900 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 00:26:56.53 ID:LyCK7kRmo
【チーム臨海】
ネリー「勝ったよー」
智葉「ネリー……お前序盤手を抜いていたな?」
ネリー「!」ギクッ
ネリー「そ、そんな事無いよ?」
明華「いえ確かに、明らかに咲さんに和了られるのを分かってて見逃していた場面が有りましたよ?」
メグ「またデスカ……」
ネリー「だって、その方がお金を出す人たちに受けがいいんだもん!」
ネリー「追いつかれそうになっても、最後にネリーが役満で和了った方がカッコイイし……」
ハオ「でも、あそこまで追いつかれそうになったのは予想外でしたね?」
ネリー「うっ……」
智葉「あそこで宮永咲が嶺上開花を和了れなかったのは、お前の≪運命操作≫だろうが、あれも紙一重だったな?」
ネリー「ううっ……」
ネリー「だって、いざ使おうとしたらあの子何か物凄く強くてこっちの“力”が効きにくかったんだもん」
ネリー「でも勝ったから結果オーライ!」
アレクサンドラ「そうでしょうけど、油断大敵だと言ってたでしょ?」
ネリー「……ごめんなさい」
903 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 00:37:41.19 ID:LyCK7kRmo
メグ「まぁ喉元過ぎレバ熱さヲ忘レルと言いますシ。勝テバ官軍ですネ!」
智葉「……使い方間違ってるぞ」
メグ「アレ?日本語難シイデス……」
明華「それには同意します」
ハオ「覚えれば簡単なのですけど」
ネリー「メグももっと勉強すれば大丈夫だよ!」
アレクサンドラ「まぁ数年すめば大体覚えるわよ?」
メグ「皆サン……」
智葉「いやむしろお前達が、なんで日本に居るのが長いメグより上手いんだ」
明華「……どうしてでしょうか?」
ハオ「さぁ?」
ネリー「う~ん、自然に?」
メグ「羨ましいデス」
904 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 00:54:47.85 ID:LyCK7kRmo
智葉「……まぁ良い。メグじゃないが、勝ったのだから次の事を考えないとな」
アレクサンドラ「そうね。他会場の結果も決まったようだし」
ネリー「どこが勝ったの?」
アレクサンドラ「えっと……Bブロックは小蒔達の永水ね」
ハオ「順当ですね」
智葉「小蒔か……決勝では必ず最高位を降ろすはずだからな。かなり面倒かもしれん」
ネリー「霞も怖いよ?ネリーの力が時々効かないもん」
メグ「初美デスカ……スピード勝負になりそうデス」
智葉「幸い、他はそこまで力が有ると言う訳ではない。ハオと明華に頑張ってもらう事になるだろうな」
明華「任せてください」
ハオ「……善処します」
アレクサンドラ「……それなら良いんだけど、そうも行きそうにないわね」
智葉「……と言う事はCブロックは?」
アレクサンドラ「予想通り、チーム虎姫よ」
智葉「やはり来たか、宮永照」
907 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 01:12:57.49 ID:LyCK7kRmo
ハオ「そうは行かないとはどう言う事ですか?」
アレクサンドラ「次鋒の弘世菫は“シャープシュート”の異名を取る、狙撃手(スナイパー)よ」
智葉「狙った相手は外さない。決勝ならまず間違いなく、2位以下を突き放すように仕掛けてくるだろう」
ハオ「……なるほど」
明華「私の方はどうなんでしょうか?」
アレクサンドラ「そっちはそっちで厄介ね。渋谷尭深が居るもの」
智葉「オーラスで前局までに最初に捨てた牌が戻ってくるらしい」
智葉「風牌はお前が握ってるから捨てにくいとは言え、三元牌や四暗刻は狙いやすいからな。要注意だ」
明華「……分かりました。気をつけます」
アレクサンドラ「大将も面白いわよ?大星淡はネリーと同じ一年生だし」
ネリー「む。学年は同じでもネリーの方が強いよ?」
智葉「どうだろうな。大星淡、アレには小蒔や宮永照、それに天江衣と同じような匂いがする」
ネリー「匂い?」
智葉「……≪牌に愛されし子≫」
ネリー「?」
