483:陣龍:2024/02/11(日) 19:31:27 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

『ゴーストウィニングの異世界旅行記 ~【歓迎会】は誰の為~』



「取材の件、ありがとうございました」
「いやぁ……お礼を言われる程の事では……」
「こっちもあんまり分かって無い事の方が多いですからね、ゴーストについて」



 ゴーストウィニングの異世界失踪日から四日目。この日のウマ娘世界トレセン学園では、
豪雪一過の昨日が嘘のように晴天で晴れ渡り、混乱が少しずつ回復しつつある中、
名物ウマ娘記者として名高い乙名史記者が、そのゴーストウィニングの続報に付いて取材をしに来ていた。


「突然の失踪と言う事で憶測が飛び交っていましたが、まさか前触れ無く【ウマ息子】世界に行かれているとは、
夢にも思っていませんでした。あちらの世界でも、私は特に変わっていないようですが……その……」
「乙名史さん、こっちと同じく美人さんですからねぇ~」
「思春期真っ盛りの【ウマ息子】に対して、情熱満載な取材をする余りに目に毒な行為を多発させてるって、
ゴーストからのメールと写真に余計な解説もね……」
「恐縮です……」



 畏まる乙名史記者。半ば諦観を感じられつつも行う、ウマ娘世界からの通信不可状況に対して、
相も変わらず『向こう』では平穏無事に何事も無く過ごしているメールと写真、映像が定期的に送られて来ていた。
その中には、来訪二日目にしてウマ息子世界に【大破戒】を齎したゴーストウィニングの身の上話情報であったり、
先程は【向こうの世界の乙名史記者】等から真っ当な取材を受けた事を、当人のツーショット写真と向こうの世界の
保護者役になっているカレンチャン君とマヤノトップガン君による挨拶兼近況報告動画と共に知らされていた。



「……でも、安心しました。【以前】の様に面倒な人達が来なくて」
「そうだねぇ……流石に、【二度目】は無かった見たいで良かったよ……あ、乙名史さんには関係無い話ですけどね?」
「……お気遣い、ありがとうございます」



 少し悲しい表情を浮かべつつ、ゴーストの友人であるウマ娘二人に頭を下げる乙名史記者。
トレセン学園異界事件を発生させた元凶も同然であった左派系等の残党や無責任な報道界が、
その後の揺り戻しであるティ連法に則った公務執行、放送権剥奪、業務停止処分等の極めて厳重な処罰や逮捕送検、
裁判による有罪判決と刑務執行が徹底して行われて相応に『風通し』は良くなったものの、旧来の仕来りや慣習、
権威にしがみ付き復権させようと策動する存在は微弱な存在に転落しつつも根強くしぶとく存在していた。
SNS等で見掛け上の声は大きくとも、既に民営化されている郵便や鉄道を国営に時代回帰させようとする様な連中と同程度の存在では有るが。

 今回、ゴーストの行方不明と言う情報が流出した時も、完全に打ち砕かれてから再建された従来メディア各位は、
それこそ要職にティ連からやって来た本案件に関する熟練者を据えられて一から報道に関する事を叩きこまれて報道を再開しているものの、
日本人旧来の『触らぬ神に祟りなし』思考かそれとも社内に生き残った旧来の気風が残存でもしているのか、
アリバイ工作染みた最低限の触りのみ流して残りは触れようともしない状態で、この先も前途多難な有様だった。
その為に、乙名史記者筆頭のウマ娘関係者以外に今回取材に来たのはゴーストと懇意な某地方局と競馬記者程度だった。

484:陣龍:2024/02/11(日) 19:32:46 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


「(pipipipipi)……っと、噂をすればゴーストから……はぁ」
「えっと、どうされましたか?」
「いやー、多分この反応は……?」


 そんな中、相変わらずのタイミング良く送られて来たゴーストからのメールを見たネイチャが溜息を吐く。



「……乙名史さん」
「はい?」
「これって、記事に使えたりしますかねぇ」
「……にゃはは、ホント楽しそうにしてるねぇ。相変わらず」



 ゴーストが異世界旅行を始めて度々吐かれる溜息と共にネイチャが見せたのは。



『マヤ君もテイオー君もバチクソ速い件、此処まで3センチが遠いとか知らなかったぜよ! #・∀・)』


 ウマレーター内に取り込んだレースゲームにて、かなり珍しく悔しがる三着に沈んだゴーストと僅差で勝利し
喜びのハイタッチをするウマ息子コンビの映像であった。



「……えっと、元気そうで何より……です?」
「まぁ……そうだねぇ。なによりだねぇ」
「もう怪我とかして居なければそれで良しにした方が、精神衛生上良いかもですね」









「歓迎会?」
「うん。ずっとゴーストさんは授業中は図書室での自主学習、午後のトレーニングは模擬レース主体だったから、
打ち解けるイベント作ったよー、見たいな」
「よく考えてみると色々順序変だよね」
「まぁ、順序に関してはゴーストちゃんは突然こっちのトレセン学園に来ちゃったからね」



 ウマ息子世界のトレセン学園。スプリント模擬レースにて見事玉砕し、カレン君に背負われ一時休息後トレーニング再参加した夕方。
ゴーストは昨日中距離模擬レースにて打ち破ったマヤ君と今日の模擬レースでゴーストに圧倒的大差且つ
他ウマ息子も寄せ付けず勝利したカレン君に誘われていた。



