349:陣龍:2024/01/30(火) 21:05:47 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

『ゴーストウィニングの異世界旅行記 ~【特異点】此処に有り~』



 ゴーストウィニングの異世界転移から早半日以上過ぎ。トレセン学園の屋外トレーニング場では黄金世代プラス
自称おなじみ三着さんが合同トレーニングをしていた。


「……うーん」
「……こりゃ駄目だねぇ」
「やはり……ゴーストちゃんが居ないと、ちょっと張り合いが……」
「何を言ってるのかしら!?ゴーストさんが居ない今こそ一気に速くなって帰って来たあの娘を驚かせる絶好機じゃない!?」
「キング。エルは思うのですが、一日や二日で簡単にゴーストにビックリされる程速くなれたら苦労しないデース」
「エルの言う通りですよ。無理なオーバーワークは身体を無意味に痛めつけるだけです」
「……そうね」


 共通の友人が前触れ等何も無く居なくなった事は、周囲には『今親代わりしている某配信者さんの御実家に【里帰り】している』と言う
恐ろしく苦しい言い訳で押し通して誤魔化しはしているも、敏い一部ウマ娘は既に何か裏事情が有ると看破されていた。
現状この6名が合同トレーニングしているのも、実の所【ボロ】を出さない為に追及を打ち切る為の口実でもあった。



「……調子が狂うねー。ゴースト一人居ないだけで」
「ウィ……」
「ゴーストちゃん、何時も誰かしらと並走して居ますからね」
「そうだね……何と言うか、違和感?が凄い感じる」


 出来る限り話題に出さない様にしていたが、【ワイド】なウマ娘から結局始まった件の異世界転移ウマ娘の事はどうしても思考に居続ける一同。
詳細な事情は知らない筈だが、商店街のアイドルウマ娘からの助ける目くばせを見て取り、隙あらば並走勝負を仕掛ける爆走娘を
的確に誘導してくれたトレーナーには感謝してもし足りない。



「……あの後、連絡は来たかな?」
「うんにゃ……」
「通信不安定で送られないのは変わっていないね」
「ウーム…電=サンでも出来ないと言ってましたし、結局エルたちは待つしか無いデース…」



 相変わらず【此方側】から送信出来ない事から不安だけが少しずつ膨れる、秘密を共有する一座は早めにトレーニングを切り上げつつ、
小さく寄り添って小声で話し合いを続けていた。しっかり者であるならば兎も角、女の園しか知らない隙だらけの友人の事である。
確実に何事かトラブルが起きていると言うのは確定事項であった。起こす側か起こされる側かは兎も角。



「全く……帰って来た(pipipipipi)ら……ゴーストだ」
「……こっちも、ゴーストから」
「一斉送信かな……?」



 そんな中、今度は【亡霊】に先着した二名のウマホが呼び出し音を鳴らしだし、一斉に確認する。

350:陣龍:2024/01/30(火) 21:07:37 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

『スカイとネイチャへ。こっちでも並走しましたが、能力はウマ娘とウマ息子に大きな変化は無いようです。
動画撮影して貰ったので送って来ます。それと、送信相手は二人に絞った方が良いかな?返信求む』


 ウマインやウマッターでは無く少々古風だかメール送信にて状況報告する件の張本人。
『主さん』に偏狭的に復讐心や報復感情を滾らせた逆恨みの馬鹿の姿を度々見た結果、
現状はこのスタイルになっている事を不幸中の幸いと言うべきか。


「……アッチでも相変わらずだねぇ、タハハ」
「こっちだと半ば見慣れた光景ですけど、まぁ、あちらから見れば、ですねぇ……」


 苦笑しながら、ウマホの映す映像を見て息を飲む周囲を他所に、から笑いをしながら空を見る友人コンビ。
動揺や衝撃の騒めきから怒号や地鳴りの如き歓声が全てを覆いながらレースの決着がつく映像は、
何だか過去唯一の勝負であった競走馬とウマ娘との対戦にて、自分らが出場した最終戦の情景を
思い起こすには十分であった。映像内とは違い、僅差で打ち勝ったのは自分達のみであったが。





