朝。

目を覚ますと、身体は柔らかな尾と腕に包まれていて。
隣に目をやれば、藍がいた。

「ん…」

「起きたか。」

「ああ、おはよう。」


俺にしては、珍しく早起きだ。



朝食は、藍が作ってくれた。
こいつのメシを喰うのも、久々だな。懐かしい味だ。


「…なあ、あの白狼天狗の子とは、どういう関係だ?」
不安そうな顔で尋ねてくる。

…ああ、やっぱり見られてたのか。

「ただの後輩だ。

…あいつが何でああいう行動に出たのか、さっぱり解らねえ。
悪戯にしてもタチが悪いし、訊いてもはぐらかすばっかだ。

全く、いい頭痛の種だよ。
随分子供だと思ってたし、妹分だと思ってたんだがな。
いや、ガキだからか?」


藍はため息を一つ。


「…はあ。
全く、髪の白い奴らはどうしてこうも…。

○○、少し考えてみたらどうだ?
聞く限り、昔のお前にその子はそっくりだぞ。

私たちには、互いに今がある。
それはお前も解っているだろう?


お前は気付いていないだろうが…。
これからどうするべきか、結論を出すべきじゃないのか?
色々な意味で。

…全く、お前がこんな朴念仁になるとは思わなかったよ。
せいぜい悩むんだな。」

「どういう事だ?」

「それは自分で考えろ。」


そこからは、何を言ってもはぐらかされてしまった。
女はたまにわからねえなあ。



暫く雑談をした後、部屋にスキマが開いた。
時間が来た、か。


「たまには酒でも飲もうか。」

「そうだな、その時はまた。」


…尤も、それはただの友人として、だろうが。

互いの気持ちはあれど。
時間が、そろぞれの立場が大人にしちまってる。


恋人として向き合えるのも、昨日の夜までだって事も。


「藍。」


「どうし…!?」


はは、ビビったか。

大人の事情が解らねえ程、俺もガキじゃねえ。
…だけどな、何年も抱えてたんだ。

これぐらいの我儘は、許せよな。
せめて、最後のキスぐらいは。


そうして、藍はスキマに入って行った。
男が泣くのは独りの時って、相場は決まってんだ。

大丈夫だ、きっと。
きっと。



「…あら?」


藍が帰ったのを見送った後、急に視界が揺らいだ。

…そういやこの一週間、考え事ばっかであんま寝てなかったな。

今日は丁度非番だ。
これからを考えるにも、今までの気疲れを取らねえと始まらねえか。

俺は布団に寝転がり、徐々に意識を手放して行った。
未だ残る、藍の香りに包まれて。


_______________________________



あれから昨日はあまり眠れなくて。

どうも周りにも解るぐらいの顔色だったらしく。
結局皆に心配されて、無理矢理早退させられちゃいました。


いけない。
しっかりしなきゃ、先輩に怒られちゃいます。
早く良くなって、一刻も早く、先輩の呪いを解かなきゃ。
あの女狐を、先輩の中から追い出さなきゃ。


そうやってぼーっと歩いていたら。
気付けば私の家を通り越して、違う場所まで来てしまいました。


「あ…」


そこには、先輩の家がありました。

そういえば、今日は先輩は非番でしたね。
先輩はお寝坊さんだから、まだ家で寝てるでしょう。

…もしかしたら、あの女狐もいるかもしれない。

そうだ、今日は仕事に行ったから、手元には武器がある。
私の自慢の、大きな刀。

まともにやりあえば、私じゃ九尾に勝てない事ぐらいは解ります。

だけど、寝込みだったら…
気付いたら、戸の隙間から、鍵を斬っていました。


「ここ、酒場から割と近いだろ?
誰かしら酔って乱入しちゃあ、人んち荒らすからよー。」

そう言ってにとりに作ってもらっていた、丈夫な鍵。

「これなら妖怪の馬鹿力でも壊せないよ!!」
あの子はそう自慢していました。


