116: ひゅうが :2020/11/30(月) 19:43:25 HOST:p361175-ipngn200307kouchi.kochi.ocn.ne.jp
神崎島鎮守府 試製零式重戦車「オイ」

全長:11.55m
車体長:7.45m
全高:2.48m
重量:68トン
懸架:トーションバー式
主砲:逸糸工作部 試製96式127mm(70口径)戦車砲(初速1550m/s)×1 装弾数30発
武装:12.7mm同軸機銃×1
   12.7mm機銃×2
主機:神廠式水冷2ストロークV型10気筒ディーゼルエンジン(ターボスーパーチャージャー付)定格1500馬力
最大速度:68km/h
航続距離:300km
装甲:砲塔前面最厚部310mm
   同側面最厚部300mm
上面最厚部40mm
   車体前面最厚部270mm
   側面最厚部160mm
   車体上面40mm
   底面20mm


【解説】――神崎島鎮守府が来るべき第2次欧州大戦および満州における対ソ戦を念頭に開発した重戦車
機甲師団に付属する重戦車中隊用のいわゆる「アニマルキラー」として開発と配備が行われた

1938年時点の神崎島鎮守府陸戦隊の主力中戦車は史実におけるセンチュリオン戦車である97式戦車であり、日本本土においては歩兵随伴戦車として史実のM24チャーフィーを配備し「陸軍総機械化構想」の掛け声のもとでまずは歩兵師団レベルでの火力増強が行われていた
しかしながら、対英関係の改善に加え米ソ対立の前倒しや独ソ連携という事情を考慮すれば数的に少数である日本側の戦車では早晩対抗できなくなる可能性が高いという懸念が参謀本部および戦車学校関係者の間に常につきまとっていたことは事実である

118: ひゅうが :2020/11/30(月) 19:44:30 HOST:p361175-ipngn200307kouchi.kochi.ocn.ne.jp
とりわけ満州に駐留する関東軍は少数精鋭化を進め、念願の「機甲軍」を設置して戦車集中運用の試験を行っていたことから危機感を強めつつあった
このことから、1938年2月、陸軍内部において対戦車戦闘を主眼とする新戦車の開発を目指したプロジェクトチームが発足
マル神情報こと神崎島鎮守府から提供された第2次世界大戦欧州戦線における戦車開発記録を参照し――早々に心が折れた

とりわけ、陸続きの国境で接するソ連軍の怪物じみた戦車、IS-3を相手にするには、当時考えられた仮称「マルナナ」こと「七式中戦車」は非力であると判断された
海軍が前倒しで採用した長10糎高角砲を陸上転用した40トン級戦車の構想はかくて中途半端という指摘を受けていったんボツ判定を食らった
だが、日本本土での運用限界を考えて40トン台に拘りつつ必要な攻防性能を実現するのは当時の技術力では不可能に近いとも考えられた

そのため、陸軍中枢および海軍陸戦隊(長10糎砲転用を考えていたうえに自隊装備も考慮し当初から海軍は構想に協力的であった)は完全に開き直り、外部の助けを借りることにした
神崎島鎮守府陸戦隊(陸軍)に協力を仰いだのである
それも、「史実IS-3を量産してうちに配備してくれないだろうか」と
この話を聞いた鎮守府側が開き直りぶりにドン引きしたことは言うまでもないが、それ以上に彼ら自身も頭を抱えた
来るべき第2次大戦における連合軍側での参戦および陸海軍兵力の欧州派遣はすでに上層部レベルで決定事項であったために、ともすれば便利な予備戦力であるところの鎮守府陸戦隊がヘルプ役として出征することも考えられていたからである
先の第2次上海事変の例をみても、政治的事情に左右されて投入技術力を加減するならまだしも兵器性能を加減した結果どんな痛い目を見るか、彼らは身に染みていたのだった
かくて、渡神した陸軍機甲本部の技術屋は、目をギラギラ輝かせた神崎島の技術陣と出会ってしまった
となれば暴走を開始するのも必然であろう

1938年5月5日。神崎島の首府において彼らが提案したのは技術的にギリギリな代物だった
彼らが量産可能なミリタリーテクノロジーのうちギリギリの代物であるところの均質圧延鋼および鋳造砲塔を多用した車体を基本とし、神崎島のごとく欧州やアメリカ規格の道路網での運用限界に近い70トンを上限とした重戦車である
戦後レベルの主力戦車としては神崎島の97式戦車ことセンチュリオンの改良型を採用し、それで足りない部分は独ソ戦で投入された重戦車部隊による「前線への楔」を打ち込んでこれに対処するという、ある意味の妥協案でもあった