「まぁ、でも何だかんだ受け入れられてる見たいだし大丈(pipipipipi)……二通目?」
「え、なんだろ……ア゛」
「……あっはは~……そういうウマ娘だからねぇ……うん」


 素っ頓狂な奇声を発したツインテウマ娘と、最早達観した様な声色と表情の葦毛ウマ娘。
何だなんだと二人のウマホを除いた一同が見た物とは。





『アンコールされたからGH〇ST歌って見たらなんでかみんな動かなくなっちゃった(´・ω・`)』

 気の抜ける顔文字とゴーストのしょんぼり顔自撮りの横に映し出される、
トレセン学園の屋外ライブステージにて【死屍累々】以外の何物でも無い有様になっている
ウマ息子軍団の写真であった。


「……ホント、ゴーストは台風の目だよ。色んな意味で」








(本当に……女の子だぜ……)
(あぁ……見間違いじゃねぇ……しかも美少女だ……)



 ウマ息子世界トレセン学園。そこでは短パンに体操服、そしてトレセン学園職員が大急ぎで
作ったゼッケンをつけたウマ娘、ゴーストウィニングが開脚してストレッチをしていた。



(うわ、身体柔らけぇ……)
(しなやかってこういう事か……それに身体を伸ばす度に強調される……)

「……えっとさ」
「「はい!?」」
「微妙に言っている事聞こえてるからさ、何かあるなら言ってくれると嬉しいんだけど」
「「は!?」」


 童〇感全開と言うか、体操着を着てレース見学するウマ息子がヒッソリと内輪でこそこそ話している所に、
普通に聞こえていたゴーストが声を掛ける。尚、その姿勢は開脚したまま両手を後ろ手に付き
引っ繰り返る様に背後を見る姿勢。つまり、ゴーストの髪が重力に従って垂れ、額や上体が強調される様な姿勢と言う訳で……



『ゴッバャァァァ!?』
「……なんなのさ、一体」



 【刺激】が強すぎたのか、謎の奇声と共にぶっ倒れる奇行を見せたウマ息子二名を、
相変わらず疑問符を浮かべるしかしないゴーストであった。

351:陣龍:2024/01/30(火) 21:09:15 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

「あの……」
「あ、はい」
「えっと……こんにちは」
「あ、こんにちはです」


 幸せなのか分からない表情で気絶した馬鹿二名が雑に担がれて木陰に寝かされた頃、
いざ出走ゲート前まで来たゴーストは、何処かで見た気がするウマ息子から挨拶されていた。


「……若しかして、サイレンススズカさんですか?」
「え……そう。分かったの?」
「まぁ、はい」


 懸命かそれとも偶然か、『双子の兄妹見たい』と言わなかったゴーストの前には、
儚げな雰囲気に見えて何だかポワポワした雰囲気も両立しているウマ息子、サイレンススズカが居た。
何とも細い。



「えっと……今日は一緒に走るから、よろしくねと言いに来たと言うか」
「そうですか。此方こそよろしくお願いします」
「はい、よろしくね」


 そう言って笑うウマ息子、サイレンススズカ。会話内容が無味乾燥と言うか定型文染みた流れだが、
不思議と心地よさの様な物は感じられた。先頭民族と先着主義者、謎の通じ合う物でも有ったのだろうか。



「スズカ……そろそろゲート入りだぞ」
「あっ……ありがとう、エアグルーヴ。それじゃ、ゴーストさん」
「はい。頑張りましょう」
「うん、よろしくね」


 呆れた様な表情の美形のウマ息子に呼ばれ、ゲートに向かうサイレンススズカ。そして次はこの世界の副会長、
ウマ息子のエアグルーヴが来る。


「……すまないな。何か変な事でも聞かれたりしなかったか?」
「いえ、ただ挨拶交わしただけですので」
「そうか……アイツは走りが好きな余り、それ以外が疎かになる事が多くてな」
「ああ、コッチの世界でも変わらないんですね」
「【コッチの世界】…と言う事は」
「自分の世界でも、走り続ける余りに門限忘れたり迷子になり掛けてエアグルーヴ副会長に怒られたりしてますね。
ウマ息子のエアグルーヴ副会長さんも苦労されてるようで」
「まぁ……な」


