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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその六十八


ゲートのこちら側が神の認知、異星人ヤルバーンの来訪という衝撃から一月。
創世神ティアマトによる今一度の天地創造と言うべき奇跡により水の惑星となった火星、
銀河連合日本では区別の為に暫定的に某ヒーリング作品よりアクアと呼称されている。
そこには既に幾つかの都市が出来ていた。いや出来たというより降りてきたと言うべきだろう。

火星の領有についてこちら側の日本では宇宙条約云々とかいう湧いた主張をする者もいたが、
成立時点で他の星の主権体を想定していない言ってしまえば時代遅れの地球本位な条約である。
自分らはティエルクマスカ連合の天体も地球人類のものと主張するのかと言われれば閉口せざるをえない。
また銀河連合日本はこちら側の国連に加盟せず、ゲートの向こうも国連は既に過去の存在だから条約を考慮する必要もない。
それでも日本で宇宙条約、宇宙条約と念仏の様に唱えるのがいる辺り九条教宇宙条約宗でも誕生したのであろうか?



話を戻すが大戦以降向、現実とファンタジーが混じりに混じった地球世界に馴染めない、
各国政府の政策で国土が荒廃したために或いはもう一度のもしもの時に民族を残す為などで少なくない人数が宇宙へと上がった。
或いは地球に見切りをつけ新天地を目指す冒険者のような者もいるが。

米露などまだ力のある国は独力で宇宙コロニーを作り上げたり火星の管理区域の開拓、力のない国も国で日本の協力を得たりしていた。
日本もそんな国を対象に円借款でシリンダー型やら砂時計型やらコロニーや作る。、
或いは核融合炉による熱核ロケットで動く宇宙用軽警備艦艇の建造を行なったりしている。

なおベストセラー艦艇はヤル研設計の機動兵器も運用可能なサラミス級(後期型)とかいう艦艇である。
何がどう後期型なのかとギリシャの島の名前を用いた理由はサッパリである。
なお需要に対して宇宙ドックが足りないので神崎島逸糸市などではニョキニョキ地面から生える様に建造されそのままブースター付けて衛星軌道に打ち上げたりしている。

そして日本でも神代化著しい日本に馴染めない者はおりそういった者達もまた宇宙に上がっていた。
或いは浮遊大陸アトランティスの難民達も。
戦後になっても難民は極端に減らず、定職につき永住権或いは帰化し日本・神崎島社会に貢献している者も少なくなかった。
そして幾らでも拡大出来るとはいえアトランティスは研究用、また拡大は他国の排他的経済水域、公海などの問題で限界がある。
そのためにアトランティスの余剰人口は日本がコロニー作ったり、火星の管理区域が広がるとそこに移住したりしていた。
なお人の少なくなった日領独逸という選択肢もあったがそこを選択肢に入れるのは余程の物好きか身内がドイツ出身だった或いは日領独逸にいる人間くらいである。

そんな中に銀連日本政府が用意したものの一つに新規設計の大型移民船が存在する。
ヤルバーンの様な都市型ではなく都市そのものを内包した超大型移民船だ。
実質コロニーと化しているものもあるが今回のこちら側の火星開拓の為に数隻が派遣され火星の海面に着水、外壁を展開しそのまま開発拠点都市として機能し始めている。
なお、設計者は防衛戦力として千鳥型をキロメートル級まで拡大したような可変人型機動艦艇を移民船の艦首に据えようと力説し却下された。


火星・クリュセ海に面し、マリネリス湾へ繋がる海流の穏やかな多島海エリアに降りた大型移民都市船、その名を水都。
その名の通り神崎島で水の都と名高い降井市をモデルとした移民船である。
ゲートのこちら側の人間に説明するならばヴェネツィアの様なと言えば分かりやすいかもしれない。

その街の一角、海に面した小さな建物から電と雷、磯風と浜風加えマシュが飛び出して来た。
その後ろには割烹着を着たティアマトが行ってらっしゃいと手を振っている。


「ティアマトお母さんいってきま~す!」

「磯風ちゃん急ぐのです!」

「まさか寝坊とは…この磯風一生の不覚…!」

「今日は演習の事前会議あるのにさんざん起こそうとして起きない磯風が悪いですよ。」

「浜風の言う通りよ!!うちのマシュを見習いなさいよ。朝早くから起きて手伝いしてたのよ!」

「何を…!どう見ても浜風と双子なマシュは陽炎型だ!」

「電と魂の双子なんだから私と合わせて三つ子、暁型よ!!」


朝の街を走り抜ける5人、空には他の都市との連絡便であろう飛行艇がその機体を朝焼けの色に染め空を舞う。
その翼の下を彼女達は会う人会う人と挨拶を交わしながら目的地へと水の都を走る。
走り抜けた先、神社の前で5人は歩みを緩めると中へと入る。
その境内の中に小さな鳥居がもう一つ、だが不思議な事にその先にある筈の社や末社もない。

