413: 635 :2020/09/18(金) 07:52:44 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島 ネタ 鳥海は狐っ娘として拝まれるようです



山形県酒田市


今日の酒田の街は賑わっていた。
街には幾つもののぼりや旭日旗が上がり、マスコットキャラなのか稲穂と狐柄の着物を着た赤目に長い黒髪の狐っ娘の描かれたポスターやのぼりも存在した。
それもその筈酒田港に神崎島の重巡洋艦鳥海が来航し一般公開が行われるからだ。
東北地方では見ることの少ない大型軍用艦艇に街は沸き立た。
近隣の自治体からも大勢の人々が訪れていたが何か違うようだ。

鳥海の停泊する埠頭には長蛇の列が出来ていたがどういう訳だか子供連れが多い、親子連れや孫を連れた祖父母やリアカーを引く人が多数いる。
また、重巡鳥海の脇には大量の米俵や野菜、酒樽が山程積まれている。
一張羅を着た農家や商家と思しき人々が米俵や野菜、酒樽を載せたリヤカーを引きながら列に加わっているのだ。
重巡鳥海のタラップの前には人々を迎える艦娘の鳥海がいるのだが来る人来る人が鳥海を拝み、子供連れならば子供の頭を撫でてもらい、
農家や商家は米や酒を鳥海に奉納、もとい渡していく。
なんか鳥海の目は航空戦艦日向、いやチベットスナギツネの様に何処か遠い所を見るような目をしている。


「どうしてこうなったのかしら…。」



夜になっても酒田の街の繁華街に人が途切れることはなかった。
一人の男が居酒屋へ吸い込まれていく。
重巡鳥海の一般公開と聞いて首都圏から遠征して来た鳥海嫁の所謂機動力のある提督の一人だ。
居酒屋には仲間内だろう老人達と奥の席には四人の女性が座っている他大勢の人々がいる。
女性達は黒髪にショートボブ、金髪碧眼のセミロング、茶髪のショートヘアに黒髪のロングのなかなか美人揃いだ。
男は席に座りビールを注文すると店員と話をし出したた。


「いやあ凄い人出だね。いつもこうなのかい?」

「いや今日は特別ですよ。軍艦鳥海と艦娘の鳥海さんが来ていますからね。」


店員は朗らかに笑いながら言う。
やはり艦娘が来ると違うのかと思いながらもふと疑問に思ったことを口にする。


「そういえば街中に狐耳した眼鏡してない艦娘の鳥海らしきキャラが描かれたの幾つもあったけどアレ何だい?」

「あああの方ですか?」

「あの方?」


店員が言うにはあのキャラクターは最近ある村に降臨した鳥海山の神の姿を模したものであるという。
その村では子供が神隠しに遭ったが神がその子供を助け親元へと返したとこの周辺の集落や町で大きな話になったそうだ。


「おう兄ちゃん、御山の女神さまの話を聞きたいのかい?」

「おい徳さんやめとけって。」


店員とそんな話をしていたら老人の酔っぱらいが話しかけて来た。
老人は仲間に止めらるが気にした様子はなく、鳥海山の神が現れたのは自分の近くの集落だと自慢した。
その時、奥の席の女性四人組の一人、長い黒髪に眼鏡の女性がズッコケた気がするが気のせいだろう。
老人は話始めた。

415: 635 :2020/09/18(金) 07:53:34 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

鳥海の御山を望む小さな漁村での話だ。
その漁村を出て都会で暮らしてた男がまだ雪が残る春の彼岸に嫁と子供達を連れて久々に実家に帰省したそうだ。
男の両親は大層喜んだが、同時にこんな時期に幼子を連れて帰って来なくてもと顔を曇らせた。
この地方では春秋の彼岸と盆の夕日が沈む頃にはあの世との境が薄くなり一人でいる幼子が神隠しに合うという言い伝えがあった。
戦後すぐ辺りまではこの時期の黄昏時には幼子を家からに出さないようにとされていた。
平成になってからはもう信じる者もいなくなり迷信や怪談の一つとして扱われるようになっていたが。

しかしながら日本の南に神崎島が出現してからはこの言い伝えを本当のことと考える村人が増えてきた。
実際に怪談と思われる現象が各地で確認され、死んだはずの人間が妖精などという不可思議な存在になって帰って来たりしているからだ。
男の両親の近所でもそんな人物がいたりしたから尚更であった。
だがこの男はその様なことが実際にあっても幽霊や妖怪などと言うものは信じない人間であった。
男はそんなの迷信であると笑ったが嫁は顔を曇らせ、両親の言葉に従った方が良いと言った。
男は嫁にそんな古臭い迷信を信じるのかと顔を赤くして怒り出し、両親や嫁の言葉を無視して雪を見て遊びに行きたがる子供らを外に出させた。

