126: 加賀 :2021/01/24(日) 13:16:27 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp



「条約は無事に批准されましたね」
「海軍も東郷さんが艦隊派にドデカイ雷を落として沈静化させましたしねぇ……」
「まぁ問題は……」
「艦これのネルソンが現れた……艦娘の出現ですな」
「ネルソンの話ではまだ複数が現れると?」
「可能性……としてです」
「怨念か……待てよ、怨念を鎮めるためなら……まさか……」
「……いやでも……有り得なくは……ないですな……」
「ま、今はイチャイチャする橋本に藁人形を打つか」
「藁人形はまだありますか?」






 1930年10月1日、枢密院本会議において満場一致でロンドン条約を可決、翌日の10月2日、正式に条約が批准されたのである。しかし、この条約批准に不満を持つ派閥が現れる。条約反対の艦隊派である。

「対米七割でないと海軍は戦えない!!」

 艦隊派は強硬にそう主張、宮様らは神格化していた東郷を味方に付けようとしていたが既に東郷は百武や古賀ら側であり艦隊派は東郷にドデカイ雷を落とされたのである。

「お前らはまだそんな事を言っているのか!! 軍艦は貴様らの玩具では無いのだぞ!!」

 味方になると思っていた東郷の思わぬ雷に艦隊派はどうする事も出来ず勢いも次第に沈静化するのである。また、東郷が条約派に味方した事で艦隊派の宮様も東郷に同調する展開を見せ艦隊派はトドメを刺されたに等しかった。
 また、東郷は密かに宮様と会談をし技術力の昇華する事を薦めた。

(成る程、東郷閣下も考えたものだ……)

 話を聞いた百武は納得した表情をしていた。これが命令だったら東郷は元より条約派が更に増長、艦隊派が爆発するかもしれないと踏んだのだ。そうなれば海軍は混乱をし陸軍より酷くなる……そうなれば目も当てられない状況である。
 実際、宮様も東郷の話を汲み取り、艦本や航本に技術力の昇華を薦め、内密に「東郷閣下の意見でもある」と薦め艦本本部長の藤田中将、航本本部長安東中将は直ぐに指導を務めるのである。なお、この最中で牧野と新たに仲間に加わった福田啓二造船中佐と松本喜太郎造船中尉は共に新型戦艦ーー『一号艦』こと『大和』型の模型と『三号艦』こと『翔鶴』型の模型を宮様と艦本に持ち込んでいた。

「これが君達が考える新型戦艦と航空母艦か……」
「美しいな……」
「この角度がまた良い……」
「主砲の口径は50口径46サンチを予定しています」
「何と『長門』型以上か」
「はい、ワシントン軍縮が無ければ恐らくはこのクラスの主砲も生産され配備されていたでしょう」
「『十三号』型の事か」
「はい。宮様にはこの開発計画を是非とも承認して頂きたく……」
(……東郷閣下にも技術力の昇華を薦められた……海軍は変わる時に来ているのかもしれない……)

 牧野や福田達の話を聞いていた宮様はそう思い開発計画を続けるよう告げるのである。
 そして11月、14日には東京駅で濱口首相が右翼活動家に狙撃される暗殺未遂事件が発生する中、とある旅館にて橋本達は集まっていた。なおこの旅館は橋本達と同じ同志が経営をしており盗聴される心配は無かった。
 ただ、橋本達が集まった中には一人の女性が含まれていた。女性はコップに注がれたラム酒をストレートでグイグイと飲んでおりその様子を近藤や古賀達はむしろ女性を崇めていた。

「ハハハ、まさか艦娘のネルソンに出会えるとはな……憑依していてこんな嬉しい事はないな」
「確かにですな……」

 いつも以上に酒の量が進む古賀や近藤らだがそんなの関係ない。むしろ彼等は喜んでいた。まさか空想でしか見れなかった者が現実で見れたのだから……。

127: 加賀 :2021/01/24(日) 13:34:57 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「まぁそれは置いておいて……橋本君、何故ネルソンが現世に現れたのだい?」
「それはやはり本人から聞くのが一番ですよ」

 古賀の言葉に橋本は頭をポリポリと掻きながら告げる。そして視線に気付いたネルソンはラム酒を飲んだ影響で頬をうっすらと赤らめながらも口を開いた。

「怨念だな」
「怨念……?」
「あぁ。私は元々何だ?」
「何だってそれは……戦艦『ネルソン』だろう?」
「そう、戦艦『ネルソン』が擬人化して艦娘という存在になった。だがその存在になる過程は?」
「過程……」
「怨みだ」

 ネルソンはそう言って空になったコップにラム酒を注いで一口付ける。

「怨みは溜まるがそれらは自然界の調和によってやがては浄化されていく……そうなる筈だった」
「筈だった……?」
「……まさか」

 ネルソンの言葉に古賀は勘づいた。そうか、だとすればネルソンが自分達の前にいるのは……。

「貴様らが前回と前々回、頑張り過ぎたせいで怨みの量が多すぎてな。無論、怨みの自己回復や調整もあったらしいが……何分と日本が頑張り過ぎたな」
『………』

 ネルソンの言葉に橋本と松田以外(予めロンドンで聞いていた)の者達は顔を伏せた。

「やはり……我々の衝号作戦か……」
「引き金はな。日本の八百万の神々というのか? むしろ賛同していたと玉座で聞いた事があるが果たしてな……」

 まぁ日本の神々からすればさもありなんであろう。

「じゃあネルソンは怨みが無くなれば消えるのか?」
「いや、暫くは大丈夫だ。私の艤装等を通して怨みは浄化させる話だ。早い話が私や艦娘は受け皿だな」

 話は以上だとばかりにネルソンはラム酒を飲み干す。

「だがこれからネルソンはどうするのだ?」
「愚問だな」

 古賀の言葉にネルソンはニヤリと笑い橋本に視線を向ける。

「そこにいるアドミラルに世話してもらう。何せ私の身体を好き放題にしていたからな」
『その話、Kwsk』
「言い方ヤメェイ!! 違いますから!! ネルソンが言ってるのは慶良間諸島沖海戦での話ですから!!」

 暗黒面に落ちそうな古賀達に橋本は慌ててそう取り繕うのであった。なお、古賀達も艦娘が現れたら直ぐに保護する方針で決まったのである。

128: 加賀 :2021/01/24(日) 13:57:38 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
  • 東郷、艦隊派に雷を落とす
  • 牧野達、模型を見せる。
  • ネルソン「怨念が怨念」



取り敢えずは味方になるネルソンです。なお、橋本だけには……?
取り敢えず藁人形を用意しないと

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最終更新:2021年01月25日 00:33