智葉「まことしやかに噂される、≪魔物≫より上位の≪魔物≫」
智葉「まさに麻雀を打つためだけに、選ばれた者達だ」
ネリー「それならネリーだってそうだと思うけど?」
智葉「確かにお前は強い。だけど、それだけじゃない何かが彼女達には有る……ような気がする」
メグ「サトハにしては曖昧デスネ」
智葉「私も聞いた話だからな。詳しい事までは知らん」
ネリー「じゃあネリーが勝って、その噂が嘘だったって証明してあげる!」
ネリー「それにその方がお金が一杯貰えそうだし」
智葉「……はぁ。また金か」
ネリー「もちろん!ネリーにはたくさんお金が必要だもん」
ネリー「それを邪魔する人は――――全部倒すよ?」ゴッ
912 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 01:27:26.96 ID:LyCK7kRmo
智葉「……お前の金への執着は、最早賞賛に値するがそれで足元を掬われるなよ?」
ネリー「大丈夫!ネリーは強いから」
アレクサンドラ「……そうね。でも麻雀に絶対は無いから面白いのよ?」
アレクサンドラ「特に彼らのような予想外のチームは、ね」
ハオ「どうかしたのですか?」
アレクサンドラ「Dブロックはチーム須賀らぶが勝ったそうよ」
明華「!」
智葉「……やはりか」
メグ「須賀らぶ?確か、サトハが合宿を見に行ったチームですよネ」
アレクサンドラ「そう。これが面白いのよね」
アレクサンドラ「個人戦2位にアイドル雀士、プロの孫、去年の東海王者、そして無名の新人」
アレクサンドラ「なかなかユニークじゃない?」
ハオ「と言う事は、先鋒は去年の個人卓の再戦ですか」
智葉「むしろ小蒔も居る分、更に激戦だな」
メグ「大丈夫デスカ?」
智葉「……大丈夫と言いたいが、どうだろうな。こればかりはやってみないと分からん」
913 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 01:40:49.62 ID:LyCK7kRmo
ネリー「でもそれ以外は楽勝でしょ?」
アレクサンドラ「ところが彼ら、何と20万点稼いで2位の千里山に10万点のリードを作っての圧勝劇だそうよ」
ハオ「……本当ですか?」
アレクサンドラ「中堅では大きく失点したものの、それ以外では安定してプラス収支」
アレクサンドラ「しかも先鋒の荒川憩は収支1位は当然としても、3位に須賀京太郎が入ってるのよね」
明華「京太郎さんがですか……」
ネリー「確か須賀京太郎って、明華がお世話になった人の息子だっけ?」
明華「はい。とても良い男の子ですよ」
メグ「サトハやカスミ達も言ってましたよね。須賀京太郎には気をつけろと」
智葉「……ああ。アイツは普段はごく普通の――いや、ちょっとアレだが、まぁ何処にでもいそうな高校生だ」
智葉「だが――忘れもしない、合宿の最後のエキシビジョン……」
智葉「奴は開始から5連続和了、一度も他家に和了らせず終わらせた」
智葉「しかも役満役満ツモ役満役満……5回中4回が役満という凄まじい打点でな」
ネリー「……」ゴクッ
智葉「思い出すと今でも背筋が震えるよ。あの宮永照と戦った時すら感じなかった、恐怖と言うものをアイツからは感じた」
智葉「あれはもう麻雀を超えた“何か”としか言いようが無いな」
918 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/10(木) 01:58:18.79 ID:LyCK7kRmo
ネリー「で、でもそれがたまたまって事も有るよね?」
智葉「……もちろんゼロとは言えない。だがその確率が途方も無い数字だという事は、お前にも分かるだろ?」
ネリー「……その京太郎にもネリーと同じ“力”が有るって事?」
智葉「さぁ。だがネリー、お前に同じ事が出来るか?」
ネリー「……多分無理。ネリーの力では役満を一回和了るのが精一杯、そんなに何度も和了れないよ」
メグ「と言う事ハトリックですカ?」
智葉「どうだろうな?何度かそういったサマを使う者を見た事が有る者としては、とてもそうとは思えなかったが」
ハオ「少なくとも競技麻雀ではカメラが四方に有り、不正が出来ないようになってます」
