マミマミの部屋に連れ込まれ酒をカッ喰らって一晩明かす。気に入られたらしく色々迫られたが回避。
厠へ言ってくると言うとついてくる。引き戸の前で待っているらしい。
どうしたものかと考えていると背中のヒトガタがポコポコ背中を叩いている。
……たしかこれが動いたら帰って来い、だっけ? 丁度良いな。
「おーい、まだかや?」 トントンと、叩いて返事をする。
そしてヒトガタを引き戸に張る。トントンと叩き続けるヒトガタに返事をしているマミマミ。
俺は厠の窓からエスケープ、雑貨屋へと向かった。


魔法の森に到着。雑貨屋に行き店主から散弾銃を購入。
手のかかる紅白と白黒が最近全く来ないので少し寂しいとかぼやいてた。
さようで。俺の方は逆に絶賛騒がしすぎる位なんだが。
さて、取り敢えず自決チャレンジしてみるかい。
薬室にライフルドスラッグを装填、顎の下に付けてそのまま―――。
「おはよう!」
後ろから声をいきなりかけられ、そいつ目掛けてぶっ放してしまった。
なんだ、チャイナの手下のキョンシーじゃねぇか。映画みたいに吹っ飛んでいった。


自決チャレンジに失敗したし、キョンシーが来たって事はチャイナも俺を捜しているという事だろう。
どうしたもんかなぁ、あの壁抜けと風水が組んでいるからには逃げるのは難しいだろう。
取り敢えず洞窟に帰る事にした。


参ったな。自宅で監禁されるという不思議な現象に。
帰った後、目の下に隈を拵えた二人に問い詰められた。
なんで我のヒトガタが我らを退治しに来たあのムジナの家にあるのか、と烏帽子に問い詰められる。
俺の胸元に近寄り、スンスンと鼻を鳴らしたチャイナが険しい目付きで呟いた。あの狸の盛った臭いがする……と。
何かと牽制しあう事が多くなった二人だが、マミマミに対する警戒心はそれを上回ったらしい。
人が折角丁寧に状況を説明したのに、話を聞かず私物毎烏帽子が形成した方陣『八卦の陣』に放り込まれた。
「覚悟しろぉぉ」と謎の声が聞こえた。マジでどうしよう。


方陣で生活を始めてから数日が過ぎる。
世話やら食糧確保やらは二人がしてくるので問題はない。他には色々問題がありすぎるんだけどね。
チャイナと烏帽子は出入り自由らしく、何かと世話を焼いてくる。
二人の粘度は……やばい。やばいレベルだ。
「○○、人間の気持ちってさ、どうやったら独占出来るのか考えた事がある?」
ああ、確かあの忌まわしい事件が起こる前、アイツの視線を能力で視たらこんな感じかもな。


布団の中の両脇をチャイナと烏帽子にサンドイッチされながら考える。
アイツがあんな風になるには数年かかった。人間の情が深く成りすぎるにはやはり時間がかかるのかもしれない。
それと対照的に俺の両脇でスヤスヤと寝ている二人と出会ってから僅か数週間だ。
それでアイツ以上の深い情念、俺の能力で感知したレベルでだが……深い情念になるのはどうしてだろうか。
こんな監禁生活が始まる前、俺は妖怪と人間の情念を観察し続けて来た。
妖怪、または妖怪レベルの力を有した女性の情は、外の世界の女と比較にならない程深く成りやすい傾向がある。
この件に関してはいろんな外来人や元外来人と話し合って来た。
実力者故の孤独、外の世界で必要とされなくなった事への反動、外来人の持つ引力説……等々。
両脇の二人、やんわりと拒否したが肉体の繋がりすら求めてきた二人。
こいつ等にとって俺は何なんだろうな。
自覚しなかった心の隙間を埋める為に縋る存在なんだろうか。
とは言え、俺はそれを責める気にはならない。
外の世界、荒れていた頃に盛り場で出会ったアイツ。
「ねぇ、そんな雨の中で座って居たら風邪引くよ?」
俺だって、女に心のすきま風を塞いで欲しいと願った事はあるのだから。
……男女の関係の側面って、そんなものじゃないだろうか?
ただ、妖怪の女の持つ情念が強すぎるってだけで。
…………取り敢えず、説得して方陣は解除させるか。
常識的に見て健全じゃないし、俺としても気に入らないから。


「みーつーけーたーぞぉー!!」
洞窟にムジナが襲来してきました。


続く

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年09月29日 20:46