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**年輪年代法(デンドロクロノジー) #ref(5-2.jpg) 山口県法光寺阿弥陀如来座像台座の計測 樹木の年輪幅の広狭などの変動変化を手がかりに、その木材の伐採年や枯死年代を誤差無く暦年でもって正確に求めることの出来る年代測定法。 ○日本での歴史 二十世紀初頭にアメリカで実用化された。反対に日本では気候が多様で地形に富んだ地域で生育している樹木の年輪は、その場その場の環境差を年輪形成に反映するであろうから、同年代の年輪を比べた場合、そこには共通の変動変化を見ることは出来ないという考えが支配的で、実用化が難しいという思いこみもあって長い空白期間が生じた。 奈良文化財研究所がドイツの研究の発展、平城宮跡の出土木材などを理由に1980年から実用化を目指し、ヒノキ、スギ、コウヤマキなどが年輪年代法に適しているとわかった。 年代を割り出す際に基準となる暦年標準パターン(マスタークロノジー)の作成も順調に進み、今や大分県~青森県までの各種木材の年代測定に多くの成果を挙げている。 ○原理 樹木の年輪幅を10ミクロン単位で計測し、その変化を経年的に調べる。 生育環境が似ている一定の地域のなかでは樹種ごとに固有の年輪変動パターンを描くことが判明している。  第1段階   上記特性(固有の年輪パターン)を持った樹木かどうか。現在、ヒノキ、スギの他、針葉樹10種類、広葉樹2種類(ブナ、ミズナラ)が判明している。  第2段階   暦年標準パターンの作成。伐採年の判明している多数の現生木試料からデータを収集する。次に古建築部材や遺跡出土材からデータを収集し、既にあるデータと順次照合する。そして長期にわたる暦年標準パターンを作成。  第3段階   年代不明の木材を計測して年輪パターンを作成、暦年標準パターンと合致するところを探し求め測定完了。 樹皮が一部でも残存しているか、最外年輪が残存していれば伐採年、枯死年を正確に測定できる。 年輪パターンには肉眼で観察する場合と、コンピュータを用いて統計的に処理する場合とがある。 #ref(5-5.jpg) 地域別、樹種別の年輪パターングラフ ○暦年標準パターン #ref(5-4.jpg) 樹種別暦年標準パターンの作成状況 九州はスギ、ヒノキの出土量が極端に少ないので適用事例は空白である。 また北海道産のエゾマツやトドマツなどは適用可能の樹種であっても古代から現代まで広く使われていなかったため長期の暦年標準パターンが作成できず空白である。 アメリカではマツ類で8400年、ドイツではナラ類で11000年前まで作成されている。 ○年輪幅の計測 双眼実体顕微鏡付きの年輪読み取り器(0.01ミリまで計測)を使用。 試料から直接測る場合と、試料から採取した標本から測る場合とがある。 1年分の年輪の間に年輪境界のようなものが別に形成されていることがある。偽年輪(重年輪)と言われ、読み取り中に判別出来ることが多いが困難な物もあるので要注意。 樹木の全周を巡らず一部で途切れた年輪(不連続年輪)は、年輪密度の極めて高いものにごく希に見られるが標準パターンとの照合によってチェックすることが可能である。 ○測定対象になりにくい試料 年代測定には100層以上の年輪が必要である。樹木が若齢の頃の年輪は固体的特徴が現れやすい為。 極端に狭い年輪幅(0.2ミリ前後)で推移しているものは照合が成立しにくい。 同心円状に形成されておらず、不特定方向に広狭のあるものは照合が成立しにくい。 #ref(5-3.jpg) 法隆寺五重塔心柱の円盤標本 年輪年代測定法により594年の伐採と判明した。 C14測定法と密接に関わっており、年代測定の際にも相互補完される。これについてはC14測定法の項目で述べる。
**年輪年代法(デンドロクロノジー) #ref(5-2.jpg) 山口県法光寺阿弥陀如来座像台座の計測 樹木の年輪幅の広狭などの変動変化を手がかりに、その木材の伐採年や枯死年代を誤差無く暦年でもって正確に求めることの出来る年代測定法。 C14測定法と密接に関わっており、年代測定の際にも相互補完される。これについてはC14測定法の項目で述べる。 ○日本での歴史 二十世紀初頭にアメリカで実用化された。反対に日本では気候が多様で地形に富んだ地域で生育している樹木の年輪は、その場その場の環境差を年輪形成に反映するであろうから、同年代の年輪を比べた場合、そこには共通の変動変化を見ることは出来ないという考えが支配的で、実用化が難しいという思いこみもあって長い空白期間が生じた。 奈良文化財研究所がドイツの研究の発展、平城宮跡の出土木材などを理由に1980年から実用化を目指し、ヒノキ、スギ、コウヤマキなどが年輪年代法に適しているとわかった。 年代を割り出す際に基準となる暦年標準パターン(マスタークロノジー)の作成も順調に進み、今や大分県~青森県までの各種木材の年代測定に多くの成果を挙げている。 ○原理 樹木の年輪幅を10ミクロン単位で計測し、その変化を経年的に調べる。 生育環境が似ている一定の地域のなかでは樹種ごとに固有の年輪変動パターンを描くことが判明している。  第1段階   上記特性(固有の年輪パターン)を持った樹木かどうか。現在、ヒノキ、スギの他、針葉樹10種類、広葉樹2種類(ブナ、ミズナラ)が判明している。  第2段階   暦年標準パターンの作成。伐採年の判明している多数の現生木試料からデータを収集する。次に古建築部材や遺跡出土材からデータを収集し、既にあるデータと順次照合する。そして長期にわたる暦年標準パターンを作成。  第3段階   年代不明の木材を計測して年輪パターンを作成、暦年標準パターンと合致するところを探し求め測定完了。 樹皮が一部でも残存しているか、最外年輪が残存していれば伐採年、枯死年を正確に測定できる。 年輪パターンには肉眼で観察する場合と、コンピュータを用いて統計的に処理する場合とがある。 #ref(5-5.jpg) 地域別、樹種別の年輪パターングラフ ○暦年標準パターン #ref(5-4.jpg) 樹種別暦年標準パターンの作成状況 九州はスギ、ヒノキの出土量が極端に少ないので適用事例は空白である。 また北海道産のエゾマツやトドマツなどは適用可能の樹種であっても古代から現代まで広く使われていなかったため長期の暦年標準パターンが作成できず空白である。 アメリカではマツ類で8400年、ドイツではナラ類で11000年前まで作成されている。 ○年輪幅の計測 双眼実体顕微鏡付きの年輪読み取り器(0.01ミリまで計測)を使用。 試料から直接測る場合と、試料から採取した標本から測る場合とがある。 1年分の年輪の間に年輪境界のようなものが別に形成されていることがある。偽年輪(重年輪)と言われ、読み取り中に判別出来ることが多いが困難な物もあるので要注意。 樹木の全周を巡らず一部で途切れた年輪(不連続年輪)は、年輪密度の極めて高いものにごく希に見られるが標準パターンとの照合によってチェックすることが可能である。 ○測定対象になりにくい試料 年代測定には100層以上の年輪が必要である。樹木が若齢の頃の年輪は個体的特徴が現れやすい為。 極端に狭い年輪幅(0.2ミリ前後)で推移しているものは照合が成立しにくい。 同心円状に形成されておらず、不特定方向に広狭のあるものは照合が成立しにくい。 #ref(5-3.jpg) 法隆寺五重塔心柱の円盤標本 年輪年代測定法により594年の伐採と判明した。

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