ハオ「もし彼がその時イカサマを用いたとしても、この大会で使う事は不可能なはずです」
メグ「ツマリ、純粋な雀力でもリューカより上ですカ」
明華「大体、京太郎君はそんな事はしませんよ?」
智葉「……私も同感だ。短い間だがアイツと過ごしてみて、アイツがそんな真似をするとは思えん」
アレクサンドラ「まぁどちらにしろ、戦ってみれば分かる事よね」
ハオ「……そうですね」
智葉「と言う事だネリー。今回のようには行かないだろうという事は肝に銘じて置け」
ネリー「……分かった」
ネリー「でも勝つのはネリーだよ。ううん――」
ネリー「ネリーは絶対勝たなくちゃいけないの。例え、どんな相手だろうと」ゴォッ
956 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/12(土) 00:46:47.17 ID:UHG+zFDxo
【チーム永水】
霞「……ふぅ」
小蒔「霞ちゃん、お疲れ様」
初美「お疲れ様ですよー」
春「……お疲れ様」ポリポリ
巴「お疲れ様でした。少し危なかったですね」
霞「そうね……。新道寺のリザベーションは本当に厄介だったわ」
霞「防御してても、おかまいなしにガンガン和了ってくるし」
初美「あの哩って子、私の小四喜をものともしないで稼いでましたからねー」
巴「それでいて、大将の鶴田姫子は同じ局で倍の飜を和了ってましたからね」
初美「ズルイのですよー」
巴「はっちゃん、それを私達が言っちゃ駄目なんじゃ……」
961 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/12(土) 01:18:17.73 ID:UHG+zFDxo
巴「とは言え、私達が必勝パターンに入ってから点差をギリギリまで縮められたのは初めてですね」
初美「基本的には姫様が稼いだ点数を維持して、私が突き放して、霞ちゃんで閉めますからねー」
初美「私の副将の時点でほとんど試合終了なはずなのですよー」
霞「もし、抜かれた場合はどうしようかと思ったわ。防御から攻撃にはすぐにはなれないし……」
小蒔「私がもう少し頑張れば良かったのですけど……」
春「……姫様はそれ以上は無理」
巴「降ろす順番の関係で、姫様はあれ以上は無理ですからね。寧ろ頑張るべきは私なのですが……」
霞「ううん、勝てたのは皆の力を合わせたからよ」
霞「だから胸を張って決勝に進みましょ?」
小蒔「そうですね。決勝ではもっと頑張ります!」グッ
962 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/12(土) 01:36:56.52 ID:UHG+zFDxo
巴「その決勝ですが、相手が決まったようですよ」
春「……どこ?」
巴「えーっと……Aブロックは臨海ですね」
初美「さっちゃん達ですか。おそらくそうだとは思ってたのですよー」
霞「先鋒から大将まで一瞬足りとも気を抜けない相手ねぇ」
巴「私や春ちゃんだと、ハオちゃんや明華ちゃんを止められませんからね……」
小蒔「その分私が頑張ります!……智葉さんは強いですけど」
巴「そうして頂ければ良かったのですが、実はCブロックの相手も厄介でして……」
霞「どこかしら?」
巴「チーム虎姫です」
初美「うっ、やはり来ましたかー……」
巴「合宿の時は散々でしたが、前年度優勝チームですからね。当然だと思います」
霞「となると、小蒔ちゃんは宮永照に智葉ちゃんが相手になる訳ね」
初美「去年の個人戦1位と3位相手ですかー。少々厄介なのですよー」
小蒔「あうっ、宮永さんは苦手です……」
971 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 00:17:14.73 ID:7l9fPg16o
霞「宮永さん以外も決して侮って良い相手ではないわ」
初美「そうですねー。前回と同じになるとは限りませんしー」
巴「ところが実は……」
春「……どうしたの?」
巴「……Dブロックの勝者は須賀らぶなんですよね」
初美「……やっぱりですかー」
霞「当然ね。あれだけの力を見せておきながら、他のチームに負けるとは思えないもの」
