374: 加賀 :2020/12/14(月) 12:37:43 HOST:om126208199075.22.openmobile.ne.jp
「今度ぁ勝ったかな」
「それはまだ早いですよ」
「損傷した艦艇は?」
「シンガポールやカムラン湾にて待機していた工作艦等から支援を受けて修理中です」
「うむ。ところで和平交渉はどうなりました?」
「全然進んでいない。むしろアメリカとの窓口が出来ただけでも幸いだな」
「レイテ沖海戦の結果でさえもアメリカは動かず……ですか……」
「吉田が強硬姿勢をして交渉への打開に動こうとしたが逆効果だったしな」
「何してんだあいつ……」
「ところでマッカーサーは?」
「第14方面軍は勝てると思って僅か二個旅団で攻めたら逆に押し返されて敗走、マッカーサーは悠々とレイテを離れたよ」
「嘘だと言ってよバーニィ……」





 レイテ沖海戦の報道は瞬く間に全米に伝わり、アメリカ国内では厭戦気分が増加していく。しかもこれに追加されるが如くに欧州の地にて米軍はバルジの戦いでドイツ軍に敗北、約六個師団が欧州の地から物理的に消えたのである。
 その補充のために太平洋戦線から引き抜く、引き抜かないの会議が繰り広げられ結果として太平洋側重視としてそのままとなる。そのため、連合軍の西部戦線は完全に停止してしまうのである。
 それを見抜いたヒトラー(覚醒済み)はレマーゲンの橋梁を全て爆破し(橋はもう無い!)西部戦線の半数を引き抜いて東部戦線に張り付けた。

375: 加賀 :2020/12/14(月) 12:39:27 HOST:om126208199075.22.openmobile.ne.jp
東部戦線に部隊を投入出来た事で45年1月から行われる東プロイセン攻勢(ケーニヒスベルクの戦い)、3月6日から行われた春の目覚め作戦はドイツ軍の勝利に終わる事になる。(ケーニヒスベルクに関しては民間人の撤退も成功している)そのためソ連軍はハンガリー方面に一時軍を抽出したりして史実より少ない兵力を以てベルリンに向かう事になるのである。
 そして日本、まず国民は海軍の勝利に沸き立っていた。大陸から時折来襲する空襲に不安を抱いていたがレイテ沖の勝利に払拭されたのである。空母を数隻が沈められたがまだ戦艦は健在であり国民は喝采を上げるのである。
 だが、勝利をもたらした海軍は怒りが爆発していた。

「マッカーサーを取り逃がしただと!?」
「陸軍は真面目に戦争をする気があるのか!!」
「そもそも一個師団の相手に二個旅団で攻める事態がおかしいと思わんのか!!」
「確かに我々は戦艦の喪失をしていない……だが貴重な空母とパイロットを喪失しているのだぞ!!」
「貴方方はノモンハンでパイロットの喪失で痛い目に合っているのだぞ!! これでは繰り返しているばかりじゃないか!!」

