昔から「来年のことを言うと鬼が笑う」とある。

「そんなことは本当だろうか?」と思うのは半年前から幻想郷の人里に住んでいる外来人の青年〇〇

迷い込んで来た当初は自分が居た世界とは違う異世界に驚きと不安と戸惑いがあったが、持ち前の好奇心とおおらかな性格で人里に受け入れられた。

それから彼は食い扶持と帰還資金を貯めるために里の住人がやりたがらない幻想郷の重鎮達への日用品配達の仕事に就いた。
初めはおっかなびっくりだったが、前述の性格が幸いして仲良くなったらしい。
本日は、なんでも幻想郷の管理者である八雲紫が冬眠する前に一騒ぎしたいらしく何度目かの博麗神社での宴会に誘われていた。

ちょうど帰還資金が貯まったから博麗の巫女である霊夢に渡しがてら宴会に参加するにあたり知り合った鬼の伊吹萃香や星熊勇儀に吸血鬼だから一応、鬼の一種だろうか?レミリア・スカーレットと妹のフランドール・スカーレットに対してちょっと試してみたくなった。


〇〇が神社に到着した時には、すでに飲めや歌えやの乱痴気騒ぎをしていた。
彼を見つけた知り合いから「遅いぞ〇〇~。」や「待っていたわよ〇〇」や「〇〇、早く早く。」とあちこちに引っ張られ暫くしてようやく霊夢の近くに来れた。


「はい、霊夢これ。」


「このお金は何?〇〇さん。」


「いや、何って…帰還資金だよ。これで足りるだろう?来年、紫さんが目覚め時に帰ろうと思っているんだよ。それまで悠悠自適に暮らすからさ。」


そうやってわざと大声で言った〇〇は(さて、どうかな?)と周りを見渡すと。

「「「「………。」」」」さっきまで騒がしかったのが水を打ったように静まりかえったが次の瞬間。


「あは…あはは…あははははははははははははははははははははははははははは!!」

笑ったのは萃香だったがその笑い方が尋常じゃなかった。

「〇〇ぅ~、酒が入っていても嘘はいけないよ。嘘は。」


「全くだよ、嘘だよな〇〇?」

「〇〇…あなたの運命はもう決まっているのよ?」

「〇〇の話はいつも面白いね。今のが一番面白かったよ?」
同意してきた勇儀、レミリア、フランドール。
全員が笑顔だが目が笑っていなかった。

しかし、彼女達だけではなかった。
「〇〇(さん)…嘘だよな(ですよね)?」や「……。」小さな声で呟く者や終始無言の者達も居た。

「い…いや、本当だけどみんなどうしたのさ?」


「「「「あぁ、わかった。〇〇(さん)は一人じゃあ寂しいんだね?大丈夫。すぐに寂しくなくなるから。ただ、ちょっと準備とちょうど居る勘違いした牝を駆除するから待っていて(下さい)ね?」」」」


「……え?」
何が何だかわからない〇〇の目の前で弾幕勝負が始まった。
その日、人里から外来人の青年が消えた。

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最終更新:2012年02月18日 15:31