885からの派生みたいな感じで。紫メインです。





「……○○が外の世界に返ってから大体60年ぐらい経ったかしら。そろそろこっちに呼んでもいいかもしれないわね」

紫は、永琳が○○に異常なまでに固執していることを知っていたが、問題を起こしていなかったので特に気にしていなかった。
それが○○が帰る直前になって蓬莱の薬を飲ませることを許してしまったのだが……

「それも計算の内、なんて言わないけど面白いことになったわね……私にとって」

紫は、永琳ほどの人物が執着する○○という人物のことが気になっていた。
当初は○○に直接接触して色々と話を聞いてみたかったのだが、それには○○が心の内を露呈してからまるで離れない永琳が邪魔で仕方なかった。
……なので、○○が外の世界に帰ってから接触することにした。

最初は単なる好奇心だった。
数回会えばもう興味が沸かずそれで終わりだろう、と。
○○は幻想郷で会った時に挨拶したように、普通の人間だった。
しかしそれはあくまで外の世界での基準で言ったことであり、幻想郷の基準で見れば充分変わった存在だった。
永琳もその普通さに惹かれたと紫は予想していたのだが……

「……ミイラ取りはミイラ、って言うのよねこれ」

紫は心底おかしそうに笑う。
永琳がどうして執着するのかが気になると周囲に完全に隠して外の世界で○○に接触し続けていたら、自分も○○を欲するようになっただなんて。
紫は○○と会っている間の記憶を自分の能力で操作して会ってない間忘れさせていたが、それで最初は満足していた。
しかし段々それで満足できないようになり、当初の永琳が執着する理由を探ると言う目的も忘れ○○との時間が増えていった。
とは言え○○にも外の生活があったので時間は全然足りなかったが。





紫は○○が欲しくてたまらなくなった。
なので、周囲から孤立させることにした。
永琳が○○に知られないように与えた蓬莱の薬の所為で時間が経てば経つほど気味悪がられ次第に孤立することは分かっていたのだが、それだと遅すぎると感じたからだ。
本当は紫が○○を独占したかっただけなのだが。

そうして紫は○○が早い段階から孤独になるように○○の親しい人間の心の境界を弄くり、遠ざけるようにした。
だがすぐに孤立させれば○○が訝しむだろうと紫は時間をかけて、だが蓬莱の薬の効果で次第に周囲から孤立するのより早い程度にした。

○○が外の世界に帰ってから二十年ほどかかったが、紫の暗躍があってか○○は次第に孤立していった。
まだ当時は○○も見た目が若くても異常だと思われるレベルではなかったので、紫は夫婦間の亀裂を大きくすることにした。
子供が出来ない原因は○○にある、○○は子供が出来ない原因は結婚した女性にあると思い込み浮気をしている……などと○○と結婚した女性に思い込ませたのだ。
すると簡単に夫婦仲は冷え始めた。
後は放っておけば勝手に修復不可能な段階になるだろうと紫は次に会社での同僚や○○の大学からの友人を次の標的にした。

人間は自分と違うものを恐れる。自分に理解出来ないものを恐れる。
○○の周囲の人間にとって○○がまさにそれだと紫は思わせるようにした。
それは紫がほんの少し○○の周囲の認識の境界を操作すれば後は勝手に広まった。

そうなると○○はその時以外覚えていないのだが、昔から変わらず接してくれる紫に依存するようになった。
紫は○○と会わない時は会っている間の記憶を忘れさせ、会う時は○○の倫理観を麻痺させた。
するとますます○○は紫に熱中した。全て紫の計画通りだった。

紫はそうして○○の隣という最も重要なポジションを獲得したのだ。




















──そして、○○が再び幻想郷にやって来てから数十年後。

「ねぇ、○○は今幸せ?」
「ああ……紫みたいな人に支えてもらえて僕は本当に果報者だ」
「私も貴方が隣に居さえしてくれたら………………ごめんなさい、○○。誰か来たみたいだから様子を見てくるわ。部屋で待っててくれる?」
「分かった。お茶でも用意して待ってるよ」
「ならすぐに終わらせたいのだけど……少し時間がかかるかもしれないわ」
「そうなのか?」
「何でもないわ。それじゃちょっと行ってくるわね」










「……あら、永遠亭の薬師じゃない。何か用事?」

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最終更新:2011年03月04日 01:12