677: 635 :2020/12/13(日) 18:18:54 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその十二


合衆国全権大使ジョージ・ハリソンに向けて幾つものフラッシュが焚かれる。
ハリソンはこちら側のホワイトハウスで記者会見に望んでいた。
隣にはティ連代表として着いてきたアイオワが座る。
初の世界間条約の締結後の会見だがハリソンが訪米当初予想していたより報道機関の数は少ない。
左派やリベラル寄りの報道機関の内真っ当ではないものたちは当局によるテロ関連での摘発と追求を受け壊滅状態、
イエロージャーナリズムなどはそれらへの追求の凄惨さを目にし藪をつついて蛇を出すのを望まず嵐が過ぎ去るのを待っていた。
ここにいるのは比較的まともなのか頭が回らず、空気も読めないような愚か者だけだ。


「こちら側の合衆国全国民への新型コロナウイルスの特効薬とワクチンを供給するそうですが何故しょうか?
 また、他国への供給はあり得るのでしょうか?」

「こちら側の合衆国へ供給するのはゲートを通し接している隣国だからです。
 今後交流が進展した際にコロナウイルスを持ち込まれてはたまりませんからね。他国への供給は今後の交渉次第でしょう。」

「ゲートを世界に開放し全ての国が自由に行き来出来るようすべきという意見もありますがその予定は?」

「それはノーです。我が国とこちら側の合衆国の国境なのですから好ましくないものを通すつもりはありません。」


あまり面白くない質問やミスリードするような質問もあったが免許のないこちら側のジャーナリズムなどその程度だろう。


「ドイツの〇〇ですが我が国と向こう側のドイツとの個別の交流や行き来ならば許可は降りるのでしょうか?」

「答えはノーです。向こう側のドイツとの交流など以ての他です。」

「何故です?同じNATOの仲間でありEUを通しても繋がりは深いでしょう?」

「仲間?」


ハリソンはドイツ人ジャーナリストの言葉を鼻で笑った。
こいつはあの狂人共(ナチの後継者)を我々の仲間と言ったか?
忌まわしき生体兵器との戦いの最中、大戦を引き起こし、三度目の神の火の使用に踏み切ったやつらを。


「何が可笑しいのです?」

「いえいえ向こう側のドイツ我が国にとって決して仲間でも友邦でもありません。明確な敵です。」


ハリソンは向こう側のドイツを敵と言い切った。
その言葉にその場にいたジャーナリスト達がざわつく。
そんな様子を無視しハリソンはちらりとアイオワに目をやり頷いたアイオワはゼルモニターを造成する。




「三年前、日本、神崎島とティ連、そして我々合衆国はヂラールと呼称される知的生命体の敵たる忌まわしき生体兵器との間に戦端を開きました。」

「ヂラール…。」


ゼルモニターに化け物が映し出される。
見る者がみれば死体を変質させた化け物や人の悪意によりウィルスで変質させられた生体兵器に似ていると感じるだろう。
その化け物達はこの場にいる者達が見たこともない知的生命体、サルカス人を襲う。
巨大な化け物、この場の者は牢獣というそれの呼び名を知る由もないが、牢獣はサルカス人を飲み込んでいく。

場面転換、どこか映画に出るような巨大な生物の身体の中の様な景色の中、消化器官の様なものに飲み込まれようとするサルカス人と
それを助けるロボットスーツを身に纏った特危の自衛官。
生命体のような不気味な宇宙船と戦闘を行う旭日旗を纏うイージス艦のような航宙艦、ふそうとふそうに同行していた航宙艦仕様の艦娘達。
惑星を覆うほどのヂラールの群れに襲われる見たこともない文明の都市、ハイラ王国の首都王都バルベラ、
そこに艦娘やティ連の兵士たちと共に降り立ちヂラールよりサルカスの人々を守る合衆国の軍人達。

どう見ても良く出来たSF映画にしか見えないがこれが現実であるとハリソンは告げる。

678: 635 :2020/12/13(日) 18:19:50 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

