48: 635 :2021/03/14(日) 20:11:17 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです三十


輝く白き天駆ける舟が黒き巨狐と対峙する。
現世に再臨した慈母の化身と幽世の太母の影となった存在、それを喚び出したのはヒトの祈りとヒトの呪詛。

神話の再現というこの光景はヒトの悪意、業が生み出したもの。
そしてその業を止めるために慈母を喚び戻すという奇跡、否偉業を成し遂げたのもまたヒトである。


「GUOOOOooooオオオオォォォォ!!」


巨狐が吠えその背中の十五門の66センチ砲が赤黒い電光を纏い火を吹き砕け散る。
砲艦アルテミスの事象可変シールドすら容易く貫いた砲撃。
それが直に再生する砲から連続して放たれる、それは正に砲弾の嵐。

しかしそれは伊耶那美命たる戦艦大和には届かない。
船体を覆う圧倒的なまでの出力を誇る事象可変シールドと加護が全ての砲弾を圧し折り、
着弾した部分が輝き淡い燐光が舞う。

大和の三連装主砲が超高出力の重粒子ブラスターを放つ。
光の尾を引いて巨狐へと向かう三本の重粒子ビームは障壁に弾かれる。

しかし、再度大和の第一、第二主砲が光を帯びる
文字通りの目にも留まらぬ速さを持つ超高速斥力砲、その46センチ砲仕様。
本来ならば航宙艦に装備されるべきそれは絶大な威力を発揮するものなのだが、


「クソ!分かっていたが障壁が強化されてる!重粒子ブラスターを弾きやがった!!」

「斥力砲でも対州要塞姫の守りを突破出来るのか…?」


白木と大見は大鳳の甲板から戦闘の様子を見ていた。
その隣では柏木達にメルやサスア、ネロなどもいる。

大和の主砲が一際大きな光を放ち砲弾が放たれ、
その砲弾は巨狐を穿ち、黒い光を放ちその身体を崩壊させる。
しかしその傷も直様修復される。


「あれは侵食弾頭?でもどうやって…?」

「柏木や、どうやら大和、いえ伊耶那美様も考えて戦ってらっしゃるようですよ。」


柏木の疑問、どのように対州要塞姫の守りを突破したかという疑問に何気にクエビコとデータリンクしているナヨが答えた。
さすがは仮想生命体といったところか。
柏木達が空間交通管理法第七条でサルカスのある宇宙にに至る直前に探査徹甲弾で宇宙組成を調べた際に近い方法を使ったという。
砲弾に仮想造成した事象可変シールド発生器と斥力推進機関をを装着させシールド発生器でシールドを突破、
その圧倒的な物理運動量を以て装甲を粉砕したという。


「うわー!!何アレ!何アレ!!」

「あの様な武器で戦うとは…正しく神々と魔獣の戦いか…!!」


姫迦を抱えたメルが騒ぎ、サスアは呻くように声を零す。
そもそも医療用ハイクァーンや粒子ブラスターを除けば19世紀以前の文明水準であったハイラの人々にとってみれば、
重力兵装や斥力砲といった超科学の産物と天穴の使徒イゼイラの同胞が神と呼ぶ存在が同居する現在の状況がどう見えるか?

49: 635 :2021/03/14(日) 20:12:03 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


「そういえばお姉ちゃん、あの舟に乗ってる女の人も神様?」

「エエそうデスヨ。」

「うわっはー!神様がこんなに見える程身近にいるなんてヤルマルティアってスゴイ国なんだね!!」

「いやメルちゃん本来こんなにホイホイ出てこないからな!?」


そもそも伝説上の存在で実在を疑われていたと白木はツッコミを入れる。


「うむ、そうそういても困るからな!特にローマ化されてない純ギリシャ系とかアブラハムのとかな!!」

「あんたも何で存在してるのよ!?」

「?余は歴史上しっかりと実在したぞ?」

「確かにそうだけどよ!?」


話に入ってきたネロに更にツッコミ入れる白木、本来は柏木の役目なんだけどと大見は思う。
そこへメルが大見に質問をする。


「オーミ師匠!そういえばアマテラス様とかあの舟の神様とかどんな神様なの?」

「あーそうか日本の神様なんぞ知る訳ないか…まず天照大御神様だが日本の主神で太陽神でもある。」

「ほうほう…太陽神…。」

「そして伊耶那美命様だが…まず天照大御神の母親に当たる。その上で。」

「 ? 」

「この日本という世界を創造した創造神の一柱にして神代七世を除く全ての神の神母、大地を司る地母神、そして死を司る女神。」

「オーミ師匠、創造神て…何でそんな偉い神様が…後、地母神と死神って違い過ぎない?」


メルの疑問であるが日本の神は基本相反する属性持ってても不思議でない。
太陽神である天照大御神の荒御魂である瀬織津媛命は水神で海神でもある。



巨狐は海面をその四肢を以て踏み締め大和へ向かい駆け出し、
大和も空間振動機関を稼働させ姫と対峙する。
同航戦となり徐々に近づきながら巨獣と大和は互いに主砲や副砲から物理砲弾、粒子ブラスター、ディスラプターを高速で撃ち合う。
しかし、各々の防壁に阻まれ決定打に欠ける。
だがその一撃、一撃が地球水上艦艇はもとより、小型のティ連艦ならばシールドが突破される程の威力を誇る。
そして巨狐と大和の艦体が接触する。