「因みに何するの?ライブ?」
「それじゃトレーニングと変わらないよ?」
「ウマレーターを使ってのゲーム大会だって。レースゲームとかFPSとか色々有るけど、ゴーストちゃんはどれにでも参加して良いって」
「ほぇー。面白そうだねぇ、参加して良いのならお邪魔しようかな」


 特に断る理由も無いので、参加の意を示すゴーストに嬉しそうに笑うウマ息子コンビ。世の女性たちは勿論の事、
一部男性側も道を滑落させそうな愛嬌も、根本的に恋愛とか分かっていないゴーストに影響する事は無かった。

485:陣龍:2024/02/11(日) 19:34:27 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp




「どんなもんじゃーい(/・ω・)/」
「くっ……ま、負けた……」
「ターフで負けてもゲームならばと思ってたのに……」
「脚質先行じゃ無かったのか……思いっ切り逃げじゃ無いか……」



 そしてあれよあれよと言う間に始まったゲーム大会にて、ゴーストはレースゲームにて連勝を重ねていた。
因みにレースゲーム上のゴーストは基本的に逃げ切り型である。



「スプリントレースはクソ雑魚でもゲームでは別物で有るぞよ(/・ω・)/」
「寧ろなんでスプリントだけアレになるのかが疑問なんですけど」
「……私にも、分からない事位、有る……(/´・ω・`)/」



 衝撃の過去や精悍にして脅威の強さ、そしてスプリントでの意外過ぎた脆さ。それらを更に覆いかぶせる
愉快成分満載ゴーストウィニング。間違い無く良い娘では有ってもそれ以上に良く分からない娘と言う評価が、
ウマ息子達に浸透しつつ有った。



「……若しかして、ウマ娘世界ってあんな感じの娘が多いのか?」
「かも知れんな……まぁ、全員が全員って訳じゃねぇだろうが……」


 一部に若干で済まない誤解が発生しつつあるが。




「フッフッフ……ここはワガハイの出番のようだね、諸君?」
「おっ、お前はまさか!?」
「あの伝説の!?」
「天才と名高い!?」
「そう!ワガハイこそが!最強の帝王!!ト…」

「あ、トウカイテイオー君だね。始めまして?」
「「「ブッフォ!」」」
「ワケワカンナイヨー!?」


 ノリの良い級友たちの煽り文句と共に堂々登場し、高らかと名乗りを上げようとした瞬間に、
当のゴーストに全く悪意無く機先を制され、全力で吹き出す級友たちとこっちの世界でも特徴的な例のセリフを飛び出させたウマ息子。
ご存じ帝王ことトウカイテイオー君である。



「ちょっと!なんで行き成り言い当てるのさー!かっこよく名乗り上げようとしている所だったのにー!」
「あ、うん、なんか、ゴメン?流星の前髪とグッドルッキングで普通にトウカイテイオーって分かっちゃったから、つい」
「え、そう?ふふーん、そう!このテイオー様はとってもかっこよくて……」
「後はそのかなり特徴的な面白い声色ともなれば確定で分かるよねーって」
「「「ブッフォ!!」」」
「ワケワカンナイヨー!?」


 完全に漫才しているゴーストウィニングとトウカイテイオー君、そして吹き出す周囲のウマ息子達。
因みにゲーム内のカウンタールーム内での出来事なので、地味にこの翻弄されるテイオー君の姿は録画されていたりする。

486:陣龍:2024/02/11(日) 19:34:59 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


「テイオーもゴーストさんには形無しだねー」
「おー、マヤ君」
「ヤッホー、マヤも遊びに来たよー」
「おー、よろしくねー」
「うん、よろしくー」
「ボクをほっとかないでよー!!」



 そして合流してきたマヤ君と呑気な会話を始めたゴーストに突っ込むテイオー君。天然ボケ疑惑濃厚なウマ娘には、
天才と謳われ自負もしているウマ息子も形無しだった。






「嘘だ……こんな、こんな事が……許されていいと言うのか……!」
「イエーイ、テイオー君ハイタッーチ」
「イエーイ、マヤ君ハイタッーチ」

「「フォー!」」


 その後、eスポーツ競技者も参考にしたと噂された程の世紀に残る大決戦の死闘の末、三者横並びゴールからの僅か3cm差での決着となり、
一位は意地を見せ付けたトウカイテイオー君、二位マヤノトップガン君、三位ゴーストウィニングと相成った。



「もう一戦!もう一戦やらせて!このまま負けて終わりなんて……」
『オーイお前ら、もう時間だぞー』
「Noooooooooo!!!」


 ウマ息子寮長、ヒシアマ兄貴の一声によって、両膝地面に付け、両手で頭を抱えて仰け反り悔しさの感情そのままに叫ぶゴーストウィニング。
ある意味芸術作品の如き御姿に、見ていたウマ息子も教師らもツボを突かれた様に大笑いするしか無かった。

487:陣龍:2024/02/11(日) 19:37:35 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) ゲームでも大暴れしたさしものゴースト嬢でも天才コンビには勝てなかった模様

|д゚) 因みに三人が搭乗していた車種はスポーツカータイプ。ゴースト日本車、テイオーイギリス車、マヤノアメリカ車、がそれっぽいかな

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最終更新:2024年03月17日 18:52