512: 加賀 :2021/07/31(土) 23:37:09 HOST:softbank126241247198.bbtec.net



「えっ? 『伊勢』と『日向』の艦内で赤痢が大発生?」
「うむ。史実では大正12年だったが……まさかの昭和4年にも流行るとは思わなかったな」
「確かにそうですよね……」

 1929年の夏、そろそろ呉鎮守府参謀から第一水雷戦隊参謀に転任する予定である橋本だがたまたま呉鎮守府に訪れた古賀からの情報に首を傾げた。

「それで『伊勢』の乗員は隔離ですか?」
「あぁ、今は三ッ子島で隔離されている」
「成る程……なら『伊勢』の様子でも見に行きますかな」
「頼むよ」

 本来、呉鎮守府参謀なら『伊勢』の件も掌握している筈だが橋本はネルソンやガングートらの件もあって東京~広島間をよく往復しているのでまだ情報は入ってなかったのだ。橋本はそのまま艦載艇に乗り込んで三ッ子島に向かうのである。三ッ子島の沖合には戦艦『伊勢』が錨を投錨して停泊していた。

「乗り込む事は出来ないのか?」
「無理ですね。やはり赤痢の発生源が分からないので……」
「そうか、なら仕方ないな……ん?」

 その時、橋本はふと艦橋から視線を感じた。

「……『伊勢』には誰もいないよな?」
「はい、艦長を含む全員が隔離されてますので」
「……まぁ大丈夫だろ」

 橋本は気のせいとする事にしたのである。それから数日後、橋本は呉を離れて今度は三重県伊勢市に向かった。

「おっ、此処だハシモト!!」
「ん、やっと合流出来たか」

 待ち合わせしていたのはネルソン、ガングートらの六人だった。

「汽車の旅はどうでしたか?」
「トンネルに入る時は煙が邪魔だったけどそれ以外は日本の景色を楽しめたわ」

 橋本の問いに答えたのは鉄オタ化しているオリガであった。なお、傍らではアナスタシアが駅弁(三つ目)を食べている。

「取り敢えず赤福を食べてみたいぞハシモト!!」
「分かった分かった」

 橋本は溜め息を吐きながらネルソン達と共に宿泊する宿に向かうのであった。なお、今回の橋本らが伊勢を訪れたのは伊勢神宮の観光と伊勢神宮が祀る天照大御神への報告だった。

「けど報告ってただ単に御参りするだけで良いのか?」
「私達は人の形なれど種別は妖精であり人の物ではありません。なので日本の神に日本の地に踏み入れた報告をする必要があります……というのは建前です」
「建前なの!?」
「観光が九割じゃないかしら……」

513: 加賀 :2021/07/31(土) 23:37:56 HOST:softbank126241247198.bbtec.net
 片目ウインクをするオリガに驚く橋本を見つつタチアナはそう呟いた。そして翌日、一行は伊勢神宮(内宮)に向かい御参りをするのであった。

「天照大御神!! ちょっと何人か来ているがまぁ赦せ!! その代わり力を貸してやる!!」
「このド阿呆!!」
「あたァ!?」

 手を合わせながら言うネルソンの頭をどつく橋本であった。そんなかんやで一行は御参りを終えて五十鈴川の畔に来た時、二人の女性が……艦娘の艤装を展開して一行を出迎えたのである。

「……もう俺は驚かないぞ」
「橋本元帥海軍大将、お久しぶりですね」
「……って事はやっぱり……『伊勢』と『日向』か」
「はい。超弩級戦艦、伊勢型の1番艦、伊勢。参ります!!二回の沖縄沖、慶良間諸島沖、そして第二次日本海……貴方と駆け抜けた事は決して忘れもしないし私の記憶には鮮明に残っているわ」
「あなたが提督?ふうん。いいけど。伊勢型戦艦2番艦、日向よ。一応覚えておいて。それと瑞雲は良いぞ」
「それはお前の相方に言ってくれ……」

 伊勢で感動していた橋本だが日向の言葉に頭を抱えるしかなかった。なお、日向が出てきたかではないが相方とも言える松田はほぼ同時期に覚醒するのである。

「もしかして三ッ子島沖を航行している時に感じた視線は……」
「それは私だね提督。その時に目覚めたからね。その後に日向を連れて此方に来たわけ」
「成る程。よく此処だと分かったな」
「フフッ。私には橋本提督専用の対人電探があるからね」
「おい、それは私の専売特許だぞ!!」

 伊勢の言葉に反論するネルソンである。

(はぁ……また古賀さんらが煩くなるんだろなぁ……)

 そう思う橋本である。


515: 加賀 :2021/07/31(土) 23:42:02 HOST:softbank126241247198.bbtec.net
橋本の逮捕の代わりに『伊勢』『日向』の登場でお願いします

次回は今度こそロンドン軍縮

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最終更新:2021年08月02日 11:39