だけどこの子で斬れば、意外と簡単ですね。
いつかあの女狐を斬ってやろうと思って、毎日砥いでましたから。
この子も嬉しそうに光っています。

「お邪魔します…」

よし。返事は無い。
少なくとも、先輩は寝ているようです。


そうして寝室に入ると…
いました、先輩です。


思わず見とれちゃいました。
普段の態度からは想像もつかないぐらい、子供みたいな穏やかな寝顔で。
窓からの風で、先輩の白い髪は揺れていて。


こうして見ると、やっぱり綺麗な顔ですね。
普段から、こういう顔をすればいいのに。

起こさないように先輩の頭を膝に乗せて、優しく髪を撫でてあげます。
女の私から見ても羨ましいぐらいさらさらで、気持ち良いです。


「ん…」


わ。
先輩の手が、スカートの裾を掴んで来ました。

その手は、たまに私の頭を撫でてくれる大きな手とは違って。
なんだか子供みたいで、愛おしさがこみ上げてきます。

「ふふっ、かわいい…。」


幸せです。
いつか恋人として、こうなれたらいいのにな。




「ん…藍…。」





私の時間が、音を立てて止まりました。


…ああ、そうだよね。

まだ、呪いは解けてないんですから。
まだ、あの女狐にたぶらかされたままなんですから。

それまで気付いてなかったけど、部屋に甘い匂いが漂っているのが解りました。
それは、女独特の甘い香り。

それを嗅いだ時、急に虫唾が走りました。

姿の無い今も、あいつはこうやって彼に纏わりついている。
このままでは、いつか彼の匂いもあいつと同じになってしまう。

忌々しい。
こんな悪臭で、彼が埋もれてしまうだなんて。


…先輩も先輩ですよ。

あいつの種族は、“傾国の美女”なんて呼ばれた程の、悪女の血筋なんですから。
実際、国どころか自分の故郷も滅ぼしたじゃないですか?

そんなのに引っかかるだなんて、女を見る目がありませんね。

大体、あなたが今寝てるのは、私の膝枕なんですよ。
幾ら夢でも、気遣いが足りないんじゃないですか?


あ の 女 の 名 を 呼 ぶ な ん て 。


やっぱり、今すぐ治してあげなきゃダメですね。
少し痛い事をしちゃうけど、ちょっとお仕置きだと思えば丁度いいでしょ。


それなりに生きた妖狐ですもんね?

普段は隠してるけど、先輩が本当はすっごく強いの、私は知ってます。
昔文さんと大喧嘩して、結局文さんの方がボコボコにされたって本人から聞きましたもん。


確かにそれじゃ、力じゃ私に勝ち目は無いし。
起きていたら、治してあげようとしても暴れますよね。


だけどあなたは、一度寝たら絶対起きないお寝坊さんで。
起きていなければ、どんな生き物も抵抗できない。



そう、手足をダメにしちゃうのはかわいそうだけど。
…手足を刺すぐらいなら、大丈夫ですよね?

先輩は強いんですから、許して下さいね?
それで呪いから放たれるなら、安いじゃないですか。


手には自慢の刀。
この子も嬉しそうに、ぎらぎらと光っています。


大丈夫です。
動けなくしたら、特効薬を与えてあげますから。



…私 の 身 体 っ て い う 特 効 薬 を 。
ね?







「!!!!!!?」


片腕に激痛が走り、それで目を覚ます。

そこには。
また“あの目”で俺を見つめる椛が、馬乗りになっていた。

手には、血のついた椛の愛刀。
その笑顔は、今までの生涯でも見た事のない狂笑で。

「ぐっ…!」

「あら、起きちゃいましたか?ごめんなさい。
もう少し寝てても良かったのに。」

「てめえ…!何の真似だ!!」

「何の真似だって、治療ですよー。
待ってて下さいね?
他の手足もやっちゃいますから。」

「ぐあ…!!」

今度は片足に刃が刺さる。
一体、どうしちまったってんだ!!

