318: 加賀 :2020/10/18(日) 18:41:18 HOST:om126194237113.10.openmobile.ne.jp
「第二次ソロモン海戦は此方の勝利だが……」
「航空機の喪失はなおも痛いです」
「向こうはまだ『エンタープライズ』が残っている。コイツを沈めないとガダルカナルを有利には進めない」
「例え『エンタープライズ』を沈めたとしても航空機の喪失はまた多くなりガダルカナルの戦いは不利になる……何も言えませんな」
「ケ号作戦の準備は?」
「水面下で動いています。杉山さんも第三八師団の投入は断固反対しているので恐らくは……」
「成る程。ところで橋本さんは?」
「少々早いが五戦隊司令官に就任して外南洋部隊だよ」
9月12日、先走った大本営の一部参謀らの独断により川口旅団と一木支隊約8000は総攻撃を開始した。川口少将と一木大佐は総攻撃はまだ早いと判断していたが参謀らの命令には逆らえず実施したのである。しかし、各部隊はガダルカナルのジャングルにより攻撃開始線までの到着は遅滞し夕方までに到着したのは一部の部隊だけという有り様だった。
夜半、川口旅団らを支援するために外南洋部隊に配属された五戦隊(『妙高』『羽黒』)と三水戦(『川内』他第11駆逐隊)がルンガ泊地に突入、ヘンダーソン飛行場へ艦砲射撃を展開した。
「陸軍を支援だ、撃ちまくれェ!!」
史実よりかなり早い形で五戦隊司令官に就任した橋本は檄を飛ばす。
(全く……てっきり六戦隊司令官と思っていたがまさか五戦隊とはな……まぁ大森が舷梯からの転落負傷があったからな……)
当初は五戦隊司令官は大森少将だったがラバウルで停泊中、降りる時に舷梯から転落して負傷してしまう事件が発生。入院した大森の代理として白羽の矢が建ったのが橋本だった。なお、橋本の任命は三川中将らが推薦したとの話があるがそれはさておき、五戦隊以下の部隊はブイン基地からの零戦隊の上空援護の元でガダルカナル島へ直進して陸軍の支援に赴いたのである。
(まぁ失敗するだろうなぁ……折角二師団の投入まで待てと言ったのに……)
第17軍は川口旅団らで二師団が到着する前に決着を付けようとした。彼等からしたら本命はポートモレスビーだからでありニューギニアの戦局は徐々に押される形になってきたからだ。そのため第17軍からの要請に外南洋部隊は渋々とはしつつも艦砲射撃を展開するのである。そして川口旅団は負けたのであった。
「やはり飛行場には辿り着けませんでしたか……」
「一個大隊は飛行場南端までには辿り着いた。だが敵からの猛反撃を受けて結局は撤退をせざるを得なかったようだ」
ショートランド泊地に戻った橋本少将は城島少将から説明を受けていた。
「では補給と増援を……?」
「あぁ。六戦隊以下の部隊を君が率いてやってほしいとの事だ」
「(サボ島フラグェ……)分かりました」
斯くして日本軍はガダルカナル島への増援及び重火器の輸送を決定し水母を主力とした部隊がガダルカナル島へ、その護衛及び支援として五戦隊と六戦隊が担当する事になった。
ガダルカナル島輸送部隊
水上機母艦
『日進』『瑞穂』『千歳』
第9駆逐隊
『朝雲』『夏雲』
第11駆逐隊第一小隊
『白雪』『叢雲』
第19駆逐隊第一小隊
『綾波』『敷波』
外南洋部隊附属
『秋月』
支援部隊
第五戦隊(司令官 橋本少将)
『妙高』『羽黒』
第六戦隊(司令官 澤田少将)
『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』
第11駆逐隊第二小隊
『吹雪』『初雪』
第19駆逐隊第二小隊
『磯波』『浦波』
第20駆逐隊
『天霧』『朝霧』
319: 加賀 :2020/10/18(日) 18:41:52 HOST:om126194237113.10.openmobile.ne.jp
10月11日0600、支援部隊はショートランド泊地を出撃した。輸送部隊は0800から出撃したので史実の『先に輸送部隊が出撃』する事はなかった。そして2010頃、輸送部隊がガダルカナル島のタサファロング泊地に到着して2020頃から揚陸を開始した。
そして五戦隊以下の支援部隊はサボ島沖を航行していた。『妙高』に試験搭載していた22号対水上電探改四がスコット少将以下の艦隊を探知したのは2130頃であった。
