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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行十五冊目
ファーダ金剛がFFR神話を拡張して後、我々は一休みしているのだが何やら式典の準備があるとかでファーダ大統領やファーダ艦長らは忙しくしている。
ファーダ柏木に聞けば我らが指揮官降臨の慶事の祝いをFFRに全土に知らしめ我らが指揮官に捧ぐべく祝砲を上げるという。
いや、それは号砲ではないのか?
日本国内で戦艦リシュリューの砲を使い大丈夫なのかと疑問に思ったがファーダ柏木曰く日本国内で保管されたいた大戦時のフランス戦車を用いるらしい。
なおその戦車を操るのはファーダ大統領だとか…。
大統領が?と疑問に感じたが我々の近くの空中をフヨフヨと漂っていた我らが指揮官(リシュリューの艦魂)が聞きつけ説明してくれた。
彼女曰くあのファーダ大統領と側近達はFFRでも五指に入る戦車乗りのチームだそうな。まあ、そんな艦魂の彼女の姿はファーダ柏木には見えず聞こえない訳であるが。
「何と、あの大統領がFFRで五指に入る戦車乗り…人は見かけによりませんな…。」
「アインビルさん、その情報どっから出てきた?
まあその通りなんだけど、見かけによらないのはFFRってのは国民の兵士としての現役期間を出来るだけ長くするよう心掛けてるからなんだよ…。
あいつら長期間兵士でいさせる為の技術に関しちゃあ日蘭に匹敵するし…。」
「日蘭含めやはりこの宇宙の地球はまあなんというか…。」
「鉄血こそが国是、国とは国民の血と鉄によって成り立つってのがウチらの国家観だしな。そのためには国民が兵で在り続けることこそが重要だからな。」
「国家を形作るは鉄なり、国家を成すは人の血なり、即ちその身に流るるは鉄血なり、といったところデスネー。」
「いいこと言うな金剛さん、その通り!俺らの国は先人達の流した血と鉄を以てここまで至った。それが俺らの自負だからな。」
いやはやまあなんとも鉄血思想とは凄い国家である。
しかしながらその鉄と血そのものであるファーダ金剛らが護り築き上げた島を彼らが見たらどう思うのか気になるところである。
そんな時である、ケラージョルジュが駆け込んで来たのは。
「柏木!ここにいたか!」
「あん?何だジョルジュ。血相変えて?」
「兎に角来てくれ!!」
「ちょっま!?」
ケラージョルジュに引っ張られていくファーダ柏木。
そしてドアから出ていった所でケラーはもう一度顔を出した。
「そうだ!女神金剛も御一緒にお願いします!!」
「?まあ、いいデスけど…。」
ファーダはケラーに呼ばれテクテクと歩いて行く。
それを見送るファーダリシュリューと自分であったがフヨフヨと漂う艦魂リシュリューの言葉にギョッっとする。
『お客さんがいらっしゃてるみたいね…。あら?日本の先帝陛下ね…伴がほとんどいないわ。お忍びかしら?』
「「はぁッ!?」」
我々も移動した戦艦リシュリューの貴賓室はある種重苦しい空気に包まれていた。
「そ、粗茶ですが…。」
「うむ、ありがとう。」
貴賓室付のFFR士官がプルプルと手を震えさせやんごとなき方の手元へと置く。
FFRにとってもやんごとなき方々は無視し得ぬ存在であるらしい。
我々の宇宙含め希有な存在であろう武威でも、何かを成したでもなくその存在のみで国を纏める存在というのは。
故に、如何に戦艦リシュリューがFFRの聖域といえども他国の国家元首(元であるが)を国際的な常識にもとづき饗さねば我らが指揮官の名折れとファーダマフタン大統領の判断の下特例として案内された。
無論ファーダリシュリューを通して我らが指揮官に最終的な判断を仰いだ訳であるが。
348: 635 :2022/05/22(日) 17:36:59 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
「それで陛下…何故ここにいらっしゃったんですか…?」
もう何してんのこの人という感じでやんごとなき方を問い詰めるファーダ柏木。
「いや何、久方ぶりに若く幼い時分に良く乗った金剛に会いたかったのと。」
やんごとなき方はちらりとファーダリシュリューの方に目をやる。
「FFRの機械仕掛けの神とは如何なるものか気になってな…。」
「陛下、それは我らのNotre Commandantを愚弄しているのでしょうか…?」
やんごとなき方は我らが指揮官を機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)に例え対して底冷えするような声がファーダマフタンの腹の底から発せられる。
絶対零度も斯くやというような視線がやんごとなき方に突き刺さり、その場が一瞬で冷えたような感覚をさえ覚える。
それも意に介さずやんごとなき方は絶対零度の視線を受けてもな顔色を変えずにいらっしゃる。
対してお付きの方は血相を変えているが。