互いのシールドと加護が干渉し巨大な音が響かせながらも主砲を撃ち合いをやめず、しばしチキンレースの様相を呈する。
その状態で大和の周囲に展開されている神剣が振るわれせシールドと加護ごと巨狐の身体を切り裂く。

振るわれたのは日本最強の龍殺しにして魔獣殺したる天羽々斬の写し身、巨狐は怯み大和から離れる。
対し大和もまた艦首を回頭し離脱するが、


「ヤマトサンがイナイ!?」


フェルが大和の甲板上に伊耶那美命、大和がいないことに気づく。


「上だ!!対州要塞姫の真上にいる!!」

50: 635 :2021/03/14(日) 20:12:53 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


全員が巨狐の上空に目を向けると天之尾羽張を構え天を舞う鷹のごとく姫に狙いを定めた伊耶那美命の姿、
それは正しく獲物を屠る狩人。
巨狐は上空へ対空火器を指向するが遅い。



一閃、天之尾羽張が煌めきを残し振るわれ巨大な首が宙を舞う




「あ…。」


そんな声と同時に巨狐の頭から弾き出される影、その影を伊耶那美命は空中で優しく抱きとめる。
影は伊耶那美命に縋り付き顔をうずめた。


「かか様…!」



ゆっくりと下降しながら影を抱いた伊耶那美命は大鳳の甲板へふわりと降り立つ。
全員が伊耶那美命の元へと駆け寄る。
母の腕の中には母の衣をしっかりと握り締める鬼の角に狐の姿を持つ幼い童女の姿。
その場の全員が安堵の表情を浮かべる。
ネットの実況スレでも安堵のレスが溢れる。


名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 これが対州要塞姫ちゃんですか?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 かわええなあ…

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 鬼の狐っ娘で巫女って属性ありすぎじゃね?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 しかし無事に助け出されたかよかったよかった

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 やったか!?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 良し勝ったな!風呂入ってくる!

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 ステーキでお祝いだ!!

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 勝った!第三部完ッ!

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 残してるパインサラダ食ってくるか…

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 お前ら死亡フラグ自重



しかしその場の全員が安堵の表情を浮かべたのもつかの間、伊耶那美命は厳しい表情で首の取れた巨狐の方を見ていた。
メルやサスア以外の全員も緊張した面持ちで目を向け直した。
柏木は伊耶那美命へと話しかける。


「伊耶那美様、やはり来ますか…?」

「一足遅かったようです…既に太母としての私の影を依代として降りてしまっています。」


ただならぬ柏木の様子にメルは疑問を呈する。


「マサトのおっちゃん、これでお仕舞いじゃないの…?」

『A――――――。』


メルが言葉を言ったその瞬間声、否歌が海域に響く。
白木の持つ端末がその姿を捉える。



名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 なんだありゃ?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 対州要塞姫の首が復活してる?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 おいおい狐じゃねえぞあれ!?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 あの姿は翼を持った竜?



51: 635 :2021/03/14(日) 20:14:56 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp



「かか様…アレが…アレが来る…っ!!」


対州要塞姫は伊耶那美命の服を握り締め震える。



名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 おい、おい、人理焼却も起こらず憐憫の獣は顕現しとらんのだぞ!?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 まてまさか、いくらギリシャの機神いるとはいえアレが来るとか想像出来んぞ!!

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 知っているのか雷電!?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 何また創作系?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 この状況最悪だろ…

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 柏木大臣言ってた『獣』型召喚器って獣は獣でもそれかよ!?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 ドイツのやつら神崎島潰す為なら世界が滅びていいのかい!?

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 ドイツ「ここまで大騒ぎになるとは思ってなかった」

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 誰か説明してくれ

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 なにがなんだか

名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
 クソ!いいかアレが想像通りなら創作に出てくる存在の中でもかなり最悪な部類の存在だ!!



「私の遺骸をあの様に扱い子らを害するに飽き足らず。存在自体をあの様に捻じ曲げるとは…。」


伊耶那美命の身体から怒気が溢れ出す。


『A――Aaaaaaa――!!』


ソレは再び歌う、神々の加護無くば人が此の場に存在できぬ力持った歌を。
旭龍に乗る多川とシエは呻く。


「ドイツのやつらいくら創作の存在いるって言ってもあんなの人がどうにか出来るわけないだろ!」

「アレハ、冠位ヲ掛ケタ死ノ付与と冥界ノ機構、英雄王ノ渾身ノ一撃ヲ持ッテドウニカナッタヤツダゾ!?」


それは召喚器を取り込んだ対州要塞姫が創造神の影という特級の器にして触媒たり得た為に成功してしまった。
そして存在を捻じ曲げられた対州要塞姫の影響により日ノ本の一柱、祟り神という形で姫の内に顕現した。
召喚器を開発した者達が意図した神崎島の世界を塗り替える創作上の存在に近しい形態で。



ソレは大鳳、その甲板上の伊耶那美命を見つめ、否睨みつける。
古きメソポタミアの神から捻じ曲げられ八百万の荒御魂となった、故に祟る。



ああ口惜しや、憎らしや。私が子に追われたというに、アレは子に愛されている…!!