「ほらほらーもう少しですよー。
すぐにあの九尾の事、忘れさせてあげますから。」

藍の事か。
なんでこいつが藍に恨みを…。

「そうですねー。

全部終わったら、あの女狐を駆除しても良いかもしれませんね。
なんだか、私にも出来る気がしてきましたよ。」

椛が寝巻の帯に手を掛ける。

「ちょっと刺し足りないけど、そろそろいいかな。

待っててくださいねー。
初めてだけど、きっと気持ち良くしてあげられますから。

そうそう、今度上手く行ったら、女狐の死体を持ってきてあげますよ。
…どんなに強くても、寝込みはみんな弱いですもんね。」


「くっ…させるかあああああああああ!!!!」


痛みの中、無理矢理身体を起こす。

まだ生きている片腕で、椛の首に手を掛け、一気に倒す。
なんとか形勢逆転だろうか。

…くっそ、いてえ。


「はぁ…はぁ…つっ!!

…伊達に何度も大怪我してねえんだ。
寝込みだったが、これぐらいワケねえ。

なあ、一体どうしちまったんだ?」

まずは理由を訊いて、椛をなだめなきゃだ。
こいつがこんな風になっちまった理由を。


「可愛い妹分がこんな事しちまってんだ。
刺されたのにはビビったが、理由を訊かなきゃおにーさんは気が済まねえんだが?」

やせ我慢で軽口を叩いてやる。
出来るだけ椛が落ち着ける様に、いつもの口調で。


「…」

「…」


暫しの静寂。


「…だって、先輩が悪いんですよ。
今もまた、そうやって妹分って言って…。」


椛の死んだ瞳から、滴が一つ。


「ずっと…ずっと先輩の事、好きだったんですよ…!

だけどいつまでも子供扱いして。
何をやっても妹分としてしか見てくれなくて。
…ちっとも、一人の女の子として見てくれない。

何でですか!
何で私じゃダメなんですか!

ねえ先輩…

あなたなら…藍さんの時に同じ思いをしたあなたなら、きっと解ってくれるって信じてたのに!!

あの人さえいなければ、きっと私を見てくれるって思ってたのに!!」


「…!」


それを聞いた時、全てを理解した。
藍に言われた事も。
最近の椛の行動も。


…ああ、立場こそ逆だが、確かに今の関係は似てやがる。
まだ恋仲になる前の、俺と藍に。


泣き崩れる椛を抱き締め、頭を撫でてやる。


「…バカ野郎、だからてめえはバカ犬なんだよ。

言わなきゃわかんねえだろうが。
少なくとも藍の時は、俺はちゃんと伝えたぜ?

あいつも俺みてえに、結構な鈍感さんだったからな。」


気付かない内に、随分こいつを傷付けちまってたんだな。
あやすように、何度も頭を撫でてやる。


だけど、ひとつだけ違うのは。

確かに解っていて。
そして自分でも、とても残酷だと思うのは。


それでも、俺の気持ちは変わらない、という事。
我儘で残酷な事実を、こいつに突きつけるという事。


「ずっとお前を傷付けちまってたんだな。
ごめんな。

…だけど、それでも、お前の気持ちには応えてやれない。
本当に、すまない。」


はっきりと、そう告げる。


「そう…ですよね。

本当は、解ってました。
先輩の想いが、どれだけ強いかも。
自分がどれだけ子供だったかも。

だけどあの宴会の日から、日増しに先輩が遠く見えて。

会った事も無いのに、どんどん藍さんが憎くなって…!

涙と共に、少しだけ椛の目に光が戻る。


「もう言うな。
…大丈夫だ。俺も藍も、お前を責めたりしない。

言ったろ?
それなりに生きてりゃ、色々あるって。
それでもこうして生きてたんだ。

お前が言ったんだぜ?
“枯葉は土に還って、そこから花が咲く”ってな?」


「そう…ですね。」

「だろ?」

「…ええ。」



_____________________________




___ねえ、先輩。


それでも私は。

この想いと、罪の意識は。
土に還せなさそうです。

例えあなたが答えを出して、私を許してくれても。


私は立ち上がり。
先輩に語りかけます。


「…だけどね、先輩。

あなたがずっと、藍さんを想っていたように。

枯れる事が出来ない葉も、あると思うんです。」


そっと、彼に言葉を放つ。


「この気持ちを捨てられそうもなくて。

…あなたと藍さんを傷付けてしまった罪の意識も、消せそうになくて。」


そう。
全部、消せないの。


ちぎれた紅葉は、土に還るだけだから。
ちぎれたわたしは、土に還るだけなのだから。


置きっ放しの刀を手に取る。


いくらわたしが妖怪でも、これなら助からないから。
誰も裁いてくれないなら、わたしがわたしを裁くから。
紅葉が、自分で枯れて行くように。


「だからね、先輩。

ここで、お別れです。」


せめて、わたしが散って行く様を、覚えていて。
わたしが還った土の上で、いつまでも。
いつまでも。


「待て!!」


ああ、そんな顔をしないで。
最期なら、笑って?


