱を命令をしたのである。
 この海戦でMO機動部隊は『祥鳳』大破、『翔鶴』中破、未帰還航空機53機(不時着水を含む)、デッコー処理航空機39機を出し後々の戦訓となるのであった。

948: 加賀 :2020/06/21(日) 13:37:00 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
てなわけで珊瑚海海戦をお送りしました。
  • 『加賀』(ヤリマシタ)
  • ちゃっかり生存している『瑞穂』
さて次はいよいよ……

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最終更新:2020年06月23日 10:57