銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの向こうには(ry・超大陸日本クロス 神崎島おウマさんVS日本ウマ娘 第二十一話「ウマと馬の濃い一日だそうですその5」


時間は前代未聞のティエルクマスカ防衛総省長官夫妻麻袋誘拐事件前まで遡る。


「まさかここで会うとはトゥインクルさんの方も?」

「はい、明後日行われる予定のトレセン国交祭の取材に来ないかと話がありまして…。」


学園の駐車場で言葉を交わすのは月刊トゥインクルの乙名史悦子と競走馬ゴーストウィニング号陣営…、
いや今はウマ娘ゴーストウィニング陣営というべきだろう、彼らと関係の深いとあるローカルテレビ局の取材スタッフ達。
摘発騒ぎがあったことから自分らの他に居るマスメディアと言えば数える程、毎度おなじみワクワク動画やティ連広域情報省くらいなものだ。

外部業者用の入口に設けられた軍と警察のゲートとトレセン警備のチェックを受けてトレセンの敷地に入った。
つい先日にあんなことがあったのでしょうがないと思い、
ローカル局とも関係の深いあの事件でのあの馬の最期を思い出したが乙名史は口に出さなかった。
口に出さなかったのだが…。


「そういえば、乙名史さんは竹内騎手やウマ娘のゴースト相手にしたゴーストウィニング号の走り見ましたか?」

「え、ええ。」

「いやあ、鞍上が専任の竹内騎手じゃないとはいえホントに二人相手に最高の走りをしましたよ!!」


ローカル局の方から話が出てきた。
スタッフの一人、というかゴーストウィニング号とゴーストウィニングを専属で追いかけてきた記者が流石ゴーストウィニング号と笑う。
他のスタッフ達も皆頷き笑っている。それを見て乙名史は疑問に思うと同時に怒りが込み上げる。


「なんで…なんで。」

「うん?」

「なんでそう笑っていられるんですか!?ゴーストウィニング号が”また”逝ったのですよ!?」


推すどころではない、それこそ自身の脳を焼いた馬が自分が見ている前で再び逝った、それもまた人間の理不尽によって。
ある艦娘により”彼”が虹の向こうへと無事渡ったことを競馬ファンやウマ娘ファン始め多くの人々に知らされたが、
それを突きつけられどうして笑っていられるのかと涙を流す乙名史。


「乙名史さん…確かにゴーストのやつがまた逝ったのは悲しいのは悲しいですよ。」

「だったら…。」

「でもそれ以上に嬉しいんですよ…あいつが…。
逝っちまった筈のゴーストウィニング号が…次に…ウマ娘のゴーストウィニングにちゃんと次を繋いで逝ったってことが…。」

「え…?」


記者は微笑む。


「ゴースト号はウマ娘のゴーストを守る為に身体張って…一緒に走ってその成長見届けて…今度はそれから逝ったんですよ。
俺たちはウマ娘の方のゴーストをゴースト号の生まれ変わりだと思ってます…それも間違いじゃないですが…あの時のレース見て私ら確信しましたよ。
あの子はゴースト号の直系の子でもあるってね。親が子を見守る様にウマ娘のゴーストの走りを見守ってましたからね…間違いない。
競走馬ってのはその血を繋いでナンボの世界です。それならばその魂を次代に、ウマ娘に繋いだゴーストウィニング号は大金星もいいトコだ。」


記者は快活に笑い他のクルー質も同様に笑った。
乙名史は自分の思い違いを恥じた。彼らは悲しんでいない訳では無い。
彼らが笑っていたのはウマ娘ゴーストウィニングが競走馬ゴーストウィニング号を継いで、
ゴーストウィニング号はちゃんと継がせて逝った。その一点が嬉しいのだと。



