370:194:2023/11/23(木) 09:35:31 HOST:KD106154149110.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その44
突然のターボの奇声に、慌てて中に入るトリー達。
見ると、ターボが不思議そうな顔をしてキョロキョロしている状態だった。
ターボ「・・・・・あれ?ここって・・・?」
トリー「・・・お姉ちゃん!!」
ターボの無事な姿に、感極まるトリー。
勢い良くターボに抱き着く。
ターボ「わっ!?と、トリー!?」
トリー「お姉ちゃん・・・・・本当に・・・・・本当に・・・・・良かった・・・・・!!」
カナ「・・・ホンマ、ヒヤヒヤしたで。というか、今の悲鳴は何やったんや?」
ターボ「・・・競馬の神とか名乗ってたゴルシみたいな奴が突然馬になって、元の世界に戻すって言って後ろ蹴りされたんだ」
一同「「「「「「・・・・・」」」」」」
何とも言えない答えに、さしもの一同も沈黙する。
競馬の神を騙るゴルシの様な何かとは何だ?しかも馬に変身とは?
フェル「・・・コホン。そろそろコレを消すノデ外に出て欲しいデスヨ」
トリー「あっはい」
371:194:2023/11/23(木) 09:36:02 HOST:KD106154149110.au-net.ne.jp
そんな訳で、野戦用簡易治療室から出る一同。
ターボの無事な姿を見て、観客達も歓声を上げる。
赤坂「あっ、出てきました!どうやら無事助かったようです!」
細井「一時はどうなるかと思いましたが、正直ホッとしましたね」
この二人も、中継を見守っていた人々も、ホッと胸を撫で下ろす。
フェル「サテ・・・あんな傷デ走るとか、無茶にも程が有るデスヨ」
柏木「というか、そもそも何が有ったんだい?何故ツインターボちゃんが刺されたんだ?」
トリー「あ、はい。それは・・・」
トリーが事情を説明しようとしたその時。トリー達に近付く人影が。
ラファールルージュだった。
ラファール「・・・私が、全てお話します。知っている限りの事を・・・」
モンジュー「ラファール!?」
柏木「君は?」
ラファール「・・・フランスのラファールルージュ。彼女の事を刺した、張本人です」
カナ「・・・!!おのれ、よくもぬけぬけと顔を出せたもんやな!!」
ルドルフ「落ち着け、カナリハヤイネン!今ここで彼女を殴っても、意味が無い!真相を聞くのが先決だ!」
カナ「・・・ぐぬぬ」
フェル「・・・ツインターボさんを刺したって・・・どういう事デスカ!?」
ラファール「・・・まずは、今回の事を企てたあの男の事から説明します。実は・・・」
372:194:2023/11/23(木) 09:36:32 HOST:KD106154149110.au-net.ne.jp
そう言って、彼女は今回の事件の全容を説明し始める。
現在のフランスギャロ・ウマ娘部門の会長が、かつてフランスギャロの会長の座を追われたあの男であり、ティ連から流れた闇の医療技術、
通称『闇ティ連医術』とも言うべき代物で、顔ばかりか声帯等の変更困難乃至不可能な物すら変えて、完全に別人になった上でフランスギャロ・ウマ娘部門に就職。
その手腕であっと言う間に、同部門を牛耳るまでになった事を話す。
モンジュー「・・・あの男。胡散臭い所が有ると思っていたけど、そんな奴だったなんて・・・!」
カナ「・・・そんな奴が、何でトリーじゃなくてターボの襲撃を企てたんや!?」
カナのもっともな疑問に、ラファールは答える。
フランスギャロの会長の座を追われる切っ掛けとなったトリプルターボの事を今でも恨んでおり、かつての自分と同じ様に「大切な物を失う絶望」を味わわせる為に
今回の襲撃を企て、その為に態々逆指名を行った事を。
その事実に、トリーは打ちのめされる。
トリー「・・・そんな!?・・・それじゃあ、私のせいで・・・お姉ちゃんが・・・・・」
ターボ「トリー!!トリーは何も悪くない!!悪いのはその元会長とかいう奴だ!!」
ショックで崩れ落ちそうになるトリーを支えながら、トリーは悪くないと必死に言うターボ。
一方のカナやルドルフ会長達は怒り心頭だった。
その様な個人的かつ完全な逆恨みでツインターボを逆指名し、そして襲撃して大怪我を負わせたのだ。到底許せる事ではない。
ラファール「そして・・・彼女がエドモン・ド・ロートシルト公園で一人になった所を見計らって近づき・・・。彼女の事を、刺してしまったんです・・・」
373:194:2023/11/23(木) 09:37:03 HOST:KD106154149110.au-net.ne.jp