巴「ええ。しかも阿知賀、姫松、千里山と言った強豪チームを退けて、2位の千里山に10万点差をつけての圧勝劇だったそうです」
春「……やっぱり凄い」
小蒔「京君も出たのですか?」
巴「はい。しかも初出場初対局で5万点稼いで収支3位だそうです」
初美「うわー。えげつないのですよー」
霞「……合宿の時の力を見れば、まだ物足りないぐらいね」
小蒔「やっぱり京君は凄いです!」
972 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 00:57:04.91 ID:7l9fPg16o
初美「しかしマズイですねー。これで先鋒戦は去年の個人戦1~3位の揃い踏みですよー」
巴「ちょっと厄介どころの話じゃなくなってきましたね……」
霞「……神様の方はどうなってるのかしら?」
巴「決勝ですから、一応降りられるのは一番強い神様ですね」
初美「それでも宮永照、荒川憩に加えてさっちゃんは厳しいですよー」
霞「そうね。智葉ちゃんは他家を使うのが上手いもの」
小蒔「ううっ……自信が無くなってきました」
巴「姫様……」
霞「でもこうなると、小蒔ちゃんだけの話じゃないのよね……」
初美「そうですねー。正直どうなるか分からないのですよー」
春「……頑張る」
巴「そうですね。少しでも姫様の負担を減らす為にも、やはり私や春ちゃんが頑張らないと」
初美「私ももっと頑張るのですよー!」
霞「……そうね。そうなるとやはり、私も使うしかないわね」
巴「大丈夫ですか?確かに姫様が降ろす神様が強いほど、その天倪たる霞さんの力も強くなりますけど……」
霞「決勝戦の一度くらい大丈夫よ」
霞「……それぐらいしないと京太郎君には勝てそうにないし」
小蒔「あの……霞ちゃん。無理だけはしないでくださいね?」
霞「私は大丈夫よ。小蒔ちゃんこそ無理は禁物よ?」
霞「小蒔ちゃんは頑張りやさんだから、すぐ無理しちゃうし……」
初美「そうですよー。姫様が倒れられると本当に心配なのですよー」
春「……無理は駄目」
巴「お願いですから、私達の為に頑張り過ぎないで下さい」
小蒔「あうっ……分かりました」
973 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 01:16:07.63 ID:7l9fPg16o
霞「ふふっ。でもね、小蒔ちゃんが頑張ろうっていう気持ちはとても大切なものよ」
霞「だから、最後には小蒔ちゃんが納得できる対局が出来れば良いと思うわ」
小蒔「霞ちゃん……」
霞「その為にも今日はしっかり寝て、明日に備えないとね?」
小蒔「はい!」
霞(そう……それは私も同じ。私が納得できる対局をするために)
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|从::l::::::\::::::::\ 乂: ー‐: :ノ 乂: ー‐: :ノ ,:::::::/:::/::::::::/
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霞(……小蒔ちゃんの“代わり”じゃない、“石戸霞”としての私の戦いを――)
978 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 01:29:05.89 ID:7l9fPg16o
【チーム虎姫】
淡「テルー!勝ったよー!!」
照「……お帰り」
菫「まったく、ハラハラさせて……」
尭深「お帰りなさい」
誠子「お帰り」
淡「あー疲れたー!!」
淡「あのウサギミミのちっこいののせいで、全力出したのに負けるかと思ったし!」
菫「本当にギリギリだったな。流石は天江衣、気まぐれだが本気なら照と同格と言われるほどだ」
淡「でも勝ったから私がアイツより上って事だよね!」
照「……そう言う訳でもない」
淡「へ?ど、どう言う事テルー」
照「天江衣は確かに気分屋な面も有るが、あれが本気と言う訳ではない」
菫「何?」
照「……尭深、今日は何日?」
尭深「えっと……29日です」
照「そう……やっぱり」
誠子「どう言う事なんですか?宮永先輩」
980 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 01:45:42.47 ID:7l9fPg16o