機械仕掛けの神…この場においては文字通りの機械仕掛け、人工物あることを言っているのか…。
それとも彼女の名を出せばFFRの問題全てを快刀乱麻の如く解決してしまう我らが指揮官という都合の良い存在、デウス・エクス・マキナであることを示しているのか判断がつかない。
ファーダマフタンは後者と受け取ったようであるが。
「陛下。沈黙は金なりとの言葉もございます。しかし御自身の御心を万の言の葉に乗せねば伝わらぬことも多々ございます故。
それにこの方々は異国の御方達、どうかその点をご考慮下さいませ。」
暫しの沈黙。ファーダ柏木は金剛ちゃんとした言葉遣いも出来るんだとなんか驚愕してる。
そしてファーダ金剛が嗜める様な言葉にやんごとなき方は溜息を吐き言葉足らずであったと零す。
慌ててお付きの方が補足する。
やんごとなき方はファーダリシュリュー…いや我らが指揮官と言葉を交わしてみたかったそうだ。
「何故に?」
「…戦艦リシュリューとは艦艇より神、現艦神(あらふねがみ)とでも言うべきでしょうか?そこへと至った今を生きる伝説そのもの。陛下は知りたいと思われてしまったのです…ヒトですらない存在が一神話の最高神となる…そこにどのような感情を持っているのか…。」
そうか、よくよく考えればこの世界においてやんごとなき方は未だに神の内におられ、人ではない。
無論生物学的な意味ではなく文化、いや概念と言うべきか。
日本という国と国民の象徴ではなく、未だに大八十島を治めることを皇祖より託された天津日嗣であらせられるという世界的にも稀有な立場。
生まれながらにヒトでないことを宿命付けられる、そこに如何様な御心を抱いているかは我々では推し量ることは出来ないだろう。
強いて言うなら創造主ナヨクァラグヤの空蝉として扱われるフリンゼが最も近しい立場であるが法的にも立場的にも概念的にもフリンゼは人間である。
対して戦艦リシュリュー、Notre Commandantは戦艦としての年月を歩みながらも神へと至った同様に稀有な存在。
ある種の親近感を抱いておられるのか…。
そしてファーダリシュリューが口を開く。
「陛下、残念ですが私は陛下の問に対する返答を持ち合わせておりません…。
私は霧の向こう(並行宇宙)、日本風に言うならば常世のリシュリューであり現し國のNotre Commandantではありません故に。」
「左様か…。」
やんごとなき方の声に幾分残念そうな言葉が交じる。
ですが、とファーダは言葉を続ける。
「陛下の問に答えられる者を喚びましょう…戦艦リシュリュー聞こえてるかしら?」
『何かしら、艦娘リシュリュー?』
ファーダリシュリューは空を漂う戦艦リシュリューの艦魂を見上げ声を掛ける。
自分やファーダ金剛はその会話を見ることも聞くことも出来るが他の者達は虚空に話しかけているようにしか見えなずファーダ柏木は小声で私に質問をぶつけて来た。
「(アインビルさん、リシュリューさんはまさかNotre Commandantと話しているのか?)」
「(ええ、陛下の御質問に答えて貰えるかどうか聞いていますよ。ここには戦艦リシュリューの艦魂もいますので。)」
「(マジか…というかアインビルさん、艦魂見えるの!?)」
「(見えますし話せますが何か?)」
私の返答に何かマジかー…と戦慄しているファーダ。
そして話がついたのかファーダリシュリューは目を閉じると足元が水面の様に揺らめきファーダの身体に沿って登って行くとファーダの姿が変わる。
「Notre Commandant!?」
その光景にファーダマフタン始めFFRの者達が悲鳴を上げるが問題はない。
身体を自分(Notre Commandant)に貸すだけなのだから。
ファーダが変わる。
装甲服は裾の長い白い無地のローブ、その上から深い青と深紅の長いケープを纏う姿に、
そして嵐の大西洋と穏やかな南国の海が同居する様な雰囲気は大地の様に全てを包み込む母性に。
そしてその瞳を開き。
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ファーダマフタンらFFR関係者が全員崩れ落ちた。そらもう物凄く幸せそうな顔をして。
「あら?」
「マフタン大統領!?」
「大丈夫、多分致命傷なだけデース。」
「ヤバいわ!!」
「何が致命傷なのですか!?」
「艦娘リシュリューに降りた戦艦リシュリューの気を受けて尊死しかけてちょっと霧の向こうに足ツッコミ掛けてるだけ、推しの尊み受けたから仕方ないのデース。」
「なるほど…つまりはケラーデジタルと同じと…。」
「なおさらヤバいわ!!!」
「どうすれば!?」
混沌と化したその場、ファーダリシュリューの身体を借りた我らが指揮官はキョトンとした表情をしていた。
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以上になります。転載はご自由にどうぞ。
なお戦艦リシュリュー艦長はこの場に居なかったので被害を免れております。
最終更新:2022年05月22日 23:07