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「なんど見ても不思議ですね。この鳥居で火星から地球まで行けちゃうなんて…。」


マシュは鳥居を見つめぽつりと呟き浜風がその言葉に答える。


「ティアマトは日本という国と国土そのものでありその魂です。そこが日本であるなら何処へでも顕現可能。私達はその力の一端を貸してもらってる…という訳ですね。」

「浜風、マシュそんなことよりさっさと行きましょう。只でさえ磯風の寝坊で時間押してるんだから!」


雷の言葉に他の四人は頷くと次々に鳥居を潜る。
すると石を投げ込んだ水面の様に鳥居の空間が歪み五人は姿を消した。



さて、マシュはこの水の星で電らに加え保護者(お母さん)となったティアマトと一緒に住み時折日本やヤルバーンへ赴く穏やかな生活を送っている。
なおマシュは電とはギャラハ的な意味で魂の双子的存在として暁型姉妹長女より名誉暁型駆逐艦認定を受けている。
なお容姿の面で名誉陽炎型認定も陽炎型長女から受けているが。
つまりは暁型六番艦で陽炎型二十番艦通称マシュ風、末妹である。なお名誉暁型五番艦は銀連のフェルさんである。
そんなマシュが地球ではなく火星にいるのも理由がある。

一月前の会談を経てヤルバーン乗員の日本への上陸許可と日本国内での就労許可を得て日本でヤルバーンの人間が働いたり就学したり出来るようになった。
多くの者たちが自分らと同じ血を引く同胞が作り上げた文明の一員と成ろうと我先にと日本に上陸していった。

就労や就学が可能なのは調査局のスタッフであるマシュも例外ではなくその生まれから人生初の学校へ日本で通うという話も出ていた。
それがこんな状況になった原因は数週間前、マシュはWフェルさん+浜風と共に渋谷へと服を選びに来ていた時のことだ。
ゲート側のフェルは服選びなど初めてマシュもずっとカルデア生活で、特異点の東京に降りた経験はあるがそれだけだ。
なお某糸紡ぎ妖精がマシュの服を作ると言い張ってたが普段使いのものまでは…ということで礼服をお願いした。


「やっぱりニホンの服は違いマスネ!一つとして同じものがありマセン!!」

「それはそうデショウ。全て仮想造成でもハイクァーン製でもない工場で実際に作られている物なのデスカラ。」


見る物見る物に目を輝かせているヤルバーンのフェルに対しその姿に懐かしそうな顔をして暖かい目で見守る銀連日本のフェルであった。
ここら辺でも同じ年齢とはいえ世界の違いというものを感じる。
それに対し浜風とマシュ、傍から見れば双子にも見えマシュの情報も出てないので「あんな陽炎型いたっけ?」などとネットでは言われている。


「ハムハムごっくん。あ!マシュさん、アレも食べてみましょう!」

「まだ食べるんですか!?」


某騎士王を連想させる健啖家である浜風の買い食いに驚愕するマシュ。
そしてその姉妹艦である磯風の声を初めて聞いた際は「アルトリアさん!?」と反応してしまった。
そんな一行だから目立つ目立つ。

ついでにこの世界でもヤルバーンへ一般人が招待されフェルさん始めうちう人物や艦娘や英霊ぼいのや神様方ともヤルバーンで遭遇したりしている。
そんな訳で宇宙人や艦娘達は人気爆発、今もサインを求められ、握手を求られ、写真撮影を求められ…まあ害意あるのは今の所出て来ないから応じていた。
なお人混みに護衛が紛れ混んでいるが極稀に護衛を知らされていない巡回中の警官に職質されていたりしている。
お陰で遠くから「ザケンナコラー!ケイサツカンサンオツカレサーシタ!!」「ワケンカンナイヨー!!」だの聞こえる。



「(気づいてマスカ?)」



こちら側のフェルに向こう側のフェルは問いかけこちら側のフェルや浜風、マシュは頷く。
先程から自分らを付け回す人間がいる。
向こう側のフェルは神様方の影響で養われた直感(D相当)で、こちら側のフェルはシステムの補助と訓練の賜物で、マシュは今までの経験で、浜風は…

