毎度の事ながらの宴会が行われている、
皆がわいわい楽しんでいると藍の前に一人の青年が現れた。
まだ少し幼さが残る誠実そうな男である、
男はいきなり土下座してこう叫んだ
「橙さんを僕に下さい!必ず幸せにします!!」
地面に額を血が出んばかりに擦り付け懇願する、
藍は男の後ろの方に心配そうな顔をして立っている橙を見つけた、
その目には涙が溜まっていて「お願いします」と語っていた。

男の登場により辺りは静まり返っており固唾を呑んで見守っていた、
一方藍は口をぱくぱくしたり二人を見比べたり指差したりと混乱したようであった
突然藍は男に電撃を放った、
電撃を浴び動かなくなった男を見て周りは非難を口にした、
「五月蝿い!可愛い橙を連れ去られるんだ!これくらいする権利はある!」
そう怒鳴ると男の頭を掴み上げ
「いいか、人間、もし橙を泣かしてでもしてみろ…
 今度は灰に…、いや、死なないようにして永遠に苦しめてやる…」
と、地の底から響くような声で言い放った。
こくりと頷くのを確認したら男を橙に投げつけた、
ぺこりと頭を下げた橙は治療の用意を始めている永遠亭の面子の方に歩いていった。

男を抱えて去っていく橙を見て藍はいきなり泣き出し隣の男に抱きついた、
「私は悲しいぞ××!
 あの可愛い橙を見知らぬ者に連れ去られるんだからな!」
そう言いながら××の膝の上で泣き喚いた、
××は藍を抱きしめたり頭をなでたりキスしたり、と慰めていた、
そうこうしているうちに少しは落ち着いたのか藍は泣き止んだ、
が、涙目でがっしりと離すまいと抱きついていた、甘甘だった。

苦笑している××を見た紫が「男ってそんなに良いものかしら?」
とよくわからなさそうに首を傾げた。
「紫様、良い、悪いの話ではありません、
 こうあるべき、これが本来の姿です」
ぎゅっと腕に力を入れ藍は力説した、
「そうですよ、言うなれば…、
 いつの間にか気が付かない間にどこかに置き忘れてきた魂の一部とでも言いましょうか」
妖夢はそう言いながら横に座る男の腕を抱きしめた、
「上手い事を言うわね、更に言わせて貰うと出会いは運命であり、必然、
 この人だ、と頭ではなく魂で理解したわ」
と、幽々子は男の首に抱き付きながらそう続けた。
「愛は戦い、突撃あるのみですよ、紫様!」
握り拳に力を籠めて力説する藍を見て××は苦笑した、
「でも紫様、その時が来ても突撃は精神的なもので物理的には突撃しないで下さいね?」
自分の過去を苦い顔で思い出す××、
藍との馴れ初めはこうである、
藍、××発見→魂で理解→取り合えず突撃→缶蹴りの空き缶のように吹き飛ぶ××
→いつの間にかボロ雑巾のようになった××を手当ての為にお持ち帰り
→看病の際色々あって強引にゴールイン
といった過程である、因みに突撃された際、××の目にはまるで某龍玉のキャラの如く
金色のオーラに包まれこちらに突っ込んでくる藍の姿が最後の記憶であった、全治6ヶ月。

「あるべき形に戻ったこの充実感は素晴らしいです、
 身も心も満たされ力が溢れて来ます、
 何者にも負ける気のしない勇気と自信も沸いてきますよ」
藍の言葉に男に抱き付いた女達はうんうん、と頷いた。
「よくわからないわ」
そう言いながら紫は大きな溜息をついた。

それからしばらく経ったある日、暇をもてあました紫は上空から何気なく人里を眺めていた、
しかし何かが起こっているわけでもなし、その行為にも飽きてきたとき遠にふと目をやった、
その瞬間紫の体に電流が流れた、
視線の先にいたのは何の変哲もない○○と言う名の外来人であった、
容姿も特筆することのない普通の男である、
だが○○を見た紫の反応は違った、
先日言われたことが頭の中でぐるぐる回った、
魂の一部、魂で理解、まさにその通りであった、
次に思い出したのは突撃あるのみ!だった。
藍は突撃(物理)で××をモノにした、
だったら自分もそうするべきだろう、そうに違いない。

以下擬音
キィィィィィィィン!!、グチッ、ヒュゥゥゥゥゥゥゥン、グチャッ、
ズシャァァァァァァァァ、ガンッ、ゴロンゴロンゴロンゴロンゴロン、ゴキンッ!!

その後運悪く生き延びた○○だが、その怪我が元で結局人間を止める羽目になり
力を増した紫に半永久的に愛されることになりましたとさ。

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最終更新:2013年04月01日 20:16