462: 635 :2020/11/03(火) 00:35:12 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
現実のリムパックとは参加艦艇や艦長がが違いますがそこは創作ということでご容赦を
銀河連合日本×神崎島 ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその二
アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島沖 海上自衛隊 護衛艦かが
護衛艦かがの艦橋にて艦長の香坂裕一はうめくような声を出しながら目の前の光景を見ていた。
波打ち煌めく門より恐らくは大和型より巨大な戦艦エイブラハム・リンカーンを出現したのを皮切りに様々な艦艇が門より吐き出される。
その様な光景なぞ見たこともないし想像の範疇にすらなかった。
かがは本来ならば本年のリムパックに参加する予定でハワイを訪れていたが門の存在により急ぎ予定を変更、日本政府の命令により日米同盟に基づき米海軍と共同歩調を取り門を警戒監視に就くこととなった。
その結果、今回の平行世界からの来訪という歴史的光景を目にする数少ない海外艦という栄誉を預かることとなった。
他国の艦艇の多くは訪米を取りやめるか米国より丁重にお断りされてたりする。
某門の起源を主張した国とか。
「凄まじい光景だな…。」
「藤堂将補…そうですね。」
香坂の脇には第4護衛隊群司令藤堂定道将補が立つ。
香坂がかがの艦長を務める以前、いずもで副艦長してた時代に上官としていずもの艦長をしていた人物だ。
今回の門に関する案件で現場指揮官として急遽派遣されかがに乗り込んでいる。
かがの艦橋から航空甲板を見下ろせば多くの自衛官達が鈴なりになり門の方を見ていた。
その少なくない数が今回ので話題となった艦隊これくしょんの提督共であることを思い出し頭が痛くなった。
他にも米国内で訓練や仕事をしていた陸自や空自の自衛官もいる
そしてかがのスピーカーからはエイブラハム・リンカーンに続く艦艇達の自己紹介とも言える通信が流れる。
『こちらニミッツ級原子力航空母艦 CVN-72 USSサラトガ、並行世界の同級で同じハルナンバーの艦がリンカーンを名乗っているのも変な感じだな。』
『本艦はCB-7 戦闘巡洋艦USSヨークタウンだ。リンカーン級補助の為に建造された14インチ砲の打撃力を舐めないでもらおうか?』
「空母サラトガか…。フォレスタル級以来になるんてしょうか?」
「さてな…あっちの艦艇の名前分かってる訳でもないしな。そしてあのヨークタウンとかいう艦…向こう側のタイコンデロガ級の後継か?」
「その可能性はありますね…しかし巡洋戦艦、いや戦闘巡洋艦ですか…。」
「予算や条約等の関係で巡洋艦を名乗ってるのかもしれないぞ。」
「モントール条約のアドミラル・クズネツォフ のようにですか?」
藤堂と香坂は艦艇の自己紹介を聞きながらそんな話をする。
ちなみにサラトガの名前が流れた際にはえらく野太い歓声が上がった。
そしてしばらくすると向こうの米海軍の艦艇の出現が途切れ門が再び鏡のような状態になる。
すると戦艦エイブラハム・リンカーンの上空に巨大な女性が姿を現し、その背後には大型モニターの様なものが浮かぶ。
金髪黒目アスリートの様に引き締まった体躯を持つ女性だ。
そして戦艦エイブラハム・リンカーンよりこの場にいる全艦に通信が入ると同時に周囲の空間自体が震え音声が流れ始める。
『皆様、Nice to meet you!立体ホロ映像で失礼します。私の名前はエイブラハム・リンカーン、本艦戦艦エイブラハム・リンカーンの艦体制御システムの根幹をなす存在になります。 』
艦を制御する存在、その言葉にかがの艦内は新しい艦娘か!?と俄に騒がしくなる。
『御期待してる方もいらっしゃるでしょうが私は艦娘に近しい存在ではありますが皆さんのご想像する艦娘そのものではございません。
艦娘のような艤装や艦体の収納展開は出来ず、装備の換装も通常の艦船と同様にドック入りが必要となります。』
なんだ艦娘じゃないのかとボヤく者もいたが香坂はリンカーンを名乗る女性の言葉に戦慄した。