 溜息を吐くウマ息子のエアグルーヴに、苦笑いするゴースト。地味にゴーストの方もどうでも良い以上で
緊急事態以下程度に騒動未満の何某を度々起こしてたりするのだが、ウマ息子のエアグルーヴは当然ながらそんな事を知る由も無い。



「まぁ……取り合えず、良いレースになる事を」
「あぁ、そうだな……遠慮は無用だぞ。この模擬レースは、君が要望した事だからな」
「今更【やっぱり止めます】、なんて言いませんよ」


 軽く笑って自身のゲートに向かう、異世界から来たウマ娘と言う少女の姿を、少々訝し気に見遣るウマ娘・エアグルーヴ。
彼女が求めたのは、距離『2400m』と言う実質長距離に近い模擬レース。ウマ娘とウマ娘との能力差を現状測っては居ないが、
通常の人間種に置ける男女の運動能力の格差を鑑みて見れば、酷い結果になる未来しか彼の脳内には出てきていなかった。






「さーて……」

 眼を閉じつつ、左に首を軽く曲げ、続けて右に首を軽く曲げる。そして軽く頷くようにして、
顔を上げると同時に両眼を見開き走る構えを取る。競走馬時代から何時の間にか始めていたルーチンワークにて、
ゴーストウィニングが【スイッチ】を切り替える。


「…いざ」


 ゲートが開き、伝説の一戦が始まった。

352:陣龍:2024/01/30(火) 21:11:18 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp






「いやいやいやいや何ですかあの娘!?スズカさんに全く遅れる事無く追随していますよ!?」


 両目のシイタケの如き色彩と、一度聞いたら忘れられなさそうな声が特徴なウマ息子が思わず叫ぶ。


「マヤもゴーストさんの後ろにくっ付いてるけど、追い抜けない見たいだね……」
「そうだな、テイオー。彼女も、一角のウマ息子…否、ウマ娘と、言う事だ」


 皇帝を継ぐ帝王が、冷静にレース運びの様子を見守る。


「……帰って来たら謝らないと」


 偶然から初遭遇し、そして現在彼女のウマホでレース撮影をしているカワイイの化身は、
周囲の動揺や騒めきを他所に、しっかりと全体の撮影に従事していた。





――――想像していなかった、あの娘がこんなに速かったなんて


 先頭を疾走するサイレンススズカ。一瞬だけ背後を見遣れば、余りにも自然な姿で追随して来ている【ウマ娘】の姿を、
外野のウマ息子の動揺や喧騒を他所に、全く以て冷静に見定めていた。



――――でも、誰が相手でも関係無い。先頭の景色は、譲らない!


 そも先頭民族と称される走り大好きウマ息子サイレンススズカ。相手がウマ娘だろうと女神様であろうと、
レースに置いては全く関係の無い話である。



――――こちらが一方的に侮っていたか。全く、とんだ失態だ



 サイレンススズカが何時も通りの大逃げを敢行し、その3バ身後ろを安定してキープし続けているウマ娘・
ゴーストウィニングの姿をバ群の先頭に立ちつつ、内心独白するウマ息子エアグルーヴ。性別の差異等全く無い、
否並以上のウマ息子より遥かに優れた健脚で友人のスズカにピッタリ追随している光景は、全く想定外だった。



――――だが、此方にも意地と面子と言う物がある。絶対に負けはしない!


 とは言え、それが即劣勢に繋がる訳では無いと、エアグルーヴは断じる。彼自身、様々な外野の下馬評も捻じ伏せて
G1に打ち勝った実績と自信、そして自負がある。外野で応援して居る後輩たちの為にも、負けるつもりは更々無かった。





『さぁ先頭サイレンススズカが一番手!だが二番手がウマ娘、ゴーストウィニングの追撃が激しい!
三番手エアグルーヴが上がって来て順位を落としたマヤノトップガン四番手、その他ウマ息子たちは後方4馬身団子状態です!』

 この世界でも相変わらず存在しているトレセン学園の実況者の実況が煽るまでも無く観客のウマ息子達、
そして一部トレーナー達も含めたボルテージが最高潮に煮えたぎっている中、模擬レースは最終盤の曲線コースに入ろうとしていた。



――――……未だ……もう少し……!


