154: 加賀 :2020/10/04(日) 20:00:05 HOST:p1931009-ipngn200701osakachuo.osaka.ocn.ne.jp



「やはりガダルカナルに来たか」
「『ワスプ』『レンジャー』はミッドウェーで沈めてますし……となると『エンタープライズ』『ホーネット』の二隻ですね」
「『サラトガ』は此方の手元にいるからな」
「相変わらずの底力には目も背けたくなりますよ」
「そろそろ三川さんがガダルカナルに突っ込む頃か」
「今度も大丈夫でしょう。何せ八艦隊は前回よりも増強されてますから……」




「全く、ブイン基地からの出撃でも意外と辛いものだな」

 8月7日、ガダルカナルが米海兵隊に占領されるとラバウルに展開していたラバウル航空隊は即座に動いた。ブインは7月25日に飛行場が完成しており台南空の零戦隊27機は8月1日には進出していたのだ。そして今回のガダルカナルへの米海兵隊上陸である。
 斉藤司令は西沢らベテランパイロットの9機を先行させてガダルカナル島上空の制空権を日本側にさせる狙いを立てた。
 ガダルカナル島上空にはF4F戦闘機が約60機存在していたが精鋭の台南空の敵ではなく坂井らの本隊が到着する頃には敗走している程であった。
 坂井一飛曹はサザーランド大尉のF4Fを撃墜後、そうぼやく。ブイン基地から出撃した零戦隊はガダルカナル島上空で約60機程度の敵戦闘機と空戦をしており思う存分の空戦を展開していた。

(あの世界ではないから少々無茶なところもあるが……ミッドウェーで『赤城』と『蒼龍』も沈められたし何とかせんとな……)

 坂井はそう思いつつも柿本と羽藤を従えてSBD爆撃機16機の編隊を後方下方から銃撃して撃墜するのである。なおこの日、坂井の負傷記録は無く翌日以降も出撃して敵機を撃墜するのである。




「今作戦は通常の海戦ではない、殴り込みだ!!」

 第八艦隊旗艦重巡『鳥海』の艦橋で司令官三川中将はそう吠える。艦隊は現在、六戦隊と十八戦隊を従えてブーゲンヴィル島東方海面を航行していた。

 第八艦隊
 旗艦 『鳥海』
 第四戦隊第二小隊
 『摩耶』
 第六戦隊
 『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』
 第十六戦隊
 『天龍』『龍田』
 第三水雷戦隊
 『川内』
 第十一駆逐隊
 『吹雪』『白雪』『初雪』『叢雲』
 第十九駆逐隊
 『磯波』『浦波』『敷波』『綾波』
 第二十駆逐隊
 『天霧』『朝霧』『夕霧』『白雲』


(戦力は増えているが……例え艦隊が壊滅しても敵輸送船団を撃滅せねばならん……)

 三川中将は史実の第一次ソロモン海戦の結果を知っており、予定通り夜戦に引き込むつもりである。ただ、問題は史実と比べて艦艇の数が多い事である。だがそれでも三川中将は『鳥海』を先頭にして巡洋艦から突撃する事を選択した。

「場合によってはガダルカナル島沖で座礁、米軍を艦砲射撃をして砲弾が無くなれば陸戦隊を編成して上陸する」

 六戦隊司令官に戻った五藤少将もそう主張しており実際に六戦隊も軽機関銃と小銃を積み込んでの出撃をしている。
 そして2240、第八艦隊はサボ島南方水道に突入を開始した。(敵味方識別のためマスト両舷に白色吹流を掲げている)直後に『鳥海』見張り員が敵艦ーー駆逐艦『ブルー』ーーを発見、戦闘が下令されるも『ブルー』は第八艦隊に気付かず遠ざかった。
 2330頃に第八艦隊はサボ島南方に到達した。

「全軍突撃せよ!!」

155: 加賀 :2020/10/04(日) 20:04:09 HOST:p1931009-ipngn200701osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
 三川中将は短いが第八艦隊を奮い立たせる命令を発した。この直後に見張り員が再び左舷に敵艦を発見した。 『鳥海』と『古鷹』は魚雷を発射するも命中しなかったが今度は右舷に敵艦隊を発見、水偵が吊光弾を投下して背景照明を行わせた。

