729: リラックス :2021/01/01(金) 00:05:16 HOST:180-145-138-172f1.hyg1.eonet.ne.jp
さて、新年一発目のネタを

ネオ・ドレッドノート

1906年に進水したイギリス海軍の「ドレッドノート」は、単一口径巨砲よる武装と蒸気タービンによる高速を実現し、それ以前の戦艦に軒並み旧式兵器の烙印を押した。

以後の戦艦をドレッドノート級を略して弩級戦艦、それを超える戦艦として超弩級戦艦と呼称するようになったことを見れば、同級が世界に与えた衝撃は容易に察せられるだろう。

しかし、機雷、魚雷、潜水艦、航空機といった新兵器の性能向上により戦艦そのものに護衛戦力が必須となる時代が訪れると、その建造、維持コストの高さから戦艦という存在は一度絶滅することになる。


現代における戦艦の復活

その先駆けとなったのはドイツで建造されたADM級戦艦である。

しかし、同級そのものは旧時代の戦艦の枠組みから完全に脱却するものではない。

大規模プロジェクトの運用ノウハウを喪失した(ベルリンの新空港やインフラの更新など、その影響は多岐に渡る)ドイツが、神崎島に存在する旧時代の亡霊(ナチスドイツ)の存在に金切声を上げながら政治的な理由で生み出されたのだから、それ自体はさもありなん。

しかし、計画倒れに終わったとはいえステルス船体、省力化の為の先進的コンピュータシステム、 レールガンの運用を視野に入れた大電力を確保する統合電気推進システム、多機能レーダーの搭載と、

これらが全て実現し、搭載されたという前提で同級への対策を講じなければならなくなった関係者を悩ませたのも事実である。

そして、ここで軍事関係者に電撃が走る。

現代技術、そしてティ連や神崎島の技術を加えて現代戦に対応させた「戦艦」を建造したらどうなるのか?

こうした考えが、現代兵器として戦艦が復活する一つのきっかけとなったのは間違いないだろう。

そして、アメリカが完成させたエイブラハム・リンカーンの存在により、戦艦必要論という考えが誕生したことも大きかった。

エイブラハム・リンカーンは戦艦という存在を新たなステージへと押し上げた。

現代戦において戦艦は再び役割を持つことに成功したのである。

しかし、仮にエイブラハム・リンカーン級のみが建造されていたのであれば、各国で戦艦の復活は難しかったと見る意見が強い。

何故か?各国が自国の戦艦をどんな役割を求めて建造したのか、という点に着目してみよう。

かつて航空機が戦艦を撃沈できることを証明した際に、何が関係者に衝撃を与えたのか、と言い換えても良い。

各国が価格の高騰を承知で戦艦の建造を躍起になって行っていた理由、それは戦艦は戦艦でしか沈められないという前提が存在した為、他国が戦艦を持つ限り自国も戦艦を持たなけば国防が成り立たなかったが故にだ。

神崎島との演習結果もあり、戦艦を現有戦力のみで撃沈することは米任務部隊でも困難ということが証明されたことで、この前提が復活したことが戦艦の必要性を決定的なものにしたことは間違いないが、改めて考えてみよう。「神崎島以外に存在する戦艦がエイブラハム・リンカーン級のみだったら?」

戦艦に対抗する為の戦艦なのだから、当然唯一存在するエイブラハム・リンカーン級よりも強い、少なくとも撃沈し得るだけの能力が建造する戦艦には求められるのは自明の理である。

しかし、アメリカをして、ティ連の助力により大幅に建造費用を抑えられたが故に実現した怪物に比肩する代物を造るなど、どう考えても現実的ではない。

730: リラックス :2021/01/01(金) 00:07:22 HOST:180-145-138-172f1.hyg1.eonet.ne.jp
恐らく、そうなっていれば戦艦必要論はエイブラハム・リンカーン級の価値を肯定する物として終わっただろう。

しかし、奇しくもエイブラハム・リンカーン級以外にも、もう一艦種だけ存在している戦艦があった。

そう、ドイツのADM級戦艦である。

「戦艦に対抗する為に戦艦が必要ってのは分かりますけど、戦艦ってつまりエイブラハム・リンカーン級だよね?この戦艦でエイブラハム・リンカーン級に勝てるの?」

という、一見非常に頭の悪いようだがその実本質をこの上もなく捉えている疑問に対して返す言葉のない状況を、この戦艦の存在が意味合いを大きく変えた。

戦艦に求められる最低ラインがエイブラハム・リンカーン級からADM級に下がった、もしくはエイブラハム・リンカーン級に勝てない戦艦にADM級が存在意義を保証した。

ADM級には(砲撃戦までたどり着いた上で)勝てるがエイブラハム・リンカーン級には勝てるとは言わないという戦艦の価値が認められたことが、各国で戦艦が復活する最後の一押しになったと言えよう。

この範囲内の性能となるよう設計された戦艦を総じてネオ・ドレッドノートとする定義が生まれた。


まとめ

エイブラハム・リンカーン級とADM級という二つの戦艦の可能性(上限と下限)が戦艦必要論が盛り上がったタイミングで揃っていたことからネオ・ドレッドノートという枠組みで戦艦が各国で復活したと言える。

そういう意味ではADM級を無理矢理にでも建造してくれたドイツGJと主にミリオタ系の住人から讃えられたとか讃えられなかったとか。

余談だが、

ADM級<ネオ・ドレッドノート級<エイブラハム・リンカーン級

という関係である関係上、ADM級はプレ・ネオ・ドレッドノート級、エイブラハム・リンカーン級はスーパー・ネオ・ドレッドノート級であるとするのが一般的。

スーパー・ネオ・ドレッドノート級はエイブラハム・リンカーン級とその発展型のみとされているが、「あれ、じゃあやまと型は?」という点に関しては「あれはネオ・ドレッドノートの枠に収まらない、スーパーとつけても無理」という別枠扱いとする意見が主流な模様。

アレ、ドイツ製の未成艦を元に独力でネオ・ドレッドノート級を作り上げた中国って凄くね?とか、艦娘はどういう扱いになるんだと悩んだりといったことが起こったのはご愛嬌。

ついでに、ADM級を基準にするんだから超ADM級にしたらどうだという意見に関しては「端的に言うと、やだ」で一致した模様。

また、ADM級とエイブラハム・リンカーン級だと間が開き過ぎだから定遠級をラインとした枠組みにしても良いんじゃないかという意見もあったが、そうするとパシフィカ級の扱いがアレとなり、戦略的な価値が脅かされるからダメと却下されたとか。

731: リラックス :2021/01/01(金) 00:07:53 HOST:180-145-138-172f1.hyg1.eonet.ne.jp
以上、あけましておめでとうございます。

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最終更新:2021年01月04日 16:32