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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその九十八



「あああ―――もう発想がイメージがどんどん湧いてくる!!」


ある者はキーボードを叩き、ある者はペンを走らせ、マウスを動かし、筆を振るう。
銀河連合日本のある世界…欧州で日本でアメリカで学者達と共に連れてこられたSFやファンタジーの作家に芸術家達。
無論ことさらに自分の思想や心情を他者に押し付ける様な輩ではない。
その様な者はこの世界に来ることすら叶わない。
ここは神代に戻った神の庭、罪ある者はお帰りを無理に通れば代償を払うこととなる。
船で門を越えようとした者は良くて捕縛或いは撃沈、若しくは幻想の動物達の腹の中に消えた。
貨物船の荷物に紛れ密航した者は神代の空気に耐えきれず人ではない何かに成り果てた。

そして門を潜る資格を持った彼らはこの地で見た。
再び妖精が揺蕩う深い森が広がり霧の街に幻想蔓延る白い国を。
西の大洋に浮かぶ機械仕掛けの神々の島を。
精霊達と和解し電脳化機械化…未来への道を推し進める移民の国を。
花の都に封じられていた仄暗い異界への穴を。
神代に戻りながら現在と未来の同居する極東の島国を。
笑い合う人と人でなき者らを。

それは羨望だったのかもしれない妬みかもしれない…それとも未来を見たからか。
流行り病にさらされ悪徳にまみれた思想が声高に叫ばれ戦争の影のちらつく未来の見えづらい時代に生きる彼がそれらを見て筆を取ったのは。
この世界もこの世界で幸福な世界ではないだがそれを見て光を見出したならばこの世界を見た意味はあったのではないだろうか。

そして彼らは見た。
画面の向こう、自分の世界でも始まった物語を、紡ぐのは自分の世界の者らは無理かもしれない…だけどその輝きに焼かれ彼らは筆を取る。




ゲート世界の自衛官らの稼いだ数分にも満たない時間は確かに希望を繋いだ。


「ええ、貴方達の稼いだ時間は無駄ではありませんわ。」


キンッ…という音と共に数体のヂラール・ツァーレの醜悪な顔がどさりと床に落ちその巨体が倒れ伏す。
別の個体は無数の矢に射抜かれ同様に倒れ伏す。
そしてまた別のヂラール・ツァーレは幾つもの札が纏わりつくとその身体を燃やす。
呆然とそれを見つめる自衛官達の前に四つの影が降りる。
赤いドレスに金髪の少女、赤い外套の褐色の男性、青の短い着物の妖狐そして同色の狩衣を纏う長い髪の少女。
札は最後の少女が行ったようだ。
そして明らかに平安とイゼイラの文化掛け合わえたかの様な装いのイゼイラ人の女性。


「あの魔人モドキがなんか転移妨害してたから走ってくるハメになりましたが…。
ウフフ…さっ…すがっ…我が娘の桜ちゃん!!もう並の術者以上ですわ!お母様も西洋の木偶人形よりも鼻高々!!デュフフフフ…あ、涎が。」

「先の言葉がその顔で台無しだよ…。あのキャスターが母親で大丈夫か…?」


青い着物の女性…玉藻の前は涎を垂らし掛けるがそれを拭うとキリリとした顔をするが直前の顔で台無しだ。
溜息を吐く赤い外套の男。

726:635:2023/10/20(金) 07:24:21 HOST:119-171-251-4.rev.home.ne.jp


「シャラップ!エミヤさん…私をあの未婚(ミコーン)の荒御魂のダメ分霊カッコ汎人類史玉藻の前カッコ閉じると一緒にしないで下さいませ!
私は美味しい美味しい鯖ではなく純正の分け御霊…即ち太陽!
故に我が娘で後輩な桜ちゃんは世を照らす太陽の娘!即ち正義の味方である貴方と同じ絶望の天敵なのです!!」

