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銀河連合日本×神崎島 サセボ異界紀行 『私』の所感メモ



フランス連邦共和国、FFRという国家は日本が大陸となっているこちら側そして我々の地球世界の国家から見てかなり異質な存在である。
軍艦、戦艦リシュリューを始めとする艦艇達を神として祀り上げ、それを全ての基準とし国家を運営している。
FFRの全ては主神たる戦艦リシュリュー、彼らが言う所の『Notre Commandant(我らが指揮官)』が為に存在していると言っても過言ではない。
他国の感覚からすればそれは非常に異質で異常である。

日本が大陸となった世界、仮称として大陸世界と称するがこの世界でも第二次世界大戦に当たる戦争は存在した。
その戦後に共和国という共同体幻想が崩壊しかけた時に共同体を纏め上げるものが必要となった。
しかしキリストというイコン(象徴)は大戦を通じて力を失い、革命否共和国という精神は敗戦から失墜した。

故に当時の政府首脳はを祀り上げたのだ、フランス唯一の勝利を齎した戦艦リシュリューを。
メンテナンスと改修を続ければを続ければ長きに渡り変わらぬ威容と戦歴という看板を掲げることが出来る艦艇という存在はうってつけだったのだろう。
彼らの見込み違いだったのは同時に祀り上げた『元帥』や『提督』を押しのけて彼女が主神の地位に着いてしまったことだ。
これについては『彼女』も苦笑いを浮かべていた。

戦艦リシュリューが主神という地位に着いた経緯については省くがFFRにとって戦艦リシュリューとはFFRそのものである。
これは誇張でも冗談でもなく純然たる事実である。
戦艦リシュリューを中心としたFFRの団結力は高くFFRは戦艦リシュリューさえ在れば何度でも立ち上がるだろう。
例え国土を焼かれようが、本土を失陥しようが。

逆に言えば戦艦リシュリューを失った場合FFRという国家は求心力を失うということでもある。
いやFFRの消滅、存在そのものが失われると言っても過言ではない。
それは此度の騒動でのケラージョルジュ始め接したFFRの人間の反応を見れば間違いない。

まずそれが出来るのかが問題あろうが。
それはFFRという国家自体が戦艦リシュリューを守る為ならばあらゆる手段を問わないからだ。
今回の騒動でもファーダリシュリューが姿を現すことを決めなければFFRと大日本帝国、いやOCU及びティエルクマスカ連合との全面戦争を辞さなかったことからも見て取れる。

そして全面戦争により全ての国家に深い爪痕を残し列強の重しの緩くなった大陸世界がどうなるか…。
列強の存在により安定しながら中華というパンドラの箱がある以上我々の世界並みに混沌とする可能性もゼロではない。


話をFFRに戻そう。
FFRという国家は戦艦リシュリューを全ての価値の中心に置き行動する。
これは利点でもあり欠点でもある。

FFRは速やかに国家の全てを一つの方向に動員しその力を束ね発揮するということに関しては日本やオランダの追従すら許さないだろう。
全ては『Notre Commandant』の為であればこそ出来ることだ。
しかし『Notre Commandant』に関して、そして関連しない事柄に関してFFRという国家は弱点を持つ。
此度の我々の事故的な来訪、FFR風に言うならば『Notre Commandantの降臨』に際しそれは浮き彫りとなった。

ファーダリシュリューが即座に姿を隠したことでFFR国家そのものが動揺した。
政軍両方の指揮系統が混乱、それは直ぐ収まったのだが…。
事前通告なしでの即応集団の移動、挑発的な演習準備、国民が自発的に総力戦体制に移行すらしかけた。
つまりは統治機構、いや国家そのものが暴走しかけたのだ。
姿を隠した、ただそれだけで国民・国家全ての正常な判断が損なわれた。

そしてもう一つ、FFRは『Notre Commandant』に全く関連しない事象に関しては関心や発想が些か弱い様に感じる。
彼らが決行しようとする神現祭、彼らは崇める『Notre Commandant』に捧げようとするソレの決定にも見て取れる。
誕生して百年未満という新しい信仰であるのは仕方がないとして他の宗教の儀式を取り入れFFR式に直すなど考えが浮かびそうなものだが、
結局は長老格議員の提言したいつもの『神事』を拡大させるまで多くの者は些か見当違いな方向へと迷走していた。
何というか自分らの価値観から視点を動かすのが苦手、それだけ戦艦リシュリューという存在が絶対なのだろう。

342: 635 :2021/05/28(金) 17:44:03 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


そんなFFRであるが私は似た国家を知っている。
我が故郷、イゼイラ星間共和国だ。

帝政解体と共和制への移行を行い、壮絶な人生を駆け抜けたイゼイラ人の大半に信仰され模範とすべきとされる創造主ナヨクァラグヤ。
加えその彼女が訪れた全ての希望が眠る地・聖地ヤマルティアを絶対視するのがイゼイラという国家である。
そして創造主ナヨクァラグヤと聖地ヤマルティアに何かあれば国民・国家が暴走しかけかねない危うさ、
発達過程文明への見識のなさから来る地球の他国への関心の薄さと発達過程文明を経てないが故の発想の貧弱さ。

それらはある種、『Notre Commandant』リシュリューとそれを奉じるFFRにも通じる。
FFRという国家のこれまでとこれからを調査することはイゼイラのif、発達過程文明イゼイラを想像する上で手がかりとなるかもしれない感じる。





つらつらとそんな事を走り書きし顔を上げるとファーダリシュリューによる艦長のあやしは終わっていた。
しかしあいも変わらずファーダコンゴウは非常に微妙な表情をし、ファーダリシュリューといえば困惑の表情をしている。
そんなファーダリシュリューの両手には鞘に入った一振りの剣が握られている。
ファーダ、それは艦長の腰にあったものでは?

そんな疑問を他所にケラージョルジュは「あれは確か艦長がその職務を拝命した時に拝領したリシュリュー刀…」と呟く。
リシュリュー刀、我々の世界での戦艦大和等の主砲身から作られる刀みたいなものか…?
あれらは日本国内やティエルクマスカ各国で神剣の類として扱われているが。

そしてファーダの目の前には艦長、機関長始め戦艦リシュリュー各部署の長と思しき人物達が膝を着き頭を垂れる。


「全てに勝る母にして我らが指揮官たる女神リシュリュー、小官は貴女の戦艦リシュリューの艦長という栄誉ある立場にありながら許されざる不敬を、
 貴女の胸の内を探るという大罪を犯しました。その御怒りはご尤もです。しかし罪は小官のみに帰結します。どうか小官の命で御怒りをお納め下さい。」


艦長は処刑を待つ罪人の様に懺悔する。
艦長のその言葉に火が着いた様に各部門の長らが異議を唱え自分こそが『Notre Commandant』が怒りを下す先と必死に主張する。
『Notre Commandant』の怒りの原因、それは機関長は自分が電気信号に気づいたからと、通信長は通信は自分の責任下であると。




何コレ…?(困惑)

343: 635 :2021/05/28(金) 17:46:05 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ!
いやあモントゴメリー氏のネタのお陰で以前から書きかけだったネタの筆が捗りました。
感謝感激雨あられです。

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最終更新:2021年05月29日 10:56