209 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/14(火) 01:51:07.07 ID:FX0cBPvGo



【雀帝一年生組の話】



ジャラジャラ



京太郎「なぁ、何で俺達まだ正月なのに誰も居ない部室で麻雀してるんだろうな」

友香「いやー三麻じゃ物足りないから、誰かいないかなと探したら丁度京太郎が居て良かったのでー」

莉子「ご、ごめんね京くん」

初瀬「謝らなくて良いって莉子。どうせ暇してたんだろうし」

京太郎「その通りだが、お前俺に対して辛辣だな」トン

友香「あ、それローン!」

友香「リーチ一発イッツーチンイツドラ2で三倍満!」

京太郎「なん……だと……」

京太郎「俺トビ終了じゃねーか!」

京太郎「つーかこれで三連続最下位、そのうちトビ1って完全にカモだよな」

初瀬「京太郎は危険牌切り過ぎ。いい加減通らないって気付きなさいよ」

京太郎「何かこうイケる気がするんだよなー」

莉子「えっと……それはイケて無いと思うな」

京太郎「ですよねー。おっしゃ、もう一局だ!」

初瀬「……京太郎のそう言う所は素直に凄いと思う」

莉子「あはは、そうだね。私がそうなったら心折れちゃうよ」

友香「京太郎はアイアンハートなのでー」

京太郎「おうおう、言いたい放題言ってくれるな」

初瀬「褒めてるのよこれでも。私なんて未だに一軍と二軍を行ったり来たりで憧にも差を付けられてるし……」ズーン

莉子「……私もこの間の大会で振り込んで先輩達に迷惑かけちゃった」ズーン

京太郎「おいおいそんな暗い顔すんなっての。終わってしまった事をクヨクヨすんなって!」

友香「そうそう、前見て次頑張るのでー!」

初瀬「……あんた達みたいにすぐに切り替えられないわよ」

莉子「うん……」


210 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/14(火) 01:51:33.20 ID:FX0cBPvGo

京太郎「……ふむ」

京太郎「あーうん、そうだな。偶にはマジな話すっか」

京太郎「俺だって別に悔しく無い訳じゃあない。負ければ悔しいし、飛べばイラつく事もある」

京太郎「だけど勝負ってのはそんなもんだろ?勝者が居て敗者が居る。特に麻雀なんて相手の点棒を奪い合う競技だ。実力の差ってのを嫌と言うほど思い知らされちまう」

京太郎「子供じゃないんだ、努力すれば絶対に勝てる訳じゃない事ぐらい分かってる」

京太郎「特にそうだな……この学校じゃ照や淡に努力して勝てるなんて思ってるやつなんて殆ど居ないだろ」

莉子「……じゃあ努力は無意味なの?」

京太郎「無意味なんかじゃねーさ。何もしなければ勝てる確率がゼロでも努力すれば1%くらいにはなるかもしれない」

京太郎「ゼロと1には大きな差が有る。それは1と2の違いとは比較にならないほどのな」

京太郎「努力する事で少なくともあの二人以外には楽に勝てるようになるかもしれない」

京太郎「それでもきっと麻雀をしている限りあの二人に勝てる日なんてほぼ起きないだろうな。それほどまでに力の差ってのは歴然としてる」

初瀬「……」

友香「……」

莉子「……」


211 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/14(火) 01:51:58.93 ID:FX0cBPvGo

京太郎「ま、ここからは俺の話なんだが、それでも俺はあの二人に何度負けようと何度飛ばされようと挑む覚悟はあるぜ」

京太郎「それは無謀とか無茶に見えるかもしれない。だからと言って百分の、いや千、万、億、兆に一つの確率に賭けてる訳でもない」

京太郎「逆に勝利を捨ててるわけでもない。負けようと思ってやる奴なんて居ないからな」

初瀬「じゃあどうして?」

京太郎「楽しいからだよ」

友香「え?」

京太郎「どんな奴と打っても麻雀は楽しい。色んな駆け引きや考え、思いがあの卓には詰まってる」

京太郎「勝利だけを求めて戦う者、義務で戦う者、チームの為に戦う者、自分の為に戦う者、……きっとあの卓で打つ人の数だけ思いがある」

京太郎「どれが正しい訳でもなく、何が間違ってる訳でもない」

京太郎「勝てば嬉しい、負ければ悲しい。だからこそ楽しいんだよ」

京太郎「そう考え始めたら、楽しむことにおいて俺は誰よりも楽しんでると思ってるぞ」

京太郎「だから、そう思えればきっと麻雀がもっと好きになれるんじゃねーか?少なくとも俺はそうなんだけどな」

初瀬「……」

友香「……」

莉子「……」


212 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/14(火) 01:52:24.85 ID:FX0cBPvGo

京太郎「……あの、何か言ってくれませんかね?すげー恥ずかしいんだけど」

初瀬「いやまさか京太郎がそんな事を考えていたなんて思わなかったから驚いて……」

莉子「楽しむ、かぁ。言われてみれば最近そんな事思って打ってなかったかも」

友香「あれ?二人ともそうだったんだ」

友香「私はいつも全力全開で楽しんでるのでー!」

初瀬「友香はそんな気がしたわ」

莉子「友香ちゃんはいつも元気だからね」

初瀬「そう言うところは京太郎と似てるわよね」

友香「京太郎と私は相性抜群なのでー!」ダキッポヨン

京太郎「こら!やめい!……嬉しいけど」

初瀬「……」ジトー

莉子「……」ジトー

京太郎「何でしょうかその『あーこいつ駄目だな』と言う視線は」

友香「?」

初瀬「いやなんでもー。持たざる者はいつの時代も敗者なのね」

莉子「友香ちゃんとは友達と思ってるけど、この部分においてはライバルにすらならないね……」

京太郎「何の話だ?」

友香「さぁー?」


213 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/14(火) 01:52:54.17 ID:FX0cBPvGo

初瀬「それじゃもう一局やりましょ。今度は私が勝つわよ!」

莉子「わ、私も負けないから!」

友香「私だって負けないのでー!」

京太郎「俺だって!」

初瀬&莉子&友香「「「それは無理(かな・でー)」」

京太郎「ひどっ!?」



アハハハハ



初瀬(楽しい……か。言われて見れば京太郎と打ってるときって楽しいかも)

莉子(楽しむことが大事か……京くんと居る時は私も楽しいな)

友香(やっぱり京太郎と一緒だと楽しいのでー!)

京太郎(あーは言ったがやっぱり勝ちたいぞ!こんちくしょー!)



……そんなある日の3人の話



カン!

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最終更新:2014年01月29日 08:20