「なんでこんなのが桜の母親なのさ…。」

「エミヤシロウよ、こう見えてこやつは立派な母親をしているぞ。」


ぽんと赤い外套の男、英霊エミヤシロウの肩を叩くネロ(鎮守府産)。


「それよりもエミヤさん…アイアスという盾持ちで三騎士…つまりはナイトでメイン盾持つ正義の味方なのですからこう、カカカッ!と皆の士気を高めて下さいませ!!」

「無茶を言うな!!」


そんなエミヤの反応を無視し玉藻の前は言葉を紡ぐ。


「貴方はあの世界では名もなき英霊の一人かもしれません。
しかし知らないかもしれませんがこの世界はかつての貴方の人としての人生、英霊としての貴方は語られる物語、新しい伝説の一つ…。
貴方は間違いなく正義の味方(ヒーロー)…。
いつの時代も怯える人の子を慰めるのは正義の味方のお勤めですわよ。」


その言葉に全くと言いながら前に出るエミヤ、日本人の零す声が彼の耳に届く。
エミヤを正義の味方と呼ぶ声が聞こえる。彼が来て安堵した声が聞こえる。
テレビの前で恐ろしい怪人を目にし怯える幼い子供の前に正義の味方が出てきた様な。
その様にフッと笑いちらりと後ろに立つイゼイラ人女性を見て原作によらば彼女は時代劇を好み遊び人を名乗っていたことを思い出すと口を開く。


「力を貸して頂きたい。」

「正義の味方よ…何か…?」

「越後の縮緬問屋のご隠居の真似事を…或いは江戸の遊び人や貧乏旗本の三男坊でも構いません…貴女が希望と悠久の創造主であるのならば希望を皆に。」

「あい分かった。ではこちらからも頼みがあります。」

「私に出来ることならば。」

「ではことを収めたらたら直ぐに佐々木助三郎の役目をして皆を静めて頂きましょう。
アレの中に大勢囚われている以上慰め眠らせてやらねばなりませぬ。」


その言葉に苦笑いを浮かべるエミヤ。
イゼイラの女は頷くと被っていた市女笠を外すとその姿が露わになる。
イゼイラ人そしてイゼイラの歴史を学んだゲート日本人や手に入れた情報から同様にイゼイラの歴史を知る大日本帝国の軍人らは驚愕の表情を浮かべる。


「皆さん懲らしめてやりなさい!」


その声と同時に弾かれる様にエミヤや玉藻の前は走り出す。
自らこそが正しいと誇示する様に吠える大型ヂラールではあるがそれに気圧されることなくエミヤは剣を構えこちらへ向かうヂラール達を切り捨てていく。
イゼイラ人女性も自ら剣を抜くとヂラール達を次々に刃の錆にしていく。


「総員!なんでもいい彼を援護するんだ!!」


その行動にスール柏木は叫び、ゲート自衛官や動ける空間騎兵隊や自動人形たちが火線を放つ。
イゼイラ人女性を先頭にツァーレに立ち向かう同胞ら…。
誰かが呟く。


「まるで青年サイラだ…」


まだそのイゼイラ人女性が何者か気付かないその場のイゼイラ人達は呟きその光景を、幼い頃に昔話で聞いた様な光景見つめる。
誰かが、イゼイラ軍人の一人が震えた声で呟いた。


「俺は行くぞ…!同胞が、ツァーレと戦っているんだ…!」


一人が震える足で踏み出し、他の者も続く。
勢いを取り戻した日本人やイゼイラ人の攻勢に押されるヂラール。
それを率いる女性は名乗ってはいないが映像を見ているゲート側のティ連の者らは既にイゼイラ人女性の正体に気付いていた。
希望と悠久の創造主がイゼイラの民の絶望から救うために顕現するというそれはそれは伝説的な光景にイゼイラ人達など涙していた。
なお女性が誰だか気付いたゲート日本人やナーシャ・エンデの大日本帝国の者らの頭の中では上様や水戸の御老公の成敗のテーマが流れているがどうでもいいこと。
そしてとうとうヂラールにも終わりの時が来た。
特異個体ヂラールの背後の壁が突如として崩れ煙が立ち上り二つの人影が煙の向こうに見えた。