艦娘は艤装や艦体の収納展開が出来る、則ち人間サイズで行動しいつどこでも艦体を出せる可能性がある。
輸送機による空挺作戦やヘリボーンで展開すればその場にすぐ艦隊が出現するということだ。
既存の戦略を根本からひっくり返すトンデモない事態だ。
香坂は知る由もないが現在ではそこから進んで惑星上どこでも空間転移で艦隊が出現するとかいう訳の分からんことになってたりする。
そんな戦慄する香坂を他所に艦橋に二人の自衛官が入ってきた。
「いやあのっけから凄い事態ですね。多川将補。」
「陸さんもそう思うか。海さんでない自分ですらそう感じてるか海さんの衝撃は相当なものだろう。」
陸自の大見健一等陸佐と空自の多川信次空将補だ。
二人共部隊が米本土で訓練中の所を捕まり上より今回の件での連絡役としてかがまで連れてこられた。
463: 635 :2020/11/03(火) 00:35:50 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「ああお二人とも丁度よい所に…。」
「ありゃ香坂一佐、なんかありましたか?」
「先程のリンカーンの言葉の一部で気になる所がありましてちょっと空と陸の意見聞きたいんですよ。」
香坂は先程の想像について藤堂を交えて話した。
「航空機による艦隊の展開か…。」
「それが本当なら現在の戦略が変わりますな。恐らく地球全土に24時間以内に艦隊が展開可能だ…。」
「ヘリボーンによるのもマズいですよ。超低空を匍匐飛行されれば探知しづらいですし。」
うむーとここにいる全員が頭を抱える。
「まあ悩んでも仕方ないことですな。そういえばあの戦艦について海さんはどんなスペックと見ます?」
多川は顎で戦艦リンカーンを指す。
それに藤堂は私見だがと前置きした上で話し始める。
「推定だが基準排水量"ですら"は恐らくは10万トンオーバー、大和型どころか米海軍のニミッツ級すら上回るサイズでだろう…。
そして連装四基八門搭載している主砲も砲塔と合わせ相応に巨大だ。付近の人と比較し恐らくは20インチ、50センチ砲クラス。」
「50センチ砲!?そういや昔呼んだ架空戦記にそんなの載せた戦艦あったなあ。」
「多分浮沈戦艦紀伊か軍艦越後の生涯当たりでしょうね。ついでにあの戦艦どうもレーザー砲まで搭載してるようです。」
「50センチか、こっちの技術よりあっちが進んでるとするとちょっとマズいかもなあ。」
「大見一佐、どうかしたのか?」
「いや以前ミリオタな友人と飲みに行った時に野砲の話になりましてね。米国では射程1000km超えの砲を開発中とかいう話でして…」
「その技術があちらで実用化、改良されあの戦艦に搭載されてるとれば…。」
「あの戦艦の主砲は短距離、いや下手すれば中距離弾道ミサイルにすら匹敵する射程がある、ということか…。」
「しかも戦艦の主砲ということは瞬間、時間当たりの投射量も一発当たりの値段も比較にならんぞ…。」
「後忘れていけないのがあの艦、搭載するレーザー砲などによる多層防空網もそうですが戦艦ならば自身の主砲に耐えられる以上、レイテや坊ノ岬沖で大和型が見せた以上の防御力を持っていると考えられますな。技術の発展も考慮すれば単なる鋼鉄ではなく複合装甲の可能性も…。」
「ちょっと待って下さい!?大和の様な集中防御式と考えてもあの範囲を覆う複合装甲を用意するだけでどれだけ建造費がかかるんですか!?」
「想像もつかないな…。後あの艦は主砲配置を見ると恐らくは完全防御式たぞ?」
「そもそもあっちのアメリカは何を仮想敵としてこんなの建造したんだ?」
「どうもドイツらしいですよ。そのドイツが艦娘相手に戦艦作ったとか。」
「ドイツぇ…。」
全員を沈黙が襲う。
そもそもドイツ云々より主砲や複合装甲に艦体がほぼダダで戦艦建造可能だから喜び勇んで飛びついたとか知る由もない。
恐る恐る香坂は口を開く。
「…もしもですがあの戦艦を撃破するとすればどう考えます?」
「陸自としては出来ることはシーバスター弾頭搭載型、極超音速の地対艦誘導弾や対艦型高速滑空弾が配備されない限り出来ることはありませんな…。」