「___先輩、さよなら。」






_______________________________________








「ん…?」

知らない布団で目が覚めました。
ここは彼岸でしょうか?それとも冥界でしょうか?

休憩所なんかあったんですね。
もっとも…私はこれから地獄行きでしょうけど。


「椛、気付いたみたいね?」

「文さん…なんで…
私は死んだんじゃ…」

「寝ぼけた事言わないの。
ちゃんと生きてるよ?

あ、この口調は気にしないでね。
家だとこんな調子だから。

…人の部屋を冥界か彼岸と間違えるとは、いい度胸ねえ。」


見上げれば、そこは女の子らしい普通の部屋でした。


「さっき××が血まみれであなたをかついで来てね。

いきなりでびっくりしたけど、“椛を頼む”なんて言って、走ってどっか行っちゃって。

あの女泣かせの極道ギツネには、今度人里のあんみつでも奢らせなきゃ気が済まないわね?
もちろん椛の分も。」


「文さん…わたし…わたし…」


「何も言わなくていいよ?


あなたは間違えてしまったけど、まだ手遅れじゃなかった。
恋は何度もするものだよ?


ほら、紅葉は秋に散っても、春にまた葉を付けるでしょ?
繰り返すんだから。

…だから、今は思いっきり泣きなさい。胸なら貸してあげるから。」


「…ぐすっ…ふえ…ああああああああああああああああああああ!!!!」


“…この子も少しは成長するかしらね?

全く…いつかあんたに喧嘩で勝つ時には、この分の貸しも付けて殴るからね?

私の親友さん?”