日が暮れかける頃、遊んでいた子供らが帰ってきたが一番下の子が一人足りなかった。
子らに一人はどうしたのかと聞けば雪で遊んでいるといつの間にかいなくなっていたそうで、先に帰っていると思っていたそうだ。
その言葉に男夫婦と男の両親は血相を変えて子供を探し始めた。村の者たちも参加し探したが日が暮れ、月が昇ってきても子供は見つからなかった。

そこで男の両親は神隠しに遭ったのではと村社の神官の家の村一番の年寄りの老婆に相談した。
老婆は村の伝承や神事をよく知っており都会の学者も話を聞きに来る程であった。
相談を受けた老婆は呟いた神隠しなんて何十年振りかと。

昭和の初め、老婆がまだ子供だった頃には言い伝えを破った子供が何人も神隠しに合ったそうだ。
そして神隠しが人によるものか神崎島で起きるような超常的な自然現象なのかはたまた祟り神なのかそれすらも分からず、
いなくなった子供が戻ってきたことなど今まで一度もないそうだ。
ただ子供が神隠しに遭わない為の方法しか存在しないという。



月が天頂に差し掛かっても子供が見つからず、両親より老婆の話を伝えられた男は意気消沈していた。
こんなことなら両親や嫁の言葉を素直に聞いていれば良かったと後悔していた。

男は子供を探す中でふと村社の鳥居が目に入り、ふらっと誘われるように鳥居を潜り階段を上った。
階段を上りきると青い青い月明かりに照らされ雪に覆われた社が目に入る。
この村社には御山の神社より勧請された神が祀られていた。
その神は水神とも稲穂の神ともされている。
藁にもすがる思いでその神に願った。自分はどうなっても良い、子供を返して欲しいと。

すると雲が夜空を覆い月明かりを隠した。
暗闇に包まれ一瞬強い風が吹いて雪が舞い上がり男は目を瞑る。
目を開ければ月に青く照らされた先ほどと変わらぬ境内が広がっていた。


「もし…。」


男は背後より声が聞こえた気がし目を開け階段の方を振り返ったが誰もいない。


「もし…。」


今度こそしっかりとした女の声が聞こえ社の方を見れば稲穂の間で遊ぶ狐をあしらった着物を着た一人の娘が立っていた。
そしてその背に子供でも背負っているのか肩にはおんぶ紐らしき紐も見えた。
流れる濡鴉のような黒髪をした娘であったがその瞳は宝石の紅玉の如く紅く男はこの娘はこの世の者ではないと感じ取った。
そして何よりその頭には狐の耳が存在し、背後にはゆらゆらと揺れる尾が見て取れ、テレビで見た艦娘の鳥海にも似ている気がした。
だが不思議と怖さは感じなかった


「誰かを探しておいでですか?」


娘は男に問いかけた。
娘の問に男は里の禁を破り彼岸の夕暮れに子供を家から出し神隠しに遭わせてしまったことを吐露した。
何故見も知らずの人外と思しき娘にこんなことを言えるのか不思議であった。

男の言葉に娘は背負っていた子を手に抱き男に見せた。
何かと思い娘の腕の中の子を見れば、すやすやと穏やかに眠るのは神隠しあった筈の我が子であった。
男はこれは夢か幻かと思い我が子に恐る恐る手を伸ばし触れ、娘は腕の中の子を男に渡した。
渡された男は我が子の確かな重みを感じ泣き出し、泣き出した男を娘は優しげに見つめていた。

416: 635 :2020/09/18(金) 07:54:10 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

しばしして男は泣き止むと娘に我が子を連れていたのは何故かと尋ねようとした。
すると再び雲が月を覆い隠し、一陣の風が吹き雪が巻き上げられる。
男は地吹雪に目を腕で覆いながら娘を見る。
白い雪風に濡鴉の様な黒髪が舞い、娘の紅い瞳には優しげな光が浮かぶ。


『もう我が子を離すことなきように…。』


そう言い終えると娘は微笑みを浮かべながら白い雪に消えていった。



男は子供を抱えて子供を探すために人々が集まっていた集会所へと戻った。
男と子供の無事な姿を見つけると男の家族は涙を流して喜び、里の者達は大丈夫であったかと心配の声を掛けた。
子供を妻に預けると男は老婆の元へと行きことの次第を話した。


神社で子供の無事を願ったこと、
雪が吹き突然着物を着た艦娘の鳥海に似た狐の耳と尾を持つ娘が現れたこと、
その娘から子供を返して貰ったこと、
そして再び雪が吹くと幻のように娘が消えてしまったこと、


「もしかしたらその子を助けて下さったその娘っ子は鳥海山の神様かもしれねえなあ。」


男の言葉を聞いた老婆はそう零した。
村社に祀られている鳥海山の神は女神であり、五穀豊穣を司る稲穂の神や狐を使いとする神とも同一視されるという。
神はその昔この地方で人攫いや船を沈め多くの人々を喰らっていた妖怪の被害を受ける人々を哀れに思い退治したという慈悲深い神だそうだ。
神隠しされた男の幼子を哀れに思い、御山の名を戴く艦娘鳥海の姿を借りて子を男の元へ返したのではないかと老婆は言う。