「空自としても同様、と言いたいがASM-3とMk84爆弾のLJDAMならば通用するかもしれんが…その前にあの防空網を突破可能なものか…。」
「護衛艦の対艦兵装では歯が立たんだろうな…潜水艦の魚雷が通じても大和や武蔵の例を見るにどれ程の量が必要か…。」
お通夜な空気が艦橋に漂う。
その空気を払うように再びリンカーンが声を発した。
464: 635 :2020/11/03(火) 00:36:34 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
『我が合衆国海軍に続きましては合衆国の盟友たる同盟国の皆様が参ります。合衆国海軍に続きましては欧州の防衛の要イギリス海軍です!』
「イギリス海軍か…大丈夫なのか?こっちじゃ国がコロナでロックダウンとかしてるが…。」
「それにクイーンエリザベス級空母も不具合多いって聞きますしね。」
「核に軍事予算エラい持ってかれてるからなあ。」
再び門と現実の境界が波打ち輝き始めた。
空間自体を震わせる振動と音がかかの艦橋にまで伝わってくる。
ここにいる者達は知るよしもないが向こう側の世界ではディルフィルドゲートと呼ばれる超光速航法用ゲートでよく知られているありふれたものだ。
「おおっ!」
「なんともまあ…。」
「向こうのイギリス海軍はこちらとは違い十分な海上戦力を維持してるのか…。」
光を曳きながら現れたのは先程の超大型のリンカーンと比べれば幾分小振りではあるが大和型より大型な歴とした主力艦。
その身に帯びるは凶悪な威力を感じさせる世界最大"だった"大和型の46センチ砲改良型を連装四基八門の主砲。
英連邦の盟主、新生大英帝国の象徴たる方に相応しき偉大なる女王陛下の艦。
『大英帝国海軍(Royal Navy)が誇る欧州最大の戦艦、ロイヤル・サブリン級戦艦1番艦HMS ロイヤル・サブリンです!』
『かの大和型の主砲18インチ砲の改良型を連装四基八門搭載、私と同様に艦船制御を担う人格が存在する新時代の戦艦です。』
立体映像のリンカーンの背後のモニターに一人の女性が映る。
美しい金髪短髪にし意志の強そうな緑色の瞳を持つ凛々しい美女、ロイヤル・サブリンだ。
『御機嫌よう。私がネオドレッドノート(新時代の戦艦)の一角、HMSロイヤル・サブリンだ。大英帝国が誇る新たなる戦列艦である。』
艦を管制を担うロイヤル・サブリンは自身の戦艦としての能力に疑いないと見る者に感じさせる覇気を放つ。
戦艦ロイヤル・サブリン実物を見ればなる程その自身も当然という気が起きよう。
そしてその後方からは香坂達も見たことのある艦が姿を現す。
『ロイヤル・サブリンに続きましては空母クイーン・エリザベスの登場です。』
空間モニターに映る名前も形状も同じ、その事実に今まで情報の奔流に流されっぱなしの一同は安堵するが、
「クイーン・エリザベスは同じ艦みたいですね。」
「ようやくこっちと同じ艦か…。」
「いや、違うみたいだぞ。」
「多川将補どうしました?」
「戦闘機がF-35Bだけじゃない…。」
多川がクイーン・エリザベスの航空甲板を指差す。
一般的なステルス機のイメージ通りのF-35Bのこの世界では見慣れない戦闘機が存在した。
カナード付き前進翼に斜め双垂直尾翼、旧日本海軍の局地戦闘機震電の様な所謂エンテ型の戦闘機だ。
そして何より…、
「なんだあの戦闘機英国面か!?エンジンが縦に双発だぞ!?」
「イングリッシュ・エレクトリックの方のライトニングかよ…。」
「いや寧ろあれ、某本格的飛行機ごっこのやつじゃね?」
「多川将補それは流石にないでしょう?」
『クイーン・エリザベスにはF-35Bの他にイギリスと日本、神崎島が共同開発した新型艦上戦闘機シーシンデンⅡFA.1を搭載しています。』
「多川将補、当たってましたね…。」
「「「………。」」」
465: 635 :2020/11/03(火) 00:38:19 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
どう見ても某本格的飛行機ごっこな機体が実在しロイヤル・ネイビーがそれを運用しているという事実に全員が頭を抱える。名前もそのものだ。