椛を文に託し、山を走る。


「藍さんなら、丁度妖怪の山の近くにいましたよ。

…行ってきなさい。
これだけこの子を泣かせたんだから、他の女まで泣かせたら承知しないわよ?××。」


…ったく、親友にゃあぜーんぶお見通しだったってか。
相変わらず喧嘩以外じゃ勝てる気がしねえや。あの盗撮鴉が。


いってーなあ、クソッタレ。

あいつをかばったお蔭で、背中にでっけー刺し傷だよ。
片足やられてっから、走りにくいしよー。

惚れた女に会うのに吐血してるたあ、どこの怪談だよ。

…あのバカ狼には、今度慰謝料で大吟醸奢らせよ。



あー、さすがに血が足りねえ。
ふらふらしやがる。


でも急がねえと。

もう逃げねえって決めたんだ。
あいつとの今を作ってく、ってな。


げ、また血い吐いちまった。
知るかボケ。
走れ、走れ。
まだ行けんだろうがよ。


まだ、まだ__。



_____________________________




「藍、疲れてる所悪いけど、ちょっと散歩に出ない?」

「散歩、ですか?」

マヨヒガに帰った後、紫様にこう提案された。

「そ。散歩。
色々訊きたい事もあるしね。

だって…ゆうべはお楽しみだったんでしょ?」

「あはは…」

これには苦笑するしかできない。
こういう話、大好きだもんなあ、この人。


「そう…」


私は道中、事のあらましを紫様に話した。


「それで良かったの?藍は。」


「私達には、互いの今がありますからね。

私は式としての幻想郷の為の仕事がありますし、彼も哨戒役のリーダー格ですから。

天狗の山は掟も厳しいですしね。
…まあ、実際はあって無しみたいなものだそうですが。」

彼に聞いた天狗の里の実態を思い出し、思わず苦笑してしまう。


「それに、未練が無いと言えば嘘になりますが…。

彼を兄貴分として慕う天狗たちも、多いみたいですしね。
それに、彼を想う人も。

これからは友人として、互いの未来を生きて行くべきかと思ったんです。

ええ…きっと、それが正しいんです。」


「もう、本心が漏れてるわよ?
相変わらずお堅いわねえ。

それじゃあ人生は楽しめなくてよ?」


「ですが…」


「あなたは良くても私は心配なの。

あなた一生独身でいる気?
橙だって一緒に住んでる訳じゃないし。

…妖怪の女ヤモメは、長くて寂しいわよぉ?」


あー…
そんな実感を込めた目で見てこなくても…。


「あ、そうそう。

この前の天狗の長との会合の後、長が泣いてたわ。

“息子同然に見てきた天狗がいるんだが、いつまでも独り身でふらふらしてて困る”
ってね。」


“ぴく。”


い、いや、まさかな。


「“八雲殿、誰かあのバカを更生できる器量良しはおらぬか!!”
とも言ってたわね。

そうそう。
藍、あなた、今度お見合いをする気は無い?

あ、間違ってもノーとは言わせないわよ?」


はあ、相変わらずこの人は…


「名前は××。

元は妖狐で、天狗の長に拾われて~

って、あら、噂をすればなんとやらね。」



ああ、怪我をしているが、走ってくるあの影は…


私の愛した。
いや、今も愛する人。


「藍!!」


そう。
今こうして、彼の胸に飛び込んで_____。







_______________________________






ここは天狗の酒場。
今日は珍しく静かだ。

中には礼服姿の天狗達が、所狭しと座っている。
そして白髪白尾の男が一人、最前列に立った。


「えー本日はお日柄も良くー…とまあ、固い事は言わねえ。
どうせお前ら呑むし。今二次会だし。


まず今日は、先程の婚礼の儀に集まってくれた事を感謝する。


狐の嫁入りを見ると祟られるとか、天気雨が降るとか言うが、俺らはそんな狭量な真似はしねえ。
むしろ晴れの舞台に立ち会ってくれた事、誠に感謝したい。

えー、紆余曲折を経て、俺もとうとう数百年の独身生活に終わりを告げた訳だが。

今日に至るまで、俺は彼女を相当泣かせてきた。
そりゃあどっかの盗撮鴉に、極道ギツネとか言われる程度には。


だから今日、ここで改めて宣言させてもらう。


私××改め○○は、妻・藍を必ず幸せにします。


ってな。
みんな、今日は本当にありがとう。


俺からは以上だ。
あいにく今日は、狐の嫁入りの伝承通りの天気雨じゃねえが…


…野郎ども!!今日は天狗らしく、酒の天気雨を降らせて帰るぞ!!
それじゃ、乾杯!!」





「「「「「「「「かんぱあああああああああああああああい!!!!」」」」」」」」」






「藍さん、綺麗でしたねえ。」

「ほんとほんと、お陰でフィルムが足りませんよ。

いやー、まさかあの長と八雲紫の泣き顔が見れるなんて。大スクープですよ!!」

「あー…そっちですか。」

「あの極道ギツネには、色々と貸しがありますからねえ。

当面スクープのネタにさせて貰います!!
清く正しい射命丸の名にかけてッ!!!!」

「はは…」




でも、本当に綺麗でしたね、藍さん。

きっと二人の間には、かわいい子供が産まれるんだろうな。
男の子だったら、彼に似てやんちゃになるんでしょうねえ。


もし彼の子供達が産まれたら、一緒に遊んであげたいんです。
お姉さんみたいに、一緒に。










そうですね…

“初恋の人になる”って言うのも、悪くないかもしれませんね。

彼に似た子に想われて。
色々人生を教えてあげるのも、ね。


昔人間の貴族の中で、そんな話もあったみたいだし。



もしもの話だし、ずーっと将来の話だけど。
本当にそうなったら、楽しみですよ。







ねえ…“ お 義 父 さ ん ? ”





きっとその子の心をつかまえたら。
ずっと、ずーーーーっと離しませんね。

呪いみたいにずっと、ね?
わたしだけを、想うヨウニ。



…ふふ。
ふふふふふ。
ふふふふふふふふふふふふふふふふ。










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to be continued?
________________________________








白い狐は月に哭く・了

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最終更新:2011年11月17日 12:12