人形遊び⑤



薄暗い部屋の中。テーブルの上に置かれたランプからこぼれる光が、アリ

スの整った顔を照らしている。俺はアリスと向き合うように座り、彼女の

言葉に耳を傾けていた。

アリス「私ね、自分の感情の管理が苦手なのよ…気が付いたらあなたの事

、好きになってた。自分でも驚いたわ。幾ら元人間だったとはいえ、恋を

するなんて、我ながら想像してなかったの。だから…どうしたら良いかわ

からなかった。貴方にくっ付いていたい、傍で何げない会話を楽しみたい

…手をつないで歩いてみたい。そんな感情が私を支配し始めた」
俺は黙って聞いていた。というより、驚きで言葉を返せなかったのだが。
アリス「でも私、変なところで冷静だったの。いえ、臆病だったの。なか

なか貴方には自分の素直さを見せられなかった。貴方が自警団に入るって

聞いて、私どうしたらいいか分からなくなったのよ」
○○「どうしてだ?」
アリス「そんなの決まってるじゃない!貴方が死ぬかもしれないのよ?そ

んなこと聞かされたら、私が反対しないはずないでしょう?!」
○○「じゃあなんでそれを言わなかったんだ?」
アリス「それこそ…臆病だったからよ…。それに貴方のあの時の目、妙に

輝いてたもの。言えなかった。私は次第に壊れかけていった。貴方の事し

か考えてなかったし、貴方が欲しかった」
そこで彼女は一息ついた。俺も出されたお茶をすする。

アリス「だけど私が貴方の事をどれだけ心配しても、貴方はそれを本心で

受け止めてくれない。そんな時、私は気をひかれる話を聞いたの。鈴蘭の

毒は心の毒だって。毒はその量をうまく調整できれば、薬になる。でも私にできるのは、人形を作る事だけ。だから…」

アリス「…この先を知りたい?」
○○「当然だ…」
アリス「なら…そこの扉を開けてみなさい。全てが分かるわ…その後は保

障できないけどね。

俺は意を決して扉の前に立った。そういえばここはプライベートルームだから入らないでくれと言われた記憶がある。女性の家だ、デリカシーはあった方がいい。だが今回は許可が下りているのだからいいだろう。
ドアノブを回し、扉を開けると…

??「あ、パパおかえり♪」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2012年11月21日 13:37