そこまで喋った所で、彼女の胸倉を掴むウマ娘が。
モンジューだった。
モンジュー「・・・貴女は!貴女は、自分が何をしたのか、分かっているの!?どう考えても、国際問題となる案件よ!!」
モンジュー「そもそもその様な逆恨みに加担するなんて!貴女には、ウマ娘としてのプライドは無いの!?」
ラファール「・・・・・そのプライドで、家族や牧場の仲間が、守れるというんですか!?」
モンジュー「・・・・・え!?」
激昂するモンジューに対して叩きつけられたラファールの言葉に、思わず目を見開くモンジュー。
ラファールは続ける。
ラファール「・・・・・最初の接触と依頼を断ろうとした時・・・・・牧場に、猫のバラバラ死体が送り付けられて、警察沙汰になる事件が起こったんです・・・」
ラファール「・・・あの男は・・・いざとなれば、本気で家族や牧場の仲間達に手を掛ける。・・・・・そういう男だったんです」
ラファール「・・・・・私には・・・・・他に選択肢が・・・・・無かったんですよ・・・・・」
ターボ「・・・モンジュー。この娘は、ターボの事を刺す前も、刺した後も、今にも消え去りそうな顔をしながら『ゴメンナサイ』って言って、泣いていたんだ」
ターボ「断じて本心でやってたんじゃない。無理やりやらされていたんだ。どうか、信じてやってくれ」
モンジュー「・・・・・」
374:194:2023/11/23(木) 09:37:34 HOST:KD106154149110.au-net.ne.jp
辛そうに涙を浮かべるラファールと、刺された本人であるターボの言葉に、モンジューは掴んでいた胸倉を力無く離す。
同時に、自らの不明と不甲斐無さを恥じた。彼女の師でありながら、彼女の苦悩に何一つ気付く事が出来なかった。
彼女を守る所か、彼女の手を汚させてしまったのだ。その事が・・・余りにも悔しかった。
ラファール「・・・このレースの最中も、あの男から『あの小娘を消せ』と、命令が入って来ていたんです」
ヴェニュ「・・・まさか、あの時のスパートって!?」
ヴェニュスパークの言葉に、ラファールは頷く。
ラファール「・・・辛かった。怖かった。でも・・・家族や皆を危険に晒す訳にはいかない。・・・そう決断して、あの娘を刺そうとした時、あの娘の方から声を掛けられたの」
ラファール「『またターボの事を、刺すつもりか?』って。そして、叱られた。『諦めるな!!』って」
ラファール「・・・あの娘の強さが、本当に眩かった。それに比べて、自分は・・・・・」
リガン「・・・だからあの時、行き脚が鈍ったのね」
ラファール「・・・私は、全てを諦めようとしていた。でも・・・師匠達は、こんな私の事を、信じてくれた・・・」
ラファール「だから私は・・・最後くらい・・・皆の気持ちにちゃんと応えようと、全てを賭けて走り抜いた・・・」
ラファール「でも・・・最終的にレースには、負けて・・・しまった・・・・・」
一同「「「「「・・・・・・・」」」」」
涙を流しながら語るラファールに、駆ける言葉が見つからずに沈黙する一同。
そして・・・
ラファール「私は・・・私の手は・・・もう、どうしようもない位に汚れてしまった・・・・・」
ラファール「体の方も・・・・・あの男に、まるでおもちゃの様に弄ばれて・・・・・穢れに穢れてしまった・・・・・・・・・・」
ラファール「最後に残った、ウマ娘としての矜持も・・・・・勝負に負けた事で、無くなってしまった・・・・・」
ラファール「・・・今の私には・・・もう何も残っていない・・・・・それに、私が生きていたら、家族や皆が!!」
全てに絶望したラファールがそう呟くと共に・・・・・
懐から、コンバットナイフを取り出した。
375:194:2023/11/23(木) 09:38:05 HOST:KD106154149110.au-net.ne.jp
以上です。ここからと言う所ですが、これ以上は長くなりすぎるので、ここで一旦切る事に。
事件の全容、その余りの身勝手さと闇の深さに、一同のはらわたが煮えくり返っております。
そして何気にモンジューも打ちのめされる羽目に。弟子の想像以上の惨状の詳細に気付く事が出来なかった訳ですからね。
さて次回ですが、自暴自棄になっているラファールの救済と、諸悪の権化に対する裁きの鉄槌の時間となりますw
どんな末路を迎えるのか、今から楽しみにしていて下さい。それでは。
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最終更新:2023年11月26日 14:23