ソレは口を開け漆黒の光を放ち、黒く濁った津波を引き起こす。
フェルは悲鳴を上げる。


「超重力砲にケイオスタイドデスカ!?」


否それは黒き生命の海に非ず、太母の影たる対州要塞姫が持ち合わせていた夜海の津波。
それはフェル達の乗る大鳳へと放たれ押し寄せる。
しかしその刹那、光とともに空と海が割れる。
ミラーリングシステム、霧の力も併せ持つ戦艦大和により空間に穿たれた穴。
伊耶那美命はそれを幽世へと繋ぎ、黒い光と津波は穴に飲み込まれていく。

しかしその影響で海面と大気は大きく荒れ柏木ら幾人かは海へ投げ出される。
白木や多川等は菊理媛命や蛭子命に助けられ、ナヨや姫迦を抱えたメルは造成した斥力推進で飛行し大和の甲板へと降り立つ。
飛行中であった旭龍も流石に大和の後方甲板へと退避した。

52: 635 :2021/03/14(日) 20:16:30 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


「ウヒャ――――――!?」

「のおおおお!?落ちる!?落ちる!?」


柏木とフェルも例外ではない。
大鳳の甲板から放り出され海面が見え目を瞑る。
その直前誰かに掴まれ大和の甲板まで運ばれた。


「大丈夫?」

「二人共大丈夫よ、愛は沈まないわ!!」

「タカオ、そうたけどそうじゃない。」


何処かで聞いたような声、柏木とフェルが目を開くとそこには青いセーラー服に銀髪の少女と白いワンピースの青い髪の女性、


「えっと、まさか霧の…?」

「青のセーラーと白いワンピース…。!、TVアニメ版のお二人デス!?」

「アニメがどうとか分からないけど、私はイオナ、こっちはタカオ。」

「雑な紹介のしかたね…まあいいわ。私はタカオ、霧の重巡洋艦よ。」


二人は名乗った霧の艦であると、そして霧の艦隊が何故ここにいるのかという疑問。


「やはり霧の艦隊の…でも何故ここに?」

「"呼ばれた"から。大和の危機だから助けて欲しいって。」


声なき人々の祈り、大和と伊耶那美命へと届けられたそれは夜海帰りという神事にて伊耶那美命の夫たる伊耶那岐命の役目を背負った巫覡、
神崎博之にも届けられた。
世界の狭間、現世と夜海の狭間である夜海門、黄泉平坂にてその声なき祈りは巫覡たる神崎を通し世界の狭間に響き渡り応える者がいた。

かつて提督の指揮下で戦った或いは戦闘を行ったという縁にて結ばれた艦、霧の艦隊。
戦いを終え元の世界に戻った筈の彼女らであったが縁故に届いた声なき声、共に戦った大和の危機に世界の狭間、
可能性の海に揺蕩う彼女たちの情報の欠片を撚り合わせ、人々の祈りにより此の場に顕現した。

その際に同様に揺蕩っていた異なる世界線の自身の情報をも取り込んだという。
その結果が並行宇宙のイ401と融合した霧の超戦艦ヤマトの因子をも取り込んだ戦艦大和の姿。

それはヒトの想いが齎した奇跡であった。



「柏木大丈夫か!?」

「柏木無事か!!」

「オーちゃんに白木、ああ大丈夫だ…。」


大見達が柏木達の所へとやって来た。
その際にイオナらの存在に驚くがまあこんなこともあるだろうと流した。
ネット界隈では先の情報も流され更なる祭りへと発展、かつてのイベントで猛威を振るったイオナ神として祀られた。
その内イオナらが艦娘化するかもしれない。


そして対州要塞姫を抱いた伊耶那美命は柏木達の元へ降り立つと柏木達に言葉を放つ。


「幸運かどうか分かりませんが、"彼女"は私にのみ執着しています。貴方達も戦艦大和に図らずも乗ってしまった以上覚悟を決めなさい。」



ソレはその威容を見せる。


『A――――――。』


ソレは人類が倒すべき獣に非ず、
原初の母にしてプロメテウスの火と同様に人類の業が生み出し、いや呼びたした荒ぶる祟り神。


柏木の口から溢れた言葉が世界へ流れる。

       ・ ・ ・ ・ ・
「あれが…ティアマト。」


後に銀河連合日本、向こう側の日本において多くの者が体験する物語の最終章、
それは伊耶那美命の言葉と共に始まる。


「皆の者、彼女を、ティアマトを鎮めますよ!!」

53: 635 :2021/03/14(日) 20:18:04 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
ラスボス第二形態持ってるのは当たり前なので、後元々対州要塞姫が生み出された以前からプロットのラスボスが彼女です。

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最終更新:2021年03月15日 22:18