照「天江衣には本気を出す為に条件が有る」
照「一つは自分と戦うに値すると認めた者が居る事」
照「二つ目は朝よりも夜の方が良いと言う事」
照「そして三つ目は……これが一番重要だけど、月が――満月である事」
淡「満月?」
菫「月が満月な事がどう関係するんだ?」
照「……強いオカルトには必ずそれを使う為の条件が有る」
照「私の“連続和了”なら、打点は最低から始めないといけないし」
照「誠子だと3副露しないと発動しない」
照「淡は角でカンしないと和了れないし」
照「あの阿知賀の玄って子は、ドラが集まる代わりにドラが切れない」
照「――という風にそれ相応の制約が有る」
誠子「と言う事はもしかして……」
照「そう。天江衣の制約は月が満月で有る事」
照「……今月、月が満月になるのは30日だった」
照「だから天江衣は本気を出そうにも出せなかった」
淡「!」ゾクッ
981 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 01:58:10.80 ID:7l9fPg16o
菫「おいおい、本当なのかそれは……」
照「……おそらく」
淡「じゃあ私は本気じゃないあいつに勝ったって言うの?なんかムカツク!」
照「……それも違う」
照「少なくとも天江衣は手を抜いていた訳では無い」
照「彼女は彼女があの時出せる力を全部出していた」
照「だから、あれも本気」
淡「本気じゃないのに本気?……訳分かんない」
照「そう言うものなのだから仕方ない」
照(……そもそも、去年もこの大会の決勝の日が満月だった)
照(そして今年も……)
照(だとすれば、間違いなく意図的にそうなるように調整されてるはず)
照(……全部誰かが仕組んでると言う事。ううん、こんな事出来るのはこの大会の主催者だけ)
照(…………)
照(薄々感付いてたけど、やっぱりこの大会の目的は――)
983 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 02:18:06.92 ID:7l9fPg16o
誠子「でも勝ったから良いじゃないですか」
菫「そうだな。何にせよ、私達が考えるのは決勝の事だ」
淡「むぅ……分かりましたー」
菫「尭深、決勝の相手はどうなった?」
尭深「あっ、はい。えっと……」
尭深「Aブロックが臨海、Bブロックが永水。そしてDブロックが……須賀らぶです」
淡「あはっ♪やっぱりキョータロー勝ったんだー」
菫「およそ順当通り……いや考えうる限り最強の相手か」
誠子「先鋒戦から去年の個人戦の1~3位に神代小蒔ですからね……」
菫「大丈夫か照?かなりキツイ戦いになりそうだが」
照「……胸を張って大丈夫とは言えないけど、前みたいに一方的にやられるつもりは無い」
照「その為にもアレを使うつもり」
淡「ギギギだね!」
照「……そう。でもだからと言って絶対に勝てると言う訳でもない」
菫「まぁお前に関しては、最早私達がどうこう言えるレベルの話じゃないからな。任せる」
照「……ありがとう」
菫「寧ろ――問題なのは私達だ」
尭深「……はい」
誠子「そう……ですね」
淡「ううっ……」
990 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 02:39:47.04 ID:7l9fPg16o
菫「臨海が来る以上、前回よりも更に厳しい戦いになるだろう」
誠子「アジア大会銀メダリストハオ・メイユー、世界ランカーの“風神(ヴァントゥール)”雀明華、去年も出場したメガン・ダヴァン、そしてジュニア大会で活躍したネリー・ヴィルサラーゼ……」
誠子「誰を取っても私達より実力は上ですからね」
菫「ああ。しかも私達はその臨海が居ない合宿で最下位だったんだ」
菫「はっきり言って……決勝進出チームで一番弱いと言う事になる」
菫「……まったく、去年の優勝チームだと言うのにな」
誠子「……すみません。私達のせいで」
菫「いや、お前達は先輩達に決して引けを取らんよ。寧ろ、先輩達には悪いが上だと思ってる」
淡「だよねー。私がいるもん!」
菫「……とにかくだ。照が何とかリードしたとしても、私達が失点しては何の意味も無い」