 未だ先頭を維持しつつ最終コーナーに突入するサイレンススズカ。距離が少々長いが、現状は身体の感覚も最良、
息も切れず、両足も羽が生えている様に軽いままと言うベストコンディションであった。


――――後ろからも来ていない……これなら……


 振り返る余裕が無い為に音と感覚にて、後方の状況を探るも感じる者が無く、必然勝ちへの道筋を見定める
サイレンススズカ。数秒に満たぬ間を超えれば、最終コーナーを飛び出した瞬間の『逃げて差す』イメージは出来上がっていた。



「……えっ!?」



 そして最終コーナーを飛び出す瞬間、視界の端から【何か】が突如『飛翔していった』。

353:陣龍:2024/01/30(火) 21:12:48 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


「ゴースト…ウィニング、さん!?」


 『居るはずの無い存在』…自身の音と感覚で一切存在そのものを感じて居なかったウマ娘が、
目を見開いたサイレンススズカを尻目に、一気に最終直線を疾走して行っていた。


――――……ぬかった!まさか、此処までとは!?


 スズカが驚愕の眼差しで半ば茫然と見送る形となっていた時、後方に居た副会長・エアグルーヴは
焦燥を隠し切れぬ表情で予定より遥かに速く勝負を仕掛けていた。



――――速い、想定しているより遥かに速い!スズカにあそこまで追随して全く疲弊していないのか!?


 岡目八目、後方から先頭を注視していたが故に、ウマ娘ゴーストの動き……コーナーに入る瞬間から少しずつ緩々と、
背後から外に膨らんで行き、コーナー終わりの直線にはスズカと並んでいるまでに急遽
早急な勝負に打って出たのだが、ゴーストの挙動は想定を遥かに超えていた。



――――…?!マ、マヤノトップガン!?



 サイレンススズカ、エアグルーヴの脇を弾丸の如く栗毛のウマ息子が疾走し抜け出したのは、その直後だった。





『サイレンススズカを交わしてゴーストウィニング先頭に立って更に加速!逃げ差しのスズカは動きが鈍い
エアグルーヴも加速が鈍い、おぉっと外から一名突っ込んでくるのは、マヤノだマヤノだ!マヤノトップガンだ!!』



――――…飛んでも無い……飛んでも無い『ウマ娘』だよ、ゴーストさん



 実況と共に観客の興奮は最高潮に達する中、ウマ息子の中で唯一ゴーストウィニングに向かって激走するマヤノトップガン。
彼はこの模擬レースに参加した中で唯一、その理屈を超越した天才肌の直感で、ゴーストウィニングが
【普通では無い】事を確信していた。



――――後ろから見ている……違う、ゲート入りした時の雰囲気だけで分かった……一体どれだけ積み上げたのか、
どれだけ走り抜いて来たのか。きっと、マヤ達より凄い所を沢山走って来たんでしょう?



 ゴーストの背中へジリジリ迫るマヤノトップガン。内心の独白と連動するように、周囲の景色はモノクロへ、
そしてスロー再生するが如く全てが遅れて動く。



――――……見た目だけで侮ってごめんなさい、ゴーストさん


『マヤノが迫るマヤノが迫る!ゴーストに届くのか、届くのか、届くのか!?』


 息を呑む観衆、興奮し切りの実況、そしてウマ息子の意地を見せてくれと叫ぶ同輩に、
唯々ガンバレと声援を送るマヤノトップガンの友人達の大声が轟き響き渡る中。






「……『次』は、負けないから」


『マヤノ、届かない!マヤノトップガン届かない!勝ったのは、勝ったのは、勝ったのは!ゴーストウィニング!
ゴーストウィニングです!ウマ息子全員を蹴散らし、三バ身差で打ち勝った勝者はゴーストウィニングだぁぁーー!!』

354:陣龍:2024/01/30(火) 21:14:58 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


 模擬レース開始前、【唯一人】を除いたこの場に居る全員が予想もしていなかった決着。歓声、どよめき、騒然、
それら折々の喧騒に模擬レース場周辺が包まれる中、膝に手を着いて荒い息を整えるマヤノトップガンは、
大して息も荒れていない様子のまま力強く勝利の腕まくりと握り拳を作るゴーストウィニングを見定めつつ、
その決意を固めていた。




