オフシーズンの秋姉妹

「たすけてくれっぇぇぇぇえぇぇぇぇ!」

ビリビリに服を引き裂かれた青年がけもの道を逃げ回っていた。

「ぐぉごごおごごごごごごおごごごごご!」

青年の背後には女性と蜘蛛と蛸を醜悪に合成した化け物が追う。
化け物の腐り果て、なおも女性であることを主張する双丘はそそり立って醜悪な女性器は絶えず涎を垂らし、それは青年がこれから辿るであろう結末を如実に表していた。
性が違えていたのが彼の悲劇といえた。
もし彼が女性であれば貪り食われるだけ彼より幸運だ。

蛸のような触手にからめとられ、青年はその場に引き倒された。
化け物の身体が覆いかぶさる。
青年はその獣臭に顔をしかめる。

~童貞のままで死にたくないとは思っていたがいくらなんでも・・・・神はいないのか・・・~
その刹那
オレンジ色に包まれ化け物が光の中に消えていくのを見ながら青年は意識を失った。
「か・み・さ・ま?」
そう呟いて


~焼き芋のいい匂いがする~
青年○○は意識を覚醒する。
今日は休みで昼間から蛸燻を食べながらプレミアムビールを飲もうとコンビニに行って・・・・
蛸・・・・タッコォォォ!1!!111111!!

「いやだぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁっぁ!」
ゴンッ!

「いったぁぁぁぁぁい!」
目の前には蛸女ではなくブドウの髪飾りをした少女が居た。
「ここは!????蛸女蜘蛛はどこ!!!!!!」
「落ち着いて!落ち着いて!安全だから」

青年○○が落ち着くまで小一時間かかった。
少女たちは「豊穣の神様」で、たまたま通りかかったので助けたとのこと。
そして、ここは幻想郷で日本にあって日本にない場所で帰還できないことを青年に伝えた。
「もう帰れないのか・・・・・」
「でも、ここには話の解る妖怪もいるし助けてくれたりしてくれるよ。」
「妖怪って人を食うんだろ?」
○○の脳裏をあの蛸女蜘蛛がよぎる。
「そうってのもいるけど、そうじゃないのもいる。ただ怯えさせるだけで人を襲わない妖怪も沢山いるよ」
紅葉の葉を髪を付けた少女が話す。
「最近なんかは外界からの知識を求めて積極的に保護してくれる妖怪もいるから、明日会ってみない?」
青年○○は見ず知らずの自分にここまで親身になってくれた小さな神様に感謝した。
「このご恩は必ず返します!」
○○は床に頭が着くほど頭を下げた。
「いえいえ、人助けは人のためならずですよ。」


「・・・はい○○は綺麗な身体をしています。不埒モノはすぐに処分しました。穢れはありません。」
深夜、○○が寝静まったのを確認し秋穣子は肩に担ぐ形状の携帯電話で誰かと話していた。
「身長は175cm、筋肉質。なかなかの美男子です」
秋静葉は傍らに置いた壺の中の金子を数えていた。
チャリン!チャリン!
「最近は外来人が入ってこなくて生活がきつかったんだけど○○が来て助かったわぁ」
「ほんとほんと!私たちの懐も潤ってついでに信仰も得られるなんて最高!」
「穣子声が大きいよ。ちゃんと引き渡せなかったらお金は貰えないんだから」
「今回は烏天狗が落札したから大丈夫だって!」

芋の匂いに包まれて○○はまどろんでいた。
命の恩人が自分を売り買いしているとは露とも知らずに・・・・
彼がはたてと名乗る烏天狗に保護され、彼女から歪んだ愛を向けられ人間を捨てさせられる半年前の出来事である。

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最終更新:2011年08月10日 22:03