陸軍の戦車屋たちが目を輝かせて見つめていたものは、ある未来においてobject277と呼ばれるはずだった怪物だった
元ネタとは異なり開発中であった海軍用の新型12.7糎砲を新型高射砲用の砲架に搭載しており、さらには前述のとおり鋳造砲塔を採用
まだ技術的に採用が難しいAPFSDSではなくAPDS(装弾筒付徹甲弾)前提ではあるが、想定される重戦車「マウス」やIS-3ですら3000メートル以上の距離から撃破可能な、陸戦史上最悪の凶器がそれである
これだけの砲であるから、人力メインの装填は困難である
そのために砲塔内には機力補助装置が設置され、さらに装弾数の低下が指摘されたことから神崎島提供のマイコン系を用いたステレオ測距装置と赤外線暗視装置、さらには民生用の不可視レーザーを用いたレーザー測距儀までもが設置
21世紀の技術チートを用いたことから大きな軽量化を果たし、さらには方位盤じみた照準自動追随系までもが備え付けられていた
装甲帯は、一挙に最大300ミリを突破。さらには複合装甲を量産できないことから採用された鋳造砲塔によってこれといった防御上の欠点を潰している
さらには巨大化した車体を駆動させるために、「重故障時はエンジンごと交換」を前提として21世紀基準の大馬力ディーゼルを惜しげもなく採用し、転輪も同様に重量を据え置くかわりに強度を神崎島でしか製造不可能なレベルで強化した
このため、製造は神崎島以外では不可能になってしまったが、そもそもが主力戦車として量産することを考えていないために問題はないとされた
これらチートの限りを尽くした結果として、計算上は最大速度は毎時70キロメートル
諸外国の巡航戦車なみのスピードであり、さらに上述の装填補助をあわせれば5秒おきに1発が行進間射撃で繰り出されることになる

119: ひゅうが :2020/11/30(月) 19:45:04 HOST:p361175-ipngn200307kouchi.kochi.ocn.ne.jp

提案を受けた陸軍担当者の言葉を借りれば「怪物の皮を被った化け物」であった
当初はできるわけがないと一蹴されかけたが、まずは試作してみようという陸軍上層部の怖いもの知らずな決断が下されたのが1938年7月
搭載装備のすりあわせおよび、運用上必要なトランスポーターや補給車ほかの選定を含めても開発は1年ほどで終了(車体共通化や戦後民生用品の転用を含めてもそれだけかかったともいえる)
1939年8月、試作1号車は完成し、訪神した陸海軍首脳陣の前で毎時67キロで爆走しつつ固定目標を次々に撃破してみせ、ド肝を抜いた
驚喜した陸海軍首脳陣は、欧州情勢の一時鎮静化をみてペースを落としつつも量産を指示。
戦車学校での運用試験による小改良がくわえられた量産型のロールアウトを待って1940年、試製零式として制式採用した
いくらなんでも巨体であることから、1000両単位での量産は欧州において戦火が拡大するかソ連が本腰を入れて満蒙および中支への侵攻を開始してから、という軍組織としての健全な判断が働いたことで試製の文字こそとれなかったものの、それでも1940年半ばには機甲軍直轄の重戦車大隊および近衛師団と富士教導団に合計70両程度が配備された

と、ここまではめでたしめでたしである
だが、ここで新しもの好きになりつつあった陸海軍の悪い一面が出てしまう
東京五輪に続いて行われた皇紀2600年祭およびそれを記念した大親閲式において、よせばいいのに本車は神宮外苑を中隊単位で行進
招待されていた国民および駐在武官や各国からの観光客たちを驚愕させた
世界戦車史に名高い「ゼロ・ショック」である
頭のネジが10本ばかり飛んで行ったような史実WW2の陸戦を検討しすぎたがために頭の中までWW2モードになっていた陸海軍は「今頃は似たようなのを作り始めているだろう」と呑気に考えていたのだが…

かくて、史実におけるスターリン・ショックを自ら起こしてしまったことに彼らが気付いたときにはもう遅かった
米英独ソおよび仏伊までもが、この重戦車に対処するために自国でも重戦車の開発生産および戦車火力の強化を開始したのはしごく当然であろう
(ただし、軽量砲身のため搭載主砲が長砲身100ミリ級と判断されたのはまだ救いであったが…)
陸海軍首脳陣は、あわてて試製の文字をとってお茶を濁すとともに、せめて国内主要部である程度本車および配備を前倒しすることにしたセンチュリオンを運用できるように土木工事に精を出す必要に迫られたのだった
同時に、本車やそれに続く主力戦車群を開発製造できるために引き上げが図られた国内の技術および製造基盤は、のちの第2次世界大戦においてその成果をいかんなく発揮していくのであるが、それはまだ後の話であろう

最終的に、本車は後継の5式重戦車が開発配備されるまでに神崎島において同島用とあわせて820両あまりが生産、うち500両が陸海軍の配備となった
日本国内におけるノックダウン組み立て数は1942年以降980両を数え、第2次世界大戦において猛威を振るった
戦後は予備兵器として本土にとどめ置かれることが多く、各地の駐屯地などで動き回る本車を記憶している者も多いことだろう

120: ひゅうが :2020/11/30(月) 19:46:21 HOST:p361175-ipngn200307kouchi.kochi.ocn.ne.jp
以上、神崎島本編ネタでした
うん。私は謝らない(おいおい)
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最終更新:2023年11月12日 15:49