この機体の開発にやはりヤル研が関わっており自国で自由に改良できる某欧州戦闘機の代わりとF-35飛行停止時にも使える戦闘機を欲した為に開発がスタートした。
原型そのものは某本格的飛行機ごっこイゼイラ人がゼルシミュレーション空間で開発、各種試験を終えハイクァーン造成したものである。
神崎島のイゼイラ人航空隊が海自のいずもに載せて試験やってたのを視察に来ていた英国人将校が発見、その性能から実用型を英国と共同開発することとなった。
英国面満載な姿が琴線に触れた訳ではない、多分。
「空母に戦艦、航空主兵論なのか大艦巨砲主義なのか…大艦主兵論で航空巨砲主義か?」
「航空主兵論と大艦巨砲主義、ハッ!?航空戦艦の時代か!!」
「空自に前進翼機なF-3というのもアリちゃあアリか…エリア88的な意味で。」
「皆さん戻ってきて下さい!?」
藤堂、大見、多川らはなんかもう情報がオーバーフローで頭がおかしくなったようだ。
香坂が苦労している。かがの艦長なのに…。
何とか全員が正気に戻るとイギリス海軍全艦が揃っていた。
藤堂、香坂は「見てなかったorz」という状況だったがかがの乗員が記録撮ってたので立ち直った。
『次は東アジアの要石日本、銀河連合日本ことティエルクマスカ銀河共和連合日本国が誇る海上自衛隊の皆様です!!』
「向こうの海自のお出ましか…。」
「国号もこちらと違うとはな…。」
「銀河連合日本…か…。」
聞き慣れた日本という言葉に付いた銀河連合というSFチックな言葉なんとも言えない感覚に襲われる。
そして門とこの世界との境界に再び波紋が生まれ青く輝き出した。
「あちらの海自はどうなってるんでしょうね?」
「さあ?例の異星人が来るまではこちらと対して変わらないようだし。銀河連合に加わったからって海自の編成も急に変わらないんじゃないか?」
「流石にあのリンカーン級のような戦艦は無理でしょう。精々軽空母仕様のいずも型に加えてこちらでもアメリカで建造が計画された打撃巡洋艦くらいが限界では?」
「まさか征途くらいだったりとか。柏木なら歓喜しそうだ。」
再び水に石を投げ込むように門の表面が弾け空間自体が震えるかのような振動と音が響き渡る。
そこに存在したのは巡洋艦ではない寧ろ巡洋戦艦とでも言うべきサイズの艦と日本人に馴染み深い戦艦といえばこうと指す軍艦の似姿。
装甲巡洋艦、巡洋戦艦よりの伝統たる山の名、日ノ本の象徴の名を冠する艦とかの大戦艦と同じ豊葦原の雅称を担う艦。
「なっ!?」
「冗談じゃねえぞおい…。」
「大見、君の冗談が一番近かったようだぞ。」
『本日の海自は本気を見せて下さいました!六四艦隊計画によって建造された14インチ砲搭載のふじ型打撃護衛艦『ふじ』、18インチ三連装砲三基搭載の大和型の改良型ともいえるやしま型試験艦『やしま』が参加しています!』
「…嘘だろ…おい…。六四艦隊計画、つまり向こうの海自にはあのふじ型が六隻、やしま型が四隻もあんのかよ…。」
かがの乗員全員が平行世界の海上自衛隊の艦、『ふじ』と『やしま』を見て呆然とする。
自分らと比べてそう変わりないだろうと思っていたら比較にならない程の戦力を保持していたのだから当たり前だろう。
それだけではない、戦艦がかつての大艦巨砲主義の時代だけでなく、航空主兵論全盛期が続き、無人機、無人艦の時代を迎えると言われる現代でにあってさえ、核兵器にすら比例しうる戦略兵器であると実感させる護衛艦『ふじ』と試験艦『やしま』の放つ存在感、それがかが乗員の精神を揺さぶっているのだ。
それはあらゆる悪しきものより全てを守る装甲と全ての悪鬼を焼き尽くす大砲が持ちうる辟邪の力への憧憬。
戦艦無き世界り、戦艦の神通力を失わせてしまった世界、そんな世界ですら彼女達への戦艦への信仰は失われてはいない。
『ふじ』と『やしま』を見る香坂達はぼんやりとそんな事を考えていた。
466: 635 :2020/11/03(火) 00:39:24 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
筆は乗るのに艦娘がまだ出るとこまで進まねえ(´・ω・`)
最終更新:2020年11月05日 21:00