菫「理想的なのは他が潰しあってくれる事なんだが……」
菫「……いやそんな弱気じゃ駄目だな」
淡「そうだよ!もっと強気で行かないと!」
菫「……それでお前は京太郎に勝てそうなのか?」
淡「うぐっ……」
993 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 02:53:24.58 ID:7l9fPg16o
淡「……分かんない」
菫「……そうだな。もし合宿と同じなら、勝てるとか勝てないの問題では無いだろうし」
誠子「さすがにそれはないと思いますよ。あんなのは本当に偶然だと思いますし」
照「……本当に偶然だと思う?」
誠子「それは……」
照「さっきも言ったけど、強いオカルトにはそれ相応の制約が有る」
照「……もし京ちゃんのアレがオカルトによるものなら、あの時それを発動させるための必要な条件が何度も揃っていたと言う事」
菫「お前、幼馴染なんだろ?何か心当たりはないのか?」
照「……残念ながら」
照「そもそも京ちゃんは、私が最初に会ったときからつい最近まで麻雀に関してはほとんど素人だった」
照「この数ヶ月で急激に伸びた事と関係有るのかもしれないけど、だとしても何時どのようにオカルトを手に入れたのかは分からない」
照「そもそもアレがオカルトなのかすらも分からない」
照「……悔しいけどいつもの京ちゃんは私の知ってる京ちゃん、麻雀をしてる京ちゃんは――私の知らない“須賀京太郎”だから」
995 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 03:12:05.53 ID:7l9fPg16o
淡「でも……私は戦うよ」
菫「淡?」
淡「だって、もう一度キョータローと戦うって――戦いたいって思ったから」
淡「……例え同じ結果になったとしても」
誠子「……淡」
尭深「……淡ちゃん」
淡「勿論、同じ結果にならないのが一番だけどね!」
菫「……ふっ。そうだな」
菫「とにかく、やれることは今日までしてきた。後はもう、それを決勝でぶつけるしかない」
誠子「はい!」
菫「尭深も良いな?」
尭深「……はい」コクン
菫「私達は王者であるが、既に挑戦者だ」
菫「だからこそ、私達は明日勝って再び王者に返り咲く。チーム虎姫としてな!」
淡「うん!」
尭深「……分かりました」
誠子「勿論ですよ!」
照「菫……」
菫「何だ?」
照「王者ってまるでやえみたい」
菫「あ、いやそれはつい……。ってそれはどうでも良いだろ!!///」
照「ふふっ……。そうだね」
998 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 03:18:29.78 ID:7l9fPg16o
照「……私も頑張る。みんなの為に」
菫「……頼む」
尭深「……お願いします」
誠子「頑張りましょう!宮永先輩!」
淡「全部蹴散らしちゃえ!テルー」
照「……菫」
菫「なんだ?」
照「……私達が勝った暁には言いたい事がある」キリッ
菫「な、なんだ?///」ドキッ
照「…………部室にお菓子を増やして欲しい」
菫「……は、はぁ?」
照「今の二倍、いや三倍は増やしてもらわないと……」
淡「さんせー!」
菫「……珍しく真面目な顔で何を言うかと思えばお菓子とは」プルプル
菫「あーもう!勝ったら2倍でも3倍でも10倍でも増やすと良い!」
菫「だが負けたら、一切禁止だからな!!」
照「!?」
淡「!?」
尭深「!?」
誠子「……あー尭深もお茶菓子好きだからなぁ」
26 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/04/13(日) 03:27:28.42 ID:7l9fPg16o
照(……京ちゃん、私には京ちゃんがどうしてあんなに強くなったのかは分からない)
照(きっと、私の知らないところで色々有ったんだと思う)
照(凄いね、京ちゃんは)
照(……だから、だからこそ私も決勝では京ちゃんの知らない“宮永照”を見せてあげる)
照(京ちゃんが勝ちたい理由?わけ?が有るように、私にも有るから……)
照(そしてそれがきっと――)
最終更新:2014年08月11日 11:58