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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその四十七



地球人類がティアマトや初の地球外神話機械知性体(真体・日本製)を認知している頃。



光と闇がうねる空間を一隻の艦が行く。
艦というには些か規模が大きくティエルクマスカ銀河共和連合でも都市艦という区分に分類されるその艦、名を都市型探査艦ヤルバーンと言う。

そのヤルバーンの通路を金色の瞳が特徴的な水色の肌のイゼイラ人フリュ、フェルフェリア・ヤーマ・ナァカァラは手に持つトレイにコップを乗せカツカツと靴音を響かせながら歩く。
時折キョロキョロと周囲を見回し誰かを探している様子であった。

そして暫し歩き回っていると通路に設けられた幾つかベンチがあるような小さな休憩スペースに目的の人物を見つけた。
その人物は窓代わりに設けられたゼルモニターに映る外の景色をただぼうっと眺めている。


「アア、ココにいマシタカ…。」

「フェルさん…。」


フェルフェリア、フェルの呼びかけにその人物は少し澱んだ目を向ける。
ヤルバーンの制服を来た少女と言っても良い年齢の薄い紫の髪のフリュ、
その見た目はイゼイラ人から見ればディスカール星間共和国のディスカール人に近いが耳の形や額に感覚器官を持たない。

身に着けているイゼイラには存在しない両目の視覚を光学的に補正する器具が特徴的だ。
ナノマシンの投与により必要の無い筈であるがこれも故郷との数少ない繋がりと外すことはない。
そう、彼女の種族は現在ティエルクマスカには彼女唯一人しか確認されていない。一人ぼっちの種族。

そんな彼女にフェルは持ってきた飲料の入ったコップを渡すと寄り添う様にその隣へと座る。
少女は両手で持ったコップに映る自分の姿をじっと見つめる。


「…心配デスカ?」


ふと言葉が溢れた。


「…はい…。」


フェルの言葉に少女の思いが言葉となって怒涛の様に溢れ出す。
翻訳機は少女の言葉を一字一句可能な限りフェルが分かる様に伝える。


「もしかしたらこの宇宙のハルマは因果が揺らがずそのまま歴史を歩んでるかもしれない。もしかしたら時代が違うかもしれない。
この宇宙ではもしかしたら私達の宇宙がが切り捨てられる並行宇宙かもしれない、もしかしたら滅んでるかもしれない…悪い考えばかりが浮かぶんです…。」



少女言った因果という言葉、少女の言語での本来の意味をティエルクマスカの人間が完全に理解することは不可能だった。
しかし、イゼイラの科学者達はそれをイゼイラ人の信じる因果と捉え因果という言葉で表した。
より良き宇宙の道先を指し示すもの、まさしく因果である。
また、良き因果なく先を閉ざされ切り捨てられた並行宇宙が存在すると彼女は言う。

171: 635 :2021/07/03(土) 00:03:31 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

少女の出身はハルマ、イゼイラで伝説上の惑星、その星から彼女は何の因果かイゼイラに漂着した。
少女の存在により伝説ではないと確信され此度少女もヤルバーンの乗員に加えハルマへと向かっているのだ。
そしてヤルバーンでの少女の立場はフェルの部下、調査局員だ。
少女はハルマの特殊機関の一員であったらしくその能力は他の局員にも見劣りしない。

しかしこの宇宙のハルマが少女の出身地のハルマならばそこにはハルマ人はほぼ存在しない。
この宇宙のハルマが少女の出身地なのか、そうでないのか…。

どちらにしても現在フェルらが知るハルマ人は彼女の一人だ。
一人ぼっち、その寂しさはフェルも知る。
たった一人のフリンゼたった一人のヤーマ家の人間、それだけでも寂しさは人一倍であったのに種族が一人だけとはどれ程の寂しさか…。
フェルは口を開く。


「…コレから話すのを知ってるのはサイヴァル議長や家のサンサだけ、連合議長のファーダマリヘイルや親友のシエすら知らない最大級の秘密デスから誰にも話しちゃダメデスヨ?」


フェルの言葉にキョトンとする少女。
フェルはゼルモニターを造成すると何やらデータを映し出す。


「…こちらが私の遺伝子情報、こちらが貴女の遺伝子情報デス。」

「これに何が?」

「ココとココの遺伝子を比べて見て下サイ。同じデショ?」

「それが何か…?」



「私はハルマの…チキュウ人の血を引いているデスヨ。」



フェルの言葉に少女の瞳が大きく開かれる。
フェルはもう一度言う。


「貴女と同じチキュウ人の血筋なのデスヨ。」


少女にフェルは言う、貴女は一人ではないと。
対し少女はフェルに問う。
ハルマ、そのヤルマルティアという国がイゼイラの創造主、ナヨクァラグヤが辿り着いた発達過程文明、イゼイラにとっての聖地であり希望の地であることは知っている。
だがハルマの血を引いているとは如何なることか。

172: 635 :2021/07/03(土) 00:04:30 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


「正確な記録情報は残ってないデス。でも口承によればご先祖様のナヨクァラグヤはヤルマルティア、
正確にはヤマトの国と呼んでいたそうデスが、その国の長の家系の方と恋に落ち、イゼイラに戻った後に子を生んだそうデス。」


歴史ではぼかされ、一般的には表に出来ないイゼイラ人と推測されているがとフェルは付け加える。


「ヤマトの国…長…。先輩の故郷、まさかニホンの…?」


少女は驚きの声を上げるがそれ以上にフェルは少女の言葉に驚く。


「ヤマトの国を知っているのデス『ヤルバーン全乗員に通達、後五微周期程で目的の恒星系第三惑星付近にディルフィルドアウトとなる。各員配置に着け!!』ああ、もうこんな時に!!」


フェルの言葉を艦内放送が遮り、二人の前にゼルモニターが造成される。
ゼルモニターに映るのは司令のヴェルデオだ。


『フリンゼもう少々で到着となります。!、ああ君も一緒にいたか。御二人共艦橋に上がってきて下さい。
ディルフィルドアウトと同時にヴァルメを放出、惑星の調査を行います。調査局としてヴァルメの管制をお願いします。』

「フゥ…分かりマシタ…。」

『お待ちしています、フリンゼ。』


フェルが溜息を吐きながらヴェルデオの言葉に了承を示すとゼルモニターが途切れる。
フェルは少女の方を向き手を出し少女の手を握りしめると行きましょうとニッコリと笑う。
そんなフェルに少女は驚きながらもはにかむ。


「行きましょう!フェルさん。」

「エエ…!」

173: 635 :2021/07/03(土) 00:07:35 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります転載はご自由にどうぞ。
ナヨクァラグヤ帝の血筋、長子は地球に残され次の子はイゼイラへと渡ってから生まれました。
そして予言の子アイギス、分かる人は直に分かる浜風似のあの子です。

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最終更新:2021年07月03日 19:55