「我々が異星の命を守るためヂラールとの決戦に望んだその日、彼らはその引き金を引いた。
 認めたくはないがこれもまた紛れもない現実だ…。」


画面が替わる。

大英帝国の首都ロンドンを襲う戦闘機と降り注ぐ弾道ミサイル、
それを迎撃するのは前進翼のステルス戦闘機、先に空母クイーン・エリザベスに搭載されていることが確認されたシンデンⅡとF-35だ。
神崎島の空母で確認されたエ型の戦闘機や非戦闘機型機動兵器の姿も確認出来る。

ドーバー海峡に展開降りし注ぐ弾道ミサイルやフランス、ベネルクス三国方面より飛来する戦闘機を撃墜する戦艦や駆逐艦等水上艦艇、
英ロイヤル・サブリン級だけでなく在英神崎島海軍の戦艦ネルソン、ウォースパイトの姿も見られる。
そしてロンドンを襲うタイフーンやラファール、J-16といった雑多な戦闘機、その機体に鉄十字(タッツェンクロイツ)が描かれている。

日本語の書かれた看板のある道を行く太極旗が描かれたヘルメットを被る兵士たち。
防弾ベストを着たマスコミと思われる人物が悪しき日帝より兵士達が対馬を奪還する寸前だと興奮気味に喋る。

ゼルモニターを見る人々がざわつく。


映像は続く。
燃え盛る美しかった筈のパリの街と折れ曲がったエッフェル塔、
アムステルダムの街並みに翻る中心に黒い鳥が描かれ黒・赤・金の三色に塗られて旗。
スイスジュネーブ、旧国際連盟本部の前にある鉄十字を付けた多数のレオパルド2と後継型と思しき新型戦車、
パレ・デ・ナシオンには黒赤金旗、太極旗、五星紅旗が翻る。


そして


今度は兵士のヘルメットに備え付けられたカメラの映像であろうか?
その兵士は戦車のハッチから身を乗り出している。
遠くに二つの尖塔を持つ黒い聖堂が見え破壊された多数のレオパルド2や軍用車両の残骸の残る街並み、
「故郷のクレルモン=フェランじゃないか…」と誰かが呟く。

そこには平行世界より早く投入されたマニューバ・タンク、M4リッジウェイの姿もあった。
この世界では神崎島の宇宙開発を背景に早期に合衆国とロシアの協調が実現、POT-116と共に早期に開発されていた。
街の人々の顔は明るく、合衆国の兵士に手を振る姿もある。
隣のハッチから身を乗り出す兵士がふと上を見上げる。


「なんだアレ?」

「!ドイツのフランカーだ!!」

「たった一機で何をする気だ?」


目を焼く閃光が煌めきと衝撃波がリッジウェイを襲う。
カメラの視界が慌ただしく動き回る。


「う…、な、何が…。」


音声が入り、再び明るくなる映像、ハッチから這いずり出る兵士。
やっとの思いで這い出し振り返ると横転したリッジウェイと動かなくなった戦友達。
先程まで大きな被害などなかった筈の街並みが燃え盛り廃墟と化した。

679: 635 :2020/12/13(日) 18:20:32 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

遠く灰色に染まった空にキノコのような雲が立ち昇る。


暗転


太極旗を着けた兵士達が移動していた道に立つ日章旗を着けた自衛官達が遠くを睨む。
灰色の空に遠く同じ様な雲が立ち昇る。


暗転


基地より次々と離陸していくB-2、B-52等の戦略爆撃機


暗転


衛星軌道上、陽光に照らされ浮かび上がる白い弓状の巨大な航宙艦


暗転


空高くより映されるキノコ雲


暗転


空より都市に降り注ぐ光の柱



映像が終わる。
ハリソンはその場にいる者達を射抜くような視線で見渡す。
この事実から逃れることを許さぬというように。


「我々の世界で起きた世界大戦と言うには小さく、動乱と呼ぶには大き過ぎる欧州と極東で起きた惨禍…。」

「故に我々はこう呼びます。」


それはかつての地獄の再現である。


「欧州大戦と極東戦争と…。」

680: 635 :2020/12/13(日) 18:22:41 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2020年12月15日 12:46