 レイテ沖海戦で海軍は戦艦の喪失は無いものの、機動艦隊は囮となりそれを見事に果たして壊滅している。しかもレイテ湾でアメリカ陸軍の大半を撃滅したにも関わらず、マッカーサー率いる残存部隊をむざむざ逃がした陸軍の失態に文字通り海軍将官の全ての堪忍袋の緒が切れたのである。
 レイテでの大勝を聞いた第35軍は直ぐにタクロバンを攻めようとしたが二個師団はそれぞれ米軍の二個師団と激闘を繰り広げており残っていたのは二個独立混成旅団だった。第35軍司令部は無理に攻めては被害が増すと判断してじわりじわりと包囲する予定だった。しかし、大本営の一部将官が「敵は敗残兵で旅団のみで追撃しても構わない」と判断して第35軍に攻撃を命令、鈴木中将は何時でも撤退出来るよう万全の態勢で攻撃を指令するもタクロバンに籠っていたマッカーサーが本気になり二個旅団は叩き潰されて敗走してしまうのである。
 なお、マッカーサーはタクロバンから去る時は負傷者等も見捨てず最後に撤退してアメリカメディアは一人でタクロバンを去るマッカーサーを大いに写真に納めて国民受けに成功する。この事態に陸軍は二個旅団長を処罰する事で事態を収拾しようとするも梅津参謀総長が陛下の面前で古賀大将(なお、ほぼ芝居)に面詰された事で梅津と杉山は大々的に関係者(追撃を要請した将官等)を処罰、予備役に放り込ませるのであった。
 また、地獄のレイテから帰還したマッカーサーはメディア等を通して大々的に米海軍の失態を強調、それに陸軍も乗っかり益々海軍の批判が大きくなる。ルーズベルトは事態の収拾に図るも自身が此処まで積み重ねた疲労が爆発、執務室で意識不明の重体に陥るのである。一時は生死の彷徨いをして回復したルーズベルトだがそれでも大統領の職務を投げ出す事はせず、副大統領にウォレスを据えたまま次の戦い(沖縄)に挑む事になる。
 さて、レイテ沖海戦後の各部隊はシンガポール、内地へ帰還していた。山口中将の第三艦隊はそのまま内地へ帰還した事で直ちに修理が行われた。
 シンガポールではセレター軍港の他にも工作艦『明石』が停泊しており大破の『武蔵』を優先して24時間態勢で修理を行った事で『武蔵』は12月下旬には内地へ帰還する事が出来たのである。なお、『長門』も本来であれば修理後は内地で機関の交換も行う事が視野されていたが、『武蔵』の再戦力化に工員が取られてしまい結果として『長門』は沖縄沖海戦の時に航路途中で機関故障が発生するも直ぐに全快するという謎の奇跡が起きる事になる。
 また、シンガポールの他にもカムラン湾には特設工作艦『白沙』『浦上丸』『八海丸』『山霜丸』と工作艦に改装された『秋津洲』が待機しており主に小型艦艇等の修理が行われていた。

376: 加賀 :2020/12/14(月) 12:40:57 HOST:om126208199075.22.openmobile.ne.jp
「彼等の存在が無ければ、我々は沖縄沖での艦艇はもっと少なかった」

 戦後に古賀大将がそう証言する程、工作艦はこの時に大活躍したのである。
 そして12月中旬、マリアナ諸島から急報がもたらされた。

「馬鹿な、米軍がマリアナ諸島に再上陸しただと!?」
「奴等め、余程新型の超重爆撃機で東京を焼け野原にしたいと思えるな」
「ですが此方も切り札と言える『烈風改二』は……」
「厚木の302空に54機が配備されているだけだ」
「陸さんもキ87を採用してますし何としても揃える必要はあります」

 12月下旬、警備隊規模のマリアナ諸島はあっという間に陥落し翌年の1月上旬には東京にB-29約200機が来襲する。
 だが彼等を待ち受けていたのは伊豆大島の対空電探に誘導された302空と飛行第244戦隊に大量の高射砲群だった。

「叩き潰す!!」

 彼等はロケット弾等多才に利用してB-29を撃墜しまくるも米軍も負けじと東京の下町に爆弾を投下、下町は半壊する被害を被るのである。それでもサイパン島に帰還したB-29は僅か80数機程度であり更に再出撃可能機は22機という損耗率にアーノルド少将が頭を抱える程だった。
 また、米軍は機雷を投下して日本海軍の妨害をするも事前に掃海訓練を終わらせた海上護衛隊の掃海活動によりあまり効果は無かった。だがアメリカが日本本土を久しぶりに爆撃した事で国民は喝采し焦ったのはキングだった。そして焦ったキングは戦争の主導権を海軍側に持たせるために大博打として『オペレーション・アイスバーグ』を思案するのであった。

377: 加賀 :2020/12/14(月) 14:17:01 HOST:om126208199075.22.openmobile.ne.jp
  • ちょび髭覚醒(遅い)
  • 西部戦線の縮小のため部隊移動で粘る東部戦線
  • 橋はまだある……今はもうない!

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最終更新:2020年12月15日 13:05