「距離370!!」
「魚雷撃ェ!!」

『鳥海』が再び魚雷四本を発射、先頭にいたオーストラリアの重巡『キャンベラ』に水柱が噴き上がった。

「撃ちぃ方始めェ!!」

 そして第八艦隊は史実通りの戦闘を展開、連合軍南方部隊と北方部隊は壊滅するのである。

「大戦果です。これ以上留まれば夜明けと共に敵機動部隊からの攻撃を受ける可能性があります」
「確かに。上空援護が無ければ第八艦隊は壊滅します」
「何を言う!! 直ぐ目の前に大輸送船団がいるんだぞ!! このまま帰れば飛行場は米軍のままで大変な事になる。『鳥海』だけで突撃するから司令部は旗艦を他に移して帰れ!!」

 そして早川は三川に視線を向ける。

「長官、再突入しましょう!!」

 八艦隊の当初の目的は輸送船団の撃滅である。『鳥海』艦長の早川大佐はそう主張した。対して大西や神等の参謀達は空母の攻撃に晒されると主張して議論は平行線を辿っていた。
 三川本人は二回目の経験だったがため、再突入をする気だったが空母の存在がやはり気になるところだった。

(ミッドウェーでやられてもそれでもウォッチタワー作戦を遂行するかキングめ……)

 約2ヶ月前に発生したミッドウェー海戦、この戦いで日本海軍はスプルーアンス機動部隊の『レンジャー』『ワスプ』を撃沈させ『サラトガ』を捕獲するも南雲中将の第一機動部隊は『赤城』『蒼龍』を喪失し『加賀』『飛龍』が中破『翔鶴』大破という結果を出し、今現在で稼働出来る正規空母は『瑞鶴』のみという非常に不味い状態である。

(だがそれでも……輸送船団は撃滅せねばならん)

 そう思った三川だが、ふと後ろから視線を感じた。三川が振り返るがその端には誰もいなかった。だが、その一角には『誰かが』いた気がしたのだ。最初は分からなかった三川だが不意にその『正体』に気付いて微笑んだ。

「長官……?」
「あぁ済まん済まん」

(済まないね。わざわざ出てもらって……)

 三川は軍帽を被り直し改めて覚悟を決めた。

「反転する。左、十六点一斉回頭!! 最大戦速!! 目標、敵輸送船団!!」
「三川長官……」
「これで良いのだよ参謀長」

 そして三川は再び片隅に視線を向けるがそこにはもう気配は無かった。

(ありがとう『鳥海』また助けてもらったよ……)

 この瞬間、米輸送船団の運命は決まった。増速する『鳥海』に三川はポツリと呟いた。

「これで良いのだろう……鳥海……?」



「よし、魚雷戦用意!!」

 橋本は『川内』の艦橋にいた。八艦隊は『鳥海』を先頭に再びサボ島を周回して突撃する。だが騒ぎを聞き付けた東方部隊が立ちはだかるも東方部隊は乙巡二、駆逐艦二の艦隊に過ぎず、『鳥海』と『青葉』が探照灯を照射しながら砲撃戦を展開、近距離なため乙巡の『サン・ファン』『ホバート』は瞬く間に命中して炎上した。残った駆逐艦二隻は尚も抵抗しようとしたが『加古』『天龍』『龍田』の砲撃で炎上した。
 八艦隊はそのままガダルカナル泊地へ雪崩れ込む。泊地には逃げようとしていた輸送船団が待ち構えておりそれは食われる獲物だった。

「踏み潰せ」

 三川中将はニヤリと笑い、各艦艇はそれに答える形で砲雷撃戦を開始するのであった。そして輸送船団は一隻残らず泊地の波間に没する事になるのである。

156: 加賀 :2020/10/04(日) 20:07:02 HOST:p1931009-ipngn200701osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
  • 殴り込み!殴り込みですよP!
  • 倍増された八艦隊
  • 夕張「」夕凪「」(いやほんと済まん……
  • 心配になって思わず舞い降りた鳥海菩薩
  • ゴームリー中将「輸送船団全滅してアヘェ」(白目

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最終更新:2020年10月26日 23:00