「艦娘さは神様の依り代でもあるそうじゃ。神様がその姿を借りて出てきても不思議じゃねえ。」


そして何よりもと老婆は言う。


「艦娘の鳥海さはいつも眼鏡付けてるでねえか。眼鏡付けとらんのが艦娘さの訳ねえべ。」


一同は老婆の言葉にそれもそうかと納得し大いに笑った。
その後男は家族親族全員と共に村社と鳥海山を詣で子供を無事返してくれたことに感謝した。
そして家族と共にあの狐の耳をした御山の神様の見守る郷里で生きていくことを決め都会より戻り家業を継ぎ日々神様への感謝を忘れず過ごしている。

この騒ぎがあってから鳥海山周辺では山への信仰がさらに盛んとなり子供の守り神、行方不明者を返す神としても厚く信仰を集めることとなる。
また男が見た姿から狐の耳と尾を持つ稲穂と狐柄の和服を着た黒髪紅眼の女性として描かれることが多くなり像や絵馬に描かれ奉納され、
その姿が描かれた絵が魔除けとして家や商店などに飾られることとなる。
ついでに鳥海山の神にそっくりで依り代とされてしまった艦娘鳥海はこの地を訪れる度に拝まれたり、米や野菜を奉納されるなどして愛されていくこととなる。
なお艦娘鳥海に子供の頭を撫でてもらうと健やかに成長するという話も広がってたりする。


老人の独演会な話しがが終わると居酒屋の中ではやんややんやの大喝采であった。
やはり艦娘は巫女さんであったかだのやはり米俵奉納したの正しかっただのリアル狐っ娘キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!だの鳥海は俺の嫁だのと大騒ぎである。
この地方どこもかしこも山の神の話しとなるとこんな風なのでこの地方は順調に狐色に染まっていたりする。
なお居酒屋の隅で黒髪ロングな眼鏡っ子が追い打ちを掛けられたようにグッタリしているのはどうでも良い話しである。
さらに狐っ娘な姿の鳥海が神崎提督に褒められて対抗してケモミミ装備の艦娘による提督襲撃が激増するのは全くの余談である。

417: 635 :2020/09/18(金) 07:54:49 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
更にどうでも良い余談



「艦こ○」開発/運営

▼書き下ろし鳥海改二お狐様mode、期間限定実装
秋晴れの元の揺れる稲穂、お米がおいしい季節ですね。
本日、高雄型重巡洋艦【鳥海改二】にお狐様mode、鳥海改二狐を期間限定実装です!
頭を垂れる程実った稲穂を守る彼女をお願い致します。あぁ、こら、摩耶!つまみ食い禁止!


運営からの電文



名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 速報【鳥海に狐耳が生える】

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 えええ…

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 アリだと思います!

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 嫁の可愛さが加速してワイの体力がマッハなんだが

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 ア○レンでもないのに何故ケモミミを生やした?

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 鳥海山の神様が狐ミミ鳥海の容姿なので仕方なし

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 まじで?

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 マジでちなみに眼鏡はねえぞ

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 眼鏡ないのか…じゃあその神様は鳥海じゃねえな

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 鳥海と神様の違いはメガネの有無なんか

名前:名無しの神崎島提督[sage] 投稿日:
 なお神様の依り代と思われて拝まれてる模様


とある掲示板で



「摩耶、あんな体勢(orz)で鳥海はどうしたの?」

「ん?ああ高雄の姉貴か。少し前にリフレッシュで鳥海と一緒に提督連れて旅行で鳥海山の方まで行ったんだけどよ。」

「けど?」

「鳥海のやつ迷子になってた子供見つけて騒ぎにならないようそっと親元に返したらその子供の集落で鳥海山の大物忌神と間違われたらしい。」

「マジで……?(汗)」

「ああ、愛宕の姉貴その通り。だって子供渡したのが鳥海山から分祀された神社でオフだからって稲穂と狐柄の和服着てたうえに夜だぜ?」

「ついでに遊びの罰ゲームと提督へのアピールでキグルミシステムで狐の耳と尾つけて極めつけに眼鏡してなかったからなあ。」

「摩耶、私の判断基準眼鏡なの…?」

「(確か鳥海山の大物忌神はは豊作の神の宇迦之御魂神やお狐様、稲荷神と同一視されてたわね(汗))」

「(ちょっと高雄、キグルミシステムの狐耳と尻尾って本物と見分けつかないんじゃ?(汗)」


鳥海神様に間違われ事件への発展を後で知った高雄姉妹

418: 635 :2020/09/18(金) 07:56:11 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2020年09月21日 13:24