トレセン学園に入る名史とローカルテレビ局、トレセン学園へ集まった年齢問わぬ現役騎手や元騎手或いはその伝手でついてくることの出来た馬主ら。
そしていつの間にか他にもURAやJRAの重鎮達やメジロのご当主やトレセンOGまでもいる。彼ら彼女らはそれぞれの伝手で急遽呼ばれたとか。

待っていた武勇に連れられ元ゴーストウィニング号の騎手で現トレセン学園のトレーナーの内田、
理事長秘書のだづなの案内でトレセンのコースへと通されトレセンのコースの観客席へと出た。
そこ居るのはウマ娘とその家族や警備の為に追加で派遣された艦娘やら戦娘の姿もあった。
淡い期待…そして発表されていないのだからという達観を抱く騎手達はコースへと近づく。
その時コースの向こうから芝を蹴り上げ走る二つの影がコーナーを曲がり観客席に近づく。

549 名前:635[sage] 投稿日:2023/07/08(土) 15:44:46 ID:119-171-230-44.rev.home.ne.jp [30/32]


「ハハッ!!自らの足ではなく鞍を跨ごうともボクは誰にも負ける気はないよ!!ましてそれが世紀末覇王たるボクの鞍ならね!!」

「私も負けない…!UNONじゃないUNSN。ABSSを越え巡り出会った自分と一緒に走るならば…!」


叩き合う二頭の馬とその馬に跨る二人のウマ娘、その光景にある二人の騎手は目を見開くと走って階段を降りる。
途中足が縺れ階段から落ちそれでもコースに近づこうとする二人を慌てて他の騎手、武勇と竹内が手助けし観客席とコースを隔てる柵へと辿り着く。
彼らの眼前では記憶に焼き付いた否自分の脳を焼いたその優駿とその名と魂を継いだウマ娘の姿があった。
望んだ光景、だが意思に反し崩れ落ちそうになる足に必死に力を込め立ち上がろうとするが夢だったら立ち直れない故に立ち上がれず情けなさに涙が出る。
だが誰かが二人を引っ張り上げ二人はその光景を目にするがこみ上げる熱いものが視界を邪魔する。
それでも二人はしっかりと瞼の裏にまで刻みつける。
二人を脇から支える武勇と竹内はそれを見て自分達もそうだったと苦笑する。

そして叩き合う二頭がレースを終えコースから消えたその瞬間に音がする。
ガシャンという聞き慣れた音…発馬機或いは発バ機に競走馬やウマ娘が収まった音。
その場の観客席のウマ娘の家族や騎手に馬主そして乙名史やテレビ局のスタッフもそうだ。
いつの間にかターフに居た馬やウマ娘達は姿を消し、スタート地点には競走馬用の大型発馬機が置かれていた。


ガシャン…ゲートの開く音と共に発馬機から影が飛び出し、ターフが抉られ宙を舞う。
幾つもの蹄がターフを抉る音が響き渡り彼らの前に先程と同じ様に姿を現す、記憶に鮮やかに残る優駿たちが。


「おい…先頭で逃げてる青い髪のウマ娘乗せた競走馬って…オールカマーで爆走したツインターボ…?」

「ほぼ同じ位置で走ってる芦毛の馬って…アレ競走馬のセイウンスカイじゃないか!鞍上もウマ娘のセイウンスカイだぞ!?」

「三番手は善戦マン…ナイスネイチャじゃないか!!」

「あれはシンボリルドルフ、マルゼンスキー…」


各々が会いたかった名前を呼ぶ。
他にもその名と魂を継いだウマ娘達を乗せた名馬達が彼らの目の前を駆け抜ける。
逃げで、差しで、先行で…それぞれの得意とする位置を走る往年の名馬達。
関係者らは自分の騎乗した馬や所有していた馬が元気に走る姿…二度と見れなかった筈の光景を見て涙を流す。
だがその場の誰もが直ぐには気付かなかった…ナイスネイチャ号の後方、好位置をキープし馬群に亡霊の様に潜むウマ娘と馬の姿を。

