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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その六 見よ、幼子は死ぬ為に帰えり。


少女、英国出身で両親と共にパリで暮らしていた彼女は開戦時に脱出する機会を逸し家族と共にパリに残っていた所、
ドイツ侵攻により憂国騎士団を名乗り出した元フランスに居座っていた難民たちに家族諸共捕らえられドイツへと引き渡された。
同じく捕らえらた日本人らと共にパリ北東のドランシー市に設けられた収容所へと一時収監された。
そして最終的に移送されたのはとある東洋人の怪人物の助言によりナチの犠牲者の力を借りるためとし、
戦前より極秘裏にドイツ南部ミュンヘンよりの北西へいった都市に設けられた呪詛核兵器を生み出した対艦娘兵器研究所、いや復活した忌まわしきダッハウ。

そこでは英国攻撃前、数多の犠牲の果にかつての大戦の悲劇、大戦の人間の邪悪なる無邪気さ、
そして現代の人間の間違った正義感を煮詰めて濾過し純化させた兵器いう言葉にすら失礼極まりない唾棄すべき呪具が生み出された。
今回のソレの開発には以外にも第四帝国首相殿は関係なく、いや若干はあった。
悪神の戯れと実験で元々ドイツ人それも反ナチと反有色人種を拗らせた輩、
その二つの為ならばどんなことも許されると勘違いしている連中の精神をその方向へと肥大化させた結果こんなことを仕出かした。

呼び出したもの中に存在した桜の花、或いは占領地より接収した各国の戦闘機を改造した特攻機、
ナチと有色人種への思いを拗らせた者達はソレをErlosung(贖罪)と呼ぶソレの弾頭の中身。
対馬で使用された忌まわしき呪いに着想を得た同思想の良心の欠片なぞ捻じれた精神に飲み込まれた科学者により作られたソレの中身。
優れた白人が原料ならば日本人より少なくても良いだろうと数は十分の一に、
されど呪いの98人目を少女の父に使い、母を【天使の箱】とし制御する機体で以て消費される少女と母の命を持って完成する正気を疑うシロモノ。


そして生き延びた、いや生き延びさせられた少女と少女以外の多くの子供。
彼らは英国を望む海岸線に作られた野戦飛行場に連れてこられた。
少女は緑色の二つのプロペラを持つ飛行機に少女は乗せられ、機体に吊るされたソレに押し込められる。
同様に押し込められる子供、祖国の国籍マークの消された戦闘機に乗せられる子供。
ドイツはこれを国内で大々的に宣伝したナチの支配から正義に目覚めた諸国民の子らによる特務部隊(Sonderkommando)であると。
そして押し込める直前、少女に拗らせた者は狂笑と共に言った。

「これはあの悪魔と悪魔の軍門に下った者を殺すというナチ(日本人)に傾倒してしまったお前達罪人(英国人)に気高く慈悲深く神に愛された自分達ドイツ人が与えた贖いの機会である。
これで罪は雪がれる。」

肥大化し捻り曲がった精神の彼らの中ではかつてのナチとはドイツ人ではなく極東のサルであり自分達(ドイツ人)がしたことではないと信じている。
かつてのナチ以上の非道も非道と思っておらずナチにも畜生にも劣る存在に堕ちたことにすら気づかず、
その罪を見通す御方が自分らのかつての所業を顧みずナチと蔑む者達の地に降り祝福したも忘れようとする様は滑稽ですらあった。
しかしその邪悪なる正義感は紛れもなく本物の悪意だった。

ドイツ人の手で一式陸攻に乗せられ英国で生まれ育ち開戦前には両親と共にパリで極々普通の生活を送っていただけだった少女は悔しかった。
少女と母を救うために父を母に殺めさせ、母に少女を生かすために命を差し出させた輩の命じるままに動かなければいけないことが。
【どうか貴女だけでも生き抜いて】、母の言葉が無ければとうに己の命を断っていただろう。

そしてコックピットに猿轡をされ押し込められ、操縦桿の代わりに機体に設けられた棒に両腕を縄で雁字搦めにされ鎖で固定された少女の座る操縦席、
否ドイツ人が棺桶と呼んだもののキャノピーが降され、


少女の最後を物語る様に桜の花が落ちる。

739: 635 :2022/07/21(木) 07:07:48 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp


点火。


後方から火を吹き出すし飛翔する桜の花、それは犠牲者の命を種火とし燃える流星の様であった。
その隣を本来の目的と違う、かつての極東の戦闘機と同様に使われた隼の名を冠する戦闘機(F-16)が飛翔し、その後にも数多の流れ星が続く。

そして桜の花の中で少女は思う、こんなことに、多くの人に迷惑を掛けるのならば命を断つべきであったと。
途中少女は自国の国籍マークを付けドイツの戦闘機や化け物を叩き落とす戦闘機のパイロットと目が合い、少女は猿轡をされ言葉に成らぬ声で己を殺してくれと叫ぶ。

パイロットは動揺したのかドイツの化物に撃墜されまた一人自分のせいで犠牲になったと少女は涙を流す。
桜の花は少女の涙を無視し一直線に一隻の旭日旗を掲げた駆逐艦へと向かう。
凄まじい勢いで近づく艦、その上に立つ金髪のこの世の者と思えない美しさを持つ少女と目が合った瞬間少女の視界は暗転する直前少女は呟く。


「天使…様…?」






「ジェーナス!ジェーナス!!」


無線を通し海域に半狂乱となったジャービスの声が響き渡る。
そのジャービスの目は先程までジェーナスがいた場所しかみていない。
その場所は黒煙に包まれ現在ジェーナスがどの様な状況にあるか判断がつかない。


『ジャービス、落ち着いて!!』


そして半狂乱となりジェーナスの下へと向かおうとするジャービスを止めようと声を掛けるアンツィオ沖棲姫。


「そんなことしてる場合じゃないのよ!ジェーナスが!…えっ!?」


制止するアンツィオ沖棲姫にジャービスは怒りの声共に視線を向けたがその瞬間強い風が通り過ぎるとそこにアンツィオ沖棲姫の艤装、艦体が炎と煙に包まれていた。
ハッとジャービスが周囲を見渡せばジェーナスと同じ様に艦娘や深海棲艦がミサイルや戦闘機らしきものに突入され炎を上げる。
呆然とするジャービスはその大元、それらが降ってくる空を見上げその正体を悟る。


「Cherry blossom Type11…!あれはF-16…ジェット戦闘機まで特攻機に改造したの…?それにバイカやツルギ、ジンリュウまでなんてどこから…。」


ジャービスにも呆然とする間に接近した特攻機が眼前まで迫り、最早避けることも叶わない。
そのコックピット、年端も行かぬ子供の座るそれを見てジャービスは吐き捨てる。


「Shit's!Hun共!!そこまで堕ちたか!!」


次の瞬間ジャービスもまた炎に包まれた。
時はもう直ぐ黄昏、ブリテンの空は落日の色に燃え始めていた。

740: 635 :2022/07/21(木) 07:09:02 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
合計5000文字突破したために分割して投下したので若干短くなっております。

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最終更新:2022年07月29日 09:59