466: 加賀 :2022/01/12(水) 21:45:06 HOST:softbank060072050207.bbtec.net




「村田隊長はト連送を発信させると第一次攻撃隊は付近にいた第一機動群に攻撃を開始したわ」
「正規空母2、軽空母2の機動群ですね」
「えぇ。先に仕掛けたのは『加賀』彗星隊垂井少佐の彗星隊よ。垂井少佐機は真っ先に突っ込んだわ」






「全軍突撃!! 行くぞォ!!」

 垂井少佐機は真っ先に急降下を開始した。狙いは『ヨークタウン2』であった。慌てて開始される対空砲火は上空を漂うアルミ箔の影響で砲弾が適当な場所で爆発するばかりだった。

「くらえ!!」

 垂井少佐機が投弾した500キロ爆弾は『ヨークタウン2』の中部飛行甲板に吸い込まれるように突き刺さり格納庫に飛び込んでその力を解放した。500キロ爆弾の爆風は格納庫に待機していたSB2CやTBFがそれぞれ腹に抱えていた1000ポンド爆弾や航空魚雷を吹き飛ばし次々と爆発させたのである。更に垂井隊の列機も500キロ爆弾を飛行甲板に命中させていた。
 都合、6発の命中弾を受けた『ヨークタウン2』は大炎上した。垂井隊と同じく『ホーネット2』に突撃した江間少佐隊も5発の命中弾を叩き出して炎上させた。
 他にも『ベロー・ウッド』には高橋定少佐隊が、『バターン』には美濃部大尉隊が突撃をしそれぞれ3~4発を命中させて炎上させた。
 炎上する四空母に向かって村田中佐率いる天山の艦攻隊が第一機動群の左右から突撃を開始したのである。

「攻撃目標、前方の空母!!」

 加賀大尉は8機の列機を率いて炎上する空母『ホーネット2』の右舷に突撃する。その高度は3メートル、その3メートルを維持する事で加賀大尉の中隊は魚雷を投下するまでに2機だけを喪失するという奇跡を生み出していた。

『距離900!!』
「……………」

 右舷からの対空砲火に加賀大尉は機体を横滑りさせながら更に2メートルにまで下げた。一歩間違えばそのまま海面に突っ込む……が加賀大尉はそれに臆せずソッと投下索に手を添えた。

『距離700!!』
「撃ェ!!」

 投下索が引かれる。91式航空魚雷改5(頭部改7)は一旦沈み込むも直ぐに海面近くまで浮き上がり41ノットの速度で『ホーネット2』に突撃する。加賀隊はその間に離脱するが離脱中にも更に5機が40ミリと20ミリ機銃によって撃墜された。だが、7機が投下した91式航空魚雷改7は『ホーネット2』の右舷に命中。5本の水柱を吹き上げさせたのである。
 また、反対舷でも村田中佐の中隊が『ヨークタウン2』に突撃、4本を命中させたのである。

467: 加賀 :2022/01/12(水) 21:45:40 HOST:softbank060072050207.bbtec.net
「第一次攻撃隊が引き上げる頃には四空母とも波間に没していたわ。そしてそうこうしているうちに第一機動艦隊からの第二次攻撃隊とヤップ島からの第一次攻撃隊が到着して共同で攻撃を開始したわ。でも米艦隊の対空砲火ははんぱなかった」
「……………」

 瑞鶴の言葉に青葉をゴクリと息を飲む。

「第一次攻撃隊……未帰還機は烈風8機、彗星49機、天山66機よ」
「そ、そんなに……」
「アルミ箔が途中で強風に煽られて流されたのよ……アルミ箔を投下してからの12分間は恐らく日本海軍の絶好調を維持していたわ……でもアルミ箔が風で煽られてからは米艦隊の対空砲火も息を吹き返して撃墜数が多くなったわ」