「マヤノ~、次は負けないって言い切ったねぇ~」
「え、えぇ!?き、聞こえてたの!?」
「そりゃウマ娘だからね、耳も良いよ。後次の挑戦は大歓迎だよ~」
「は、はわ、はわわわわわああー!?」
「……あ、ごめん。眼、回しちゃった?じっとしてて、このまま向こう行くから」
「わ、わははわああぁー……」



 その直後、しっかりとマヤノ君の決意の一声が聞こえたゴーストウィニングが、その本気を嬉しく思って
抱き上げてグルグルと親が子供にやる様に回転させてしまい、色々な意味で目を回したマヤノ君を
お姫様抱っこ…ウマ息子なので王子様抱っこ?して模擬レース場外まで運ぶ一幕が有ったが割愛する。
無論、疾走して流れた汗等拭ってなどいないそのままで。


「……ふふふ。マヤノ君、【オハナシ】だね」


 明らかにレースによる疲労だけでは無い顔面の発赤や尻尾の動きを見せているマヤノトップガン君に対して、
表情こそ微笑んでいるが全く笑って居ないカレンチャン君。まるで周囲から瘴気の覇気を幻視出来るかの如き雰囲気に、
突っ込めたウマ息子は居なかった。







「アンコール?」
「うん。ウマ息子の皆、ゴーストちゃんの歌とかもっと見たいって」
「既にMake Debut!やった所なんだけど」
「そうなんだけどね……どうしても!って声が強くて……駄目ならこっちで【オハナシ】するけど」


 顔が湯気立つ程に真っ赤になって両目の焦点が行方不明中なマヤノ君を送った直後にその他ウマ息子の
熱気溢れる質問攻勢をトレーナーや寮長たちの一喝で制圧されたりして暫く後。
レース後の恒例としてウィニングライブを執り行ったのだが、ウマ息子のボルテージは一曲程度では収まって居なかった。


「……今エライ怒号と悲鳴染みたアンコール聞こえてるけど」
「大丈夫大丈夫、無理してゴーストちゃんに怪我させたりしたら、ウマ息子全員生きて帰れたりしないしね」
「生きて帰れないって、いやいやいや」
「……ゴーストちゃんは、もう少し自分がこの世界に取ってどれ程に凄い【ウマ娘】なのか自覚してくれると有難いかなぁって、
カレンは思うよ」



 困った表情でちょっとした苦言を伝えるカレン君。レース中の真剣な表情から一転、レース外では初めて出会った
あの時そのままの【ポワポワ】少女のままなゴーストウィニングは相変わらず分かっているのか分かっていないのか
『はぇー』等と気の抜けた返しである。



「……ダンス無しで軽い身振りと歌唱だけなら?」
「まぁ……それなら、負担も少ない、かな?」
「じゃあそれで。歌そのものはどうしようか」
「ゴーストちゃんが自由に選んで良いと思うよ」
「良いの?」
「コッチの我儘に付き合って貰うんだから、それ位はね」



 哀れカレン君、知らぬ事とは言えゴーストウィニングにフリーハンドを渡してしまう痛恨のミスを発動。
無知とは罪なのであろう。



「それなら、早速やろうかねっと」
「おぉー、即断即決。因みに、どんな歌を歌うのかな?」
「一応決まってるよ。聞いてからのお楽しみ、と言う事で」





 そして暫く経ったトレセン学園屋外ライブ会場にて。






「……動かなくなっちゃった」


 困惑し切りなゴーストウィニングの視線の先には、自身の名前と同じ題名の『GH〇ST』の熱唱を全身全霊で
聞き入った末に死屍累々の如く折り重なって倒れたウマ息子達と、頭を抱えて担当ウマ息子らを回収する
トレーナーや教員たちの姿が有った。

355:陣龍:2024/01/30(火) 21:16:34 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 因みに『GH〇ST』は某VTuberのヤツっスね。丁度歌詞とかもなんか良い感じだったんで

|д゚) さて、弾薬()欠乏しましたしこの後どうなりますかね(安定の思い付き無計画)

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最終更新:2024年03月17日 18:44