「お出でなすったか。全艦戦闘配置!! 砲雷撃戦用意!!」
予め分かっていた橋本少将は戦闘配置を発令、直ちに『妙高』以下の砲身がスコット艦隊へ向けられた。対してスコット少将は敵艦隊の位置が北東と解釈していたので当初五戦隊を味方と誤認していた。
敵と気付いたのは『妙高』の高角砲が星弾を撃ち上げた時だった。
『敵艦隊!?』
「撃ちぃ方始めェ!!」
『妙高』『羽黒』はスコット艦隊の前衛にいた艦艇ーー乙巡『ヘレナ』に砲撃を集中させた。更に『妙高』『羽黒』は探照灯を照射し『ヘレナ』の他にも乙巡『ボイシ』駆逐艦『ダンカン』が照射され『妙高』以下の五隻の甲巡から滅多撃ちにされ炎上した。(後に沈没)
しかし、そこへスコット少将の『サンフランシスコ』『ソルトレイクシティー』が駆けつけ探照灯を照射する『妙高』『羽黒』に砲撃を集中させる。
「カタパルト被弾!? 零観炎上!!」
「右舷高角砲被弾!! 高角砲員総員戦死!!」
「構うな!! 撃って撃って撃ちまくれェ!!」
損害報告が艦橋に入り込むが橋本は吼えた。その橋本のおかげかは知らないが『青葉』『古鷹』が放った酸素魚雷が『サンフランシスコ』の左舷に三本命中、水柱を吹き上げさせたのである。
「今だ!! 砲撃を集中!!」
六隻に集中砲撃された『サンフランシスコ』は瞬く間に炎上、スコット少将は艦橋に飛び込んできた砲弾の爆発に吹き飛ばされたのである。『サンフランシスコ』がやられている間に『ソルトレイクシティー』は戦場を離脱するのであった。
結果として、ガダルカナル島への輸送は成功するが五戦隊の『妙高』『羽黒』は中破してトラック島に待機している工作艦『明石』の元へ向かうのである。
そして重火器類の揚陸に成功した日本軍だがやはりネックはヘンダーソン飛行場である。そのため三戦隊司令官の栗田中将はヘンダーソン飛行場砲撃を具申した。
「戦艦による艦砲射撃を行い、一時的に飛行場機能を喪失させその間に二師団の上陸。これしかありません」
「うむ……」
「しかし、『長門』型二隻を投入するなど……」
「君はまたミッドウェーの失敗をしたいのかね?」
栗田の具申に異論を挟んできた黒島参謀に南雲中将がジロリと睨み顔を真っ赤にした黒島を黙らせた。
「空母は二航戦の三隻なら投入可能です」
「……分かった。四隻を投入しよう」
ヘンダーソン飛行場砲撃は斯くして決まる。
第一次挺身隊
第一戦隊
『長門』『陸奥』
第三戦隊
『金剛』『榛名』
二水戦
『神通』以下『長波』等駆逐艦12隻
10月16日2100、第一次挺身隊はルンガ泊地へ突入を開始、2300から順次『長門』から砲撃を開始するのである。
「怒りを込めて撃って撃って撃ちまくれェ!!」
『金剛』の艦橋で栗田中将は吼える。実際に四隻の艦砲射撃はもの凄く、ヘンダーソン飛行場ーー二個の滑走路に砲撃成功し展開していた航空機88機の破壊にも成功した。また両滑走路とも41サンチ、35.6サンチ砲弾が大量に撃ち込まれ滑走路は使用不能に、残っていた機体も事実上飛び立つ事は出来なかった。
そのため第二師団を載せた高速輸送船団7隻は悠々とタサファロング泊地へ投錨し揚陸、その全てを揚陸する事に成功したのである。
だがそれでも尚、10月26日に第二師団は総攻撃を実施するもジャングルの壁に阻まれてヘンダーソン飛行場の攻略が出来なかったのである。
そしてガダルカナル北方に展開していた南雲第三艦隊は伊号潜からの報告に仰天する。
「米機動部隊がガダルカナルに接近しているだと!?」
発見したのは『エンタープライズ』を主力とする第61任務部隊だった。直ちに南雲中将は決断する。
「米機動部隊を此処で撃滅する」
斯くして42年に行われる最後の機動部隊の決戦が南太平洋で行われるのであった。
320: 加賀 :2020/10/18(日) 18:47:23 HOST:om126194237113.10.openmobile.ne.jp
- 何で陸軍は独断先行が好きなん?
- 橋本、五戦隊司令官へ(日本一武闘戦隊)
- サボ島!サボ島ですよ吹雪ちゃん!(生き残った模様)
- 三艦隊、決戦の南太平洋へ
てなわけで次回は南太平洋海戦ですはい。
瑞鶴「空母置いてけ!正規空母だ!正規空母だろう!!なぁ正規空母だろう!!」
飛龍(こんな娘だったかな……?)
最終更新:2020年10月26日 23:03