62: 第三帝国 :2020/11/29(日) 16:43:21 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「悪い大人達の密談Ⅱ」


都内某所、ホテルのバーにて。


「柏木先生にあてがう予定の秘書が見つからないだって?」

紫煙が揺らめくバーカウンターで三島太郎副総理兼外務大臣が気が抜けた声を出した。
柏木に秘書とはどういうことか?それは現在遥かなる銀河の旅に出ている某突撃馬鹿を今度は大臣様。
すなわち「ティエルクマスカ連合兼神崎島担当特命大臣」へ押し込める計画が関わっている。

これまでと違い大臣様となれば安保委員会で「指示」して、
柏木本人が権限を握って主体的に権力を行使できるようになるだけでなく、

内閣法第23条にて、
「内閣官房に、内閣総理大臣に附属する秘書官並びに内閣総理大臣及び各省大臣以外の各国務大臣に附属する秘書官を置く」

「第一項の秘書官で、内閣総理大臣に附属する秘書官は、内閣総理大臣の、
 国務大臣に附属する秘書官は、国務大臣の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け内閣官房その他関係各部局の事務を助ける」

と、あるように柏木大臣様(予定)の下で秘書を設置できるようになるが、
「機密に関する事務をつかさどり~」と明記されているようにかなり重要な立場にあり、
それゆえ秘書官の人事も大臣の申し出により任命権を有する内閣総理大臣が任命する決まりとなっている。

ゆえにアレコレ候補者を探しているのだが・・・。

「ええ、普通の国務大臣の秘書。
 というだけなら候補者は大勢いますが、
 公安的にも身元がしっかりした人間、となると・・・」

姫路ハイボールで喉を潤わしつつ、
新見貴一国際情報統括官が渋い表情を浮かべつつ答える。

「ああ、そういう事か。
 確かに野心は否定しねーけどよ、
 仁義を知らねー妙な功名心を抱いた奴が来るとなぁ」

63: 第三帝国 :2020/11/29(日) 16:44:28 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
三島副総理がニッカのウィスキー。
「フロム・ザ・バレル」の強い酒精で喉を焦がしつつ呟く。
ダミ声でまるで仁義を語る姿はまるでヤクザかマフィアのようである。
しかし、人間関係が物を言う政治世界ではこうした信用と信頼の概念が極めて重要である。

「しかも、『あの』柏木さんの下で働くとなれば、
 メディアから注目を浴びますし、それだけでなく色々な誘惑に惑わされるでしょう・・・」

マルスウィスキーの「ツインアルプス」の香りを楽しんでいる春日功幹事長がボヤく。

ファーストコンタクトター。
世界初の異星人との結婚。
世界初の地球を代表する大使として銀河の彼方へ赴く。

などなど「世界初」の頭文字を複数有している上に、
今後もその記録を更新し続けると思われる今話題の人。
それが何も知らない第三者から見た柏木という人間の評価である。

そしてこの功績で柏木本人は天狗になることはなかった。
しかも彼の家族も含めて邪な発想で変な発言や行動で政権を揺るがすような事をせず、する気を抱いていない。

柏木という人間は誠実であり、一生懸命で義を知っている。

それがこの場にいる全員の評価である。
だからこそ柏木を知恵袋以上に高く評価し、
何が何でも手元に置いて少しでも手助けしようと考えているわけだ。

しかし、問題は柏木の下で働くであろう秘書である。
あの手この手で繰り出される様々な誘惑や脅し等に耐えられるだろうか?
あるいは、プライドは高いが考えが浅はかで、その癖直ぐに行動に移すアホだったら目も当てられない。

何せティ連と神崎島に関する物はどれも機密保持が必要な物ばかりであり、
「密約!密約!」と言いふらすようなアホが関わると碌な事にならないことは某野党を見れば分かる。

「加えて自分の身を守れるだけの力が必要ですね、
 渋谷の件といい、彼は狙われていますから彼本人が駄目なら秘書を・・・となるでしょうし」

これまで黙ってダルマの2つ名を頂くウィスキー。
「サントリーオールド」のロックを飲んでいた二藤部新蔵内閣総理大臣が呟く。

すなわち怪文書や銃弾を送りつけられたどころか、物理的に危害を受けそうになった時どうするかと。
柏木の下で働くであろう秘書のハードルがまた1つ上がる。

「私としては・・・そうですね、
 それらを踏まえた上で政治の世界とは色々大変な稼業である、
 そこを理解している方でなら特に言うことはありませんね・・・」

二藤部総理大臣は血統でアレコレ言われていることを思い出しつつ語る。
任命権を有する総理大臣からの言葉に全員「うーむ」と唸り声を漏らす。

64: 第三帝国 :2020/11/29(日) 16:46:27 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
いっそこの話はなかった事にするか、この件は後回しにしてもよいのでは?
仕事ならどうせ何時もフェルさんと一緒なんだし彼女が手助けしてくれる。


という事で話は終わる所であったが・・・。

「・・・いや、そう言えば1人いるな」

唐突に三島副総理が言葉を溢した。

「いるのですか、
 田中さん以外にですよ?」

二藤部総理が首を傾げ、
キャプテン・ウイッチの助太刀でめでたく異星人の方と交際中のパーフェクトウーマンの名を出す。


「おう、いるぜ。
 今は俺っん所であれこれ手紙やら何やらの代筆業務の依頼をお願いしてるんだ。
 愛想は悪いが思った以上になかなか良い仕事をするんだよな、あの金髪の嬢ちゃん」

自慢するように語る三島副総理。
ふと、二藤部総理は最近三島副総理が出す手紙がとても良いと評判なのを思い出す。

政財界において手紙のやり取りは今でも重要な仕事の1つである。
特にヤルバーン絡みでアレコレお誘いの手紙や連絡が大量に来ていたことは想像できる。

「どういう方ですか?」

「神崎島の人間で元は軍人でゴ○ゴみたいにつえーぞ、あの嬢ちゃん。
 事務処理能力はキャ○ルヌ先輩並みで料理の腕前はイ〇ルローンの白い魔女と来た」

「嬢ちゃん」について銀河な伝説で困ったときの先輩と某魔女で例える。
そして「困ったお方です」といいつつも作ってくれた料理の味を思い出して「豆腐バーガー旨かったなー」と副総理は呟く。
べらんめい調でぶっちゃけ口が悪い副総理がここまで素直に高く評価する人物に悪い大人達は興味を抱く。

「省庁の事務取扱でない方の秘書官の任命は政治任用で、
 国籍も一応日本に属する神崎島ならいけるかもしれませんね・・・」

「それに神崎島の方なら信用できます」

新見国際情報統括官と春日幹事長が三島副総理の案に同意する。

「興味深いですね。
 では、その方を一度紹介して頂けませんか・・・それと名前は何という方でしょうか?」

「おう、いいぜ。
 それと嬢ちゃんの名前はーーーー」

二藤部総理の問いかけに三島副総理はとある花言葉の意味を頂く花の名を綴った。


後に柏木曰く「原作小説寄りの、例えるならば元共産ゲリラのメイド長並にヤバイ子」が秘書として働くようになり、
色んな意味で世間を賑わせるがその話はまた別の機会にするとしよう。




おわり

65: 第三帝国 :2020/11/29(日) 16:52:31 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
それと遅まきながら>>39
635様おめでとうございます!
現在連載中の平行世界ネタも毎回楽しみに読んでますので、
これからもどうかよろしくお願いします。

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最終更新:2020年11月30日 14:38