727:635:2023/10/20(金) 07:25:04 HOST:119-171-251-4.rev.home.ne.jp


「ようやっと来ましたか二人共。」

『すみませんナヨさん遅くなりました。』

『他のトコのヂラールの殲滅に時間掛かり過ぎデス。何体侵入していたんデスカ!』


片方がウガーと吠えると土煙が晴れその姿が露わになると大日本帝国で宮様と呼ばれた人物がガタンと椅子を倒して立ち上がる。
画面の向こうでは怒りを宿した赤い昆虫の瞳に漆黒のボディを持った存在と赤いバイザーに同色のマフラーを棚引かせた存在が出てきた。
二人は得物を引き抜いた。きそのまま超大型個体へ突き刺すとエネルギーを流し込む。


ahaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!


アーッ!とかアッー!とか人間の言葉にするならばそんな超大型特異個体の汚い悲鳴がその場に木霊する。
しかし二人はそれを無視し更に得物を刳り込むと更にその声は大きくなる。
その悲鳴に込められたのは悲哀、苦痛、羞恥、嫌悪、恐怖…TDN…兄貴はない…多分。
そして二人がそのまま得物をヂラールから引き抜くと流し込まれたエネルギーがヂラールの身体中を暴れまりその身体より幾つもの光が押し出される様に溢れ出し光が弾け、
ヂラールの身体そのものが太陽に焼かれ燃え尽きる様に光に消えた。


「やった…やったのか…?」

「俺たちは…勝ったのかあの化け物に」


信じられないという表情で見る銀河連合日本以外の者たちはまず己の頬を抓りついで隣に居る者らと確認し騒いでいる。
仲間と同胞と手を取り合い喜ぶそんな彼らの姿…強大な化け物に勝ったことを喜び合う。
それはゲート世界の日本でもイゼイラでも同じ多くの者は喜び合う。
中には大日本帝国と日本国が正しき義による戦いに勝利するという事実をその場で強制的に認識させられ認められず喚く者もいた。


「URRRRRYYYYY!」

「逆転!Vやねん!!」

「334!」

「阪神かんけーないやろ!!」


大日本帝国では信じられないという顔をする者も多かった。


「まるでアニメの様な…まさかあの状況から勝利するとは…。」

「辻、事実は小説より奇なりというだろう。」

「なんか宮様感涙に咽び無いてるんだが…。」


で、まあそのまま終われば綺麗だったのだろうが。
次にはピシリという音が画面の中から響き何やらパラパラと天井から何か落ちてくると次の瞬間巨大な塊が人々の脇に落ちてくる。


「は?」「え?」

『あー電、柏木さんとフェルさん…ヂラール諸共この船のハイクァーンも纏めて吹き飛ばしたみたいだね。』

『テイオーちゃん言う通りなのです。まぁアレ相手じゃ加減もクソもないのです。
でも、船体にダメージ入ってるトコに各種機能維持してるハイクァーン無くなれば…。』


画面の中のトウカイテイオーと電がそんな話をしている。
そこへ藤丸立香(男)とかが問う。


『マシュ、無くなればどうなるの?』

『はい先輩!ハイクァーン無くなるということは船の機能の大部分の喪失に繋がります!』

『キリシュタリア…具体的にどうなるんだ?』

『カドック、つまりは船内の生命維持環境維持機能喪失、人が生存不能になる上に船体維持、シールド機構も喪失。つまり沈没だな。』

「「「『『『『…………。』』』』」」」


画面の中の者達もその場の夢幻会の人員も皆顔を見合わせる。


「「「『『『『ナ…ナニィィィィィ!!!!!』』』』」」」

『あ、異常な重力反応検知…あのヂラールが呼んだのかヂラールコロニーも来てるのです…。』

『いやあ、参ったねこりゃ。』


画面の中では電とトウカイテイオーがやれやれという顔をしていた。

728:635:2023/10/20(金) 07:25:35 HOST:119-171-251-4.rev.home.ne.jp
以上になります転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2023年10月22日 22:21