観客席の一番上で誰にも気づかれずゴールドシップ号は例のスマホのチャンネルにて仮想造成した撮影機器で映像を配信していた…将棋しながら。
始まってから暫くすると接続数やコメント数が急激に伸びる。
このチャンネルがトレセン専用と化しているので張り付いていた者らがウマッターやウマスタグラム他SNSで拡散したらしい。
そうしているとかつかつと足音を立てて誰かが近づいてくる人物、トキノミノル号だ。


「電さんの許可も得ずにいいんですか?レースの映像は御法度と言ってらっしゃいましたし…。」

「ミノル号さんか…これはURA、JRAの公式レースじゃない野良だ。」

「それは詭弁というものでは?」

「そこを突かれちゃ痛いがなあ…今の元気な自分をファン…になによりあの子に見て欲しい。
ゴーストウィニングが、ウマ娘が望んだとあっちゃあ、な。ま、後で電に怒られるさ。」


そんな話をしていたらドサリと音がし、その方向を向けばチームスピカが麻袋から柏木とフェルを放り出していた。
イテテと言いながら立ち上がる二人だが眼前の光景が目に入ると柵に駆け寄り食い入るように見入る。
その向こうではデメテルと三始祖、それに驚いた表情のファインモーションの両親の姿がある。
デメテルから降りてきた飯崎やJRA理事の姿もある。飯崎は泣き腫らしたのか目が赤い。


「ティ連のトップイゼイラ女帝夫妻にウマ娘の雄・アイルランド国王夫妻に三女神に母神様たぁ超☆サイッコーの舞台だな…。
さて、ゴーストウィニング号にゴーストウィニング…お膳立てはしたぜ…。後はお前ら次第よ。」


ゴールドシップ号はパチンと駒を動かす。
もっとも弱い駒、されどそれが無ければ成り立たない。その駒は歩みを進め『と』へと成った。

550 名前:635[sage] 投稿日:2023/07/08(土) 15:45:50 ID:119-171-230-44.rev.home.ne.jp [31/32]



観客席からウマ娘の家族、競馬関係者の声が響く、ネットの海からは競馬ファンとウマ娘ファンの。
彼らの声援を受けウマ娘と馬、重なる優駿達がトレセンのターフを駆け抜ける。
そして誰もが残念に思う。なぜココが府中でないのか暮れの中山でないのか…そしてナイスネイチャやセイウンスカイが居るのに『彼女』と『彼』が居ないのか。
どうして失ってしまったのか失わせてしまったのか…寂しさを感じる。

そして馬群は最後のコースを周り観客席の前の直線へ入る、
先頭を行くはナイスネイチャとセイウンスカイの各ペア…あの時の再現…そして彼女らはその時を待ち動き出した。

馬群の影から亡霊が顔を顕れる様に一頭のウマ娘と馬のペアが躍り出ると先頭二頭への猛追を開始する。
猛然と加速し馬群を引き離す馬体、一瞬誰もがソレが何なのか認識出来なかった。
躍動する四本の足がその力強さを以てターフを抉り、先頭を行く二頭に迫る。


嗚呼、それこそは日本が世界に誇れた筈の至宝。日本人自身が失わせてしまった現代の神話。
その背に己の名と魂を継いだ少女を乗せ、多くの人々の瞳を晦ませ焼いた馬は人々の目の前で再び芝の上を駆け抜ける。


誰もが再び目を焼かれる。声が出ない、誰もがその姿に見惚れた。
それは騎手であった竹内自身もあの場にあればとの思いが頭を過るがそれは無粋と頭を振り叫ぶ。愛バと愛馬の名前を、己が代わりにいけと。
その名を叫ぶ…他の者らも共にその名を。


そして三度蘇ったその伝説(ゴーストウィニング)は…今度こそ中山の借りを返した。

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最終更新:2023年07月08日 18:25