 他にも第五艦隊は駆逐艦を102隻も投入していた。これは大西洋で活動していた駆逐艦もわざわざ第五艦隊に臨時編成をしていたからである。というのもソロモン・キャンペーンで練度がそれなりにあった乗組員達がソロモンの海に消えていった事もあり練度低下を避けるために大西洋からわざわざ持ってきていたのだ。
 また瑞鶴が指摘したようにアルミ箔が風で煽られた事でアルミ箔の効果が減少してしまい対空砲火が勢いを盛り返したのも要因の一つだった。

「先に攻撃を仕掛けたのは第二次攻撃隊だったわ。タイミング的に到着したのが第二次攻撃隊が早かった。第二次攻撃隊隊長のカク親分はト連送を直ぐ様発信したわ」





「全軍突撃せよ!!」

 高橋中佐のト連送に直ぐ様反応したのは阿部善次大尉の『笠置』彗星隊18機だった。彗星隊18機は之字運動を続けている『バンカーヒル』を狙った。狙われた『バンカーヒル』は対空砲火で逃げようとするも第二次攻撃隊の彩雲8機が投下したアルミ箔によりVT信管は役に立たなかった。

「ミッドウェーの借り……返したぜ!!」

 阿部大尉は高度400で500キロ爆弾を投下し500キロ爆弾は『バンカーヒル』の艦橋横に待機していたSB2Cを叩き割り格納庫に飛び込んで爆発した。更に叩き割られたSB2Cの1000ポンド爆弾が爆発、同じく飛行甲板で待機していた対艦装備のSB2CやTBFを吹き飛ばしたのである。
 更に高橋中佐の彗星隊は『ワスプ2』に5発を叩き込む事に成功、その炎上する第二機動群に向かって小野大尉らの天山隊が左右から突撃を開始するがこれもアルミ箔が風に流されてしまい対空砲火はその威力を発揮してしまったのである。

「結果、天山隊が生還したのは僅か22機ね。しかも対空砲火で攻撃する前に落とされたりして攻撃位置に行けなかったわね」
「確か90機でしたよね第二次攻撃隊の天山って……」
「VT信管……まぁ対空砲火の成せる技ね。それに遅れて到着した陸攻隊も果敢に攻撃したわ。この時の隊長は元『蒼龍』艦爆隊の江草中佐ね。江草中佐は炎上する『バンカーヒル』と『ワスプ2』を集中して攻撃するようにしたから二空母とも直ぐに沈んだわ。そのついでに『モントレー』『カボット』も沈んだわね。でも此処で彩雲隊の偽情報に追い回されていた米戦闘機隊が帰還した事で空戦も展開されたわ」
「あちゃー……」
「しかもこの空戦でも第一機動艦隊からの第二次攻撃隊も多数落とされてるからね……まぁ烈風隊がちゃんと仇を取ったけども」
「流石は烈風、烈風作った人100万年無税」
「まぁそれはさておき……最後の主力となるのが第一機動艦隊からの第三次攻撃隊と硫黄島からの第二次攻撃隊ね。両攻撃隊はタイミングよく合流する事が出来て共同で攻撃したわ……ただ第五艦隊もある程度は態勢を立て直していたわ。第三機動群と第四機動群を中心に輪形陣を再構成して迎え撃ったスプルーアンスには脱帽だったわね……」





「畜生、あの弾幕は半端無いぞ……」

 第三次攻撃隊隊長の嶋崎中佐は天山隊を指揮しながらそう呟く。アルミ箔を投下しているがそれでも効果は薄そうだったのだ。だがそれでも攻撃隊は突撃を取った。此処で引いたら日本海軍機動艦隊の名折れである。

「全軍突撃せよ!!」

 斯くして両攻撃隊は一斉に攻撃を開始するのである。

468: 加賀 :2022/01/12(水) 21:47:42 HOST:softbank060072050207.bbtec.net
  • 加賀大尉、超低空飛行での雷撃
  • 被害多し攻撃隊
  • アルミ箔もメリットもあればデメリット
ある



最後に放たれる最後の第三次攻撃隊、しかして被害は……。

次回『壊滅』

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最終更新:2022年01月29日 11:15