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「(半径二百m以内に少なくとも二十人以上はいますね…しかし必要以上に警戒はしなくて良いでしょう。
武器を持ってる様なのは上から監視してる龍驤からの通報で警官が職質してますし、その他のもラフムが牽制しています。)」

「(そこまで分かるんですか!)」

「(マシュサン、浜風サンは見た目貴女とソックリデスけど、中身はトーラル・オリュンポス・霧の技術を使ったハイブリッド航宙駆逐艦なのデスヨ。
そのセンサーから逃げれる訳ないじゃないデスカ。)」


ほわんほわんほわんと頭の中で機神真体降臨的なアトモスフィアで大戦型駆逐艦の艦体出してる浜風を思い浮かべるマシュ。
その砲塔からはビーム出すやら艦体からなんかの波動をみょーんとか放っている。
あながち間違っていないから質が悪い。


「(サテ少しあの人達を撒きマショウカ…。)」

「(一旦バラバラに別れて逃げた方がいいと思いマス。)」


二人のフェルの会話に頷く浜風とマシュ、そして全員が別々の方向へ脱兎の如く駆け出す。


「逃げたぞ!!」

「待てこの野郎!!」


逃げるフェル達追おうとうする者達を阻む影が立ちふさがる。


「何だテメー!!」

「ドーモ愚か者サン、ラフム=ヤクザです。スッゾコラー!!」


何処からどう見ても立派なヤクザサン、ラフム=ヤクザだ。
立ち塞がるラフム=ヤクザサンは見事なアイサツをする。
実際アイサツは大事である。
そしてこのラフムサンは日本の法律も守る真っ当なラフムサンなのだ。


「センセー!こいつらです!」


先生?立ち塞がられた全員が身構え、そして白旗を直ぐに上げた。
見事なアイサツをする目の前の人物達に勝てる訳がない。


「ドーモ皆サン、警察官です。署まで御同行願います。ザッケンナコラー!!」

「アイエエエエ!マッポ!?」

「マッポナンデ!?」

「コワイ!」「ゴボボーッ!」


泣く子とマッポには勝てない古事記にもそう書いてある。

273: 635 :2022/01/20(木) 00:44:30 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



散らばって逃げたフェル達、この世界の要人であるヤルバーンのフェルや憎き銀河連合日本の大臣であるフェル、
自称平和主義者には許せない存在である浜風には脇目も振らず走って逃げるマシュを追う酷く濁った目をギラつかせた一団がいた。
マシュを追えばどうにかなるとでも言うように…。

その者達はみな狂った表情、それこそ信仰のするものへの供物を見つけ狂喜する狂信者の笑みを浮かべている。
これで悲願は達成されると。

門が開き自分達の崇高な正義は否定された。
戦うことでしか守れぬものもあるとこの国の知能の低い愚民どもは思ってしまったのだ。
戦わぬことこそ正義、戦わなければ正しき法があらゆる害意から必ず守ってくれると言うのに…。
だがそれも向こう側の戦争の出来る日本、崇高な正義を捨てた日本というあってはいけない世界の事実とかいう妄想を以て愚民どもは否定する。
そんなことある筈もないのに、だが自分達にそれをどうにかする力はなかった。
今までは…。

だが政権や省庁の中のあの愚物の総理に批判的な愚民の中でもまだマシな者が漏らした機密により希望が齎された。
これこそ正義が己を守れと言っているのだと誰もが思った。
そう、あのあってはならない世界を消し去らなければならない。
ある者が狂った表情で言う。


「ああ、早く…早く早く早く!我々の下へ来るんだ。正義の為に、正しくない世界である銀河連合日本を消滅させる為に!
平和憲法九条のある日本こそ正しい世界だから…!そのためにだから我らの聖女になるんだよ…!マシュ・キリエライトぉぉぉっ!!
正しくない世界の否定はお前達の仕事なんだからなぁぁぁぁっ!?」


国の幸という目的をもって作り上げられた手段である法。
戦争しない法、他国を攻撃しない国を維持するために多くの国に戦争を仕掛け、多くの人々を殺そうという矛盾。
この者達は法を作り上げた者達の理念も理想も忘れさり、法という手段自体が目的と化していた。
この話を後に聞いた在英神崎島鎮守府歩兵大隊少佐はこう漏らした。


「世の中には手段の為ならば目的を選ばないという様などうしようもない連中も確実に存在するのですよ。
つまりはとどのつまりは彼らのような…。最早滑稽を通りこし哀れみすら浮かびませんな…。」

274: 635 :2022/01/20(木) 00:46:20 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2022年01月24日 20:35