332： 加賀 ：2021/07/25(日) 08:05:20 HOST:softbank126243101222.bbtec.net
「ハシモト、年越し蕎麦というのは出来たか？ 早くしろ、余はもう我慢が出来ないぞ！！」
「少しは落ち着け！！」
「早くしてくれ、そろそろ蜜柑だけは飽きてきたぞ」
「この野郎ぉ……」
1918年の年は過ぎて1919年の幕が開けた。1月18日にはパリでパリ講和会議が開催されドイツへの請求が色々される。2月14日にはポーランド・ソビエト戦争が勃発し27日にはリトアニアでリトアニア＝白ロシア・ソビエト社会主義共和国（リトベル共和国）が成立したりする。
そして少し飛んで6月21日にはスカパ・フローでドイツ艦隊が自沈したりする。
そんな中で夢幻会メンバーは陸軍も交えて集まっていた。
「尼港事件はどうしますか？ 回避するなら今のうちに全面的に撤退するのが先決ですが……」
「うむ、シベリアには用が無いからな。何としても撤退する」
橋本の言葉に畑はそう答える。なお、畑らの努力は実り尼港に駐留していた第14師団の歩兵第二連隊第三大隊等の全滅は避けられ日本人居留民も全て1919年中には尼港から立ち退いて北樺太に戻らされたのである。
それはさておき1919年11月9日、一隻の戦艦が進水した。
「あれが『長門』か……」
「けど、あれは『史実の長門』では無いんですよね？」
「あぁ、正確には『加賀』型だろう」
進水した戦艦は『長門』型戦艦の一番艦『長門』だった。だが『長門』は夢幻会の入れ知恵で異なっていた。ぶっちゃけ、主砲1基減った史実『加賀』型である。
史実『加賀』型は中部甲板にも主砲があった、それが無いだけであり後はほぼ『加賀』型に準じていたのだ。
また主砲に関しては45口径ではなく50口径41サンチ砲であるので他の『コロラド』型や『ネルソン』型に比べたら攻撃力は倍もあった。
「……てかバレたら不味いですよね？」
「だから第一級以上の機密だ」
（でもバレるよなぁ……日本だし）
そう思う橋本だった。そしてネルソンを自宅である霞ヶ関離宮に送り届ける途中だった。橋本とネルソンは五人の女性に囲まれた。
「ハシモト、貴様の女か？」
「嫁はいないっての。お前の世話をしてたら嫁の話は無くなったよ」
「ハハハ、それは良い」
「良かねーよ」
「……ハシモト……そうか、貴様がアドミラルハシモトか」
ネルソンの言葉を聞いた女性ーーニヤリと笑うが橋本には嫌な予感しかなかった。どう見ても橋本の目の前にいる女性は艦これで登場してくる艦娘だったのだ。
「アドミラルハシモト、日本海では二回程戦ったがやはり『長門』には勝てなかったな」
「……待て待て待て。日本海だと？ ならお前は……」
「その通り」
驚愕する橋本に女性は笑みを浮かべた。
「この姿では初めましてだな。Гангут（ガングート）級一番艦Гангут、あぁ心配するな、近代化改装は完了済みだ。私を侮るな。アドミラルハシモト……初めて見るが貴様もいい面構えだな」
「……………」
女性ーーガングートに橋本は頭を抱えるしかなかった。
「ガングート、私達も自己紹介をして宜しくて？」
「これは皇女殿下、申し訳ありません。かつての宿敵とも言える将を前にして些か気分が昂っているようです」
「………見た事ある顔なんですが……」
「あら、それは写真かしら。私はオリガ・ニコラエヴナ・ロマノヴァ」
「次女のタチアナ・ニコラエヴナ・ロマノヴァよ」
「……三女のマリア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ」
「四女のアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。取り敢えず何か食べたいです」
「ニコライ二世の娘達と言えば分かるでしょう？ 後アナスタシア、さっき御飯食べたでしょ？」
「……頭痛が……」
ニコライ二世の娘達の登場に橋本は再び頭を抱えるのであった。
333： 加賀 ：2021/07/25(日) 08:07:17 HOST:softbank126243101222.bbtec.net
短いながらも五話目でした。
取り敢えずシベリアで木を数える仕事に従事しますね（何
- 長門型、50口径41サンチ連装砲4基へ
- 橋本とネルソン（付き合うのはまだ早い
- ロシアから愛をこめられました（何
334： 加賀 ：2021/07/25(日) 08:14:35 HOST:softbank126243101222.bbtec.net
次回、ニコライの娘達から語られる処刑の真相
「私達、死んでるから」
「人間じゃないんですよね」
「正確に言えば妖精さんなの」
「訳が分からないよ」
最終更新：2021年07月28日 21:46
